論文詳細
自然科学系
農学部
#学術雑誌論文
Distribution of allele frequencies at TTN g.231054C>T, RPL27A g.3109537C>T and AKIRIN2 c.*188G>A between Japanese Black and four other cattle breeds with differing historical selection for marbling
- AI解説:
- 霜降りは、筋肉内脂肪の量と空間的な分布によって定義され、日本における牛肉のおいしさや消費者受容を左右する主要因であるため、経済的にも重要である。著者らの先行研究では、霜降りの候補遺伝子において3つの一塩基多型(single nucleotide polymorphisms: SNPs)—TTN g.231054C > T(5’ flanking region)、RPL27A g.3109537C > T(5’ flanking region)、AKIRIN2 c.*188G > A(3’ untranslated region)—を同定した。これらの変異は、霜降りが低い去勢牛群と高い去勢牛群を比較する際に検出され、musculus longissimusにおけるTTN、RPL27A、AKIRIN2の発現差も伴っていた。著者らはまた、黒毛和種において、TTN g.231054C > TのT、RPL27A g.3109537C > TのT、AKIRIN2 c.*188G > AのAの各アレルが、より高い霜降りと関連することも報告している。黒毛和種が過去約50年間にわたり高霜降りに向けた強い選抜を受けてきた一方、日本褐毛種は軽度の選抜、日本短角種、Holstein、Brown Swissは選抜を受けていないことから、本研究は、これら3つのSNPのアレル頻度分布を5品種間で比較することを目的とした。
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自然科学系
農学部
#学術雑誌論文
Distribution of allele frequencies at TTN g.231054C>T, RPL27A g.3109537C>T and AKIRIN2 c.*188G>A between Japanese Black and four other cattle breeds with differing historical selection for marbling
AI解説
- 背景と目的:
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霜降りは、筋肉内脂肪の量と空間的な分布によって定義され、日本における牛肉のおいしさや消費者受容を左右する主要因であるため、経済的にも重要である。著者らの先行研究では、霜降りの候補遺伝子において3つの一塩基多型(single nucleotide polymorphisms: SNPs)—TTN g.231054C > T(5’ flanking region)、RPL27A g.3109537C > T(5’ flanking region)、AKIRIN2 c.*188G > A(3’ untranslated region)—を同定した。これらの変異は、霜降りが低い去勢牛群と高い去勢牛群を比較する際に検出され、musculus longissimusにおけるTTN、RPL27A、AKIRIN2の発現差も伴っていた。著者らはまた、黒毛和種において、TTN g.231054C > TのT、RPL27A g.3109537C > TのT、AKIRIN2 c.*188G > AのAの各アレルが、より高い霜降りと関連することも報告している。黒毛和種が過去約50年間にわたり高霜降りに向けた強い選抜を受けてきた一方、日本褐毛種は軽度の選抜、日本短角種、Holstein、Brown Swissは選抜を受けていないことから、本研究は、これら3つのSNPのアレル頻度分布を5品種間で比較することを目的とした。
- 主要な発見:
