論文詳細
自然科学系
理学部
#学術雑誌論文
Kinetic Resolution via the [2,3] Stevens Rearrangement of Epimeric Six-Membered Ammonium Ylides : A New Entry to Enantio-enriched α-Amino Acid Derivatives
- AI解説:
- アンモニウムイリドのStevens転位は有機合成で広く用いられており、特に第4級N-アリル型アンモニウム塩の塩基誘起[2,3] Stevens転位は、協奏的で対称性により許容された経路で進行するとされ、高い位置選択性と立体選択性を与えやすい点で有用である。これらの利点がある一方で、窒素から炭素へのキラリティー移動に依拠する不斉型は、相対的に十分検討されてこなかった。先行研究(とりわけWestグループ)では、5員環アンモニウムイリドにおいてほぼ完全なキラリティー移動が達成できることが示されたが、全体の立体化学的帰結は、アンモニウム塩を形成する第4級化(quaternarization)段階の立体選択性に強く依存する。この背景のもと本研究は、別の不斉アプローチの確立を目的とする。すなわち、6員環アンモニウム塩のエピマー混合物をイリド前駆体として用い、転位が速度論的光学分割(kinetic resolution)を起こし得ると期待することで、不自然型(unnatural)α-アミノ酸誘導体(3)を高いエナンチオマー純度で与えることを狙う。
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自然科学系
理学部
#学術雑誌論文
Kinetic Resolution via the [2,3] Stevens Rearrangement of Epimeric Six-Membered Ammonium Ylides : A New Entry to Enantio-enriched α-Amino Acid Derivatives
AI解説
- 背景と目的:
-
アンモニウムイリドのStevens転位は有機合成で広く用いられており、特に第4級N-アリル型アンモニウム塩の塩基誘起[2,3] Stevens転位は、協奏的で対称性により許容された経路で進行するとされ、高い位置選択性と立体選択性を与えやすい点で有用である。これらの利点がある一方で、窒素から炭素へのキラリティー移動に依拠する不斉型は、相対的に十分検討されてこなかった。先行研究(とりわけWestグループ)では、5員環アンモニウムイリドにおいてほぼ完全なキラリティー移動が達成できることが示されたが、全体の立体化学的帰結は、アンモニウム塩を形成する第4級化(quaternarization)段階の立体選択性に強く依存する。この背景のもと本研究は、別の不斉アプローチの確立を目的とする。すなわち、6員環アンモニウム塩のエピマー混合物をイリド前駆体として用い、転位が速度論的光学分割(kinetic resolution)を起こし得ると期待することで、不自然型(unnatural)α-アミノ酸誘導体(3)を高いエナンチオマー純度で与えることを狙う。
- 主要な発見:
-
6員環アンモニウム塩2aのエピマー混合物(trans/cis = 2:1)を、THF中、−78 ℃で22 h、1.0当量のt-BuOKで処理すると、[2,3]転位生成物3aが30%収率で得られ、その立体異性体比は7:1であった。この生成物の立体異性体比は出発物質のtrans/cis比よりも大きく、さらに、完全にsuprafacialな[2,3]シグマトロピー転位(trans-2a → (3R)-3a;cis-2a → (3S)-3a)という著者らの仮説のもとでは、この増大は、転位の過程で相当程度の速度論的光学分割が起きていることを示す強い証拠だと解釈されている。溶媒効果は重要であり、THFをTHF–DME混合溶媒に置き換えると、より高い転化率で同等または改善した立体選択性が得られ、最良の結果はTHF–DME (1:2)で報告された。N-プレニル(N-prenyl)類縁体2b(trans/cis = 3:1)では、Table 1のentry 3と同一条件で転位を行うと、3bは低収率であったものの、ほぼ単一のエナンチオマーとして得られた。著者らは、この予想外に高いエナンチオ選択性は2aよりも2bでより効率的な速度論的光学分割が起きていることを示すと強調しており、通常は得にくいα-tert-アルキルアミノ酸へアクセスできる可能性を示す点で、合成化学的に魅力的であるとしている。
