論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
1次医療機関や専門医療機関での、病因に基づいた慢性肝疾患のスクリーニングとフォローアップ
- AI解説:
- 本論文は、慢性肝疾患および肝細胞癌(hepatocellular carcinoma: HCC)の原因が近年変化していることを背景としている。C型肝炎に対するdirect-acting antivals(DAAs)により持続的ウイルス学的著効がほぼ100%達成され、B型肝炎も核酸アナログ(nucleoside analogs)と予防戦略により制御可能になった結果、肝硬変の原因はウイルス性肝炎から、アルコール性脂肪性肝炎(alcoholic steatohepatitis: ASH)および非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis: NASH)へと移行しつつある。著者らは、ASH/NASHの患者はB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus: HBV)やC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus: HCV)の患者に比べて誤診されやすく、十分な経過観察も受けにくいため、HCCがより進行した段階で発見されやすいことに寄与していると主張する。NAFLDでは線維化が転帰を強く規定し、慢性肝疾患管理の中心でもあることから、本研究は、原因(etiology)を明確に考慮した、効率的で段階的な非侵襲的スクリーニングとフォローアップの方法を開発することを目的とした。想定するワークフローでは、一次診療所(迅速・低コストのリスク同定)と病院(専門的・詳細なフォローアップ)の役割を分け、リスク層別化に基づくサーベイランスによってHCCの早期発見を改善し、不要な追加画像検査の負担を減らす必要性にも対応する。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
1次医療機関や専門医療機関での、病因に基づいた慢性肝疾患のスクリーニングとフォローアップ
AI解説
- 背景と目的:
-
本論文は、慢性肝疾患および肝細胞癌(hepatocellular carcinoma: HCC)の原因が近年変化していることを背景としている。C型肝炎に対するdirect-acting antivals(DAAs)により持続的ウイルス学的著効がほぼ100%達成され、B型肝炎も核酸アナログ(nucleoside analogs)と予防戦略により制御可能になった結果、肝硬変の原因はウイルス性肝炎から、アルコール性脂肪性肝炎(alcoholic steatohepatitis: ASH)および非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis: NASH)へと移行しつつある。著者らは、ASH/NASHの患者はB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus: HBV)やC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus: HCV)の患者に比べて誤診されやすく、十分な経過観察も受けにくいため、HCCがより進行した段階で発見されやすいことに寄与していると主張する。NAFLDでは線維化が転帰を強く規定し、慢性肝疾患管理の中心でもあることから、本研究は、原因(etiology)を明確に考慮した、効率的で段階的な非侵襲的スクリーニングとフォローアップの方法を開発することを目的とした。想定するワークフローでは、一次診療所(迅速・低コストのリスク同定)と病院(専門的・詳細なフォローアップ)の役割を分け、リスク層別化に基づくサーベイランスによってHCCの早期発見を改善し、不要な追加画像検査の負担を減らす必要性にも対応する。
- 主要な発見:
-