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品種間でアレル頻度は異なり、その違いは霜降りに対する歴史的な選抜の違いと概ね整合的であると著者らは考えたが、別の説明もあり得ることを認めている。強く選抜されてきた黒毛和種では、「高霜降り」アレル頻度は、TTN g.231054C > TのTが0.272(種雄牛)および0.313(後代去勢牛)、RPL27A g.3109537C > TのTが0.411(種雄牛)および0.417(後代去勢牛)、AKIRIN2 c.*188G > AのAが0.500(種雄牛)および0.524(後代去勢牛)であった。これに対し、非選抜品種では、HolsteinとBrown SwissでTTN g.231054C > TのTは存在せず(Cアレルが固定)、またRPL27AとAKIRIN2についても、日本短角種、Holstein、Brown Swissで概して低かった。品種間比較では統計学的に有意な差が検出され、(i) TTN g.231054C > Tは黒毛和種または日本褐毛種と他品種の間、(ii) RPL27A g.3109537C > Tは黒毛和種と他品種の間(種雄牛では日本褐毛種も含む)、(iii) AKIRIN2 c.*188G > Aは黒毛和種または日本褐毛種と他品種の間で有意差が認められた。日本褐毛種は特徴的なパターンを示し、RPL27A g.3109537C > TのTについては種雄牛での頻度が黒毛和種より有意に低く、日本短角種/Holstein/Brown Swissと区別できなかった一方、TTNとAKIRIN2については黒毛和種と有意差がなく、非選抜品種より高かった。黒毛和種、日本褐毛種、日本短角種のいずれでも、種雄牛のアレル頻度は、父方半きょうだいの後代去勢牛における母由来アレルから推定された頻度と、どのSNPでも有意に異ならなかった。著者らは、報告したP値は名目的(nominal)であり、多重検定補正を行っていないことを強調している。
- 方法論:
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本研究では、5品種(黒毛和種、日本褐毛種、日本短角種、Holstein、Brown Swiss)において、3つのSNP(TTN g.231054C > T、RPL27A g.3109537C > T、AKIRIN2 c.*188G > A)をgenotypingした。主要な集団パネルは、黒毛和種の種雄牛101頭(父43頭由来)、日本褐毛種の種雄牛86頭(父41頭由来)、日本短角種の種雄牛79頭(父50頭由来)、Holsteinの雌牛119頭(父は119頭で独立)、Brown Swissの雌牛118頭(父は118頭で独立)で構成された。著者らは、各品種内で特定の父または母方祖父への強い偏りはなく、各パネルは品種集団のランダムサンプルに近い可能性が高いとしている。さらに、種雄牛のアレル頻度と母由来アレルから推定した頻度を比較するため、父方半きょうだいの後代去勢牛を追加し、黒毛和種1,705頭(種雄牛8頭)、日本褐毛種27頭(種雄牛3頭)、日本短角種264頭(種雄牛14頭)を含めた;雌牛は品種内で無作為交配(random-mating)とみなした。DNAは地域の研究機関で採取された精液、血液、または脂肪組織から抽出した。genotypingには、HpyCH4III(TTN)、Bsu36I(RPL27A)、FokI(AKIRIN2)を用いたpolymerase chain reaction–restriction fragment length polymorphism(PCR-RFLP)法を使用した。Hardy–Weinberg平衡は、各SNPについて種雄牛/雌牛集団で検定した(あるアレルが固定されている場合は例外;また日本短角種のAKIRIN2では稀なgenotypeを統合して扱った)。比較には、種雄牛頻度と推定母由来アレル頻度の差、および品種間の頻度差に対して、カイ二乗検定またはFisherの正確確率検定を用いた。
- 結論と意義:
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著者らは、品種間で観察されたアレル頻度パターンは、霜降りに対する歴史的な選抜強度が、以前に高霜降りと関連づけられたアレルの頻度を増加させた可能性がある、という仮説を支持すると結論づけた。具体的には、黒毛和種での強い選抜がTTN g.231054C > TのT、RPL27A g.3109537C > TのT、AKIRIN2 c.*188G > AのAを上昇させた可能性があり、日本褐毛種での軽度の選抜はTTN g.231054C > TのTとAKIRIN2 c.*188G > AのAを上昇させた可能性があるとしている。ただしこの解釈は条件付きであり、これらのアレルがselective sweepを受けたという仮定に依存することを明示している。先行の関連解析研究と合わせ、著者らは、これらのSNPが霜降りを増やすためのmarker-assisted selectionに有用なマーカーとなり得ると主張する。さらに、以前提案した機序上の可能性も改めて述べており、変異が調節領域(5’ flanking regionまたは3’ UTR)に位置するため、promoter活性やmRNAの安定性に影響し、その結果として発現と霜降りに影響し得るとしている。しかし重要な注意点として、日本褐毛種と日本短角種に対する欧州由来の遺伝的影響が品種差を反映している可能性、また(黒毛和種と日本褐毛種で)有効集団サイズが小さいという品種の人口史によりgenetic driftでもアレル頻度分化が生じ得ることを強調している。このため、選抜との関連は妥当ではあるが決定的ではない、という立場を取っている。
