論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
アーム型X線診断装置AUGE SOLIOの適正使用条件の検討
- AI解説:
- 本研究は、新潟大学医歯学総合病院で新たに導入されたアーム型X線診断装置AUGE SOLIOの適正撮影条件を検討することを目的としています。顎顔面骨内への高度な外科的処置が増加する中で、術前の画像評価の重要性が高まっており、歯科用コーンビームCTがその役割を果たしています。従来の装置では微細な構造の観察に限界があったため、新しく導入されたAUGE SOLIOがどのようにその課題を克服し、治療効果を向上させるかを評価することが本研究の背景にあります。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
アーム型X線診断装置AUGE SOLIOの適正使用条件の検討
AI解説
- 背景と目的:
-
本研究は、新潟大学医歯学総合病院で新たに導入されたアーム型X線診断装置AUGE SOLIOの適正撮影条件を検討することを目的としています。顎顔面骨内への高度な外科的処置が増加する中で、術前の画像評価の重要性が高まっており、歯科用コーンビームCTがその役割を果たしています。従来の装置では微細な構造の観察に限界があったため、新しく導入されたAUGE SOLIOがどのようにその課題を克服し、治療効果を向上させるかを評価することが本研究の背景にあります。
- 主要な発見:
-
Iモードにおいて、管電流を6mAに低下させても、最高条件である8mAとほぼ同等の画像が得られることが示されました。一方、雑音およびアーチファクトについては、短時間モードの撮影では評価点が有意に低いことが確認されました。Dモードでは、4mAの条件下で鮮鋭度が特に低く評価され、他の撮影条件でも同様に低評価が見られました。これらの結果から、適切な撮影条件の選定が必要であることが示唆されました。
- 方法論:
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本研究では、アーム型X線診断装置AUGE SOLIOを用いて、頭部ファントムを管電圧85kV、管電流4mA、6mA、8mA、および8mAの短時間モードで撮影しました。撮影領域の異なるIモード、Dモードそれぞれにおいて、最高条件である8mAで撮影した画像を基準画像とし、他の条件で得た画像と比較しました。評価項目として鮮鋭度、雑音、アーチファクトの3項目をビジュアルアナログスケールを用いて放射線歯科医師6名により評価しました。その後、評価点を基に適正撮影条件を検討しました。
- 結論と意義:
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本研究により、Iモードにおいては管電流を8mAから6mAに低下させても、画質に大きな影響を与えず、患者の被曝線量を低減できる可能性が示されました。一方で、短時間モードでは雑音やアーチファクトが増加し、画質が劣化することが確認されました。したがって、通常の患者撮影モードでは360度回転での撮影が推奨され、短時間での撮影は注意が必要とされます。これらの結果は、臨床現場におけるより安全かつ効果的な撮影条件の設定に寄与すると考えられます。
- 今後の展望:
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今後の研究では、物理的な定量評価を加えた画質の検討が必要とされます。また、下顎骨部の撮影においても適切な固定法を確立し、さらなる評価が求められます。これにより、AUGE SOLIOの使用がより広範で効果的に行われることが期待されます。さらに、患者の被曝線量を最小限に抑えながら高画質な画像を提供するための撮影条件の最適化が継続的に行われることが重要です。
- 背景と目的:
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この研究は、新潟大学医歯学総合病院で新しく導入されたアーム型X線診断装置AUGE SOLIOの適正な撮影条件を調べることを目的としています。最近、顎や顔の骨に対する手術が増えていて、手術前に画像をしっかり確認することが重要になっています。歯科用コーンビームCTはこの役割を担っていますが、従来の装置では細かい部分を観察するのが難しかったため、新しいAUGE SOLIOがその問題を解決できるかどうかを調べることがこの研究の背景です。
- 主要な発見:
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でIモード ( AUGE SOLIOの撮影モードの一つで、特定の領域を撮影する設定のことです。) を6mAに下げても、8mAとほぼ同じ画像が得られることがわかりました。しかし、短時間モードで撮影すると管電流 ( X線を発生させるための電流の強さのことです。数値が高いほど強いX線が出ます。) や雑音 ( 画像に本来の情報以外の不要な情報が含まれることを指します。) が増え、評価が低くなることが確認されました。アーチファクト ( 画像に現れる実際には存在しない構造や影のことです。) では、管電流が4mAのときに画質が特に悪く評価されました。これらの結果から、適切な撮影条件を選ぶことが重要だと示唆されました。Dモード ( AUGE SOLIOの別の撮影モードで、Iモードとは異なる領域を撮影します。)
- 方法論:
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この研究では、AUGE SOLIOを使って頭部の模型を撮影しました。管電圧85kV、
を4mA、6mA、8mA、および8mAの短時間モードで撮影しました。撮影モードには管電流 ( X線を発生させるための電流の強さのことです。数値が高いほど強いX線が出ます。) とIモード ( AUGE SOLIOの撮影モードの一つで、特定の領域を撮影する設定のことです。) があり、基準画像を8mAで撮影し、他の条件で撮影した画像と比較しました。画像の鮮鋭度、Dモード ( AUGE SOLIOの別の撮影モードで、Iモードとは異なる領域を撮影します。) 、雑音 ( 画像に本来の情報以外の不要な情報が含まれることを指します。) をビジュアルアナログスケールを用いて放射線歯科医師6名が評価し、その評価点を基に適正な撮影条件を検討しました。アーチファクト ( 画像に現れる実際には存在しない構造や影のことです。)
- 結論と意義:
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では、Iモード ( AUGE SOLIOの撮影モードの一つで、特定の領域を撮影する設定のことです。) を8mAから6mAに下げても画質に大きな影響がなく、患者の被曝線量を減らせる可能性が示されました。一方、短時間モードでは管電流 ( X線を発生させるための電流の強さのことです。数値が高いほど強いX線が出ます。) や雑音 ( 画像に本来の情報以外の不要な情報が含まれることを指します。) が増え、画質が悪くなることが確認されました。通常の撮影モードでは360度回転での撮影が推奨され、短時間撮影は慎重に行うべきだと考えられます。これらの結果は、臨床現場でより安全かつ効果的な撮影条件の設定に役立つと考えられます。アーチファクト ( 画像に現れる実際には存在しない構造や影のことです。)
- 今後の展望:
