論文詳細
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#学術雑誌論文
Convergence in LINE-1 nucleotide variations can benefit redundantly forming triplexes with lncRNA in mammalian X-chromosome inactivation
- AI解説:
- X染色体不活化(X-chromosome inactivation: XCI)は、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)であるXist/XISTが、将来不活化されるX染色体(Xi)からcisに広がり、染色体全体の遺伝子サイレンシングと抑制的クロマチンの形成を促す、用量補償の過程である。長年の謎として、XistとヒトXISTは機能的には類似している一方で、エクソン配列の類似性が比較的低い(66%)こと、また有袋類のXCI lncRNAであるRsxは、Xist/XISTと同程度のクロマチン被覆とサイレンシング機能を持つにもかかわらず、Xist/XISTとの相同性が検出できないことが挙げられる。このような配列保存性の弱さは、RNA–クロマチン結合を媒介する特定の配列モチーフや相互作用パートナーの同定を妨げてきた。過去の欠失研究からは、Xistには低親和性で機能的に冗長な局在化配列が転写産物全体に分散して複数存在することが示唆されていた。並行して、Lyon repeat hypothesisでは、LINE-1(L1)リピートがXistの拡散を助ける「way stations」として働くと提案されたが、高解像度マッピングにより単純な配列特異的モデルには疑義も呈されている。lncRNAがRNA–dsDNA triplexモジュールを介してDNAに関与しうるという考え(ただしin vivo証拠には現時点で限界があることを認めつつ)に基づき、本研究は、マウス・ヒト・オポッサムにおいて、Xist/XIST/Rsx RNAとゲノム反復配列—とりわけL1—との間に、広範で低親和性かつ(潜在的に)協同的なtriplex形成を可能にしうる、短く冗長な配列モチーフを同定することを目的とする。
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#学術雑誌論文
Convergence in LINE-1 nucleotide variations can benefit redundantly forming triplexes with lncRNA in mammalian X-chromosome inactivation
AI解説
- 背景と目的:
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X染色体不活化(X-chromosome inactivation: XCI)は、長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)であるXist/XISTが、将来不活化されるX染色体(Xi)からcisに広がり、染色体全体の遺伝子サイレンシングと抑制的クロマチンの形成を促す、用量補償の過程である。長年の謎として、XistとヒトXISTは機能的には類似している一方で、エクソン配列の類似性が比較的低い(66%)こと、また有袋類のXCI lncRNAであるRsxは、Xist/XISTと同程度のクロマチン被覆とサイレンシング機能を持つにもかかわらず、Xist/XISTとの相同性が検出できないことが挙げられる。このような配列保存性の弱さは、RNA–クロマチン結合を媒介する特定の配列モチーフや相互作用パートナーの同定を妨げてきた。過去の欠失研究からは、Xistには低親和性で機能的に冗長な局在化配列が転写産物全体に分散して複数存在することが示唆されていた。並行して、Lyon repeat hypothesisでは、LINE-1(L1)リピートがXistの拡散を助ける「way stations」として働くと提案されたが、高解像度マッピングにより単純な配列特異的モデルには疑義も呈されている。lncRNAがRNA–dsDNA triplexモジュールを介してDNAに関与しうるという考え(ただしin vivo証拠には現時点で限界があることを認めつつ)に基づき、本研究は、マウス・ヒト・オポッサムにおいて、Xist/XIST/Rsx RNAとゲノム反復配列—とりわけL1—との間に、広範で低親和性かつ(潜在的に)協同的なtriplex形成を可能にしうる、短く冗長な配列モチーフを同定することを目的とする。
