論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
麻酔下ウサギにおける上喉頭神経刺激時三叉神経核ニューロンの興奮性変調
- AI解説:
- この研究は、
という顔の神経に弱い刺激を与えると口を開ける反射(三叉神経 ( 顔の感覚を司る神経で、咀嚼(そしゃく)や顔の動きを調整します。) )が起こることから始まります。しかし、この反射は食事中には抑えられることがわかっています。さらに、開口反射 ( 口が自然に開く反射動作のことです。) を電気で刺激すると、飲み込む動作(嚥下)中にもこの反射が抑えられることがわかっています。この研究の目的は、SLNを刺激したときにどうして開口反射が抑えられるのか、そして三叉神経の働きがどう変わるのかを調べることです。上喉頭神経(SLN) ( 喉を支配する神経で、飲み込む動作に関与します。)
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
麻酔下ウサギにおける上喉頭神経刺激時三叉神経核ニューロンの興奮性変調
AI解説
- 背景と目的:
-
本研究は、三叉神経への低閾値刺激で誘発される開口反射が、咀嚼中に抑制されることが知られている点からスタートしています。さらに、上喉頭神経(SLN)を電気刺激することで誘発される嚥下時にも開口反射が抑制されることが報告されています。本研究の目的は、SLNによって誘発される嚥下時における開口反射および三叉神経核ニューロンの変調メカニズムを明らかにすることにあります。
- 主要な発見:
-
SLN刺激によって嚥下反射が誘発され、その回数は刺激強度に依存して増加しました。さらに、IAN刺激によって応答する三叉神経核の27個の単一ニューロンの活動を観察した結果、SLN刺激中および刺激後に活動が消失するニューロンが確認されました。この抑制効果は、SLN刺激の強度に依存することが示されました。また、ほとんどのニューロンはSLN刺激によってIAN刺激の応答潜時が延長し、特に長潜時のニューロン群で顕著な延長が見られました。
- 方法論:
-
実験はウレタン麻酔下の雄性ウサギを用いて行いました。SLN刺激(30 Hz)は嚥下が生じる強度を1Tとし、2T、4T、8Tの刺激強度を使用しました。顎二腹筋および顎舌骨筋の筋電図を用いて開口反射と嚥下反射を記録しました。IANへの電気刺激を行い、IANに応答する三叉神経核の単一ニューロンを同定しました。SLN刺激前・中・後でのニューロン活動を比較しました。記録終了後には電気凝固し、脳幹の凍結切片を組織学的に確認しました。
- 結論と意義:
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研究結果から、IAN刺激に応答する三叉神経核の単一ニューロン活動はSLN刺激時および刺激終了後にも抑制を受けることが示されました。これにより、嚥下運動そのものではなく、下位脳幹の嚥下パターン発生器(CPG)の神経活動が三叉神経活動に影響を与え、円滑な嚥下運動を実現するために口腔内の低閾値な感覚入力が遮断されることが示唆されました。また、長潜時ニューロンが短潜時ニューロンよりも強く変調を受けることが明らかになり、三叉神経の一次求心性神経終末だけでなく、多シナプスを介した介在ニューロンレベルでも変調が起きている可能性が示されました。
- 今後の展望:
-
本研究の結果は、嚥下運動の理解に新たな知見を提供し、特に嚥下障害の治療やリハビリテーションに役立つ可能性があります。今後は、SLNと三叉神経の相互作用を更に詳細に解析し、CPGの具体的な役割やその調節メカニズムを解明することが期待されます。また、異なる動物モデルやヒトでの研究を通じて、本研究結果の普遍性を確認し、臨床応用への道を探る必要があります。さらには、嚥下運動と他の口腔機能との関連性を研究することで、包括的な口腔内機能障害の理解と治療法の開発が促進されるでしょう。
- 背景と目的:
-
この研究は、
という顔の神経に弱い刺激を与えると口を開ける反射(三叉神経 ( 顔の感覚を司る神経で、咀嚼(そしゃく)や顔の動きを調整します。) )が起こることから始まります。しかし、この反射は食事中には抑えられることがわかっています。さらに、開口反射 ( 口が自然に開く反射動作のことです。) を電気で刺激すると、飲み込む動作(嚥下)中にもこの反射が抑えられることがわかっています。この研究の目的は、SLNを刺激したときにどうして開口反射が抑えられるのか、そして三叉神経の働きがどう変わるのかを調べることです。上喉頭神経(SLN) ( 喉を支配する神経で、飲み込む動作に関与します。)
- 主要な発見:
-
SLNを刺激すると、飲み込みの反射が起こり、その回数は刺激の強さによって増えました。また、27個の
の細胞(三叉神経 ( 顔の感覚を司る神経で、咀嚼(そしゃく)や顔の動きを調整します。) )の活動を観察したところ、SLNを刺激している間とその後に活動が消えるニューロンが見つかりました。この抑制効果は、SLNの刺激の強さに依存していました。さらに、多くのニューロンはSLNの刺激の結果、反応するまでの時間が長くなり、特に反応が遅いニューロンでその効果が顕著でした。ニューロン ( 神経細胞のことです。)
- 方法論:
-
