論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
ラット実験的根尖性歯周炎成立過程における血管新生関連因子の発現
- AI解説:
- 血管新生は既存の血管から新たな血管が分枝することで血管網の新たな構築が生じる現象であり、慢性炎症や創傷治癒、腫瘍増大など多くの生理的・病理的過程で重要な役割を果たします。特に根尖性歯周炎の病変部では、VEGFやMMPsといった血管新生関連物質が検出され、肉芽組織形成に関与していると推測されていますが、この分野の知見はまだ十分ではありません。本研究の目的は、根尖性歯周炎における血管内皮増殖因子受容体(VEGFR2)、Bcl-2、CXCL1、およびCXCR2の発現状況を組織学的・分子生物学的に調査し、これらの因子が病態の進行にどのように関与しているかを明らかにすることです。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
ラット実験的根尖性歯周炎成立過程における血管新生関連因子の発現
AI解説
- 背景と目的:
-
血管新生は既存の血管から新たな血管が分枝することで血管網の新たな構築が生じる現象であり、慢性炎症や創傷治癒、腫瘍増大など多くの生理的・病理的過程で重要な役割を果たします。特に根尖性歯周炎の病変部では、VEGFやMMPsといった血管新生関連物質が検出され、肉芽組織形成に関与していると推測されていますが、この分野の知見はまだ十分ではありません。本研究の目的は、根尖性歯周炎における血管内皮増殖因子受容体(VEGFR2)、Bcl-2、CXCL1、およびCXCR2の発現状況を組織学的・分子生物学的に調査し、これらの因子が病態の進行にどのように関与しているかを明らかにすることです。
- 主要な発見:
-
本研究の結果、CD31陽性血管内皮細胞の密度は露髄開放14日以降28日経過後まで増加する傾向が認められました。また、Bcl-2陽性反応は14日経過後に有意に増加し、その後28日経過後まで減少する傾向が示されました。さらに、LCMを用いて採取したCD31陽性血管内皮細胞におけるVEGFR2, Bcl-2, CXCL1, およびCXCR2 mRNAの発現も、露髄開放14日経過後に有意に増加し、28日経過後まで減少する傾向が観察されました。これらの結果から、Bcl-2, CXCL1, CXCR2が血管新生および病変の拡大に関与していることが示唆されました。
- 方法論:
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実験的根尖性歯周炎のモデルとして、5週齢雄性Wistar系ラットの下顎第一臼歯を露髄させ、開放のまま放置しました。露髄開放後14, 21, 28日経過後に灌流固定を行い、被験歯を顎骨ごと摘出して脱灰後凍結試料としました。組織学的観察のために8μmの連続切片を作製し、免疫組織化学染色によりCD31およびBcl-2の発現を確認しました。また、LCMを用いた遺伝子発現の定量解析では、CD31陽性血管内皮細胞から全RNAを抽出し、リアルタイムPCRによりVEGFR2, Bcl-2, CXCL1, CXCR2 mRNAの発現を定量しました。統計解析はKruskal-Wallis法、Mann-Whitney U検定およびBonferroni correctionを用いて行いました。
- 結論と意義:
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実験結果から、血管内皮細胞におけるBcl-2タンパクおよびVEGFR2、Bcl-2、CXCL1およびCXCR2 mRNAの発現が14日経過後に有意に増加し、その後減少することが明らかになりました。このことから、これらの分子の発現亢進が血管新生と根尖性歯周炎の病変拡大に重要な役割を果たしていることが示唆されます。また、Bcl-2がCXCL1およびCXCR2の発現を促進することで、血管新生と病変部の拡大に寄与している可能性が示されました。
- 今後の展望:
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今後の研究では、さらに詳細なメカニズムを解明するため、他の血管新生関連因子やシグナル伝達経路の解析が必要です。また、根尖性歯周炎の治療法開発に向けて、Bcl-2やCXCL1、CXCR2を標的とした治療法の有効性を検証することが期待されます。さらに、本研究で得られた知見を基に、他の炎症性疾患や腫瘍形成における血管新生の役割についても研究を進めることで、異なる分野への応用が可能となるでしょう。
- 背景と目的:
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は、既存の血管から新しい血管ができる現象で、体の中で重要な役割を果たしています。例えば、慢性的な炎症や傷の治癒、がんの拡大などで重要です。特に、血管新生 ( 既存の血管から新しい血管ができる現象。体内で重要な役割を果たします。) と呼ばれる歯の病気の部分では、根尖性歯周炎 ( 歯の根っこの部分で起こる炎症。痛みや腫れを引き起こします。) やVEGF ( 血管内皮増殖因子。新しい血管を作るのを助ける物質。) といった血管新生に関わる物質が見つかっており、治癒の過程に関係していると考えられています。しかし、この分野の詳しいことはまだよくわかっていません。この研究の目的は、根尖性歯周炎における血管内皮増殖因子受容体(VEGFR2)、MMPs ( マトリックスメタロプロテイナーゼ。細胞外基質を分解する酵素群。) 、Bcl-2 ( アポトーシス(細胞の自然死)を抑制するタンパク質。) 、およびCXCL1 ( 炎症反応に関与するケモカイン(細胞の移動を指示する物質)。) の発現を調べ、これらが病気の進行にどう関わっているかを明らかにすることです。CXCR2 ( CXCL1の受容体。)
- 主要な発見:
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この研究でわかったことは、CD31という血管内皮細胞の量が歯の露髄(神経をむき出しにすること)から14日後から28日後まで増える傾向があることです。また、