全ての原因をまとめて解析すると、M2BPGi、autotaxin(ATX)、FIB-4 index、血小板数といった一般的な非侵襲的線維化関連マーカーでは、HCCありとHCCなしの患者を区別できなかった。しかし原因別に層別化した解析では重要な差が認められた。HCCを有するHBV患者では、線維化マーカー(M2BPGi、ATX、FIB-4)の値が相対的に低く、血小板数は原因間で同程度であったことから、著者らはHBV患者ではこれらマーカー値にかかわらずフォローアップが必要だと結論づけた。HBV以外の原因では、FIB-4 index >2の患者で、3例(HCV、NASH、ASHが各1例)を除き実質的に全例でHCCが見つかり(感度75.6%、特異度60.8%と報告)、FIB-4 >2がHCCリスクを示す実用的な閾値であることが支持された。追加の目安として、血小板数 <20 × 10^4/μL(感度95.5%、特異度44.6%)、M2BPGi >1(感度79.1%、特異度45.9%)、ATX >1(感度64.0%、特異度52.3%)が提案された。重要な点として、中間域のマーカー値(1 > M2BPGi > 0.5 または 1 > ATX > 0.5)にある患者では、HCVでは定期フォロー中に小さなHCCが検出された一方、この範囲のNASH/ASH患者は定期的に経過観察されておらず、より大きな腫瘍で受診していた;これらNASH/ASH症例は糖尿病(diabetes mellitus: DM)および/または年齢>75歳を特徴としていた。線維化ステージ評価では、magnetic resonance elastography(MRE)は組織学的ステージとともに上昇し、進行線維化(≥F3)に対して高い性能(AUROC 0.982)を示し、USEおよび血清マーカーを上回った。MREとultrasound elastography(USE)は側副血行路(collateral circulation)の予測にも良好で(AUROCはそれぞれ0.884、0.882)、カットオフ4006 Pa(MRE)と1.58 m/s(USE)で、感度/特異度はそれぞれ80.6/83.6%、94.4/79.0%であった。HCC予測に限ると、elastographyの識別能は中等度にとどまり(MRE AUROC 0.6998、USE AUROC 0.6292)、またHCCに関連する肝硬度は原因によって大きく異なり、NASH/ASHではHBV/HCVよりも範囲が広く、>4000 Paの割合も高かった。
- 方法論:
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本研究は後ろ向きの単施設研究であり、Niigata University Hospitalにおいて2016–2018年に、非侵襲的マーカー検査および/またはelastographyを受けた入院・外来患者を登録した。M2BPGiはn = 272(HBV 82、HCV 88、NASH 45、ASH 59)で利用可能であった。ATXはn = 122(HBV 25、HCV 25、NASH 26、ASH 15、その他31)で測定された。MREはn = 119(HBV 38、HCV 28、NASH 19、ASH 15、その他19)で実施された。MREを受けた患者のうち一部では、acoustic radiation force impulse(ARFI)を用いたUSE(n = 80)、M2BPGi(n = 97)、ATX(n = 62)も取得され、血小板数とFIB-4 indexはn = 119で利用可能であった。解析では、相互に関連する複数の問いを扱った:(i) 非侵襲的線維化マーカーが全体および原因別でHCCと非HCCを区別するか;(ii) MREが組織学的線維化ステージとどう関係し、進行線維化(≥F3/≥F4)を同定できるか;(iii) MREとUSE/血清マーカーの相関;(iv) 各モダリティによる側副血行路の予測;(v) HCCに関連する肝硬度が原因によってどう異なるか。MREと線維化の関係の検証には、MRE実施後にHCCの手術を受けた患者(n = 23)またはMajima needleによるエコーガイド下肝生検を受けた患者(n = 8)を用いた。性能はAUROC、相関係数(r)、および提示されたカットオフにおける感度/特異度で定量化した。本研究はIRB承認を受け、文書による同意を取得し、ヘルシンキ宣言に従って実施された。
