論文詳細
教育学部
#紀要論文
Identification of the place of origin producing earthenware pottery based on chemical analysis of volcanic glass contained in ceramic paste : Example for Usulután-type pottery in Chalchuapa, El Salvador, Central America
- AI解説:
- 本研究は、土器(earthenware pottery)の産地推定(provenance research)において根強く残る難点を扱う。標準的な鉱物学的手法およびバルク化学的手法(例:偏光顕微鏡、X-ray diffraction、fluorescent X-ray analysis)は、候補となる生産地が既知で、かつ原材料に明瞭な特徴がある場合には有益である。しかし、供給源が不明な場合や、地域の土壌が十分に識別的でない場合には、生産地を一意に特定できないことが多い。土器では焼成温度が低いことが一般的で、そのため胎土(paste)中の不均質性が保たれやすく、未融解の砂粒サイズの混和材(temper)が残存し、これが「平均的な」バルク組成を支配して元の粘土の特徴を覆い隠し得るため、この問題はさらに深刻化する。
しかし火山地域では、混和材として加えられた火山灰に、噴火ごとに特有の化学組成をもち、地理的に限られた範囲に分布する火山ガラス(volcanic glass)が含まれ得るため、より強力な産地指標となる可能性がある。既存のテフラ層序(tephra stratigraphy)と、エルサルバドルおよび隣接地域に関する先行WDSデータセットを踏まえ、本論文は—明確に「第一段階」として—Chalchuapa(La Cuchilla zone)で出土したUsulután-style土器片2点について、土器胎土に含まれる火山ガラス片(volcanic glass shards)を化学的に特徴づけ、既知のテフラと相関させることで、もっとも可能性の高い生産地を同定することを目的とする。
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教育学部
#紀要論文
Identification of the place of origin producing earthenware pottery based on chemical analysis of volcanic glass contained in ceramic paste : Example for Usulután-type pottery in Chalchuapa, El Salvador, Central America
AI解説
- 背景と目的:
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本研究は、土器(earthenware pottery)の産地推定(provenance research)において根強く残る難点を扱う。標準的な鉱物学的手法およびバルク化学的手法(例:偏光顕微鏡、X-ray diffraction、fluorescent X-ray analysis)は、候補となる生産地が既知で、かつ原材料に明瞭な特徴がある場合には有益である。しかし、供給源が不明な場合や、地域の土壌が十分に識別的でない場合には、生産地を一意に特定できないことが多い。土器では焼成温度が低いことが一般的で、そのため胎土(paste)中の不均質性が保たれやすく、未融解の砂粒サイズの混和材(temper)が残存し、これが「平均的な」バルク組成を支配して元の粘土の特徴を覆い隠し得るため、この問題はさらに深刻化する。
しかし火山地域では、混和材として加えられた火山灰に、噴火ごとに特有の化学組成をもち、地理的に限られた範囲に分布する火山ガラス(volcanic glass)が含まれ得るため、より強力な産地指標となる可能性がある。既存のテフラ層序(tephra stratigraphy)と、エルサルバドルおよび隣接地域に関する先行WDSデータセットを踏まえ、本論文は—明確に「第一段階」として—Chalchuapa(La Cuchilla zone)で出土したUsulután-style土器片2点について、土器胎土に含まれる火山ガラス片(volcanic glass shards)を化学的に特徴づけ、既知のテフラと相関させることで、もっとも可能性の高い生産地を同定することを目的とする。