- 方法論:
-
アンモニウム塩2は、D-フェニルグリシン由来の(5R)-5-phenyl-1,4-oxazin-2-oneから2段階で調製した。標準条件でN-アリル化して第3級アミン1を得た後、methyl tosylateを用いて第4級化を行い、trans-2とcis-2のエピマー混合物としてアンモニウム塩を与えた(2aはtrans/cis = 2:1、2bは3:1)。2aのtrans/cis比は、^1H NMR(CDCl3)によりN–CH3シグナル(δ 3.24 ppm trans;3.07 ppm cis)を用いて測定した。転位反応は、エピマーのアンモニウム塩をTHF中、−78 ℃でt-BuOKにより22 h処理して行い、さらにTHF–DME混合溶媒を用いた条件検討も報告され(最適としてTHF–DME (1:2)を含む)、(3R)/(3S)の生成物比は^1H NMR(CDCl3)でN–CH3ピーク((3R)-3aがδ 2.30 ppm、(3S)-3aが2.17 ppm)により決定した。3aの主要エナンチオマーの絶対配置は、N-benzoyl-N-methyl-α-n-propylglycine ethyl ester(4a)へ誘導体化し、別途調製した真正(authentic)の(R)試料とのクロマトグラフィーによる相関から割り当てた。エナンチオマーの分離は、Daicel Chiralpak AD-Hを用いるHPLC(Hex/EtOH = 70:30、0.50 mL/min)で行い、tRは(R)が11.4 min、(S)が14.6 minであった。主要アンモニウム塩trans-2aの配置は、キラリティー移動が同一面で進行するという著者らの仮定に基づき、確認された生成物配置から推定した。
- 結論と意義:
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本研究は、6員環アンモニウムイリドのエピマー混合物に対する不斉[2,3] Stevens転位が、効率的な速度論的光学分割として機能し、高いエナンチオ純度をもつ不自然型α-アミノ酸誘導体を与え得ると結論づけている。概念的に重要なのは、生成物の立体異性体比がアンモニウム塩混合物の初期エピマー比を大きく上回り得る点であり、これは(著者らのsuprafacial転位という仮説のもとで)転位中にエピマー間で反応速度が異なることと整合的である。実用面では、溶媒組成(THF–DME混合溶媒)が立体選択性と転化率の改善に重要であることが示された。低収率ではあるが、N-プレニル塩2bから3bがほぼエナンチオ純品として生成した点は、とりわけ注目すべき結果として強調されており、著者らが通常は合成が難しいと述べるα-tert-アルキルアミノ酸モチーフへのアクセスを示唆する。総じて本論文は、第4級化の立体化学的帰結の制御に主として依存するアプローチとは別の、不斉合成戦略として、[2,3] Stevens転位中の速度論的光学分割を提示している。
- 今後の展望:
-
著者らは、「異なる種類の不斉Stevens転位」についてさらなる検討を進めていると述べている。本論文の範囲で最も直接的な将来含意は、速度論的光学分割に基づく不斉[2,3]転位を、本研究で検討した特定の6員環系(2aと2b)以外へ拡張することである。実際、基質依存性が強く観察され、2bは2aよりも著しく高いエナンチオ選択性を示した一方で収率は低下した。また、溶媒系(THFとTHF–DME混合溶媒)に対する感受性が報告されていることから、エナンチオ選択性を維持または向上させつつ転化率を改善するための、さらなる条件最適化や反応条件探索が有効である可能性も示唆される。ただし本論文は、詳細な実験計画や広範な応用研究を提示しておらず、明示的な見通しは、不斉Stevens転位の範囲拡大を目指す進行中の研究に限定している。
- 背景と目的:
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のアンモニウムイリド ( プラスの電荷をもつアンモニウム部分と、マイナスに偏った炭素側が同じ分子内にある中間体のようなものです。転位反応を起こす出発点として重要です。) は、有機合成でよく使われる反応です。特に、第4級N アリル型アンモニウム塩をStevens転位 ( アンモニウムイリドなどから、原子のつながり方が組み替わって別の構造へ変わる反応です。有機合成で炭素骨格を作り替えるのに役立ちます。) で反応させて起こす塩基 ( 相手から水素イオンを受け取る性質をもつ物質です。ここではアンモニウム塩から反応性の高い種を作り、転位を進めます。) は、反応が一気に進みやすく、できる化合物の位置や立体の違いをうまく選びやすいので役に立ちます。[2,3] Stevens転位 ( [2,3]という決まった並び方で結合が組み替わるStevens転位の型です。位置選択性や立体選択性を出しやすい点が重要です。)
ただし、窒素にある「左右の違い(キラリティー)」が炭素へ移ることで不斉(片方の形を多く作ること)を実現する方法は、これまで十分に研究されてきませんでした。先行研究では5員環の例で がほぼ完全にできることが示されましたが、最終的にどちらの形が多くできるかは、アンモニウム塩を作る「キラリティー移動 ( 分子のある場所にあった左右の違いが、反応によって別の場所へ受け渡されることです。不斉合成の考え方として重要です。) 」の段階で、どの立体ができやすいかに強く左右されるという問題がありました。第4級化 ( 第3級アミンを第4級アンモニウム塩に変える操作です。この段階でどの立体ができるかが、後の反応結果に影響します。)
そこで本研究では別の考え方として、6員環アンモニウム塩の「 混合物」を出発物質として使い、転位の途中で速度の差が生まれて「エピマー ( 立体中心が複数ある分子で、そのうち1か所だけが違う立体異性体の関係です。混合物として存在しやすく、反応性の違いが出ることがあります。) 」が起こることを利用し、高い速度論的光学分割 ( 左右の形が混ざった出発物質のうち、片方がより速く反応する差を利用して、生成物や残った出発物質を片方に偏らせる方法です。高いエナンチオ純度を得る手段になります。) 純度で不自然型のαアミノ酸誘導体を得ることを目指しました。エナンチオマー ( 鏡に映した関係にある立体異性体です。見た目は似ていても、生体や触媒反応では働きが大きく違うことがあります。)
- 主要な発見:
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6員環アンモニウム塩2a(trans/cisが2:1の混合物)を、
中で−78℃、THF ( 有機溶媒の一つで、反応を進める液体としてよく使われます。溶媒によって反応の進みや選択性が変わります。) を1.0当量加えて22時間反応させると、[2,3]転位生成物3aが収率30%で得られ、生成物の立体異性体比は7:1でした。これは出発物質のtrans/cis比より差が大きい結果です。t BuOK ( 強い塩基として使われる試薬です。反応を進めるためにアンモニウム塩から反応性の高い種を作る役割をします。)
著者らは、転位が同じ側で起こる完全な な[2,3]suprafacial ( 反応が分子の同じ側の面で進む進み方を指します。どちらの立体ができるかを予測する鍵になります。) (trans 2aから(3R) 3a、cis 2aから(3S) 3a)だと仮定すると、この差の拡大は、反応途中でシグマトロピー転位 ( 結合が切れて別の場所にできる組み替えが、決まった規則で起こる転位反応の総称です。[2,3]転位もその一種です。) がかなり進んだ証拠だと考えています。速度論的光学分割 ( 左右の形が混ざった出発物質のうち、片方がより速く反応する差を利用して、生成物や残った出発物質を片方に偏らせる方法です。高いエナンチオ純度を得る手段になります。)