- 結論と意義:
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著者らは、慢性肝疾患のスクリーニングおよびフォローアップ戦略には原因(etiology)を明確に組み込む必要があり、とくに肝硬変とHCCに占めるNASHとASHの相対的寄与が増加している状況では重要だと結論づけている。具体的には、入手しやすい血清マーカー(M2BPGi、ATX)、FIB-4 index、血小板数、elastographyを組み合わせ、施設能力(診療所か病院か)と患者の原因に応じて判断を調整することで、実用的な非侵襲的・段階的システムが医療現場をまたいで実装できると論じる。中心的な含意として、HBV患者ではHCCがより低いマーカー値でも起こり得るため、検討した線維化マーカーで安全にリスク層別化できず、「状況に応じて」定期フォローアップが必要である。一方、他の原因では、FIB-4 >2が追加検査(例:超音波検査および/または腫瘍マーカー)を勧める有用な目安として提案され、他のマーカー閾値もリスク同定を補助し得る。専門的管理では、MREが進行線維化に対して非常に高精度であり、約4000 Pa付近で側副血行路リスク評価にも有用で、USEはMREと強い相関を持つ実用的代替になり得ると示された。さらに、NASH/ASH患者では幅広い肝硬度スペクトラムでHCCが発生し得るため、厳格に治療されたウイルス性肝炎コホートで見られるような狭い硬度—リスク関係を前提とせず、HCC発生と側副血行路の両方を同時に監視すべきだと強調している。限界として、単一の専門施設デザインであること、また高リスクのHBV/HCV患者の多くがすでに核酸アナログまたはDAAsで治療されていたことを挙げている。
- 今後の展望:
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本論文は、提案したスクリーニングおよびフォローアップ手法を、単一の専門施設に依存するのではなく、複数の一次医療施設のデータで確認する必要があると述べている。また、診療所におけるリスク評価は、解析で示された患者要因、特に高齢(>75歳)とDMをマーカー値と組み合わせることで改善できる可能性がある。これは、中間域(1 > M2BPGi > 0.5 および/または 1 > ATX > 0.5)が、十分にフォローされていなかったNASH/ASH患者における、より大きく、より遅れて検出されたHCCと関連していたためである。専門医療では、肝硬度が概ね4000 Paを超える場合、肝疾患の原因治療に加えて肝硬変の支持療法(例としてBCAA、利尿薬、合成二糖類、非全身性抗菌薬)も開始すべきであり、MREにGd-EOBDTPA造影MRIを組み合わせた評価がサーベイランスと管理方針決定に特に有用となり得ると提案している。代替的なサーベイランス概念として、非侵襲的マーカーで低リスクと判定された患者に対しても、年1回の断面画像検査(MRIを含む)を行う可能性に言及し、年1回のMRIサーベイランスがリスク層別化にかかわらず十分な性能を示し得るというエビデンスを引用しつつ、費用と時間の制約に対応しながら、サーベイランス間隔の調整が検出効率(yield)を改善し得ることを示唆している。
- 背景と目的:
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近年、
や肝細胞がんの原因が変わってきています。C型肝炎は飲み薬(肝硬変 ( 肝臓の傷が長期間続いて硬くなり、元に戻りにくくなった状態です。進むと肝不全やがんのリスクが上がるため、早めに進行度を評価して対応する必要があります。) )でほぼ治せるようになり、B型肝炎も薬や予防でコントロールしやすくなりました。その結果、肝硬変の原因は、ウイルス性肝炎よりも、お酒が原因の肝炎(DAAs ( C型肝炎ウイルスに直接作用して増殖を止める飲み薬の治療法です。ウイルスを体からほぼ消せるほど効果が高く、C型肝炎の状況を大きく変えました。) )やお酒以外の生活習慣などが関係する肝炎(ASH ( アルコールが主な原因で肝臓に脂肪がたまり炎症が起きた状態です。進行すると線維化や肝硬変、がんにつながることがあり、生活習慣の見直しと医療での管理が重要です。) )へ移りつつあります。NASH ( お酒が原因ではないのに、脂肪肝が進んで炎症や線維化が起きる状態です。肥満や糖尿病などと関係が深く、放置すると肝硬変や肝がんにつながることがあります。)