- 主要な発見:
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Usulután-styleの土器サンプル2点の胎土に埋在する火山ガラス片に対するWDS分析の結果、測定された組成のほぼすべてが、Coatepeque Caldera起源のテフラの組成領域に含まれる、または近接していた。特にFeO–CaOおよびFeO–K2Oの空間で評価した場合、その傾向が顕著である。Harker diagramでは、火山ガラス片のSiO2が比較的広い範囲を示し、Bellavista tephraとは整合しにくく、Congo/Conacaste tephrasとも(部分的な重なりはあるものの)強くは一致しない一方で、Arce tephraとはよく一致した。
著者は、最良の対応はArce tephraのmiddle fall unitに特に当てはまると論じる。理由は、土器ガラスのデータに、Arce upper unitに特徴的な分散(dispersal)成分が欠けていること、またArce lower unitのように高いSiO2に狭く集中していないことによる。例外的な1粒(table 2-aのNo. 26)はIlopango起源テフラの組成範囲、特にTB4ではなくTB3/TB2の範囲にプロットされ、地域的な分布制約と、Usulután生産の大半にTBJが当てはまりにくいとする年代的考慮に基づき、TB2由来である可能性があるものとして扱われた。
また、参照テフラガラスに比べてK2Oが約1%高く、Na2Oが約1%低く見えるという系統的なずれは、別のテフラ供給源を示す証拠ではなく、焼成時の熱に関連した変質(alteration)として解釈された。
- 方法論:
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ChalchuapaのLa Cuchilla zoneで2003–2005年に実施された発掘調査から、代表的なUsulután-style土器2点を選び、法的手続きに従って分析のために搬送した。各土器片について、器面に垂直に切断し、研磨し、エポキシでガラススライドに貼り付け、鏡面になるまで研磨して薄片(thin section)を作製した。薄片はまず偏光顕微鏡で観察し、胎土中の火山ガラス片を探索した。続いて、無作為に選んだガラス片について、弘前大学にて波長分散型電子線マイクロプローブ分析装置(wave-length-dispersive electron microprobe analyzer:WDS;JEOL JXA-8800RL)による定量化学分析を行った。分析条件は、加速電圧15 kV、ビーム電流3 × 10^-9 A、ビーム径10 μmとした。比較を容易にするため、酸化物重量%は合計が100%となるよう再正規化(renormalized)した。
得られたガラス組成は、既存の地域テフラ・データベース(Atitlán、Coatepeque、Ilopangoなど主要カルデラ起源のテフラに加え、Berlín-Pacayal火山地域のテフラ、Empalizadaやpre-TBなど追加ユニットを含む)と比較した。相関は、土器ガラスのデータをFeO–CaO図およびFeO–K2O図、ならびにHarker diagram上にプロットし、候補テフラの既知の組成領域、ならびに必要に応じてテフラ内のサブユニット(とくにArce tephraの3つのfall units)の組成領域と照合することで行った。
- 結論と意義:
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本論文は、分析したUsulután-style土器片2点の胎土における主要な火山ガラス成分が、Coatepeque CalderaのArce tephra、とりわけそのmiddle fall unitと最もよく相関すると結論づける。一方で、単独の異常粒はIlopangoのTB2テフラ物質の混入を表す可能性がある。これに基づき著者は、推定されるテフラ供給源がChalchuapaおよびその周辺に一般的に存在することから、分析対象の土器が長距離輸送された可能性は低いと主張する。結果は、少なくともこれら2点の器がCoatepeque CalderaとIlopango Calderaの間の地域およびその周辺で生産された可能性を支持し、またArceもTB2も東部エルサルバドルには分布しないため、東部エルサルバドル起源は考えにくいことを示す。