この実験は、麻酔をかけたオスのウサギを使って行いました。30Hzの強さでSLNを刺激して飲み込みの反射を誘発しました。刺激の強さは1T、2T、4T、8Tと変えて行いました。顎の筋肉の電気活動を記録して、
と飲み込み反射を調べました。また、IANに電気刺激を与えて、これに応答する開口反射 ( 口が自然に開く反射動作のことです。) の三叉神経 ( 顔の感覚を司る神経で、咀嚼(そしゃく)や顔の動きを調整します。) を特定しました。SLNを刺激する前・中・後でニューロンの活動を比較しました。実験の終了後、脳の組織を確認しました。ニューロン ( 神経細胞のことです。)
- 結論と意義:
-
この研究の結果、IANに応答する
の三叉神経 ( 顔の感覚を司る神経で、咀嚼(そしゃく)や顔の動きを調整します。) 活動は、SLNを刺激している間とその後でも抑えられることがわかりました。これにより、飲み込み動作の際に口の中の感覚が遮断されることで、スムーズに飲み込むことができると示されました。また、反応が遅いニューロンが強く変わることがわかり、複数の神経を通じて変化が起きている可能性が示されました。ニューロン ( 神経細胞のことです。)
- 今後の展望:
-
この研究結果は、飲み込みの動作を理解する新しい知識を提供し、特に嚥下障害の治療やリハビリに役立つ可能性があります。今後は、SLNと
の関係をさらに詳しく調べたり、別の動物や人間での研究を通じて、この研究結果の一般性を確認し、臨床応用を目指す必要があります。また、飲み込み動作と他の口の機能との関連性を研究することで、包括的な治療法の開発に繋がるでしょう。三叉神経 ( 顔の感覚を司る神経で、咀嚼(そしゃく)や顔の動きを調整します。)
- 何のために?:
-
顔にある
という三叉 神経 ( 顔にある神経 で、顔の感覚 や動きをコントロールします。) 神経 をちょっと刺激 すると、口が開きます。でも食べているときは口が開きません。 を電気で上 喉頭 神経 (SLN)( 飲 み込 むときに関 わる神経 です。) 刺激 すると、飲 み込 むときも口が開かないことがわかりました。この研究では、SLNを刺激 したときにどうして口が開かないかを調べます。
- 何が分かったの?:
-
SLNを
刺激 すると、飲 み込 みが増 えました。また、27個 の の三叉 神経 ( 顔にある神経 で、顔の感覚 や動きをコントロールします。) 細胞 ( )の動きを見ました。SLNのニューロン ( 神経 の細胞 で、体中の情報 を伝 える役割 をします。) 刺激 でニューロンの動きがなくなりました。この効果 は、刺激 が強いほど大きくなりました。多くのニューロンは、反応 するのに時間がかかりました。特 に反応 が遅 いニューロンでその効果 が大きかったです。
- どうやったの?:
-
この
実験 は、 をかけたオスのウサギを使いました。30Hzの強さでSLNを麻酔 ( 痛 みを感じなくする薬です。) 刺激 して、飲 み込 みを起こしました。刺激 の強さは4つのレベルで行いました。 の電気活動を顎 の筋肉 ( 口を動かすための筋肉 です。) 記録 して、口が開く と反射 ( 体が無意識 に反応 する動きです。) 飲 み込 み反射 を調べました。IANに を電気 刺激 ( 電気を使って体の一部を刺激 する方法 です。) 与 えて、 の三叉 神経 ( 顔にある神経 で、顔の感覚 や動きをコントロールします。) の動きを見ました。SLNをニューロン ( 神経 の細胞 で、体中の情報 を伝 える役割 をします。) 刺激 する前・中・後でニューロンの活動を比 べました。最後 に、脳 の組織 を確認 しました。
- 研究のまとめ:
-
この研究で、IANに
反応 する の三叉 神経 ( 顔にある神経 で、顔の感覚 や動きをコントロールします。) は、SLNをニューロン ( 神経 の細胞 で、体中の情報 を伝 える役割 をします。) 刺激 する間とその後でも動きが弱くなることがわかりました。これで、飲 み込 み中に口の中の感覚 がなくなり、スムーズに飲 み込 めることがわかりました。また、反応 が遅 いニューロンが強く変 わることがわかりました。
- これからどうする?:
-
この研究は、
飲 み込 みを理解 する新しい知識 を提供 します。特 に、飲 み込 みがうまくできない人の治療 や に役立つことが期待されます。今後は、SLNとリハビリ ( けがや病気の後に、体を元気にするための運動や治療 です。) の三叉 神経 ( 顔にある神経 で、顔の感覚 や動きをコントロールします。) 関係 をさらに詳 しく調べます。また、他の動物や人間での研究をして、この研究結果 がどんな場合でも当てはまるか確認 します。飲 み込 みと他の口の機能 との関係 も研究して、包括的 な治療 法 を開発します。
- 著者名:
- 酒井 翔悟
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 46
- 号:
- 2
- ページ:
- 99 - 100
- 発行日:
- 2016-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000559
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