また溶媒の影響が大きく、THFだけでなくTHF 混合溶媒にすると、より高い反応の進み具合で、同程度またはより良いDME ( 有機溶媒の一つで、THFと混ぜて使うことで反応の結果が改善する場合があります。溶媒設計の一要素になります。) が得られました。最良条件はTHF DMEが1:2でした。立体選択性 ( 立体の違う生成物が複数できるとき、どれが多くできるかの偏りのことです。医薬品などでは立体の違いが性質を大きく変えます。)
さらにN プレニル型の2b(trans/cis=3:1)では、収率は低いものの、生成物3bがほぼ単一の として得られました。これは2aよりも2bの方が、速度論的光学分割がより効率よく起きたことを示す結果だとされています。難しくて作りにくいエナンチオマー ( 鏡に映した関係にある立体異性体です。見た目は似ていても、生体や触媒反応では働きが大きく違うことがあります。) につながる可能性がある点も重要です。α tert アルキルアミノ酸 ( α位の炭素にtert アルキル基のようなかさ高い置換基をもつアミノ酸です。合成が難しいことが多く、作れると応用価値が高いとされます。)
- 方法論:
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アンモニウム塩2は、D フェニルグリシン由来の(5R) 5 phenyl 1,4 oxazin 2 oneから2段階で合成しました。標準条件でN アリル化して第3級アミン1を作り、その後methyl tosylateで
して、trans 2とcis 2の第4級化 ( 第3級アミンを第4級アンモニウム塩に変える操作です。この段階でどの立体ができるかが、後の反応結果に影響します。) 混合物として得ました(2aは2:1、2bは3:1)。エピマー ( 立体中心が複数ある分子で、そのうち1か所だけが違う立体異性体の関係です。混合物として存在しやすく、反応性の違いが出ることがあります。)
2aのtrans/cis比は、 でN CH3のピークの違いから測定しました。転位反応は、−78℃で^1H NMR ( 水素原子の環境の違いを信号として観測し、構造や混合比を調べる測定法です。混合物の比や生成物比の決定に使われます。) を用いて行い、溶媒としてt BuOK ( 強い塩基として使われる試薬です。反応を進めるためにアンモニウム塩から反応性の高い種を作る役割をします。) やTHFTHF ( 有機溶媒の一つで、反応を進める液体としてよく使われます。溶媒によって反応の進みや選択性が変わります。) 混合溶媒を試しました。生成物の(3R)/(3S)比も^1H NMRのN CH3ピークから決めました。DME ( 有機溶媒の一つで、THFと混ぜて使うことで反応の結果が改善する場合があります。溶媒設計の一要素になります。)
3aの主要 がどちらのエナンチオマー ( 鏡に映した関係にある立体異性体です。見た目は似ていても、生体や触媒反応では働きが大きく違うことがあります。) かは、3aを別の化合物4aに変換してから、別に用意した(R)の標準試料と絶対配置 ( 立体中心がRかSかのように、国際的な規則で決めた立体の呼び方です。生成物がどちらの形かをはっきり示すために必要です。) で比較して決定しました。エナンチオマー分離はキラルクロマトグラフィー ( 混合物を分離して比べるための方法の総称です。標準試料と比べることで、生成物の種類や配置の確認に使われます。) で行い、保持時間の差で(R)と(S)を区別しました。主要なアンモニウム塩trans 2aの配置は、HPLC ( 液体を流して成分を分ける分析法です。キラルなカラムを使うと、R体とS体のようなエナンチオマーも分けられます。) が同じ側で起きるという仮定のもとで、生成物の配置から推定しました。キラリティー移動 ( 分子のある場所にあった左右の違いが、反応によって別の場所へ受け渡されることです。不斉合成の考え方として重要です。)
- 結論と意義:
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本研究は、6員環