さらに本研究は、テフラ堆積学(tephra sedimentology)と土器製作技術(ceramic technology)の機能的な関連を示す。すなわち、middle Arce unitは、上位・下位ユニットがlapilli優勢であるのに比べ、より細粒で、よく淘汰された粗砂サイズの細粒軽石(coarse-sand-sized fine pumice)として局地的に産し、粘土の作業性と硬さを調整する混和材として選択的に利用され得ることが示唆される。より一般的には、本研究は、バルク化学が誤解を招き得る不均質で低温焼成の土器における産地推定に対して、テフラ地球化学(tephra geochemistry)、とりわけ噴火特異的な火山ガラス組成がもつ考古学的価値を実証している。
- 今後の展望:
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著者は本研究を初期段階として位置づけ、現時点のデータセットは生産地を「証明(prove)」するには不十分であると明記する。分析した土器片は2点のみで、各土器片につき薄片は1枚のみ、さらに2点目の土器片では分析したガラス粒が10粒にとどまり、統計的信頼性と、土器片内部での変動(within-sherd variability)を特徴づける能力が制限される。したがって本論文は、Usulután-style土器サンプル数と、各サンプルで分析する火山ガラス片数の双方を増やす必要性を提起する。分析数を増やせば、各胎土における卓越的・少量のガラス集団をより頑健に同定でき、化学的に類似したテフラ(例:Congo vs. Conacaste)の識別が向上し、ここで観察されたTB2様粒のような異常粒の頻度と意義もより適切に評価できる。著者が述べるこの研究系列のより広い目的は、Usulután-style土器の起源地に関するより確かな証拠を構築し、ひいては紀元前400年から西暦600年にかけての土器輸送および/または土器様式の拡散の理解に寄与することである。
- 背景と目的:
-
この研究は、
がどこで作られたのかを推定する「土器 ( 低い温度で焼くことが多い、素焼きに近い陶器です。高温で焼く磁器などより内部が均一になりにくく、材料の粒が残りやすい点が研究上重要です。) 」で起こりやすい問題を扱っています。ふつうは、産地推定 ( 土器がどこで作られたかを、材料や成分の特徴から推測する調査です。過去の人の移動や交易を考える手がかりになります。) や偏光顕微鏡 ( 岩石や鉱物の見え方の違いを利用して、土器の中の鉱物や粒を観察する顕微鏡です。材料の種類や割合を調べるのに使います。) 、X線回折 ( X線の反射パターンから鉱物の種類を推定する方法です。もとの粘土鉱物の手がかりを得るのに役立ちます。) などで土器の材料を調べます。しかし、作られた場所の候補がはっきりしない場合や、地域の土が似ていて見分けにくい場合は、産地を1つに絞れないことが多いです。蛍光X線分析 ( 試料にX線を当て、出てくるX線から元素の種類や量を調べる方法です。全体の平均的な元素組成をつかむのが得意です。)
さらに土器は低い温度で焼かれることが多く、中の材料が均一になりにくいです。そのため、粘土に混ぜた砂のような粒がそのまま残り、「全体の平均成分」を測る分析だと、本来の粘土の特徴が見えにくくなります。
一方、火山が多い地域では、粘土に混ぜられた火山灰の中に、噴火ごとに成分が違う が含まれることがあります。火山灰は広がる範囲が限られるので、火山ガラスの成分は産地を考える強い手がかりになります。そこで本研究は、エルサルバドル西部チャルチュアパ遺跡で出土したUsulután-style土器片2点について、火山ガラス ( 火山噴火でできたガラス質の粒で、噴火ごとに化学成分が特徴的です。広がる範囲も限られやすいので、産地の手がかりになります。) に入っている火山ガラスを化学分析し、どの火山灰(胎土 ( 土器の本体をつくる材料のことです。粘土にさまざまな粒(砂や火山灰など)が混ざっていることが多く、産地推定ではここを調べます。) )に由来するかを対応づけて、最も可能性の高い生産地を推定することを目的にしています。テフラ ( 火山の噴火で降り積もった火山灰や軽石などの層の総称です。どの火山のどの噴火かを区別できる場合があり、時間や場所の推定に使われます。)
- 主要な発見:
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2点の