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今後の研究では、画像の質を物理的に評価することが必要です。また、下顎骨の撮影においても適切な固定方法を確立し、さらに評価を行うことが求められます。これにより、AUGE SOLIOの使用がより広く効果的に行われることが期待されます。また、患者の被曝線量を最小限に抑えながら高画質な画像を提供するための撮影条件の最適化を続けることが重要です。
- 何のために?:
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この研究は、新しいX線の
機械 を調べるために行いました。新しい機械 は、 (アウゲ ソリオ)といいます。AUGE SOLIO ( 新しいX線の機械 の名前です。) (あご)や顔の顎 ( あごのことです。顔の一部です。) の骨 ( 体を支 える硬 い部分です。顔や顎 にも骨 があります。) 手術 が増 えています。手術 の前に、しっかりと骨 の写真を撮 ることが大事です。昔の機械 だと細かいところが見えにくいです。新しい機械 がその問題を解決 できるかどうかを調べることが、この研究の目的 です。
- 何が分かったの?:
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Iモードで
(かんでんりゅう)を6mAに下げても、8mAと同じくらい管 電流( X線を出すための電気の流れのことです。mAで表します。) 良 い写真が撮 れました。しかし、短い時間で写真を撮 ると、 (ざつおん)や雑音 ( 写真に写る不要 なものです。) がアーチファクト ( 写真に写る誤解 (ごかい)を引き起こすものです。) 増 えて、評価 が低 くなりました。Dモードでは、管 電流を4mAにすると写真の質 が悪くなりました。これらの結果 から、良 い写真を撮 るために、ちゃんとした条件 を選 ぶことが大事だとわかりました。
- どうやったの?:
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この研究では、
を使って、頭のAUGE SOLIO ( 新しいX線の機械 の名前です。) 模型 (もけい)の写真を撮 りました。 (かんでんあつ)は85kVで、管 電圧 ( X線を出すための電圧 のことです。kVで表します。) を4mA、6mA、8mA、そして8mAの短い時間で管 電流( X線を出すための電気の流れのことです。mAで表します。) 撮 りました。撮影 にはIモードとDモードを使いました。基準 の写真を8mAで撮 り、他の条件 の写真と比 べました。6人の歯の専門家 が、写真の (せんえいど)、鮮 鋭 度( 写真のはっきりさです。) 、雑音 ( 写真に写る不要 なものです。) を見てアーチファクト ( 写真に写る誤解 (ごかい)を引き起こすものです。) 評価 しました。そして、どの条件 が良 いかを考えました。
- 研究のまとめ:
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Iモードでは、
を8mAから6mAに下げても、写真の管 電流( X線を出すための電気の流れのことです。mAで表します。) 質 はあまり変 わりませんでした。これで、患者 さんが受ける の放射線 (ほうしゃせん)( X線などのエネルギーを持つ光の一種 で、体の中を見るために使われます。) 量 を減 らせるかもしれません。一方、短い時間での撮影 では、 や雑音 ( 写真に写る不要 なものです。) がアーチファクト ( 写真に写る誤解 (ごかい)を引き起こすものです。) 増 えて、写真の質 が悪くなりました。普通 の撮影 モードでは、360度回転での撮影 が良 いと考えられます。短い時間の撮影 は気をつけて行うべきです。この結果 は、安全で効果的 な撮影 条件 を決めるのに役立ちます。
- これからどうする?:
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今後の研究では、写真の
質 をもっと詳 しく調べる必要 があります。また、 の写真を下顎 骨 (かがくこつ)( 下あごの骨 のことです。) 撮 るときの固定 方法 を決めることも大事です。これにより、新しい機械 がもっと広く使われることが期待されます。そして、患者 さんが受ける放射線 の量 を減 らしながら、良 い写真を撮 るための条件 を探 し続 けることが大事です。
- 著者名:
- 池 真樹子, 田中 礼, 曽我 麻里恵, 西山 秀昌, 林 孝文
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 43
- 号:
- 2
- ページ:
- 113 - 118
- 発行日:
- 2013-12
- 著者による要約:
- The purpose of this study was to examine the appropriate scanning condition for the AUGE SOLIO on the occasion of the clinical use. The left maxillary premolar region of a head phantom was scanned at combinations of tube voltage (85 kV), tube current (4, 6 and 8 mA) and scanning time (17 and 8.5 s) in two field of view sizes (I mode and D mode). The para-sagittal images of the same position were obtained by using multiplanar reconstruction function. We used the image acquired in best quality condition (8 mA/17 s), as the reference. Six dental radiologists observed each image and compared them with the reference image. They subjectively evaluated the quality of sharpness, noise and artifact using a 10 cm visual analog scale. The Steel method was used to determine significant differences. The image at 8 mA/8.5 s showed significantly lower evaluation scores on noise and artifact. In conclusion, the image quality, at 6 mA/17 s, was comparable to the reference image. These results may help in deciding which scanning condition should be adapted for clinical cases.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000495