- 今後の展望:
-
本論文では、観察された頻度差に対する別の説明を排除し、因果推論を強化するために必要な追試の方向性をいくつか示している。著者らは、アジア在来牛にまでアレル頻度解析を拡張することを提案しており、これにより霜降り選抜の効果と、より広い品種祖先差の影響を切り分けられる可能性があるとしている。また、各品種内で霜降りが極めて高い群と極めて低い群を調べ、これらのSNPが表現型に沿った、より鋭い品種内分化を示すかどうかを検証することを推奨している。最後に、50年以上前にさかのぼるWagyu牛の歴史サンプル(組織または精液)を用いてアレル頻度の時間的変化を評価することを提案しており、これにより、driftやintrogressionではなく選抜による変化であった(あるいはそうではなかった)ことについて、より直接的な証拠が得られるとしている。
- 背景と目的:
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は、筋肉の中にある脂肪の量や広がり方で決まり、牛肉のおいしさや「買いたい」と思う気持ちに大きく関わります。そのため、日本の牛肉生産ではとても重要な性質です。霜降り ( 筋肉の中に入り込んだ脂肪の量と広がり方のことです。脂肪が細かく入るとやわらかさや風味に影響し、日本の牛肉では品質や価格を左右する重要な特徴です。)
これまでの研究で、霜降りに関わりそうな3つの遺伝子について、DNAの1文字だけが違う3つの変化が見つかっていました。具体的には、TTN、RPL27A、AKIRIN2という遺伝子の近くや一部にある と呼ばれる変化です。また、霜降りが高い牛と低い牛を比べると、これらの遺伝子のはたらき方(発現)にも違いがあり、さらに黒毛和種では「霜降りが高くなりやすい型(SNP ( 一塩基多型の代表的な形式で、DNAの1文字が別の文字に置き換わった変化のことです。個体差を調べる目印として使われ、育種や病気研究にも利用されます。) )」があることも報告されていました。アレル ( 同じ遺伝子やDNAの場所でも、個体によって持っている型が違うとき、その「型」を指す言葉です。どのアレルを持つかで性質が変わることがあります。)
一方で、黒毛和種は約50年間、霜降りが増えるように強く品種改良されてきましたが、日本褐毛種は少しだけ、日本短角種・ホルスタイン・ブラウンスイスはほとんどそのような改良を受けていません。そこで本研究は、3つのSNPのアレルの割合が、5つの品種でどう違うのかを比べることを目的にしました。
- 主要な発見:
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品種によって、3つの
のSNP ( 一塩基多型の代表的な形式で、DNAの1文字が別の文字に置き換わった変化のことです。個体差を調べる目印として使われ、育種や病気研究にも利用されます。) の割合ははっきり違いました。研究者は、この違いは「アレル ( 同じ遺伝子やDNAの場所でも、個体によって持っている型が違うとき、その「型」を指す言葉です。どのアレルを持つかで性質が変わることがあります。) を増やすために、どれくらい強く品種改良してきたか」という歴史とだいたい一致すると考えました。ただし、別の理由でも説明できる可能性があることも認めています。霜降り ( 筋肉の中に入り込んだ脂肪の量と広がり方のことです。脂肪が細かく入るとやわらかさや風味に影響し、日本の牛肉では品質や価格を左右する重要な特徴です。)
黒毛和種では、霜降りが高くなりやすいとされるアレルの割合が比較的高く、TTNではT、RPL27AではT、AKIRIN2ではAがそれぞれ一定の頻度で見られました。
一方、霜降りを増やす を受けていない品種では、TTNのTがホルスタインとブラウンスイスでは見つからず、RPL27AやAKIRIN2でも全体的に低い傾向でした。統計的に見ても、黒毛和種や日本褐毛種と、それ以外の品種の間で有意な差が確認されました。選抜 ( 望ましい性質を持つ個体を親として残し、その性質を次世代に増やす品種改良の方法です。長い期間続くと、関連するアレルの頻度が変化します。)