の土器 ( 低い温度で焼くことが多い、素焼きに近い陶器です。高温で焼く磁器などより内部が均一になりにくく、材料の粒が残りやすい点が研究上重要です。) に含まれる胎土 ( 土器の本体をつくる材料のことです。粘土にさまざまな粒(砂や火山灰など)が混ざっていることが多く、産地推定ではここを調べます。) を火山ガラス ( 火山噴火でできたガラス質の粒で、噴火ごとに化学成分が特徴的です。広がる範囲も限られやすいので、産地の手がかりになります。) で分析したところ、ほとんどの成分がCoatepequeWDS ( 電子線マイクロプローブの方式の1つで、微小な部分の元素量を精度よく測る分析法です。土器中の火山ガラス粒1つ1つの成分を調べるために重要です。) 由来のカルデラ ( 大規模噴火のあとに地面が大きくへこんでできた地形です。周辺に広くテフラをまき散らす噴火源になりやすく、産地推定の重要な手がかりになります。) の範囲に入るか、かなり近い値でした。特にFeO–CaO図やFeO–K2O図でその傾向がはっきりしました。テフラ ( 火山の噴火で降り積もった火山灰や軽石などの層の総称です。どの火山のどの噴火かを区別できる場合があり、時間や場所の推定に使われます。)
さらに で見ると、火山ガラスのSiO2の幅が比較的広く、Bellavistaテフラとは合いにくく、CongoやConacasteとも一部重なるものの強い一致ではありませんでした。一方でArceテフラとはよく一致しました。Harker diagram ( SiO2などを横軸にして、他の成分との関係を点で示すグラフです。火山ガラスの成分がどのテフラに近いか比較しやすくなります。)
著者は、とくにArceテフラのmiddle が最も合うと考えています。理由は、upper unitに見られる特徴的な成分の混ざり方が土器側に見られないこと、またlower unitのように高いSiO2の狭い範囲に集中していないことです。fall unit ( 噴火で空から降って積もった堆積物のまとまり(区分)です。同じテフラでもunitごとに粒の大きさや成分が少し違うことがあります。)
例外として1粒だけ、Ilopangoカルデラ起源のテフラ(TB4ではなくTB3/TB2に近い範囲)の成分に入るものがありました。分布の条件や年代の考え方から、TB2由来の可能性があるものとして扱われました。
また、参照データよりK2Oが約1%高くNa2Oが約1%低いという一定のずれは、別の火山灰が混ざった証拠ではなく、土器を焼くときの熱による変化だと解釈されました。
- 方法論:
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チャルチュアパ遺跡のLa Cuchilla地区で2003〜2005年に行われた発掘成果から、代表的なUsulután-style
片2点を選び、正式な手続きで分析に回しました。土器 ( 低い温度で焼くことが多い、素焼きに近い陶器です。高温で焼く磁器などより内部が均一になりにくく、材料の粒が残りやすい点が研究上重要です。)
各土器片は表面に対して垂直に切り、研磨し、エポキシでスライドガラスに固定して、鏡のように平らな を作りました。まず薄片 ( 試料を非常に薄くしてスライドガラスに貼り、顕微鏡で観察できるようにしたものです。土器内部の粒の種類や分布を探すのに使います。) で偏光顕微鏡 ( 岩石や鉱物の見え方の違いを利用して、土器の中の鉱物や粒を観察する顕微鏡です。材料の種類や割合を調べるのに使います。) 中の胎土 ( 土器の本体をつくる材料のことです。粘土にさまざまな粒(砂や火山灰など)が混ざっていることが多く、産地推定ではここを調べます。) を探し、その後、無作為に選んだガラス片を弘前大学で火山ガラス ( 火山噴火でできたガラス質の粒で、噴火ごとに化学成分が特徴的です。広がる範囲も限られやすいので、産地の手がかりになります。) (電子線マイクロプローブ)により定量分析しました。条件は加速電圧15 kV、ビーム電流3×10^-9 A、ビーム径10 μmです。比較しやすいように、酸化物の割合は合計が100%になるようにそろえました。WDS ( 電子線マイクロプローブの方式の1つで、微小な部分の元素量を精度よく測る分析法です。土器中の火山ガラス粒1つ1つの成分を調べるために重要です。)
