論文詳細

医歯学系 大学院医歯学総合研究科(歯) #紀要論文

食道癌術後に両側反回神経麻痺を認めた一例

AI解説:
食道癌の手術後には、声を出すための神経が麻痺したり(反回神経麻痺(声を出すための神経が麻痺することです。これにより声が出にくくなったり、飲み込みにくくなったりします。))、食道が狭くなったりすることがあります。これによって、飲み込むことや呼吸が難しくなることが多いです。特に両方の反回神経が麻痺すると重度の飲み込み障害が起きて、肺炎などのリスクが高まります。本研究では、食道癌の手術後に両方の反回神経が麻痺し、飲み込みに問題がある患者に対してリハビリを行い、その効果を調べました。
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著者名:
小山 吉人, 真柄 仁, 谷口 裕重, 栗田 浩, 井上 誠
掲載誌名:
新潟歯学会雑誌
巻:
44
号:
1
ページ:
33 - 36
発行日:
2014-06
著者による要約:
症例は56歳男性で2012年12月頃に嚥下時のつかえ感を自覚,新潟大学医歯学総合病院消化器外科を受診し,進行性食道癌(T3N0M0 StageⅢ)の診断にて,2013年4月に右食道切除・3領域郭清術施行した。術後両側反回神経麻痺を生じ気管切開術施行,術後14日目に経口摂取再開目的に摂食嚥下回復部を受診した。初診時機能評価では,嗄声を認め,発声持続時間6秒,改定水飲みテストは3a点であった。嚥下内視鏡検査では,両側声門の正中固定,両側喉頭披裂の不全麻痺および嚥下時のホワイトアウト不良を認めたため,両側反回神経麻痺・咽頭圧形成不全を伴う嚥下咽頭期障害と診断した。間接訓練として,息こらえ訓練,プッシング訓練,直接訓練として,1%とろみ水を用いた訓練を開始した。訓練開始後7日目,嚥下造影検査施行し,液体での喉頭侵入,全粥・混合食にて咽頭残留が認められたが,複数回嚥下で誤嚥像なくクリアランスを保てた。以上の結果から,液体とろみ付け,全粥・半固形食(ペースト食)にて食事を開始した。その後嚥下間接訓練の継続,及び段階的な食上げを実施し,訓練開始後25日で経過良好につき自宅退院・外来通院となった。訓練開始後49日目の嚥下造影検査では,食道入口部直下の狭窄,食塊停滞を認め,消化器外科にて食道拡張術を施行,再評価し通過障害は改善した。吻合部位の食道停滞の再発が認められてはいるものの,現在も当科外来通院を1ヶ月単位で継続し,咽頭期の嚥下機能に関しては経過良好である。
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