「村」に暮らす，「村」を写す : 角田勝之助（福島県大沼郡金山町）聞き取り（プロジェクト特集号 : 地域映像アーカイブ)

角田勝之助は1928年に生まれ、昭和26年から現在まで60年以上にわたり福島県大沼郡金山町玉梨湯ノ上を中心とする地域とそこに暮らす人々を写真に収め続けています。彼の写真は、険しい地形と豪雪に向き合う奥会津の暮らしと、「村」の濃密な人間関係の中で生まれたもので、独自の魅力を持っています。地域映像アーカイブは、2013年度より角田の写真の調査・デジタル化を開始し、「村の肖像」展シリーズとして公開しています。本資料は、角田氏の写真の背景や「村」の暮らしについて、彼とその近親者を対象にした聞き取り調査をまとめたものです。

角田の写真は、戦後の日本における写真表現の時流とは一線を画しており、一つの地域を共同体の内部から長期間にわたり撮影してきた点で非常に貴重です。彼の写真は美術としてだけでなく、歴史・民俗資料としての価値も高いことが示されています。また、地元の建設会社である谷ケ城建設や消防団、青年団活動などを通じて、地域社会の多様な側面を記録しており、これらの活動が村の生活に深く根付いていることが確認されました。

調査は2014年11月3日と12月7日に角田の自宅で行われ、聞き手は原田健一、北村順生、榎本千賀子の3名です。角田氏とその近親者に対して、撮影の背景や村の暮らしについて詳細な聞き取りを行い、その内容を整理して各項目ごとにまとめました。また、話し手の発言のまま「部落」と表記するなど、可能な限り原文に忠実に記録されています。

角田の写真は、その地域社会と密接に結びついており、地元の建設会社や消防団、青年団などの活動を通じて撮影されたものが多いです。これらの写真は、地元の生活文化や歴史的背景を理解する上で非常に重要な資料となっており、角田の写真表現が地域社会に与える影響や意義を再評価する契機となっています。また、彼の写真が地域の歴史・民俗資料としての価値を持つことも明らかにされました。

今後の展望としては、角田の写真をさらに活用し、地域社会の歴史や文化を広く伝えていくことが考えられます。また、デジタル化された写真をより多くの人々に公開し、研究者や地域住民など様々な関係者に利用されることが期待されます。これにより、地域の歴史や文化が次世代に引き継がれ、地域社会のアイデンティティを形成する一助となるでしょう。さらに、角田の写真を基にした展示や出版物の制作も検討されており、新たな視点から地域の魅力を発信することが目指されています。