日本褐毛種は少し独特で、RPL27AのTは黒毛和種より低く、選抜されていない品種と区別できない一方、TTNとAKIRIN2では黒毛和種と大きく変わらず、非選抜品種より高い傾向でした。
また、 で測ったアレルの割合と、後代(種雄牛 ( 繁殖用の雄牛のことです。多くの子に遺伝子を伝えるため、品種全体の遺伝子構成に強い影響を与えます。) )から推定した母由来アレルの割合は、どの品種でも大きな差がありませんでした。なお、この研究の去勢牛 ( 繁殖に使わないために去勢された雄牛のことです。肉質を評価する研究では、成長や肉質の条件をそろえやすいためによく使われます。) は多くの比較をしたことによる調整をしていない点に注意が必要です。P値 ( 得られた差が「たまたま起きた」と考えたときに、それが起きる確率を表す値です。小さいほど偶然ではなさそうだと判断しますが、比較回数が多いと解釈に注意が必要です。)
- 方法論:
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5品種(黒毛和種、日本褐毛種、日本短角種、ホルスタイン、ブラウンスイス)について、3つの
(TTN、RPL27A、AKIRIN2)を調べました。SNP ( 一塩基多型の代表的な形式で、DNAの1文字が別の文字に置き換わった変化のことです。個体差を調べる目印として使われ、育種や病気研究にも利用されます。)
主なデータは、各品種から集めた や雌牛のDNAを使って、SNPの型を判定し、種雄牛 ( 繁殖用の雄牛のことです。多くの子に遺伝子を伝えるため、品種全体の遺伝子構成に強い影響を与えます。) の割合を計算しました。さらに、黒毛和種・日本褐毛種・日本短角種では、同じ父を持つ後代アレル ( 同じ遺伝子やDNAの場所でも、個体によって持っている型が違うとき、その「型」を指す言葉です。どのアレルを持つかで性質が変わることがあります。) (去勢牛 ( 繁殖に使わないために去勢された雄牛のことです。肉質を評価する研究では、成長や肉質の条件をそろえやすいためによく使われます。) )も追加し、母由来アレルの情報から推定した頻度と種雄牛の頻度を比べました。父方半きょうだい ( 同じ父親を持ち、母親が異なる兄弟のことです。遺伝の影響を調べる研究で、比較がしやすい集団として利用されます。)
DNAは精液、血液、脂肪組織などから取り出し、 という方法でSNPを判定しました。品種間の違いや、集団内の偏りがないかは、PCR-RFLP ( PCRで目的のDNAを増やし、制限酵素で切れ方の違いを利用してSNPの型を見分ける方法です。比較的シンプルな遺伝子型判定法として使われます。) の検定や、Hardy–Weinberg平衡 ( 交配がランダムで、強い選抜などがないときに成り立つ、遺伝子型の割合に関する基本的な関係です。集団データが偏っていないかを確かめるのに使います。) 、カイ二乗検定 ( 観察された割合の違いが、偶然では説明しにくいかを調べる統計手法です。品種間のアレル頻度の差の検定などに使われます。) で調べました。Fisherの正確確率検定 ( データ数が少ないときでも使える、割合の差を調べる統計手法です。サンプルが小さい品種や稀な型を扱うときに役立ちます。)
- 結論と意義:
-
研究者は、品種間で見られた
頻度のパターンは、アレル ( 同じ遺伝子やDNAの場所でも、個体によって持っている型が違うとき、その「型」を指す言葉です。どのアレルを持つかで性質が変わることがあります。) を増やすための品種改良が、「霜降りが高くなりやすいアレル」の割合を増やしてきた可能性を支持すると結論づけました。具体的には、黒毛和種の強い霜降り ( 筋肉の中に入り込んだ脂肪の量と広がり方のことです。脂肪が細かく入るとやわらかさや風味に影響し、日本の牛肉では品質や価格を左右する重要な特徴です。) が3つの有利なアレルを増やし、日本褐毛種の弱い選抜はそのうち一部を増やしたかもしれない、という考え方です。選抜 ( 望ましい性質を持つ個体を親として残し、その性質を次世代に増やす品種改良の方法です。長い期間続くと、関連するアレルの頻度が変化します。)
ただし、この解釈は「選抜によって周辺の遺伝子もまとめて増える現象が起きた」という前提に依存します。また、欧州品種の遺伝的な影響や、集団が小さいことによる偶然の変化(遺伝的浮動)でも、品種差が生まれる可能性があるため、「選抜の結果だ」と断定はできない立場を示しています。