研究者たちは、ASHやNASHの人はB型・C型肝炎の人よりも見落とされたり、定期的に通院して経過を見てもらえなかったりしやすく、そのせいで肝細胞がんが進んだ状態で見つかりやすいと考えました。
そこでこの研究は、肝臓の硬さ( )を体に負担の少ない方法で調べ、病気の原因(何がきっかけで肝臓が悪くなったか)もきちんと考えながら、診療所と病院が役割分担して効率よく検査とフォローを行う仕組みを作ることを目的にしました。がんの早期発見を増やしつつ、不要な追加の画像検査を減らすことも狙いです。線維化 ( 肝臓の傷が治る過程で硬い組織が増え、肝臓が硬くなる変化です。線維化が進むほど肝硬変やがん、合併症の危険が高くなるため、経過観察の中心になります。)
- 主要な発見:
-
原因を区別せずにまとめて見ると、
、M2BPGi ( 血液で測れる線維化の指標の一つで、肝臓の線維化が進むと上がりやすいとされています。計算が不要で扱いやすく、他の情報と組み合わせてリスク判断に役立ちます。) 、ATX ( 血液で測れる物質で、肝臓の線維化やがんに関わる可能性があると報告されています。線維化の程度を推定する補助として使われ、他の指標と合わせて判断します。) 、FIB-4 index ( 年齢と血液検査の値から計算して、肝臓の線維化の進み具合を推定する指標です。簡単に計算でき、特にHBV以外ではがんリスクの目安として使える可能性が示されました。) といった「体に負担の少ない血小板数 ( 血液を固める働きに関係する細胞の数で、肝硬変が進むと下がりやすいことがあります。線維化や合併症リスクを推測する材料の一つです。) マーカー」だけでは、肝細胞がんがある人とない人をうまく見分けられませんでした。線維化 ( 肝臓の傷が治る過程で硬い組織が増え、肝臓が硬くなる変化です。線維化が進むほど肝硬変やがん、合併症の危険が高くなるため、経過観察の中心になります。)
しかし、原因ごとに分けて分析すると違いが出ました。B型肝炎(HBV)の人では、がんがあっても線維化マーカーが低めのことがあり、これらの値だけで「低リスク」と判断するのは危険だと考えられました。つまりHBVの人は、マーカーの値に関係なく定期的なフォローが必要だと結論づけています。
一方、HBV以外では、FIB-4 indexが2を超える人は(例外を除き)多くで肝細胞がんが見つかり、FIB-4 >2が実用的な目安になりうるとされました。補助的な目安として、血小板数が少ないこと、M2BPGiやATXが一定以上であることも提案されました。
また、マーカーが中くらいの範囲の人について、C型肝炎では定期フォロー中に小さながんが見つかったのに対し、 /NASH ( お酒が原因ではないのに、脂肪肝が進んで炎症や線維化が起きる状態です。肥満や糖尿病などと関係が深く、放置すると肝硬変や肝がんにつながることがあります。) では定期フォローされていない人が多く、大きながんで見つかっていました。そうしたNASH/ASHの人は、ASH ( アルコールが主な原因で肝臓に脂肪がたまり炎症が起きた状態です。進行すると線維化や肝硬変、がんにつながることがあり、生活習慣の見直しと医療での管理が重要です。) がある、または75歳を超える高齢であることが多い点も特徴でした。糖尿病 ( 血糖が高くなりやすい病気で、NASHや肝がんのリスクを高める要因になり得ます。この研究では、高齢と糖尿病があるNASH/ASH患者で注意が必要だと示されました。)