というタンパク質が14日後に増え、その後減少することがわかりました。さらに、Bcl-2 ( アポトーシス(細胞の自然死)を抑制するタンパク質。) R2, Bcl-2,VEGF ( 血管内皮増殖因子。新しい血管を作るのを助ける物質。) ,CXCL1 ( 炎症反応に関与するケモカイン(細胞の移動を指示する物質)。) という遺伝子の発現も14日後に増え、その後減少しました。このことから、Bcl-2, CXCL1, CXCR2がCXCR2 ( CXCL1の受容体。) と病気の進行に関与していることが示されました。血管新生 ( 既存の血管から新しい血管ができる現象。体内で重要な役割を果たします。)
- 方法論:
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実験では、5週齢の雄のWistar系ラットの下顎第一臼歯を露髄させ、14日、21日、28日後に固定して観察しました。組織を観察するために薄い切片を作り、CD31や
の発現を免疫組織化学染色で確認しました。また、遺伝子の発現量を調べるためにリアルタイムPCRを使いました。統計解析は、Kruskal-Wallis法、Mann-Whitney U検定、Bonferroni correctionを用いました。Bcl-2 ( アポトーシス(細胞の自然死)を抑制するタンパク質。)
- 結論と意義:
-
実験結果から、血管内皮細胞における
タンパクやBcl-2 ( アポトーシス(細胞の自然死)を抑制するタンパク質。) R2、Bcl-2、VEGF ( 血管内皮増殖因子。新しい血管を作るのを助ける物質。) 、CXCL1 ( 炎症反応に関与するケモカイン(細胞の移動を指示する物質)。) の発現が14日後に増え、その後減少することがわかりました。これらの分子の発現がCXCR2 ( CXCL1の受容体。) と血管新生 ( 既存の血管から新しい血管ができる現象。体内で重要な役割を果たします。) の病変の拡大に重要な役割を果たしていることが示唆されます。特に、Bcl-2がCXCL1やCXCR2の発現を促進することで、血管新生と病変部の拡大に寄与している可能性があります。根尖性歯周炎 ( 歯の根っこの部分で起こる炎症。痛みや腫れを引き起こします。)
- 今後の展望:
-
今後の研究では、さらに詳しいメカニズムを解明するため、他の
関連因子やシグナル伝達経路の解析が必要です。また、血管新生 ( 既存の血管から新しい血管ができる現象。体内で重要な役割を果たします。) の治療法開発に向けて、根尖性歯周炎 ( 歯の根っこの部分で起こる炎症。痛みや腫れを引き起こします。) やBcl-2 ( アポトーシス(細胞の自然死)を抑制するタンパク質。) 、CXCL1 ( 炎症反応に関与するケモカイン(細胞の移動を指示する物質)。) を標的とした治療法の有効性を検証することが期待されます。さらに、この研究で得られた知見を基に、他の炎症性疾患やがんの形成における血管新生の役割についても研究を進めることで、異なる分野への応用が可能となるでしょう。CXCR2 ( CXCL1の受容体。)
- 何のために?:
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というのは、新しい血の道ができることです。体の中でとても大事なことです。血管 新生( 新しい血の道ができること) 例 えば、けがを治 したり、かんせん症 を治 したりします。歯の病気にも関係 があります。特 に、 という歯の病気には、根尖 性 歯周 炎 ( 歯の根元にできる病気) やVEGF ( 血の道を作る物質 ) というMMPs ( 血の道を作るのを助ける物質 ) 物質 が見つかっています。この研究で、歯の病気がどう進むのかを調べました。
- 何が分かったの?:
-
この研究で分かったことがあります。歯の中の血の道が、14日後から28日後に
増 えました。 というBcl-2 ( 細胞 の死を防 ぎ、細胞 を守る物質 ) 物質 も14日後に増 え、その後減 りました。 R2, Bcl-2,VEGF ( 血の道を作る物質 ) ,CXCL1 ( 細胞 に特定 の信号 を送る物質 ) というCXCR2 ( CXCL1の信号 を受け取る物質 ) 遺伝子 も14日後に増 え、その後減 りました。これらの物質 が血の道と病気に関係 していることがわかりました。
- どうやったの?:
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実験 では、5週齢 の男の子ラットの歯を露髄 させました。14日、21日、28日後に観察 しました。血の道や の様子をBcl-2 ( 細胞 の死を防 ぎ、細胞 を守る物質 ) 染 めて見ました。遺伝子 の量 を調べるためにPCRを使いました。統計 解析 という方法 を使って結果 を出しました。
- 研究のまとめ:
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実験 結果 から、血の道や 、Bcl-2 ( 細胞 の死を防 ぎ、細胞 を守る物質 ) R2、VEGF ( 血の道を作る物質 ) 、CXCL1 ( 細胞 に特定 の信号 を送る物質 ) のCXCR2 ( CXCL1の信号 を受け取る物質 ) 物質 が14日後に増 え、その後減 ることがわかりました。これらの物質 が血の道と歯の病気に大事な役割 を果 たしています。特 に、Bcl-2がCXCL1やCXCR2を増 やし、血の道と病気を広げるかもしれません。
- これからどうする?:
-
これからの研究では、もっと
詳 しいことを調べます。他の血の道に関係 する物質 も調べます。歯の病気を治 す方法 を探 します。 やBcl-2 ( 細胞 の死を防 ぎ、細胞 を守る物質 ) 、CXCL1 ( 細胞 に特定 の信号 を送る物質 ) を使ったCXCR2 ( CXCL1の信号 を受け取る物質 ) 治療 を試 します。この研究で得 られたことを他の病気にも使えるかもしれません。
- 著者名:
- 山中 裕介
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 43
- 号:
- 1
- ページ:
- 65 - 66
- 発行日:
- 2013-06
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000490
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