得られたデータは、地域の ・データベース(Atitlán、Coatepeque、Ilopangoなど)と比べ、FeO–CaO図、FeO–K2O図、テフラ ( 火山の噴火で降り積もった火山灰や軽石などの層の総称です。どの火山のどの噴火かを区別できる場合があり、時間や場所の推定に使われます。) に点を打って、既知のテフラやArceテフラ内部の3つのユニットの範囲と照合しました。Harker diagram ( SiO2などを横軸にして、他の成分との関係を点で示すグラフです。火山ガラスの成分がどのテフラに近いか比較しやすくなります。)
- 結論と意義:
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分析した2点のUsulután-style
の土器 ( 低い温度で焼くことが多い、素焼きに近い陶器です。高温で焼く磁器などより内部が均一になりにくく、材料の粒が残りやすい点が研究上重要です。) は、主にCoatepeque火山ガラス ( 火山噴火でできたガラス質の粒で、噴火ごとに化学成分が特徴的です。広がる範囲も限られやすいので、産地の手がかりになります。) のArceカルデラ ( 大規模噴火のあとに地面が大きくへこんでできた地形です。周辺に広くテフラをまき散らす噴火源になりやすく、産地推定の重要な手がかりになります。) 、とくにmiddleテフラ ( 火山の噴火で降り積もった火山灰や軽石などの層の総称です。どの火山のどの噴火かを区別できる場合があり、時間や場所の推定に使われます。) と最もよく対応すると結論づけられました。一方で、1粒だけIlopangoのTB2テフラが混ざった可能性があります。fall unit ( 噴火で空から降って積もった堆積物のまとまり(区分)です。同じテフラでもunitごとに粒の大きさや成分が少し違うことがあります。)
これらのテフラはチャルチュアパ周辺でも一般に見つかるため、土器が遠くから長距離輸送された可能性は低いと考えられます。少なくともこの2点は、CoatepequeカルデラとIlopangoカルデラの間の地域とその周辺で作られた可能性が高く、東部エルサルバドル起源は考えにくいことが示されました。
また本研究は、火山灰の特徴と土器づくりがつながっている可能性も示しました。middle Arce unitは、他のユニットより粒が細かくそろった粗砂サイズの軽石として局地的に得られ、粘土の硬さや作業のしやすさを調整する として選ばれたかもしれません。さらに一般論として、材料が不均一で低温焼成になりやすい土器では、全体の平均成分を見る方法だけだと誤解が起き得るため、噴火ごとに特徴が出やすい火山ガラスの化学組成が、混和材 ( 粘土に混ぜて、割れにくさや硬さ、作業のしやすさを調整するための砂や火山灰などの材料です。混ぜる割合によって土器の成分が大きく変わります。) に役立つことを示した点に価値があります。産地推定 ( 土器がどこで作られたかを、材料や成分の特徴から推測する調査です。過去の人の移動や交易を考える手がかりになります。)
- 今後の展望:
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著者はこの研究を「第一段階」としており、今のデータだけでは生産地を断定できないと述べています。今回は
片が2点だけで、土器 ( 低い温度で焼くことが多い、素焼きに近い陶器です。高温で焼く磁器などより内部が均一になりにくく、材料の粒が残りやすい点が研究上重要です。) も各1枚、さらに2点目は分析したガラス粒が10粒と少なく、統計的に十分とは言えません。また同じ土器片の中でも場所によって成分が変わる可能性を評価しにくいです。薄片 ( 試料を非常に薄くしてスライドガラスに貼り、顕微鏡で観察できるようにしたものです。土器内部の粒の種類や分布を探すのに使います。)
そのため、今後は土器サンプル数と、各サンプルで分析する 粒の数を増やす必要があります。数を増やせば、少数しか含まれないガラスの集団もより確実に見つけられ、よく似た火山ガラス ( 火山噴火でできたガラス質の粒で、噴火ごとに化学成分が特徴的です。広がる範囲も限られやすいので、産地の手がかりになります。) 同士(例:CongoとConacaste)の見分けも改善し、今回のTB2らしい例外粒がどれくらい重要かも判断しやすくなります。最終的には、紀元前400年から西暦600年にかけて、土器が運ばれたのか、あるいは土器の様式だけが広がったのかを理解する手がかりを強めることが目標です。テフラ ( 火山の噴火で降り積もった火山灰や軽石などの層の総称です。どの火山のどの噴火かを区別できる場合があり、時間や場所の推定に使われます。)
- 何のために?:
-
この研究は、
土器 の作られた場所を調べます。
