論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
口底部の動脈分布の多様性とインプラント手術における血管損傷の可能性
- AI解説:
- 下顎骨へのインプラント手術の際には、重篤な口底部出血や血腫といった合併症が報告されており、これが生命の危険を伴うことがあります。これらの合併症は、手術時の器具による舌側皮質骨の穿孔が原因とされ、動脈からの出血が口底部軟組織へと波及し、時に気道閉塞を引き起こします。従来の教科書では口底部への栄養供給源は舌動脈とされていますが、近年の研究では顔面動脈の分枝であるオトガイ下動脈が関与していることが示唆されています。本研究の目的は、インプラント手術時の血管損傷による合併症を避けるために、オトガイ下動脈と舌下動脈、および下顎骨との三次元的な位置関係を調査することです。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
口底部の動脈分布の多様性とインプラント手術における血管損傷の可能性
AI解説
- 背景と目的:
-
下顎骨へのインプラント手術の際には、重篤な口底部出血や血腫といった合併症が報告されており、これが生命の危険を伴うことがあります。これらの合併症は、手術時の器具による舌側皮質骨の穿孔が原因とされ、動脈からの出血が口底部軟組織へと波及し、時に気道閉塞を引き起こします。従来の教科書では口底部への栄養供給源は舌動脈とされていますが、近年の研究では顔面動脈の分枝であるオトガイ下動脈が関与していることが示唆されています。本研究の目的は、インプラント手術時の血管損傷による合併症を避けるために、オトガイ下動脈と舌下動脈、および下顎骨との三次元的な位置関係を調査することです。
- 主要な発見:
-
舌下隙における血管の走行パターンを4つのタイプに分類し、それぞれの頻度を明らかにしました。特に、舌下動脈が欠如しオトガイ下動脈が舌下隙に分布するタイプ(type III)が29.6%、舌動脈の分枝としての舌深動脈が欠如するタイプ(type IV)が1.8%であることが判明しました。また、血管の本管が舌下腺の内側を走行するケース(subtype A)と外側を走行するケース(subtype B)を分類し、subtype Bの頻度が高い場合(type II、III、IV)ほど下顎骨に近接して走行することがわかりました。これにより、インプラント手術時に血管を損傷するリスクが高いことが示唆されました。
- 方法論:
-
本研究は、新潟大学歯学部および大学院医歯学総合研究科で行われた人体解剖学実習に用いられた27体(54側)の解剖体を対象に行われました。解剖体は男性14体、女性13体で、年齢は61歳から101歳(平均86.9歳)でした。研究は以下の2つのアプローチで実施されました。①オトガイ下動脈および舌下動脈と顎舌骨筋、舌下腺、下顎骨との解剖学的位置関係を調査し、走行パターンの類型化を行う。②顔面動脈、舌動脈、およびオトガイ下動脈基部の直径を計測し、走行パターンとの関連性を調査する。
- 結論と意義:
-
下顎骨へのインプラント手術時に、特にtype II、III、IVのオトガイ下動脈が損傷されるリスクが高いことが示されました。本研究により、オトガイ下動脈と舌下動脈の走行パターンに基づく危険因子の存在が明らかになり、これにより手術時の血管損傷リスクを予測するための新たな指標が提供されました。特に、舌下隙に走行する動脈(subtype B)の存在が重大な出血を引き起こす可能性が高いことが示唆されました。
- 今後の展望:
-
今後の研究では、造影CTと肉眼解剖を組み合わせたオトガイ下動脈と舌下動脈の評価が重要となります。術前診査としての造影CTの有用性を評価し、術前に口底部の動脈の三次元的な走行を詳細に把握することで、出血リスクを軽減する手法の確立が期待されます。また、深い舌下隙が認められる場合には、舌側穿孔を避けるための舌側フラップの形成やショート・テーパードインプラントの選択が提案されます。このような対策を通じて、インプラント手術の安全性を向上させることが目指されます。
- 背景と目的:
-
下顎骨にインプラントを埋め込む手術では、時々深刻な出血や血腫(血の塊)が発生することがあります。これらの合併症は、手術中に使う器具が舌側の骨を傷つけ、動脈から出血することで起こります。この出血が口の底の柔らかい部分に広がり、時には気道がふさがってしまうことがあります。これまでは、口の底に血を供給する主な動脈は舌動脈とされていましたが、最近の研究では、顔面動脈から枝分かれする
も関与している可能性が指摘されています。本研究の目的は、インプラント手術中に血管を傷つけないようにするために、オトガイ下動脈とオトガイ下動脈 ( オトガイ下動脈は顔面動脈の枝の一つで、顎の下の部分に血を供給する重要な動脈です。) 、それと下顎骨の位置関係を詳しく調査することです。舌下動脈 ( 舌下動脈は、舌動脈から枝分かれして口の底の部分に血を送る動脈です。)
- 主要な発見:
-
血管の走り方を4タイプに分け、それぞれの頻度を明らかにしました。特に、
がなく舌下動脈 ( 舌下動脈は、舌動脈から枝分かれして口の底の部分に血を送る動脈です。) が舌下隙に分布するタイプ(type III)が29.6%、舌動脈の枝である舌深動脈が欠如するタイプ(type IV)が1.8%であることがわかりました。また、血管がオトガイ下動脈 ( オトガイ下動脈は顔面動脈の枝の一つで、顎の下の部分に血を供給する重要な動脈です。) の内側を通るケース(subtype A)と外側を通るケース(subtype B)に分けたところ、subtype Bの場合(type II、III、IV)は下顎骨に近いことがわかりました。これによって、インプラント手術中に血管を傷つけるリスクが高いことが示されました。舌下腺 ( 舌下腺は、舌の下にある唾液を分泌する腺です。)
- 方法論:
-
この研究は、新潟大学で行われた人体解剖学実習に使われた27体の解剖体を対象に行いました。解剖体は男性14体、女性13体で、年齢は61歳から101歳(平均86.9歳)でした。研究は以下の2つのアプローチで行いました。①