のアンモニウムイリド ( プラスの電荷をもつアンモニウム部分と、マイナスに偏った炭素側が同じ分子内にある中間体のようなものです。転位反応を起こす出発点として重要です。) 混合物に対する不斉エピマー ( 立体中心が複数ある分子で、そのうち1か所だけが違う立体異性体の関係です。混合物として存在しやすく、反応性の違いが出ることがあります。) が、[2,3] Stevens転位 ( [2,3]という決まった並び方で結合が組み替わるStevens転位の型です。位置選択性や立体選択性を出しやすい点が重要です。) として働き、高いエナンチオ純度の速度論的光学分割 ( 左右の形が混ざった出発物質のうち、片方がより速く反応する差を利用して、生成物や残った出発物質を片方に偏らせる方法です。高いエナンチオ純度を得る手段になります。) を与えうると結論づけています。不自然型αアミノ酸誘導体 ( 自然界に多い標準的なアミノ酸とは違う骨格や置換基をもつαアミノ酸の関連化合物です。新しい機能性分子や医薬品候補につながることがあります。)
特に重要なのは、生成物の立体異性体比が、出発物質のエピマー比を大きく上回り得る点で、これはエピマーごとに反応速度が違うことと合っています。さらに、THF ( 有機溶媒の一つで、反応を進める液体としてよく使われます。溶媒によって反応の進みや選択性が変わります。) 混合溶媒が反応の進み具合とDME ( 有機溶媒の一つで、THFと混ぜて使うことで反応の結果が改善する場合があります。溶媒設計の一要素になります。) の改善に有効だと示されました。立体選択性 ( 立体の違う生成物が複数できるとき、どれが多くできるかの偏りのことです。医薬品などでは立体の違いが性質を大きく変えます。)
また、2bから3bがほぼ単一 で得られたことは、収率が低くても非常に注目すべきで、作りにくいタイプのαアミノ酸骨格へつながる可能性を示しました。全体として、エナンチオマー ( 鏡に映した関係にある立体異性体です。見た目は似ていても、生体や触媒反応では働きが大きく違うことがあります。) の段階の立体選択性に強く頼る方法とは別の、第4級化 ( 第3級アミンを第4級アンモニウム塩に変える操作です。この段階でどの立体ができるかが、後の反応結果に影響します。) の戦略として「転位中の速度論的光学分割」を示した研究だといえます。不斉合成 ( 左右の違いをもつ分子について、片方の形を多く作る合成法です。生体では特定の形だけが働くことが多いため重要です。)
- 今後の展望:
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著者らは、別の種類の不斉
について研究を進めていると述べています。今後の直接的な課題は、このStevens転位 ( アンモニウムイリドなどから、原子のつながり方が組み替わって別の構造へ変わる反応です。有機合成で炭素骨格を作り替えるのに役立ちます。) に基づく不斉[2,3]転位を、今回の6員環系(2a、2b)以外の基質にも広げられるかを調べることです。速度論的光学分割 ( 左右の形が混ざった出発物質のうち、片方がより速く反応する差を利用して、生成物や残った出発物質を片方に偏らせる方法です。高いエナンチオ純度を得る手段になります。)
実際に基質による違いが大きく、2bは高いエナンチオ選択性を示す一方で収率が下がりました。また溶媒に敏感なため、エナンチオ選択性を保ちつつ反応の進み具合を上げる条件最適化が今後も有効だと考えられます。
- 何のために?:
-
この研究は、化学の
反応 の話です。
「 」というStevens 転位 ( 化学の反応 の名前で分子の中の原子のつながり方が入れかわって別 の形になる反応 :どんな分子ができるかを決める大切な反応 だから) 反応 を使います。
これは、 の形が入れかわる分子 ( とても小さなつぶで物の材料 になるもの:薬や材料 の性質 は分子の形で変 わるから) 反応 です。
分子には、右と左のちがいがあります。
これを「 」と言います。キラリティー ( 右手と左手のように形は似 ているのに重ねると同じにならないちがい:薬では効き目 や安全性 が変 わることがあるから)
薬などでは、このちがいが大切です。
でも、そのちがいをうまく移 す方法 は、
まだあまり調べられていません。
前の研究では、5つの輪 の形で、
うまくいくことが分かりました。
ただ、最初 に作る段階 で、
結果 が決まりやすい問題がありました。
そこで今回は、6つの輪 の形を使います。
はじめから2つの形がまざった材料 です。
反応 の速さのちがいを利用 します。