この調べ方を、 といいます。産地 推定 ( 土器 などがどこの場所で作られたのかを、材料 や成分 のちがいから考えてしぼりこむ方法 です 作られた場所が分かると その土地のくらしや物のうごき方が分かるので大事です)
ふつうは、土器 の材料 を細かく見ます。
でも、土がにていると、区別 がむずかしいです。
そのため、場所を1つにしぼれません。
土器 は、あまり高くない温度で焼 きます。
だから、中の材料 がまざりにくいです。
すると、砂 つぶのような粒 が残 ります。
全体をまとめて測 ると、ねん土の特徴 が見えません。
火山が多い所では、 が土に入ります。火山灰 ( 火山がふん火したときに空へ出て あとで地面にふってつもる細かい灰 です 土にまざることがあり どの火山のものかで成分 がちがうため 場所を考える手がかりになります)
火山灰 には、 が入ることがあります。火山ガラス ( 火山のマグマが急に冷 えてガラスのように固 まった細かいかけらです ふん火ごとに成分 がちがうことが多いので どの火山灰 から来たかを見分けるのに役立ちます)
火山ガラスは、噴火 ごとに がちがいます。成分 ( 物の中に入っている材料 の種類 やそのわり合いのことです 数字でくらべると にた土でもちがいを見つけやすくなります)
火山灰 が広がる場所は、あまり広くありません。
だから、産地 を考える手がかりになります。
この研究は、土器 2つをくわしく調べます。
土器 の中の火山ガラスを化学で調べます。
どの火山灰 から来たかを見つけます。
それで、作られた場所を考えます。
- 何が分かったの?:
-
土器 2つの を火山ガラス ( 火山のマグマが急に冷 えてガラスのように固 まった細かいかけらです ふん火ごとに成分 がちがうことが多いので どの火山灰 から来たかを見分けるのに役立ちます) しました。分析 ( 調べたい物を機械 などでくわしく調べて どんな成分 がどれだけあるかを出すことです まちがいにくくくらべるために大事です)
すると、多くが のCoatepeque ( 火山灰 のもとになった火山や場所の名前として使われています どの火山の火山灰 に近いかを比 べる目じるしになります) に近いです。火山灰 ( 火山がふん火したときに空へ出て あとで地面にふってつもる細かい灰 です 土にまざることがあり どの火山のものかで成分 がちがうため 場所を考える手がかりになります)
とくに、いくつかの図でよく分かりました。
別 の火山灰 とは、合いにくいものもありました。
でも、 というArce ( 火山灰 の名前として使われています土器 の中の火山ガラスがどれに合うかを決めると 作られた場所を考えられます) 火山灰 とはよく合いました。
中でも、 が一番合うと考えました。middle fall unit ( ある火山灰 の中の区分の名前で ふった時期や層 のちがいで分けたものです どの区分に一番合うかで より細かく産地 を考えられます)
のupper ( 火山灰 の区分の名前で 上の層 や別 の時期を表します土器 にその特徴 があるかないかで 合う火山灰 をしぼれます) 特徴 が、土器 には見えませんでした。
のように、かたよりすぎてもいません。lower ( 火山灰 の区分の名前で 下の層 や別 の時期を表します土器 の成分 がどの区分に近いかを比 べるために使います)
ただし、1つだけ別 の火山の がありました。成分 ( 物の中に入っている材料 の種類 やそのわり合いのことです 数字でくらべると にた土でもちがいを見つけやすくなります)
それは のIlopango ( 火山や場所の名前として使われています TB2という火山灰 と関係 する名前で別 の火山の成分 かどうかを考える手がかりになります) に近いと考えました。TB2 ( 特定 の火山灰 を区別 してよぶための名前です土器 に少しだけまざっているかもしれない別 の火山灰 として重要 です)
また、少しのずれは熱 のせいだと考えました。
別 の火山灰 がまざったとは言いませんでした。
- どうやったの?:
-
で見つかった遺跡 ( 昔の人が住んだり使ったりしたあとが残 っている場所です そこから出た土器 を調べると 昔の人の生活や行き来が分かります) を2つ土器 片 ( こわれた土器 の一部分のかけらです 小さくても材料 や成分 を調べられるので研究に使います) 選 びました。
決まった手つづきで、 に出しました。分析 ( 調べたい物を機械 などでくわしく調べて どんな成分 がどれだけあるかを出すことです まちがいにくくくらべるために大事です)
