論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
下顎前突症患者における顎矯正手術が咽頭気道形態と睡眠時の呼吸機能に及ぼす影響
- AI解説:
- 下顎骨後方移動術は術後に上気道径が減少し、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)が発症するリスクがあることが以前から報告されている。OSAは上気道、特に咽頭部の狭窄や閉塞を原因とし、脳・心疾患の罹患率を高めるほか、日中の眠気から交通事故発生率を高めるなど、社会的・産業医学的にも大きな問題を引き起こす。本研究は、下顎骨後方移動術が顎顔面および咽頭気道形態に与える影響を、従来の二次元的な側面頭部X線規格写真ではなく、三次元的なコーンビームCT(CBCT)画像を用いて分析し、さらに睡眠時の呼吸機能への影響を調査することを目的とした。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
下顎前突症患者における顎矯正手術が咽頭気道形態と睡眠時の呼吸機能に及ぼす影響
AI解説
- 背景と目的:
-
下顎骨後方移動術は術後に上気道径が減少し、閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)が発症するリスクがあることが以前から報告されている。OSAは上気道、特に咽頭部の狭窄や閉塞を原因とし、脳・心疾患の罹患率を高めるほか、日中の眠気から交通事故発生率を高めるなど、社会的・産業医学的にも大きな問題を引き起こす。本研究は、下顎骨後方移動術が顎顔面および咽頭気道形態に与える影響を、従来の二次元的な側面頭部X線規格写真ではなく、三次元的なコーンビームCT(CBCT)画像を用いて分析し、さらに睡眠時の呼吸機能への影響を調査することを目的とした。
- 主要な発見:
-
本研究では、下顎骨後方移動術を受けた顎変形症患者の中で、気道容積や平均断面積が術後に有意に減少したのは下顎枝矢状分割法単独のグループ(A群)のみであった。一方、下顎枝矢状分割法とLe Fort I 型骨切り術を併用したグループ(B群)では、気道容積や断面積の有意な減少は見られなかった。また、術前後で睡眠時の呼吸機能(AHI)に統計的に有意な変化は認められなかったが、特定の症例では術後にAHIが増加する例も見られた。これらの結果から、上顎骨前方移動術の併用が気道容積の減少を抑える効果がある可能性が示唆された。
- 方法論:
-
研究対象は、2010年8月から2011年12月までに新潟大学医歯学総合病院で顎矯正手術を受けた顎変形症患者40名とし、手術方式としては下顎枝矢状分割法単独のグループ(A群)と、同法とLe Fort I 型骨切り術を併用したグループ(B群)に分けた。術前(T0)および術後6か月以上経過時(T1)に撮影したCBCTデータを用いて顎顔面および咽頭気道形態を計測し、睡眠評価装置を用いて睡眠時の呼吸機能も解析した。統計解析には、Friedman検定およびWilcoxonの符号付き順位検定を用いた。
- 結論と意義:
-
本研究の結果、下顎骨後方移動術は短期的には睡眠時呼吸機能に大きな影響を与えないことが示されたが、特定の条件下(例えば、加齢や肥満がある場合)ではOSAのリスクが増加する可能性があることが分かった。特に、上顎骨前方移動術を併用することで、気道容積の減少を抑える効果が期待できるため、咽頭気道形態も考慮した手術計画の立案が必要であると考えられる。このことから、個々の患者の特性に応じた手術方法の選択が重要であることが示唆された。
- 今後の展望:
-
今後の研究では、より多くの症例を対象とし、長期的な追跡調査を行うことで、下顎骨後方移動術の睡眠時呼吸機能への影響をより詳細に明らかにする必要がある。また、手術計画の最適化を図るため、さらに多角的なアプローチによる気道形態と機能の評価が求められる。これには、三次元的な画像解析技術の向上や、個々の患者の特性に応じたカスタマイズされた手術計画の立案が含まれる。さらには、OSAリスクの高い患者に対しては、予防的な措置や術後のフォローアップを強化するためのガイドライン作成も視野に入れるべきである。これらの取り組みにより、手術の安全性と患者のQOL向上を両立することが期待される。
- 背景と目的:
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下顎骨後方移動術という手術を受けた後、上気道が狭くなり、
が発症するリスクがあることが知られています。OSAは、睡眠中に上気道が狭くなることにより、呼吸が止まる病気です。この研究では、下顎骨後方移動術が顎や喉の形にどのような影響を与えるかを調べ、さらに睡眠時の呼吸にどのような影響があるかを調査することを目的としています。閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA) ( 睡眠中に上気道が狭くなり、呼吸が止まる病気です。)
- 主要な発見:
-
この研究では、下顎骨後方移動術を受けた患者のうち、
のみを受けたグループ(A群)では下顎枝矢状分割法 ( 下顎の骨を分割して位置を調整する手術法です。) が手術後に減少しましたが、下顎枝矢状分割法と気道容積 ( 気道の空気の通り道の大きさです。) を併用したグループ(B群)では、気道容積の減少は見られませんでした。また、手術前後で睡眠時の呼吸機能に統計的な変化はありませんでしたが、特定の症例では手術後に呼吸が悪化する例もありました。これらの結果から、上顎骨前方移動術が気道容積の減少を防ぐ可能性があることが示唆されました。Le Fort I 型骨切り術 ( 上顎の骨を移動させる手術法です。)
- 方法論:
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研究対象は2010年8月から2011年12月までに新潟大学医歯学総合病院で顎矯正手術を受けた40名の患者です。手術方式として、
のみのグループ(A群)と、下顎枝矢状分割法と下顎枝矢状分割法 ( 下顎の骨を分割して位置を調整する手術法です。) を併用したグループ(B群)に分けました。手術前後に撮影したLe Fort I 型骨切り術 ( 上顎の骨を移動させる手術法です。) データを用いて顎や咽頭気道の形を計測し、睡眠評価装置を用いて睡眠時の呼吸機能も解析しました。三次元的なCT画像 ( 体の内部を立体的に見ることができる画像です。)
- 結論と意義:
-
この研究の結果、下顎骨後方移動術は短期的には睡眠時呼吸機能に大きな影響を与えないことが分かりましたが、加齢や肥満などの条件下ではOSAのリスクが増加する可能性があることが分かりました。上顎骨前方移動術を併用することで、
の減少を抑えることが期待できるため、手術計画には咽頭気道の形も考慮する必要があります。個々の患者に合った手術方法を選ぶことが重要です。気道容積 ( 気道の空気の通り道の大きさです。)
- 今後の展望:
-
今後の研究では、より多くの患者を対象にし、長期的な追跡調査を行うことで、下顎骨後方移動術の睡眠時呼吸機能への影響をさらに詳しく調べる必要があります。また、手術計画の最適化を図るため、気道の形と機能の評価を行うことが求められます。特にOSAリスクの高い患者に対しては、予防的な措置や術後のフォローアップを強化するためのガイドライン作成も検討すべきです。これにより、手術の安全性と患者の生活の質を向上させることが期待されます。
- 何のために?:
-
下あごの
手術 を受けた後に、のどが狭 くなってしまうことがあります。この研究では、その手術 がのどやあごにどんな影響 を与 えるかを調べました。また、 にどう寝 ているときの呼吸 ( 眠 っている間の息の仕方やパターンです。) 影響 するかも調べました。
- 何が分かったの?:
-
下あごの
手術 を受けた人たちを2つのグループに分けました。1つ目のグループでは、のどが狭 くなりました。でも、2つ目のグループでは、のどは狭 くなりませんでした。手術 の前後で、 に大きな寝 ているときの呼吸 ( 眠 っている間の息の仕方やパターンです。) 変化 はありませんでした。でも、特定 の人では、 が悪くなりました。呼吸 ( 息を吸 ったり吐 いたりすることです。)
- どうやったの?:
-
2010年8月から2011年12月までに40人の
患者 さんが手術 を受けました。手術 の前後に、 であごやのどの形を調べました。そして、CTスキャン ( コンピュータ断層 撮影 法 で、体の中の詳 しい写真を撮 る方法 です。) も調べました。寝 ているときの呼吸 ( 眠 っている間の息の仕方やパターンです。)
- 研究のまとめ:
-
この研究で、下あごの
手術 が短い期間では に大きな寝 ているときの呼吸 ( 眠 っている間の息の仕方やパターンです。) 影響 を与 えないことが分かりました。でも、年を取ったり太ったりすると、 が悪くなるかもしれません。だから、呼吸 ( 息を吸 ったり吐 いたりすることです。) 手術 を計画するときは、のどの形も考える必要 があります。患者 さんに合った手術 方法 を選 ぶことが大切です。
- これからどうする?:
-
これからは、もっと多くの
患者 さんを調べる必要 があります。長い期間での影響 も調べます。また、手術 の計画をもっと良 くするために、のどの形や機能 を評価 します。特 に、 が悪くなるリスクが高い人には、呼吸 ( 息を吸 ったり吐 いたりすることです。) 予防 や術後 のアフターケアを強化するガイドラインを作ります。これにより、手術 の安全性 と患者 さんの生活の質 を高めることが期待されます。
- 著者名:
- 上杉 崇史
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 43
- 号:
- 2
- ページ:
- 139 - 140
- 発行日:
- 2013-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000500
