論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
下顎歯肉扁平上皮癌の臨床的検討
- AI解説:
(かがくしにくがん)は、日本で舌癌(ぜつがん)に次いで多く発生する口の中の癌です。この癌は下顎歯肉癌 ( 下顎(あごの下)の歯茎に発生する癌。) (こつまく)がある限り骨に広がらないのですが、一度骨膜が壊れると骨に簡単に浸潤する特徴があります。本研究の目的は、新潟大学で治療された下顎歯肉骨膜 ( 骨の表面を覆っている膜で、骨の栄養や保護をする役割があります。) (かがくしにくへんぺいじょうひがん)の治療結果を分析し、治療成績を向上させることです。扁平上皮癌 ( 皮膚や粘膜の表面にある扁平上皮細胞から発生する癌。)
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
下顎歯肉扁平上皮癌の臨床的検討
AI解説
- 背景と目的:
-
下顎歯肉癌は日本における口腔癌の中で舌癌に次いで発生頻度が高く、約20%を占めています。骨膜が癌の下顎骨内への浸入を防ぎますが、一旦破壊されると容易に浸潤する特徴があります。本研究の目的は、新潟大学医歯学総合病院口腔再建外科で治療された下顎歯肉扁平上皮癌の臨床統計を分析し、治療成績向上を目指すことです。
- 主要な発見:
-
研究の結果、下顎歯肉扁平上皮癌の疾患特異的5年累積生存率は80.8%でした。T1+T2の患者群は84.6%、T3+T4の患者群は77.2%と生存率に有意差は認められませんでした。臨床病期別では、stage Ⅰ+Ⅱの患者群は84.4%、stage Ⅲ+Ⅳの患者群は79.1%で、こちらも有意差はありませんでした。リンパ節転移の有無による生存率の差も統計的に有意ではありませんでしたが、再発や局所再発の発見と治療が生存率に影響を与えることが示されました。
- 方法論:
-
本研究では、1995年1月から2008年12月までの14年間に新潟大学医歯学総合病院に初診した下顎歯肉扁平上皮癌の患者42例を対象としました。TNM分類、臨床病期、治療法、再建法、リンパ節転移の様式、再発の様式、生存率などが検討されました。生存率はKaplan-Meier法を用いて算出し、Log rank testを用いて各群間の生存率を比較しました。統計解析にはSPSS Statistics 17.0 for Windowsを使用し、危険率5%以下を統計学的有意差ありとしました。
- 結論と意義:
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研究の結果、下顎歯肉扁平上皮癌の治療成績は他の口腔癌と同程度に良好であることが確認されました。特に、再発の早期発見と適切な局所切除範囲の設定が治療成績に重要であることが示されました。外科療法が基本であり、再建法としては金属プレートや遊離骨皮弁が主に使用されました。局所再発の防止には軟組織の十分な切除が不可欠とされ、術後の画像診断によるフォローアップが重要であることが強調されました。
- 今後の展望:
-
今後は、より審美的で機能回復を目指した手術が求められます。具体的には、腓骨皮弁や肩甲骨皮弁を用いた再建の技術を進め、歯科インプラントによる機能回復を図ることが重要です。また、invasive typeの骨吸収様式と頸部リンパ節転移が予後因子として明らかにされているため、これらの症例を予測し、治療成績向上を目指したさらなる研究が必要です。術後2年以内の慎重な経過観察が再発防止に重要であり、早期発見と早期治療を推進する体制を整備していくことが期待されます。
- 背景と目的:
-
(かがくしにくがん)は、日本で舌癌(ぜつがん)に次いで多く発生する口の中の癌です。この癌は下顎歯肉癌 ( 下顎(あごの下)の歯茎に発生する癌。) (こつまく)がある限り骨に広がらないのですが、一度骨膜が壊れると骨に簡単に浸潤する特徴があります。本研究の目的は、新潟大学で治療された下顎歯肉骨膜 ( 骨の表面を覆っている膜で、骨の栄養や保護をする役割があります。) (かがくしにくへんぺいじょうひがん)の治療結果を分析し、治療成績を向上させることです。扁平上皮癌 ( 皮膚や粘膜の表面にある扁平上皮細胞から発生する癌。)
- 主要な発見:
-
研究の結果、下顎歯肉
の患者の5年累積生存率は80.8%でした。腫瘍の大きさ(T1とT2の患者)は84.6%、(T3とT4の患者)は77.2%と生存率に有意差はありませんでした。また、臨床病期別では初期の患者(stage ⅠとⅡ)は84.4%、進行した患者(stage ⅢとⅣ)は79.1%で、こちらも有意差はありませんでした。リンパ節転移の有無による生存率の差も有意ではありませんでしたが、再発が生存率に影響を与えることが分かりました。扁平上皮癌 ( 皮膚や粘膜の表面にある扁平上皮細胞から発生する癌。)
- 方法論:
-
本研究では、1995年1月から2008年12月までの14年間に新潟大学医歯学総合病院で初診した下顎歯肉
の患者42例を対象としました。扁平上皮癌 ( 皮膚や粘膜の表面にある扁平上皮細胞から発生する癌。) (腫瘍の大きさと広がりの分類)、臨床病期、治療法、再建法、リンパ節転移、再発の様式、生存率などを調べました。生存率はTNM分類 ( 腫瘍(Tumor)、リンパ節(Node)、遠隔転移(Metastasis)の3つの要素で癌の進行度を表す分類。) という方法で計算し、Kaplan-Meier法 ( 患者の生存率を分析するための統計手法。) というテストで各グループの生存率を比較しました。統計解析にはSPSS Statistics 17.0というソフトを使用し、危険率5%以下を統計学的に有意としました。Log rank test ( 異なるグループ間の生存率を比較するためのテスト。)
- 結論と意義:
-
研究の結果、下顎歯肉
の治療成績は他の口腔癌(こうくうがん)と同じくらい良いことがわかりました。特に、再発を早く発見し、適切に切除することが治療成績に重要であることが示されました。治療は主に外科療法で行われ、再建には金属プレートや扁平上皮癌 ( 皮膚や粘膜の表面にある扁平上皮細胞から発生する癌。) (ゆうりこつひべん)が使われました。再発を防ぐためには、軟組織(なんそしき)の十分な切除と術後の画像診断によるフォローアップが重要です。遊離骨皮弁 ( 自分の骨と皮膚を一緒に移植する方法。)