さらに、肝臓の硬さを測る検査では、 が線維化の進み具合を高い精度で見分けられ、MRE ( MRIを使って肝臓の硬さを数値で測る検査です。線維化の進行度を高い精度で評価でき、専門医療での詳しい判断に役立ちます。) や血液マーカーより優れていました。肝臓の中で血液の流れ道が増える状態(USE ( 超音波で肝臓の硬さを測る検査です。比較的手軽に行え、MREとよく一致するため、施設の状況に応じた実用的な選択肢になります。) )を予測する点でも、MREとUSEは良好でした。側副血行路 ( 肝臓の血流が悪くなったときに、別ルートとして発達する血管の通り道です。肝硬変が進んだサインになり、出血などの合併症にも関係するため重要です。)
ただし、がんがあるかどうかの予測だけに限ると、MREやUSEの力は「そこそこ」で、肝臓の硬さとがんの関係は原因によって大きく違いました。特にNASH/ASHでは、硬さが低い場合から高い場合まで幅広くがんが起こりうることが示されました。
- 方法論:
-
2016〜2018年に新潟大学病院で、血液マーカー検査や肝臓の硬さを測る検査(
やMRE ( MRIを使って肝臓の硬さを数値で測る検査です。線維化の進行度を高い精度で評価でき、専門医療での詳しい判断に役立ちます。) )を受けた入院・外来患者のデータを、あとからまとめて解析した研究です。USE ( 超音波で肝臓の硬さを測る検査です。比較的手軽に行え、MREとよく一致するため、施設の状況に応じた実用的な選択肢になります。)
、M2BPGi ( 血液で測れる線維化の指標の一つで、肝臓の線維化が進むと上がりやすいとされています。計算が不要で扱いやすく、他の情報と組み合わせてリスク判断に役立ちます。) 、MRE、USE、ATX ( 血液で測れる物質で、肝臓の線維化やがんに関わる可能性があると報告されています。線維化の程度を推定する補助として使われ、他の指標と合わせて判断します。) 、血小板数 ( 血液を固める働きに関係する細胞の数で、肝硬変が進むと下がりやすいことがあります。線維化や合併症リスクを推測する材料の一つです。) などを使い、次のような点を調べました。FIB-4 index ( 年齢と血液検査の値から計算して、肝臓の線維化の進み具合を推定する指標です。簡単に計算でき、特にHBV以外ではがんリスクの目安として使える可能性が示されました。)
マーカーでがんの有無を見分けられるか(原因別でも確認する)、MREが線維化の段階とどう関係するか、MREとUSEや血液マーカーがどれくらい一致するか、線維化 ( 肝臓の傷が治る過程で硬い組織が増え、肝臓が硬くなる変化です。線維化が進むほど肝硬変やがん、合併症の危険が高くなるため、経過観察の中心になります。) をどれくらい予測できるか、がんに関係する肝臓の硬さが原因でどう違うか、です。側副血行路 ( 肝臓の血流が悪くなったときに、別ルートとして発達する血管の通り道です。肝硬変が進んだサインになり、出血などの合併症にも関係するため重要です。)
一部の患者では、手術や肝生検の結果とMREを比べて、線維化評価の正確さも確かめました。研究は倫理審査を通し、同意も得て行われました。
- 結論と意義:
-
慢性肝疾患の検査や経過観察は、「何が原因の肝臓病か」をはっきり意識して組み立てる必要があると結論づけています。特に
/NASH ( お酒が原因ではないのに、脂肪肝が進んで炎症や線維化が起きる状態です。肥満や糖尿病などと関係が深く、放置すると肝硬変や肝がんにつながることがあります。) が増えている状況では重要です。ASH ( アルコールが主な原因で肝臓に脂肪がたまり炎症が起きた状態です。進行すると線維化や肝硬変、がんにつながることがあり、生活習慣の見直しと医療での管理が重要です。)
診療所では低コストで素早くリスクを見つけ、病院では専門的に詳しく調べる、という役割分担のもとで、血液マーカー( 、M2BPGi ( 血液で測れる線維化の指標の一つで、肝臓の線維化が進むと上がりやすいとされています。計算が不要で扱いやすく、他の情報と組み合わせてリスク判断に役立ちます。) )、ATX ( 血液で測れる物質で、肝臓の線維化やがんに関わる可能性があると報告されています。線維化の程度を推定する補助として使われ、他の指標と合わせて判断します。) 、FIB-4 index ( 年齢と血液検査の値から計算して、肝臓の線維化の進み具合を推定する指標です。