- 主要な発見:
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著者らは、中性pHでHoogsteen型triplex形成を支持すると予測される短いRNAモチーフ(≥5 nt)を「redundant UC(r-UC)モチーフ」、reverse Hoogsteen相互作用を支持する相補的なクラスを「r-AGモチーフ」と定義した。バイオインフォマティクスによる走査の結果、r-UCおよびr-AGモチーフはXist/XIST/Rsx RNA全体に高密度かつ広範に分布していた。具体的には、17-kbのマウスXistではr-UCが210箇所(8.4%)、r-AGが150箇所(5.5%)、19-kbのヒトXISTではr-UCが255(9.0%)、r-AGが162(5.7%)、24-kbのオポッサムRsxではr-UCが287(7.7%)、r-AGが542(18.3%)であった。モチーフは、いずれか一方のモチーフ型が強く優勢な領域にクラスター化し(例:真獣類のXist/XISTではE repeatsと重なるr-UCの濃縮、Rsxでは大きなr-AG優勢領域)、また5,000 nt以上の他のヒトlncRNA 44種と比較すると、XIST/Xistのr-UC/r-AG比は異常に高い(1.60および1.51)のに対し、Rsxは低い(0.48)ことが示された。特にKCNQ1ot1(0.32)およびMEG3 variant 16(0.34)も非常に低かった。RNA二次構造解析からは、モチーフのうち一本鎖ループ部分として利用可能である可能性が高い部分は、ゲノム上の生の出現よりも短く、典型的に約5–9(または10)ntであり、機能的にtriplex形成可能なセグメントはしばしば短いことが示唆された。
DNA側では、L1はr-AGモチーフが強く濃縮(占有率約12.0–17.4%)し、r-TC占有率は低い(約2.7–3.1%)という傾向が、種間およびL1の長さクラス間で一貫して見られた。一方L2は逆のパターン(r-TC占有率約13.6–21.8%に対しr-AG約2.3–2.7%)を示した。重要な点として、L1におけるr-AGモチーフ長の分布は、L1長の違いをまたいで統計的に類似しており、種間でも広く類似していた(典型的に5–11 nt)。複数のサブファミリーから全長L1同士をペアにして比較すると、古いL1ペアでは一次配列や、対応位置におけるr-AGモチーフの同一性が大きく異なり(しばしば<60%、時に<20%)、それでも全体のr-AG占有率(ヒト10.1–15.0%、マウス13.5–16.3%、オポッサム18.9–20.9%)とモチーフ長分布(多くがKS distance < 0.100)が類似して保たれていた。著者らはこれを、配列の入れ替わり(sequence turnover)が起きてもモチーフ統計が維持されるような、収斂的な塩基変異パターンとして解釈した。in vitroでは、CD spectroscopyとQCM測定により、これらのモチーフが媒介するDNA–RNA triplex様相互作用の形成が支持され、多くのモチーフ構成で解離定数(Kd)は典型的に10−4〜10−5 M、弱い場合で約10−3 Mであった。短いモチーフであっても連続配置された短モチーフは親和性を高めうることが示された。さらにMonte Carloシミュレーションは、多数の弱い結合部位(例:N = 20)と、リンカーによる探索加速を組み合わせることで解離確率が大きく低下しうることを示し、協同的かつ冗長な結合モデルと整合的であった。
- 方法論:
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本研究は、モチーフ探索、RNA構造情報に基づくフィルタリング、反復配列の比較解析、in vitro生物物理、ならびに速度論シミュレーションを統合している。バイオインフォマティクスでは、XIST/Xist/Rsxの参照配列(NR_001564/NR_001463/JQ937282)、hg38/mm10/monDom5におけるRepeatMasker注釈のLINE内容、そして5,000 nt以上のよく特徴づけられたヒトlncRNA 44種を用いた。著者らは、Hoogsteen/reverse Hoogsteenのtriplex規則から導かれる明示的制約(連続塩基数の上限を含む)に基づき、r-UC(RNA)およびr-AG(RNA/DNA)モチーフを同定するための特化ツールDNAMotifFinderを実装した。オポッサムのLINEについては、Rsxのr-AG優勢に合わせてパラメータを変更した。モチーフ分布は、カウント、占有率、比(r-UC/r-AGまたはr-TC/r-AG)、長さ分布として要約し、群間のモチーフ長分布の類似性はKolmogorov–Smirnov(KS)distanceで定量化した。構造的にアクセス可能なモチーフ推定のため、著者らはMfoldを用いてRsxの選択領域およびXist exon 1の一領域(既報のinversion/deletion区間を含む)の局所RNA二次構造を予測し、ヘアピンまたは内部の一本鎖ループに位置するモチーフ塩基を手動で数えた。さらに、先行研究に基づくXistのSHAPE-MaP由来構造領域を用いて同様の手順を反復した。