ねらいは、ほしい形を多く作ることです。
- 何が分かったの?:
-
6つの
輪 の材料 2aを使いました。
2aは2つの形が2:1でまざります。
とても冷 やして、薬を入れて反応 させました。
すると 3aができました。生成 物( 反応 のあとに新しくできた物質 :目的 の物ができたかどうかを考えるために必要 だから)
できた量 は30%でした。
できた形の比 は7:1でした。
もとの2:1より、差 が大きいです。
これは、速さのちがいが出た合図です。
また、液体 のえらび方が大事でした。
だけより、2つをまぜる方がTHF ( 反応 で使う液体 で薬品を溶 かすためのもの:どの液体 を使うかで反応 の進みやすさやできる形が変 わるから) 良 いです。
いちばん良 いのは、1:2のまぜ方でした。
別 の材料 2bでも試 しました。
2bは3:1でまざった材料 です。
できた量 は少ないですが、
ほとんど1つの形だけができました。
- どうやったの?:
-
材料 2は、もとになる化合物から作ります。
2回の手順 で、材料 2を作りました。
まず で化合物1を作ります。Nアリル化 ( 分子の決まった場所にアリルという部品をくっつける作り方:次の反応 ができる材料 を作るために必要 だから)
つぎに で第4級化 ( 分子の中の窒素 などを反応 させて電気を帯 びた形に変 える作り方:Stevens転位 の材料 を用意するのに重要 だから) 材料 2にします。
このとき、2つの形がまざってできます。
2aは2:1、2bは3:1でした。
この比 は、 というNMR ( 物質 に磁石 の力などを使って中のようすを調べる測 り方:混 ざり方の比 やできた形の比 を正しく知るために必要 だから) 測 り方で見ました。
反応 は、とても冷 たい温度でしました。
使う液体 は、 などをTHF ( 反応 で使う液体 で薬品を溶 かすためのもの:どの液体 を使うかで反応 の進みやすさやできる形が変 わるから) 比 べました。
できた形の比 も、NMRで調べました。
どちらの形かは、別 の物に変 えてから、
くらべてたしかめました。
形の分け方は、特別 な を使いました。HPLC ( 液体 の中の成分 を通り道で分けて調べる方法 :似 た形の物質 を分けて確 かめるのに役立つから)
- 研究のまとめ:
-
6つの
輪 の材料 でも、反応 で形をえらべます。
反応 の速さのちがいが、はたらきました。
そのため、ほしい形が多くできました。
できた形の比 が、もとの比 より大きいです。
これは、2つの形で速さがちがうからです。
また、 とTHF ( 反応 で使う液体 で薬品を溶 かすためのもの:どの液体 を使うかで反応 の進みやすさやできる形が変 わるから) のまぜ物はDME ( 反応 で使う液体 で薬品を溶 かすためのもの:THFと混 ぜると結果 が良 くなることがあり条件 選 びに重要 だから) 有効 でした。
反応 が進みやすくなりました。
形のえらびやすさも良 くなりました。
2bで1つの形に近くできた点も大事です。
作りにくい につながるアミノ 酸 ( 体を作るたんぱく質 のもとになる小さな物質 :薬や体のはたらきに関 わり作れると役立つから) 可能性 があります。
最初 の作り方に頼 らない新しい考え方です。
- これからどうする?:
-
ほかの
種類 の も調べるそうです。Stevens 転位 ( 化学の反応 の名前で分子の中の原子のつながり方が入れかわって別 の形になる反応 :どんな分子ができるかを決める大切な反応 だから)
今回の方法 が、別 の材料 でも使えるか見ます。
材料 で結果 が大きく変 わる課題 があります。
2bは形は良 いですが、量 が少なめでした。
液体 にもとても敏感 です。
形を保 ちつつ、もっと進む条件 を探 します。
- 著者名:
- Tayama Eiji, Tanaka Hiroyuki, Nakai Takeshi
- 掲載誌名:
- Heterocycles
- 巻:
- 66
- ページ:
- 95 - 99
- 発行日:
- 2005-11
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/26988
