論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
顎矯正手術が顎変形症患者のQOLに及ぼす影響
- AI解説:
- 顎変形症は、顎顔面の形態異常や咬合異常を含む疾患であり、患者の心理面に影響を及ぼすことが知られています。外科的矯正治療は顎変形症患者の心理面に陽性の影響を与えるとされていますが、全ての患者が治療結果に満足しているわけではありません。QOL(Quality of life)は医療評価研究において重要なアウトカムとされていますが、日本では顎変形症患者のQOL調査の報告が少なく、患者の心理を複雑な視点から詳しく分析する研究も不足しています。本研究は、顎矯正手術が顎変形症患者の口腔関連QOLに及ぼす影響を量的手法で明らかにし、さらに質的手法を用いて外科的矯正治療による患者の心理・社会的変化の過程を解析することを目的としています。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
顎矯正手術が顎変形症患者のQOLに及ぼす影響
AI解説
- 背景と目的:
-
顎変形症は、顎顔面の形態異常や咬合異常を含む疾患であり、患者の心理面に影響を及ぼすことが知られています。外科的矯正治療は顎変形症患者の心理面に陽性の影響を与えるとされていますが、全ての患者が治療結果に満足しているわけではありません。QOL(Quality of life)は医療評価研究において重要なアウトカムとされていますが、日本では顎変形症患者のQOL調査の報告が少なく、患者の心理を複雑な視点から詳しく分析する研究も不足しています。本研究は、顎矯正手術が顎変形症患者の口腔関連QOLに及ぼす影響を量的手法で明らかにし、さらに質的手法を用いて外科的矯正治療による患者の心理・社会的変化の過程を解析することを目的としています。
- 主要な発見:
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顎矯正手術前後の口腔関連QOLを比較した結果、手術前の患者は対照群と比較してQOLが低い傾向が見られました。手術後では、機能の制限や精神的不快感を除いて、患者のQOLが有意に向上しました。また、年齢や骨格性分類、術後の顎関節症状や開口障害の有無がQOLに影響を与えることが示されました。質的手法による解析では、患者が治療を決断し、治療が終了するまでの心理・社会的変化の過程において、友人や家族、同病者の影響が大きいことが明らかになりました。治療終了後には達成感や喜び、自信が芽生え、社会生活における積極性が向上することがわかりました。
- 方法論:
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研究は二つの部分に分かれています。第一の研究では、2013年12月から2015年6月に顎矯正手術を受けた65名の顎変形症患者を対象とし、対照群として歯科的知識を持たない14名の女性を設定しました。口腔関連QOLの評価にはOHIP-J54を用い、手術前と術後6か月時に評価を行い、統計解析にはWilcoxonの符号付順位和検定、Mann-WhitneyのU検定、Kruskal-Wallis検定を使用しました。第二の研究では、手術後1年6か月以上経過し、臨床的に術後経過が良好な女性患者6名を対象とし、半構造化面接による聞き取り調査を行い、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)を用いて解析しました。
- 結論と意義:
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本研究は、量的手法と質的手法を組み合わせることにより、顎変形症患者の口腔関連QOLとその心理・社会的変化のプロセスを詳細に解析することができました。量的手法では、顎矯正手術がQOLに及ぼす影響を明らかにし、質的手法では、治療過程における患者の心理・社会的な変化を具体的に理解することができました。これにより、顎変形症患者に対する治療の総合的な評価が可能となり、患者のQOL向上に寄与する治療計画の策定に役立てることが期待されます。
- 今後の展望:
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本研究では対象者を術後1年半以上経過した患者に限定し、データを回顧的に収集したため、初診時から治療が終了するまでの各時点における詳細な変化は明らかにできませんでした。今後は、初診時から治療終了までの各時点での調査を行うことで、治療の進行に伴う新たな一面を明らかにすることが期待されます。また、より多くの患者を対象にした研究を行い、顎変形症患者の心理・社会的変化の詳細なプロセスを解明することで、より効果的な治療法やサポート体制を構築することが可能となるでしょう。
- 背景と目的:
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というのは、顎の形やかみ合わせに問題がある病気です。この病気は患者さんの心にも影響を与えることがあります。手術でこれを治すと、多くの患者さんは心が楽になりますが、全員が手術に満足するわけではありません。QOL(Quality of Life、生活の質)は医療の効果を測る大事な指標ですが、日本ではこの病気の患者さんのQOLを詳しく調べた研究が少ないです。そこで、この研究では顎矯正手術が患者さんのQOLにどんな影響を与えるのかを調べ、さらに手術が患者さんの心や社会的な変化にどう影響するのかを解析することを目的としています。顎変形症 ( 顎の形やかみ合わせに問題がある病気です。)
- 主要な発見:
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顎矯正手術を受ける前後で患者さんのQOLを比べたところ、手術前の患者さんは、一般の人と比べてQOLが低いことがわかりました。しかし、手術後は機能の制限や精神的不快感を除いて、QOLが大きく向上しました。年齢や骨の状態、手術後の症状の有無がQOLに影響することもわかりました。また、手術を決意してから終わるまでの心の変化には、友人や家族の影響が大きいこともわかりました。手術が終わると、達成感や喜び、自信が生まれ、社会生活で積極的になることがわかりました。
- 方法論:
