論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
ラット上喉頭神経電気刺激中における嚥下頻度の変化
- AI解説:
- 上喉頭神経(SLN)は迷走神経の一部であり、下咽頭および喉頭粘膜を神経支配しています。これまで、動物実験においてSLNへの連続電気刺激が嚥下反射を容易に誘発することが知られていましたが、SLN連続電気刺激が嚥下反射誘発やその神経機構にどのような影響をもたらすかは明確にされていませんでした。本研究の目的は、麻酔を施した動物モデルを用いて、SLN連続刺激が嚥下反射の順応に対してどのような神経メカニズムを持つかを明らかにすることです。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
ラット上喉頭神経電気刺激中における嚥下頻度の変化
AI解説
- 背景と目的:
-
上喉頭神経(SLN)は迷走神経の一部であり、下咽頭および喉頭粘膜を神経支配しています。これまで、動物実験においてSLNへの連続電気刺激が嚥下反射を容易に誘発することが知られていましたが、SLN連続電気刺激が嚥下反射誘発やその神経機構にどのような影響をもたらすかは明確にされていませんでした。本研究の目的は、麻酔を施した動物モデルを用いて、SLN連続刺激が嚥下反射の順応に対してどのような神経メカニズムを持つかを明らかにすることです。
- 主要な発見:
-
本研究では、SLN連続刺激により誘発された嚥下反射が時間とともに減少することが確認されました。また、刺激間に休息時間を設けることでこの減少が抑えられることが判明しました。さらに、SLN前刺激はその後の嚥下誘発を抑制し、特に同側のSLN誘発嚥下に対して頻度依存的な抑制効果を示しました。一方、反回神経や大脳皮質嚥下領域の刺激による嚥下誘発の減少は、SLN刺激によるものより小さかった。この結果は、持続的なSLN前刺激がSLN一次神経終末部のシナプス活動に影響を与える可能性を示唆しています。
- 方法論:
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実験には、ウレタン麻酔を施した44匹のSprague Dawley系雄性ラットを使用しました。嚥下の同定には、左側の顎舌骨筋および甲状舌骨筋から筋活動電位を導出しました。SLN、反回神経、大脳皮質嚥下領域への連続電気刺激により嚥下運動を誘発し、刺激強度と頻度を調整して実験を行いました。具体的には、SLNおよび反回神経刺激時の刺激頻度は30Hz、大脳皮質嚥下領域刺激時の刺激頻度は10Hzとしました。また、50秒間のSLN刺激の途中に休息時間を設け、誘発嚥下回数の変化を観察しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果から、SLN連続刺激が嚥下反射の順応に対して重要な役割を果たしていることが示されました。特に、持続的なSLN前刺激がSLN一次神経終末部でのシナプス活動に影響を与えることが示唆されました。また、嚥下反射誘発の減少には嚥下の中枢パターン発生器における順応も関与している可能性が示されました。これにより、嚥下障害の理解や治療において新たな視点が提供されると考えられます。
- 今後の展望:
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今後の研究では、SLN連続刺激がもたらす神経メカニズムの詳細をさらに解明することが求められます。特に、嚥下反射の順応に関与する中枢神経系の特定とそのシナプス活動の変化を明らかにすることが重要です。また、嚥下障害の治療法開発に向けて、SLN刺激がどのように応用できるかを検討することが期待されます。今後の研究が進展することで、嚥下障害患者への新たな治療戦略が開発される可能性があります。
- 背景と目的:
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は上喉頭神経(SLN) ( 喉の奥や声帯のあたりにある粘膜を動かす神経。迷走神経の一部です。) の一部で、喉の奥や声帯のあたりにある粘膜を動かす神経です。これまでの動物実験では、SLNに電気刺激を与えると飲み込む動作が起きやすくなることが知られていましたが、その詳しい仕組みはわかっていませんでした。この研究では、麻酔をかけた動物を使って、SLNに電気刺激を与えると飲み込む動作にどんな影響があるのかを調べることを目的としました。迷走神経 ( 体の多くの部分に影響を与える神経で、心臓や消化器官の働きを調節しています。)
- 主要な発見:
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この研究では、SLNに電気刺激を続けると、時間がたつにつれて飲み込む動作が減ることがわかりました。しかし、刺激の途中で休みを入れると、その減り方が少なくなることがわかりました。また、SLNに先に刺激を与えると、その後の飲み込む動作が抑えられることがわかりました。この抑えられる効果は、刺激の頻度によって変わりました。一方、他の神経に刺激を与えたときの飲み込む動作の減少は、SLNの刺激によるものほど大きくありませんでした。この結果から、SLNへの持続的な刺激が神経の活動に影響を与える可能性が示唆されました。
- 方法論:
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実験には、
をかけた44匹の雄性ラットを使いました。飲み込む動作を測定するために、ラットの顎や舌の筋肉の活動を記録しました。SLN、ウレタン麻酔 ( 動物実験で使われる麻酔の一種です。) 、大脳の飲み込む領域に電気刺激を与え、刺激の強さや頻度を調整して実験を行いました。具体的には、SLNや反回神経への刺激頻度は30Hz、大脳の飲み込む領域への刺激頻度は10Hzに設定しました。また、50秒間のSLN刺激の途中に休みを入れて、飲み込む動作の変化を観察しました。反回神経 ( 声帯を動かす神経です。)