それでも、これまでの関連研究と合わせると、3つの は霜降りを増やすための目印として、育種に利用できる可能性があると述べています。SNPの場所が遺伝子の調節に関わる領域にあるため、遺伝子のはたらき方が変わり、霜降りにも影響する可能性がある、という説明も示しています。SNP ( 一塩基多型の代表的な形式で、DNAの1文字が別の文字に置き換わった変化のことです。個体差を調べる目印として使われ、育種や病気研究にも利用されます。)
- 今後の展望:
-
品種差の理由をよりはっきりさせるために、追加研究の方向性が提案されています。
まず、アジア在来牛まで調査を広げて、霜降り ( 筋肉の中に入り込んだ脂肪の量と広がり方のことです。脂肪が細かく入るとやわらかさや風味に影響し、日本の牛肉では品質や価格を左右する重要な特徴です。) の効果と、品種の祖先の違いによる影響を分けて考えられるようにすることです。選抜 ( 望ましい性質を持つ個体を親として残し、その性質を次世代に増やす品種改良の方法です。長い期間続くと、関連するアレルの頻度が変化します。)
次に、同じ品種の中でも霜降りが極端に高い群と低い群を比べて、3つの が霜降りの違いに沿ってよりはっきり分かれるかを確かめることです。SNP ( 一塩基多型の代表的な形式で、DNAの1文字が別の文字に置き換わった変化のことです。個体差を調べる目印として使われ、育種や病気研究にも利用されます。)
さらに、50年以上前の和牛の歴史サンプルを使って、 の割合が時間とともにどう変わったかを見ることで、偶然や交雑ではなく選抜で増えたのかを、より直接的に確かめられるとしています。アレル ( 同じ遺伝子やDNAの場所でも、個体によって持っている型が違うとき、その「型」を指す言葉です。どのアレルを持つかで性質が変わることがあります。)
- 何のために?:
-
牛肉の「
」は、白い霜降 り( 牛肉の赤い肉の中に白い脂 が細かく入った状態 のことです。食べたときにやわらかく感じたり、あぶらのうまみを感じやすくなるため、牛の育て方の目標 として大事にされます) 脂 が入ることです。
霜降 りが多いと、おいしいと感じやすいです。
だから、牛を育てる人は霜降 りを大事にします。
体の中には、体を作る「 」があります。遺伝子 ( 体のつくり方やはたらき方の情報 が書かれた体の中の設計図 のようなものです。親から子に伝 わり、体質 のちがいの理由になるので、霜降 りの出やすさを考えるときに重要 です)
遺伝子 は、体のしつけの手紙みたいなものです。
その手紙の1文字だけが、ちがうことがあります。
それを という小さなちがいといいます。SNP ( 遺伝子 の情報 の中で、たった1文字ぶんだけが人や牛によってちがう小さな差 のことです。その小さな差 が体の性質 に関係 することがあるため、霜降 りと関係 する目印 として調べられます)
前の研究で、3つの遺伝子 の近くで、SNPが見つかりました。
名前は、 、TTN ( 遺伝子 の名前の1つです。どの型 が多いかを調べて、霜降 りと関係 があるかを考えるために使われます) 、RPL27A ( 遺伝子 の名前の1つです。品種 ごとに型 の多さを比 べ、霜降 りと関係 する可能性 を見るために使われます) です。AKIRIN2 ( 遺伝子 の名前の1つです。霜降 りが多い牛で見つかりやすい型 があるかどうかを確 かめるために調べます)
霜降 りが多い牛と少ない牛では、はたらき方も違 いました。
黒毛和種には、霜降 りが増 えやすい型 もありました。
黒毛和種は、霜降 りが増 えるように育てられました。
日本褐毛種 は、少しだけそうでした。
ほかの品種 は、ほとんどしていません。
そこで、5つの品種 で型 の多さを比 べました。
- 何が分かったの?:
-
品種 によって、型 の多さがはっきり違 いました。
その違 いは、 を霜降 り( 牛肉の赤い肉の中に白い脂 が細かく入った状態 のことです。食べたときにやわらかく感じたり、あぶらのうまみを感じやすくなるため、牛の育て方の目標 として大事にされます) 増 やす育て方と合いそうです。
でも、ほかの理由の可能性 もあります。
黒毛和種では、増 えやすい型 が多めでした。
ではT、TTN ( 遺伝子 の名前の1つです。どの型 が多いかを調べて、霜降 りと関係 があるかを考えるために使われます) ではTがありました。RPL27A ( 遺伝子 の名前の1つです。品種 ごとに型 の多さを比 べ、霜降 りと関係 する可能性 を見るために使われます)
ではAが、よく見つかりました。AKIRIN2 ( 遺伝子 の名前の1つです。霜降 りが多い牛で見つかりやすい型 があるかどうかを確 かめるために調べます)