反復配列解析では、L1およびL2ファミリーの染色体レベルの割合を算出し、LINE長分布を調べたうえで、長さビンにわたってL1とL2をサンプリングし、モチーフ占有率を評価した。配列分岐の検定では、種ごとに複数サブファミリーからL1ペア(>6,000 bp)を選び、BLASTでアラインしてidentity/gapsを得て、r-AGモチーフの同一性と位置対応を比較した。実験検証では、L1およびlncRNA配列に由来するdsDNAオリゴ(27–31 mer)とRNAオリゴ(26–27 mer)を設計し、モチーフに基づく20の組合せ(対照を含む)を、Hoogsteenまたはreverse Hoogsteenの向きにおける単一/複数モチーフのペアリング型に分類した。triplex関連のコンフォメーション指標はcircular dichroism(CD)で評価し、結合親和性と動態は、ビオチン化dsDNAをNeutrAvidinで固定化してRNAを注入するquartz crystal microbalance(QCM)により定量し、KdはAQUA softwareで算出した。最後に、簡略化した多部位結合モデルについて、kon = 0.002およびkoff = 0.2/step(最も弱い測定相互作用を反映するよう選定)とし、結合部位数(N)と、リンカー拘束下の探索を表す加速因子(A)を変化させるMonte Carloシミュレーションを実行した。
- 結論と意義:
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本論文は、Xist/XIST/Rsx RNAと哺乳類L1要素が、Hoogsteenまたはreverse Hoogsteen塩基対形成を通じてDNA–RNA triplex形成を媒介しうる短い配列モチーフを豊富に共有しており、各相互作用は個別には弱いが、冗長性と協同性により有効になりうる、という仮説を提案する。著者らは、これらのモチーフ系が、Xistの冗長な局在化配列という従来の示唆と整合し、L1が拡散の基盤になるとするLyon repeat hypothesisとも広く両立する、分散型の低親和性クロマチン結合の機構枠組みを与えると主張する。中心的な概念的貢献として、lncRNAの一次配列とLINE配列の双方が急速に分岐しても、triplex形成に関係するモチーフ統計は保存されうる、という点を挙げる。すなわちXist/XIST/Rsxは特徴的なr-UC/r-AGバランスのパターンを維持し、L1は特定のモチーフ実体や周辺配列が大きく変化しても、r-AGモチーフ占有率とモチーフ長分布を類似した形で保つという。in vitroのCDおよびQCMデータは、短いモチーフに基づくDNA–RNA接触がtriplex様構造を形成しうることを支持する証拠として提示され、Kdは主に10−3〜10−5 Mの範囲であった。シミュレーションは、多数の結合部位とリンカー効果により解離が強く抑制されうることを示した。著者らは限界も強調している。生細胞内のtriplexを直接証明することは依然として難しく、QCMにも制約(オリゴマー長や粘弾性減衰など)があり、多部位結合の正確なKd値は定義しにくい。それでも著者らは、多モチーフtriplex相互作用を、hnRNPU/SAF-AなどのRNA–タンパク質–DNAモジュールや核内3D構造と並行して働く、より広いモジュール型lncRNA–クロマチン結合機構の一要素として位置づけている。
- 今後の展望:
-