簡単に計算でき、特にHBV以外ではがんリスクの目安として使える可能性が示されました。) 、肝臓の硬さを測る検査(血小板数 ( 血液を固める働きに関係する細胞の数で、肝硬変が進むと下がりやすいことがあります。線維化や合併症リスクを推測する材料の一つです。) /MRE ( MRIを使って肝臓の硬さを数値で測る検査です。線維化の進行度を高い精度で評価でき、専門医療での詳しい判断に役立ちます。) )を組み合わせれば、体に負担の少ない段階的な仕組みが実装できると述べています。USE ( 超音波で肝臓の硬さを測る検査です。比較的手軽に行え、MREとよく一致するため、施設の状況に応じた実用的な選択肢になります。)
ポイントは、HBVではマーカーが低くてもがんが起こりうるため、マーカーだけで安全にふるい分けできず、状況に応じて定期フォローが必要なことです。HBV以外では、FIB-4 >2が追加検査を考える目安として役立つ可能性が示されました。
専門管理では、MREは進行した を高精度で見つけられ、4000Pa前後で線維化 ( 肝臓の傷が治る過程で硬い組織が増え、肝臓が硬くなる変化です。線維化が進むほど肝硬変やがん、合併症の危険が高くなるため、経過観察の中心になります。) のリスク評価にも役立つ可能性があり、USEはMREの実用的な代わりになりうるとされました。NASH/ASHでは肝臓の硬さとがんの関係が広いので、がんと側副血行路の両方を同時に意識して見ていく必要がある点が強調されています。側副血行路 ( 肝臓の血流が悪くなったときに、別ルートとして発達する血管の通り道です。肝硬変が進んだサインになり、出血などの合併症にも関係するため重要です。)
- 今後の展望:
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この仕組みが本当に一般の診療所でも成り立つか、複数の一次医療施設のデータで確かめる必要があるとしています。
また診療所でのリスク評価は、マーカーの値だけでなく、高齢(75歳超)や の有無も組み合わせると改善できる可能性があります。これは、マーカーが中くらいでもフォローが不十分だった糖尿病 ( 血糖が高くなりやすい病気で、NASHや肝がんのリスクを高める要因になり得ます。この研究では、高齢と糖尿病があるNASH/ASH患者で注意が必要だと示されました。) /NASH ( お酒が原因ではないのに、脂肪肝が進んで炎症や線維化が起きる状態です。肥満や糖尿病などと関係が深く、放置すると肝硬変や肝がんにつながることがあります。) の人が、大きながんで見つかりやすかったためです。ASH ( アルコールが主な原因で肝臓に脂肪がたまり炎症が起きた状態です。進行すると線維化や肝硬変、がんにつながることがあり、生活習慣の見直しと医療での管理が重要です。)
病院などの専門医療では、肝臓の硬さがだいたい4000Paを超える場合、原因への治療に加えて に対する支えの治療も始めるべきだと提案しています。さらに、肝硬変 ( 肝臓の傷が長期間続いて硬くなり、元に戻りにくくなった状態です。進むと肝不全やがんのリスクが上がるため、早めに進行度を評価して対応する必要があります。) と造影MRIを組み合わせた評価が、監視や治療方針の決定に役立つ可能性が示されています。別の考え方として、低リスクと判定された人でも年1回MRIなどの画像検査を行う方法にも触れ、費用や時間の制約を考えながら検査間隔を調整すると、見つけられるがんの数を増やせるかもしれないとしています。MRE ( MRIを使って肝臓の硬さを数値で測る検査です。線維化の進行度を高い精度で評価でき、専門医療での詳しい判断に役立ちます。)
- 何のために?:
-
さいきん、
の病気の肝臓 ( 体の中で、栄養 をたくわえたり、悪いものを分解 したりする大事な臓器 です) 原因 が変化 しました。
肝臓 は、体の中の大事なはたらき者です。
は、飲み薬でよくC 型 肝炎 ( C型 肝炎 ウイルスが原因 で起こる肝炎 で、薬で治 せることが多い病気です) 治 ります。
も、薬やB 型 肝炎 ( B型 肝炎 ウイルスが原因 で起こる肝炎 で、薬でおさえたり予防 したりします) 予防 でおさえやすいです。