とオトガイ下動脈 ( オトガイ下動脈は顔面動脈の枝の一つで、顎の下の部分に血を供給する重要な動脈です。) 、舌下動脈 ( 舌下動脈は、舌動脈から枝分かれして口の底の部分に血を送る動脈です。) や顎舌骨筋 ( 顎舌骨筋は、顎と舌をつなぐ筋肉で、口を閉じたり、舌を動かしたりする働きがあります。) 、下顎骨との位置関係を調べ、走行パターンを分類しました。②顔面動脈、舌動脈、およびオトガイ下動脈の基部の直径を計測し、走行パターンとの関連性を調査しました。舌下腺 ( 舌下腺は、舌の下にある唾液を分泌する腺です。)
- 結論と意義:
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インプラント手術中に特にtype II、III、IVの
が損傷されるリスクが高いことが示されました。本研究により、オトガイ下動脈とオトガイ下動脈 ( オトガイ下動脈は顔面動脈の枝の一つで、顎の下の部分に血を供給する重要な動脈です。) の走行パターンに基づく危険因子が明らかになり、手術中の血管損傷リスクを予測するための新たな指標が提供されました。特に、舌下隙を走行する動脈(subtype B)が重大な出血を引き起こす可能性が高いことがわかりました。舌下動脈 ( 舌下動脈は、舌動脈から枝分かれして口の底の部分に血を送る動脈です。)
- 今後の展望:
-
今後の研究では、
と肉眼解剖を組み合わせた造影CT ( 造影CTは、造影剤を使って体の内部を詳しく写し出すCTスキャンの一種です。) とオトガイ下動脈 ( オトガイ下動脈は顔面動脈の枝の一つで、顎の下の部分に血を供給する重要な動脈です。) の評価が重要です。術前に造影CTを使って口底部の動脈の走行を詳しく把握することで、出血リスクを減らす手法の確立が期待されます。また、深い舌下隙がある場合には、舌側を傷つけないように舌側フラップの形成やショート・テーパードインプラントの選択が提案されています。これらの対策を通じて、インプラント手術の安全性を向上させることが目指されます。舌下動脈 ( 舌下動脈は、舌動脈から枝分かれして口の底の部分に血を送る動脈です。)
- 何のために?:
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下あごに
を入れるインプラント ( 骨 に入れる人工の部品) 手術 で、たまに大きな出血が起こります。手術 で使う道具が、骨 を傷 つけることがあります。それで血がたくさん出てしまいます。この出血が、口の中に広がることもあります。ひどいときには、息ができなくなることもあります。今までは、 という舌 動脈 ( 舌 に血を送る血管 ) 血管 が主な原因 と言われていました。でも、最近 の研究では、 もオトガイ下 動脈 ( 口の中に血を送る血管 ) 関係 していることがわかりました。この研究の目的 は、インプラント手術 中に血管 を傷 つけないように、オトガイ下動脈 と の舌下 動脈 ( 舌 の下に血を送る血管 ) 位置 を調べることです。
- 何が分かったの?:
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血管 の通り道を4つのタイプに分けました。特 に、 がないタイプ(type III)が29.6%でした。舌下 動脈 ( 舌 の下に血を送る血管 ) の一部がないタイプ(type IV)は1.8%でした。舌 動脈 ( 舌 に血を送る血管 ) 血管 が の舌下 腺 ( 舌 の下にある唾液 を作る腺 ) 内側 を通る場合(subtype A)と外側 を通る場合(subtype B)に分けました。subtype Bのとき(type II、III、IV)は、下あごの骨 に近いことがわかりました。これで、手術 中に血管 を傷 つけるリスクが高いことがわかりました。
- どうやったの?:
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この研究は、新潟大学で行われました。27人の体を使いました。
男性 は14人、女性 は13人でした。年齢 は61歳 から101歳 まででした。まず、 とオトガイ下 動脈 ( 口の中に血を送る血管 ) の舌下 動脈 ( 舌 の下に血を送る血管 ) 位置 を調べました。そして、血管 の通り道を分類 しました。また、 、顔面 動脈 ( 顔に血を送る血管 ) 、オトガイ下舌 動脈 ( 舌 に血を送る血管 ) 動脈 の太さを測 りました。それから、通り道との関係 を調べました。
- 研究のまとめ:
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手術 中にtype II、III、IVの がオトガイ下 動脈 ( 口の中に血を送る血管 ) 傷 つくリスクが高いことがわかりました。この研究で、血管 の通り道がわかり、新しい指標 ができました。特 に、 を通る舌下 隙 ( 舌 の下にあるスペース) 血管 (subtype B)が、大きな出血を引き起こす可能性 が高いです。
- これからどうする?:
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これからの研究では、
と造影 CT( 体の中を詳 しく見るための検査 ) 解剖 を使った評価 が大事です。手術 の前に、詳 しく血管 の位置 を調べることができます。それで、出血のリスクを減 らすことが期待されます。また、深い がある場合には、舌下 隙 ( 舌 の下にあるスペース) 傷 つけないための方法 が提案 されています。これで手術 の安全性 が高まります。
- 著者名:
- 勝見 祐二
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 44
- 号:
- 1
- ページ:
- 45 - 46
- 発行日:
- 2014-06
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000510