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研究は2つの部分に分かれています。1つ目の研究では、2013年12月から2015年6月に顎矯正手術を受けた65名の患者さんを対象にしました。対照群として、歯科的知識のない14名の女性を選びました。口腔関連QOLの評価には
という方法を使い、手術前と手術6か月後に評価を行いました。統計解析の方法として、Wilcoxon、Mann-Whitney、Kruskal-Wallis検定を使いました。2つ目の研究では、手術後1年半以上経過し、経過が良好な女性患者6名を対象に、半構造化面接による聞き取り調査を行いました。解析にはOHIP-J54 ( 口腔関連QOLを評価するための質問票です。) を使用しました。グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA) ( データに基づいて理論を導き出す方法で、人々の生活や経験について研究するのに適しています。)
- 結論と意義:
-
この研究では、量的手法と質的手法を組み合わせることで、
患者さんのQOLとその心理・社会的変化のプロセスを詳細に解析することができました。量的手法では、顎矯正手術がQOLに与える影響が明らかになり、質的手法では、手術過程での心理・社会的な変化を具体的に理解することができました。これにより、患者さんのQOL向上に役立つ治療計画を立てることが期待されます。顎変形症 ( 顎の形やかみ合わせに問題がある病気です。)
- 今後の展望:
-
今回の研究では、手術後1年半以上経過した患者さんに限定したため、治療の進行に伴う詳細な変化は明らかにできませんでした。今後は、初診時から治療終了までの各時点での調査を行い、治療の進行に伴う新たな一面を明らかにすることが期待されます。また、より多くの患者さんを対象にした研究を行い、
患者さんの心理・社会的変化の詳細なプロセスを解明することで、より効果的な治療法やサポート体制を構築することが可能となるでしょう。顎変形症 ( 顎の形やかみ合わせに問題がある病気です。)
- 何のために?:
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は、あごの形やかみ合わせに問題がある病気です。この病気は、心の元気も少なくします。顎 変形 症 ( あごの形やかみ合わせに問題がある病気) で手術 ( 病気やけがを治 すために体を切ったりする医療 行為 ) 治 すと、心も元気になります。でも、みんなが満足 するわけではありません。 は、QOL(生活の 質 )( 生活がどれだけ良 いかを表すもの) 医療 の効果 を見るための大事なものです。日本では、顎 変形 症 のQOLについてあまり研究がありません。だから、この研究では、手術 がQOLにどう影響 するかを調べます。また、手術 が心や社会生活にどんな変化 をもたらすかも見ます。
- 何が分かったの?:
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の前後でQOLを手術 ( 病気やけがを治 すために体を切ったりする医療 行為 ) 比 べました。手術 前は、一般 の人よりQOLが低 かったです。でも、手術 後は、QOLがとても良 くなりました。年齢 や骨 の状態 、手術 後の がQOLに症状 ( 病気やけがのときに体に現 れる変化 や感じること) 影響 することもわかりました。手術 を決めるとき、友だちや家族のサポートが大事です。手術 が終わると、嬉 しくなり、自信 がわいてきます。そして、元気に社会で活動できるようになります。
- どうやったの?:
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研究は2つに分けました。1つ目は、2013年12月から2015年6月に
を受けた65人の手術 ( 病気やけがを治 すために体を切ったりする医療 行為 ) 患者 さんを対象 にしました。 (対照 群 ( 比 べるために選 ばれたグループ) 比 べるためのグループ)として、歯科の知識 がない14人の女性 を選 びました。OHIP-J54という方法 で、手術 前と手術 6か月後にQOLを調べました。 (データを統計 解析 ( データを詳 しく調べる方法 ) 詳 しく調べること)には、Wilcoxon、Mann-Whitney、Kruskal-Wallis検定 を使いました。2つ目は、手術 後1年半経 った女性 患者 6人にインタビューしました。解析 には を使いました。グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA) ( インタビューで集めた情報 を分析 する方法 )
- 研究のまとめ:
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この研究では、いろいろな
方法 で、 のQOLと心や社会の顎 変形 症 ( あごの形やかみ合わせに問題がある病気) 変化 を詳 しく調べました。 がQOLにどう手術 ( 病気やけがを治 すために体を切ったりする医療 行為 ) 影響 するかがわかりました。また、手術 中の心や社会の変化 もわかりました。これで、患者 さんのQOLを良 くするための治療 計画が立てられるでしょう。
- これからどうする?:
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今回の研究は、
後1年半手術 ( 病気やけがを治 すために体を切ったりする医療 行為 ) 経 った患者 さんに限 られました。治療 の途中 の変化 はわかりませんでした。今後は、最初 の診察 から治療 が終わるまでの変化 を調べます。また、もっとたくさんの患者 さんを調べて、心や社会の変化 を詳 しく知りたいです。これで、もっと良 い治療 方法 やサポートができるようになるでしょう。
- 著者名:
- 倉部 華奈
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 46
- 号:
- 2
- ページ:
- 97 - 98
- 発行日:
- 2016-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000558
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