そのため、別 の原因 が増 えてきました。
お酒が原因 の も肝炎 ( 肝臓 が炎症 を起こして弱っている状態 のことです) 増 えています。
生活のくせが関係 する肝炎 もあります。
研究者は、心配なことに気づきました。
その人たちは、見てもらえないことがある。
だから、 が大きくなって見つかるかも。がん ( 体の中で細胞 が勝手に増 えてしまう病気で、早く見つけるほど治 しやすくなります)
そこで、よい検査 の流れを作ります。
体にやさしく、肝臓 のかたさを調べます。
原因 も考えて、見方を変 えるねらいです。
診療所 と病院で、 もします。役割分担 ( 診療所 と病院などが、する仕事を分けて進めることです)
早くがんを見つけたいと考えました。
むだな検査 は、できるだけ減 らします。
- 何が分かったの?:
-
血の
検査 だけでは、うまく分けられません。
がある人、ない人がいました。がん ( 体の中で細胞 が勝手に増 えてしまう病気で、早く見つけるほど治 しやすくなります)
でも、原因 ごとに見ると違 いが出ました。
の人は、注意がB 型 肝炎 ( B型 肝炎 ウイルスが原因 で起こる肝炎 で、薬でおさえたり予防 したりします) 必要 です。
がんがあっても、 が数値 ( 検査 の結果 を数字で表したものです) 低 いことがある。
だから、低 いから安心はできません。
B型 肝炎 の人は、 に見ます。定期的 ( 決まった間隔 でくり返して行うことです)
B型 肝炎 ではない人も調べました。
が2より大きい人はFIB-4 ( 血液検査の数字を組み合わせて、肝臓 がどれくらい傷 んでいるかを考える目安です) 要注意 です。
多くの人で、がんが見つかりました。
が少ないのも、手がかりです。血小板 ( 血を止めるはたらきをする血液 の成分 で、少ないと肝臓 の病気の手がかりになることがあります)
別 の数値 が高いのも、手がかりです。
中くらいの数値 の人も見ました。
は、見守り中に小さながんが出た。C 型 肝炎 ( C型 肝炎 ウイルスが原因 で起こる肝炎 で、薬で治 せることが多い病気です)
でも やNASH ( お酒が原因 ではないのに肝臓 に脂肪 がたまり炎症 が起こる病気で、見つけにくいことがあり注意が必要 です) は、見守りが少なかった。ASH ( お酒の飲みすぎなどが関係 して起こる肝臓 の炎症 で、進むと重くなることがあります)
そのため、大きながんで見つかりました。
NASHやASHは、 の人が多い。糖尿病 ( 血の中の糖 が多くなりやすい病気で、NASHやASHといっしょに起こりやすいことがあります)
75さいより上の人も多かったです。
のかたさをはかる肝臓 ( 体の中で、栄養 をたくわえたり、悪いものを分解 したりする大事な臓器 です) 検査 もあります。
は、進み具合がよく分かりました。MRE ( MRIを使って肝臓 のかたさを調べ、病気の進み具合をより正確 に見やすい検査 です)
や血のUSE ( 超音波 で肝臓 のかたさを調べる検査 で、体に負担 が少なく、MREの代わりとして使えることがあります) 検査 より、正確 でした。
血の通り道がふえる予想にも役立ちました。
ただし、がんの予想はほどほどでした。
原因 で、かたさとがんの関係 が違 いました。
NASHやASHは、かたさが低 くても起こる。
かたさが高くても、起こることがありました。
- どうやったの?:
-
2016年から2018年の
を使いました。データ ( 集めた検査結果 や記録 のことです)
新潟大学病院で検査 した人の記録 です。
あとからまとめて、くわしく調べました。
血の検査 の をいくつか使いました。数値 ( 検査 の結果 を数字で表したものです)
のかたさをはかる肝臓 ( 体の中で、栄養 をたくわえたり、悪いものを分解 したりする大事な臓器 です) 検査 も使いました。
があるか、分かるかを見ました。がん ( 体の中で細胞 が勝手に増 えてしまう病気で、早く見つけるほど治 しやすくなります)
原因 ごとでも、同じように見ました。
かたさの検査 が、進み具合と合うか見た。