- 結論と意義:
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この研究の結果から、SLNへの持続的な電気刺激が飲み込む動作の調節に重要な役割を果たしていることがわかりました。特に、持続的なSLNへの刺激が神経の終わり部分での活動に影響を与えることが示唆されました。また、飲み込む動作の減少には、脳の特定の部分が関与している可能性があることがわかりました。この研究は、飲み込む動作の障害の理解や治療に新しい視点を提供すると考えられます。
- 今後の展望:
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今後の研究では、SLNへの持続的な刺激がもたらす神経の仕組みをさらに詳しく解明することが求められます。特に、飲み込む動作の調節に関わる脳の部分とその活動の変化を明らかにすることが重要です。また、飲み込む動作の障害の治療法開発に向けて、SLN刺激がどのように応用できるかを検討することが期待されます。研究が進むことで、飲み込む動作の困難を抱える患者への新しい治療法が開発される可能性があります。
- 何のために?:
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は、のどや声を出すところにある上 喉頭 神経 (SLN)( のどや声を出すところにある神経 です。飲 み込 む動きにも関係 します。) です。動物の神経 ( 体の中で情報 を伝 える部分です。考えたり、動いたりするのに必要 です。) 実験 で、SLNに を流すと電気 ( エネルギーの一種 で、神経 に信号 を送るのに使います。) が起こることがわかっています。でも、どうしてそうなるのかはまだわかっていません。この研究では、飲 み込 む動き( 食べ物や飲み物を口から胃 に送る動きです。) をかけた動物でSLNに電気を流したとき、麻酔 ( 痛 みを感じないようにする薬です。) 飲 み込 む動きがどうなるかを調べました。
- 何が分かったの?:
-
この研究でわかったことは、SLNにずっと
を流すと、電気 ( エネルギーの一種 で、神経 に信号 を送るのに使います。) が少なくなることです。でも、飲 み込 む動き( 食べ物や飲み物を口から胃 に送る動きです。) 途中 で休むと、この減 り方が少なくなります。また、先にSLNに電気を流すと、その後の飲 み込 む動きが少なくなることもわかりました。この効果 は、電気を流す速さによって変 わります。他の に電気を流したときの神経 ( 体の中で情報 を伝 える部分です。考えたり、動いたりするのに必要 です。) 効果 は、SLNに比 べて小さいことがわかりました。
- どうやったの?:
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実験 には、 をかけた44麻酔 ( 痛 みを感じないようにする薬です。) 匹 のオスのラットを使いました。 を調べるために、ラットのあごや飲 み込 む動き( 食べ物や飲み物を口から胃 に送る動きです。) 舌 の の動きを筋肉 ( 体を動かすためのものです。手を動かしたり、歩いたりするときに使います。) 記録 しました。SLN、 、反回 神経 ( 声を出すときに使う神経 です。のどの筋肉 を動かします。) の大脳 ( 脳 の大きな部分で、考えたり感じたりするところです。) 飲 み込 むところに を流しました。電気の強さや速さを電気 ( エネルギーの一種 で、神経 に信号 を送るのに使います。) 変 えて実験 を行いました。SLNや反回神経 には30回毎秒、大脳 の飲 み込 むところには10回毎秒の電気を流しました。50秒間SLNに電気を流す間に休みを入れて、飲 み込 む動きがどう変 わるかを見ました。
- 研究のまとめ:
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この研究で、SLNにずっと
を流すと電気 ( エネルギーの一種 で、神経 に信号 を送るのに使います。) を飲 み込 む動き( 食べ物や飲み物を口から胃 に送る動きです。) 調節 する大事な役割 があることがわかりました。特 に、SLNへの電気が の終わり部分の動きに神経 ( 体の中で情報 を伝 える部分です。考えたり、動いたりするのに必要 です。) 影響 を与 えることが示 されました。また、飲 み込 む動きが少なくなるのは、脳 の特定 のところが関係 しているかもしれません。この研究は、飲 み込 む動きがうまくできない人の治療 に役立つかもしれません。
- これからどうする?:
-
これからの研究では、SLNへの
が電気 ( エネルギーの一種 で、神経 に信号 を送るのに使います。) にどう神経 ( 体の中で情報 を伝 える部分です。考えたり、動いたりするのに必要 です。) 影響 するかもっと詳 しく調べます。特 に、 の飲 み込 む動き( 食べ物や飲み物を口から胃 に送る動きです。) 調節 に関 わる脳 の部分とその動きを明らかにします。また、飲 み込 む動きがうまくできない人の治療 法 を探 るために、SLNへの電気がどう役立つかを考えます。研究が進むと、飲 み込 む動きが難 しい人たちへの新しい治療 方法 が見つかるかもしれません。
- 著者名:
- 辻 光順
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 45
- 号:
- 2
- ページ:
- 91 - 92
- 発行日:
- 2015-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000540