土器 片 を切って、うすい板のようにします。
表面をピカピカにみがき、ガラスに付 けます。
まず、特別 な で顕微鏡 ( とても小さなものを大きく見えるようにする道具です 火山ガラスの小さな粒 を見つけるために使います) を火山ガラス ( 火山のマグマが急に冷 えてガラスのように固 まった細かいかけらです ふん火ごとに成分 がちがうことが多いので どの火山灰 から来たかを見分けるのに役立ちます) 探 します。
そのあと、えらんだ粒 を機械 で分析 します。
を数で出して、成分 ( 物の中に入っている材料 の種類 やそのわり合いのことです 数字でくらべると にた土でもちがいを見つけやすくなります) 比 べやすくそろえました。
そして、 のデータとくらべました。火山灰 ( 火山がふん火したときに空へ出て あとで地面にふってつもる細かい灰 です 土にまざることがあり どの火山のものかで成分 がちがうため 場所を考える手がかりになります)
いくつかの図に点をうって、同じか見ました。
の中の3つのグループともArce ( 火山灰 の名前として使われています土器 の中の火山ガラスがどれに合うかを決めると 作られた場所を考えられます) 比 べました。
- 研究のまとめ:
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土器 2つの は、火山ガラス ( 火山のマグマが急に冷 えてガラスのように固 まった細かいかけらです ふん火ごとに成分 がちがうことが多いので どの火山灰 から来たかを見分けるのに役立ちます) と合いました。Arce ( 火山灰 の名前として使われています土器 の中の火山ガラスがどれに合うかを決めると 作られた場所を考えられます)
とくに、 とよく合いました。middle fall unit ( ある火山灰 の中の区分の名前で ふった時期や層 のちがいで分けたものです どの区分に一番合うかで より細かく産地 を考えられます)
でも、1つだけ がまざったかもしれません。TB2 ( 特定 の火山灰 を区別 してよぶための名前です土器 に少しだけまざっているかもしれない別 の火山灰 として重要 です)
この は、近くでもふつうに見つかります。火山灰 ( 火山がふん火したときに空へ出て あとで地面にふってつもる細かい灰 です 土にまざることがあり どの火山のものかで成分 がちがうため 場所を考える手がかりになります)
だから、遠くから運んだ可能性 は低 いです。
この2つは、2つの火山の間で作られそうです。
東の地域 で作られたとは言いにくいです。
また、火山灰 が土器 づくりに関係 したかもです。
middleは、粒 がそろって手に入りやすいです。
土を作りやすくするために入れたかもしれません。
土器 は中がばらばらになりやすいです。
だから、全体だけ見るとまちがえやすいです。
火山ガラスを見る方法 が役立つと分かりました。
- これからどうする?:
-
著者 は、これは第一段階 だと言います。
今のデータだけで、場所は決められません。
今回は土器 が2つだけです。
うすい板も、それぞれ1枚 だけです。
2つ目は、調べた粒 が10こで少ないです。
同じ土器 でも、場所で が成分 ( 物の中に入っている材料 の種類 やそのわり合いのことです 数字でくらべると にた土でもちがいを見つけやすくなります) 変 わるかもです。
これを今は、確 かめにくいです。
これからは、土器 の数をふやします。
それぞれで調べる粒 の数もふやします。
そうすると、少ない仲間 も見つけやすいです。
にた のちがいも分かりやすくなります。火山灰 ( 火山がふん火したときに空へ出て あとで地面にふってつもる細かい灰 です 土にまざることがあり どの火山のものかで成分 がちがうため 場所を考える手がかりになります)
の1つが、どれだけ大事かも分かります。TB2 ( 特定 の火山灰 を区別 してよぶための名前です土器 に少しだけまざっているかもしれない別 の火山灰 として重要 です)
そして、土器 が運ばれたのかを考えます。
または、形だけが広がったのかを考えます。
- 著者名:
- Kitamura Shigeru
- 掲載誌名:
- 新潟大学教育学部研究紀要 人文・社会科学編
- 巻:
- 14
- 号:
- 2
- ページ:
- 189 - 202
- 発行日:
- 2022-02
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000386