別 の検査 どうしが、合うかも見ました。
血の通り道がふえる予想も調べました。
一部の人は、 や手術 ( 病気の部分を切ったり治 したりする治療 方法 です) と肝生検 ( 肝臓 の一部を少し取って顕微鏡 で調べる検査 で、病気をはっきりさせるのに役立ちます) 比 べました。
肝生検 は、肝臓 の一部を調べる検査 です。
研究は、決まりを守って行いました。
本人の も、きちんともらいました。同意 ( 検査 や研究をしてよいと本人が納得 して許可 することです)
- 研究のまとめ:
-
の病気は、肝臓 ( 体の中で、栄養 をたくわえたり、悪いものを分解 したりする大事な臓器 です) 原因 をはっきり見ます。
原因 で、見方や注意が変 わるからです。
やNASH ( お酒が原因 ではないのに肝臓 に脂肪 がたまり炎症 が起こる病気で、見つけにくいことがあり注意が必要 です) がASH ( お酒の飲みすぎなどが関係 して起こる肝臓 の炎症 で、進むと重くなることがあります) 増 えているので大切です。
診療所 と病院で、分けて進めます。
診療所 は、安く早く危険 を見つけます。
病院は、もっとくわしく調べます。
血の検査 と を組み合わせます。FIB-4 ( 血液検査の数字を組み合わせて、肝臓 がどれくらい傷 んでいるかを考える目安です)
の数も、いっしょに見ます。血小板 ( 血を止めるはたらきをする血液 の成分 で、少ないと肝臓 の病気の手がかりになることがあります)
かたさの検査 も、合わせて使います。
これで、体にやさしい流れが作れます。
ただし は、とくに気をつけます。B 型 肝炎 ( B型 肝炎 ウイルスが原因 で起こる肝炎 で、薬でおさえたり予防 したりします)
が数値 ( 検査 の結果 を数字で表したものです) 低 くても、 がありえます。がん ( 体の中で細胞 が勝手に増 えてしまう病気で、早く見つけるほど治 しやすくなります)
だから、数値 だけで分けられません。
B型 肝炎 は、 な見守りが定期的 ( 決まった間隔 でくり返して行うことです) 必要 です。
B型 肝炎 でない人は、FIB-4が目安です。
2より大きいなら、次の検査 を考えます。
病院では、 がとても役立ちました。MRE ( MRIを使って肝臓 のかたさを調べ、病気の進み具合をより正確 に見やすい検査 です)
進んだ変化 を、高い正確 さで見つけます。
は、MREの代わりになりそうです。USE ( 超音波 で肝臓 のかたさを調べる検査 で、体に負担 が少なく、MREの代わりとして使えることがあります)
NASHやASHは、見方を広くします。
がんと血の通り道、両方を見ます。
- これからどうする?:
-
この仕組みが使えるか、もっと
確 かめます。
いろいろな診療所 の がデータ ( 集めた検査結果 や記録 のことです) 必要 です。
診療所 では、年れいも大事にします。
75さいより上かどうかを見ます。
があるかも、いっしょに見ます。糖尿病 ( 血の中の糖 が多くなりやすい病気で、NASHやASHといっしょに起こりやすいことがあります)
これで、見落としをへらせるかもしれません。
病院では、かたさが高い人に注目します。
だいたい4000 より上は、注意がPa ( 圧力 の単位 で、この文章では肝臓 のかたさを数字で表すときに使っています) 必要 です。
原因 の治療 だけでなく、支 える治療 もします。
とMRE ( MRIを使って肝臓 のかたさを調べ、病気の進み具合をより正確 に見やすい検査 です) を組み合わせる造影 MRI( 薬を使って体の中を見えやすくしてから行うMRIで、がんなどを見つけやすくすることがあります) 案 もあります。
見守りや治療 の決め方に役立つかもしれません。
別 の案 として、年1回MRIをする方法 もあります。
お金や時間を考えて、間かくを調整します。
それで、見つけられる ががん ( 体の中で細胞 が勝手に増 えてしまう病気で、早く見つけるほど治 しやすくなります) 増 えるかもです。
- 著者名:
- 小川 雅裕
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000283