著者らは今後、短いUC(TC)/AGモチーフの機能的役割の解明と、(G, T)-motifsを含む追加のtriple-helixモチーフクラスの探索に取り組むとしている。また、モチーフの利用可能性はlncRNAの三次元フォールディングによって制約され、モチーフ間の「linkers」と局所的なクロマチンアクセシビリティが、協同的結合が実効的に成立するかどうかの決定因子になりうるが、これらの要因は現在のシミュレーション枠組みには十分に組み込まれていないことが明記されている。さらに本論文は、こうした冗長で弱い相互作用が、RNA–タンパク質複合体や核内での空間的近接に基づく標的化など、Xist機能として提案されてきた他の機構とどのように統合されるべきか、またXist内のモチーフバランス(例:配列inversionにより変化しうる)が、RNA内部でのアニーリングとRNA–DNA triplex形成の競合を通じてクロマチン結合にどう影響するかの評価が必要であることを示唆している。最後に、決定的なin vivoのtriplex証拠が欠ける点への慎重さを保ちつつも、著者らはこのモチーフ枠組みを、Xist/XIST/Rsxの局在化とXCI拡散における配列依存的要素をより標的化して実験的に検証するための基盤として提示している。
- 背景と目的:
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は、女性などが持つ2本のX染色体のうち1本を働かない状態にして、X染色体上の遺伝子の働きすぎを防ぐ仕組みです。このとき、X染色体不活化 ( 2本あるX染色体のうち1本の働きを弱めたり止めたりして、X染色体上の遺伝子が働きすぎないようにする仕組みです。性別による遺伝子量の差を調整するために重要です。) またはヒトではXist ( マウスで見つかったlncRNAで、X染色体不活化を進める中心的なRNAです。不活化されるX染色体に広がり、遺伝子を止める方向に働きます。) という長いRNAが、不活化される側のX染色体の上に広がって、遺伝子のはたらきを止める方向に進めます。XIST ( ヒトのXistに対応するlncRNAです。配列は完全には似ていなくても、X染色体不活化で似た役割を果たします。)
しかし不思議なことに、マウスXistとヒトXISTは働きが似ているのに配列の似かたは高くなく、さらに有袋類の は働きが似ているのにXist/XISTと配列の共通点が見つかりませんでした。そのため、RNAが染色体に結びつくための「共通の合図(配列)」が何なのかが分かりにくい状況でした。Rsx ( 有袋類でX染色体不活化に関わるlncRNAです。XistやXISTと配列の共通性はほとんど見えませんが、染色体に広がって遺伝子を抑える働きが似ています。)
そこで本研究は、マウス・ヒト・オポッサムで、Xist/XIST/RsxのRNAと、ゲノム中の (特にL1)との間に、短い配列のくり返しがたくさんあることで、弱い結合を多数つくって全体として結びつきやすくなる仕組みがありうるのかを調べ、その短い反復配列 ( 同じようなDNA配列がゲノム中に何度も出てくる部分です。L1やL2などが代表で、染色体の性質や進化とも関係します。) を見つけることを目的としました。特にDNAとRNAが配列モチーフ ( ある働きに関係しやすい短い塩基配列のパターンです。本研究では、三重らせんに関係しうる短い並びをモチーフとして扱います。) (triplex)を作る可能性に注目しました。三重らせん ( DNAの二重らせんに、別のRNAやDNAの鎖が追加で結びついて3本鎖になる構造です。RNAが特定のDNAに結びつく仕組みの候補として注目されています。)
- 主要な発見:
-
研究チームは、
を作りやすいと予測される短いRNA配列を2種類に整理しました。中性に近い条件で三重らせんを助けると考えられるものを三重らせん ( DNAの二重らせんに、別のRNAやDNAの鎖が追加で結びついて3本鎖になる構造です。RNAが特定のDNAに結びつく仕組みの候補として注目されています。) 、別タイプの結びつきを助ける相補的なものをr-UCモチーフ ( 三重らせん形成を助ける可能性がある短いRNA配列で、UとCを中心にした並びとして定義されたものです。同じような短いモチーフがたくさんあることが重要だと考えられています。) としました。r-AGモチーフ ( r-UCモチーフと組み合わさって結合を作る側の短い配列として定義されたものです。L1などのDNA側に多い傾向があり、三重らせん形成の相手候補になります。)
コンピュータ解析の結果、これらのモチーフは /Xist ( マウスで見つかったlncRNAで、X染色体不活化を進める中心的なRNAです。不活化されるX染色体に広がり、遺伝子を止める方向に働きます。) /XIST ( ヒトのXistに対応するlncRNAです。配列は完全には似ていなくても、X染色体不活化で似た役割を果たします。) のRNA全体に高い密度で広く分布していました。また、場所によってどちらかのモチーフが特に多い「かたまり」もありました。ほかの長いヒトRsx ( 有袋類でX染色体不活化に関わるlncRNAです。XistやXISTと配列の共通性はほとんど見えませんが、染色体に広がって遺伝子を抑える働きが似ています。) 44種類と比べると、Xist/XISTはr-UCが多めという特徴的な比率を示し、Rsxは逆にr-AGが多めという傾向でした。lncRNA ( タンパク質の設計図にはならないが、遺伝子の働きを調整するなど重要な役割を持つ長いRNAです。XistやXISTやRsxがこれに当たります。)