霜降 りをねらっていない品種 では、型 が少なめでした。
TTNのTは、ホルスタインなどで見つかりませんでした。
ほかの2つでも、全体に少ないほうでした。
数字で見ても、違 いがあるといえました。
日本褐毛種 は、少しふしぎな結果 でした。
RPL27AのTは、黒毛和種より少なめでした。
でもTTNとAKIRIN2は、黒毛和種に近めでした。
お父さん牛と、子どもから見た型 の多さは近かったです。
ただし、比 べ方の注意点も残 っています。
- どうやったの?:
-
5つの
品種 の牛で、3つの を調べました。SNP ( 遺伝子 の情報 の中で、たった1文字ぶんだけが人や牛によってちがう小さな差 のことです。その小さな差 が体の性質 に関係 することがあるため、霜降 りと関係 する目印 として調べられます)
調べた品種 は、黒毛和種など5つです。
牛から を取り出して、DNA ( 遺伝子 の情報 そのものが入っている物質 です。血や精液 などから取り出して調べることで、どんな型 を持っているかが分かります) 型 を決めました。
DNAは、体のしつけの情報 です。
その型 から、どの型 がどれだけ多いかを出しました。
3つの品種 では、同じ父の子牛も調べました。
子牛の結果 から、お母さんの型 も考えました。
そして、お父さん牛の結果 と比 べました。
DNAは、 や血などから取りました。精液 ( お父さん牛の体から出る、子どもを作るための細胞 が入った液体 です。DNAを取り出して、お父さん牛の型 を調べる材料 になります)
PCR-RFLPという方法 で、型 を見分けました。
品種 の差 は、決まりの計算で確 かめました。
- 研究のまとめ:
-
研究者は、育て方で
型 が増 えたかもと考えました。
黒毛和種の強い育て方で、3つの型 が増 えたかもです。
日本褐毛種 は、そのうちの一部だけ増 えたかもです。
でも、「育て方のせい」と決めつけはできません。
昔の交ざりや、たまたまの変化 もありえます。
だから、ほかの理由も考える必要 があります。
それでも、この はSNP ( 遺伝子 の情報 の中で、たった1文字ぶんだけが人や牛によってちがう小さな差 のことです。その小さな差 が体の性質 に関係 することがあるため、霜降 りと関係 する目印 として調べられます) 目印 になるかもしれません。
を霜降 り( 牛肉の赤い肉の中に白い脂 が細かく入った状態 のことです。食べたときにやわらかく感じたり、あぶらのうまみを感じやすくなるため、牛の育て方の目標 として大事にされます) 増 やす牛づくりに使える可能性 があります。
SNPが、 の動きを遺伝子 ( 体のつくり方やはたらき方の情報 が書かれた体の中の設計図 のようなものです。親から子に伝 わり、体質 のちがいの理由になるので、霜降 りの出やすさを考えるときに重要 です) 変 えるかもしれません。
その結果 、霜降 りに影響 するかもと説明 しました。
- これからどうする?:
-
もっとはっきりさせるため、次の調べ方があります。
まず、アジアの牛まで広げて調べます。
そうすると、先祖 の違 いと育て方を分けられます。
次に、同じ品種 で が多い霜降 り( 牛肉の赤い肉の中に白い脂 が細かく入った状態 のことです。食べたときにやわらかく感じたり、あぶらのうまみを感じやすくなるため、牛の育て方の目標 として大事にされます) 群 と少ない群 を比 べます。
3つの が、SNP ( 遺伝子 の情報 の中で、たった1文字ぶんだけが人や牛によってちがう小さな差 のことです。その小さな差 が体の性質 に関係 することがあるため、霜降 りと関係 する目印 として調べられます) 差 といっしょに動くか見ます。
さらに、昔の和牛の も使います。試料 ( 調べるために集めた材料 のことです。昔の和牛の材料 なども試料 として使うと、時間による型 の変化 が分かります)
時間で型 がどう変 わったかを調べます。
それで、育て方で増 えたのか確 かめられます。
- 著者名:
- Watanabe Naoto, Satoh Youichi, Fujita Tatsuo, Ohta Takeshi, Kose Hiroyuki, Muramatsu Youji, Yamamoto Takuji, Yamada Takahisa
- 掲載誌名:
- BMC research notes
- 巻:
- 4
- ページ:
- 10-1 - 10-5
- 発行日:
- 2011-01
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/30613