- 今後の展望:
-
今後は、見た目も機能も回復するような手術が求められます。具体的には、
(ひこつひべん)や腓骨皮弁 ( 腓骨という足の骨を使って再建する方法。) (けんこうこつひべん)を使った再建技術の向上や、歯科インプラントによる機能回復が重要です。また、骨吸収様式や頸部リンパ節転移が予後因子として重要であるため、これらを予測し、治療成績向上を目指した研究が必要です。術後2年以内の慎重な経過観察が再発防止に重要であり、早期発見と早期治療を進める体制が期待されます。肩甲骨皮弁 ( 肩甲骨という肩の骨を使って再建する方法。)
- 何のために?:
-
下あごの歯ぐきにできるがんは、日本で多いがんの一つです。このがんは、
骨 の膜 が壊 れると骨 に広がります。この研究は、新潟大学で治療 されたがんの結果 を調べて、治療 をよくすることが目的 です。
- 何が分かったの?:
-
研究の
結果 、下あごの歯ぐきのがんの患者 の5年生きる確率 は80.8%でした。がんの大きさによって生きる確率 に違 いはありませんでした。がんの進み具合でも大きな違 いはありませんでした。ただし、がんが再 び出ると、生きる確率 に影響 があることが分かりました。
- どうやったの?:
-
この研究では、1995年1月から2008年12月までに新潟大学で
初 めて診察 を受けた42人の患者 を調べました。がんの大きさや広がり、治療 方法 、生きる確率 などを見ました。生きる確率 は特別 な方法 で計算し、違 いがあるかを調べました。
- 研究のまとめ:
-
研究の
結果 、下あごの歯ぐきのがんの治療 が他の口の中のがんと同じくらい良 いことが分かりました。特 に、がんが再 び出ないように早く見つけて治療 することが大切です。手術 でがんを取ることが主な治療 です。がんが出ないように、手術 後の検査 が大事です。
- これからどうする?:
-
これからは、見た目や口の
働 きをよくする手術 が必要 です。骨 を使った や歯のインプラントが再建 技術 ( 手術 で失 った部分を元に戻 す技術 のことです。) 重要 です。また、骨 の状態 や首のリンパ 節 のがんがどうなるかを予測 する研究が必要 です。手術 後の2年間はよく見て、早くがんを見つけて治療 する体制 が求 められます。
- 著者名:
- 船山 昭典, 三上 俊彦, 金丸 祥平, 小田 陽平, 新美 奏恵, 芳澤 享子, 新垣 晋, 小林 正治
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 46
- 号:
- 2
- ページ:
- 77 - 82
- 発行日:
- 2016-12
- 著者による要約:
- Squamous cell carcinoma (SCC) of the lower gingiva is the second most common oral cancer in Japan, accounting for about 20% of oral cancers. The treatment result of patients with SCC of the lower gingiva is relatively better than other site of oral cancer. We repot treatment result of the forty-two patients, consisted of 23 men and 19 women, with SCC of the lower gingiva who had presented to our department between January 1995 and December 2008. Thirty-nine patients were treated definitively by surgery with or without chemotherapy and radiotherapy. Twenty-six out of the 39 patients had reconstructed of the mandible with various methods. Eighteen (69.2%) were reconstructed with titanium plates and 6 (23.1%) were free vascularized bone flap. The 5-year disease specific survival rates of T1, 2 (n=23) and T3, 4 (n=19) were 84.6% and 77.2% (P=0.220), respectively, and stage I,II (n=16) and stageⅢ, Ⅳ were 84.4% and 79.1%, respectively (P=0.384). Local recurrence and subsequent cervical lymph node metastasis were observed in ten patients. In all cases with local recurrence, relapse developed in the soft tissue adjacent to the soft-tissue surgical margin. In 9 recurred patients who had performed salvage surgery were carried out, and subsequently, 7 were successfully salvaged. For obtaining the better outcomes, clear soft tissue surgical margins and early detection of local recurrence and subsequent neck metastasis that are in resectable are essential.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000554
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