さらにRNAが折りたたまれた形を考えると、実際に外側に出ていて使えそうなモチーフ部分はだいたい5から9文字程度と短くなる可能性が高いことが示されました。
DNA側の では、L1にはr-AGに当たる並びが多く、L2はその逆の傾向でした。重要なのは、L1は配列そのものが古いものほど大きく変わっていても、r-AGモチーフがどれくらい含まれるかや、モチーフの長さの分布がよく似た形で保たれていた点です。研究チームはこれを、配列が入れ替わっても結果として似た特徴が残るような変化が起きた可能性として解釈しました。反復配列 ( 同じようなDNA配列がゲノム中に何度も出てくる部分です。L1やL2などが代表で、染色体の性質や進化とも関係します。)
実験室内の測定では、これらの短いモチーフを使ったDNAとRNAの三重らせんに似た結合が起こりうることが示され、結合は強くはないものの、短いモチーフが続いて並ぶと結合が強まりうることも示されました。さらに計算機シミュレーションからは、弱い結合部位が多数あり、つながり(リンカー)が探索を助けると、全体として外れにくくなる可能性が示されました。
- 方法論:
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まず、
の規則にもとづいてr-UCと三重らせん ( DNAの二重らせんに、別のRNAやDNAの鎖が追加で結びついて3本鎖になる構造です。RNAが特定のDNAに結びつく仕組みの候補として注目されています。) を探す専用ツールを作り、r-AGモチーフ ( r-UCモチーフと組み合わさって結合を作る側の短い配列として定義されたものです。L1などのDNA側に多い傾向があり、三重らせん形成の相手候補になります。) /Xist ( マウスで見つかったlncRNAで、X染色体不活化を進める中心的なRNAです。不活化されるX染色体に広がり、遺伝子を止める方向に働きます。) /XIST ( ヒトのXistに対応するlncRNAです。配列は完全には似ていなくても、X染色体不活化で似た役割を果たします。) の配列全体を走査しました。次に、RNAが折りたたまれた予測構造を使い、実際に外側に出ていて結合に使えそうなモチーフがどれくらい短くなるかを調べました。Rsx ( 有袋類でX染色体不活化に関わるlncRNAです。XistやXISTと配列の共通性はほとんど見えませんが、染色体に広がって遺伝子を抑える働きが似ています。)
DNA側は、ゲノム注釈情報を使ってL1やL2などの を集め、モチーフがどの程度含まれるか、長さごとの分布が似ているかなどを比較しました。反復配列 ( 同じようなDNA配列がゲノム中に何度も出てくる部分です。L1やL2などが代表で、染色体の性質や進化とも関係します。)
さらに、短いDNA断片とRNA断片を合成して、 という方法で三重らせんに特徴的な変化が出るかを見たり、CD ( 分子の形や構造変化を光の性質から調べる方法です。三重らせんができたときに特徴的な変化が出ることがあります。) という装置で結合の強さを数値化したりしました。最後に、多数の弱い結合が協力して外れにくくなるかを、モンテカルロ法によるシミュレーションで確かめました。QCM ( センサー表面に固定した分子に別の分子が結合する様子を、振動の変化として測る方法です。結合の強さや速さを数値化できます。)
- 結論と意義:
-
本研究は、
/Xist ( マウスで見つかったlncRNAで、X染色体不活化を進める中心的なRNAです。不活化されるX染色体に広がり、遺伝子を止める方向に働きます。) /XIST ( ヒトのXistに対応するlncRNAです。配列は完全には似ていなくても、X染色体不活化で似た役割を果たします。) のRNAとL1などのRsx ( 有袋類でX染色体不活化に関わるlncRNAです。XistやXISTと配列の共通性はほとんど見えませんが、染色体に広がって遺伝子を抑える働きが似ています。) の間に、短い反復配列 ( 同じようなDNA配列がゲノム中に何度も出てくる部分です。L1やL2などが代表で、染色体の性質や進化とも関係します。) を使ったDNAとRNAの配列モチーフ ( ある働きに関係しやすい短い塩基配列のパターンです。本研究では、三重らせんに関係しうる短い並びをモチーフとして扱います。) に似た結合が多数生じうる、という考え方を提案しました。1つ1つの結合は弱くても、同じような短い結合部位がたくさんあることで、全体としては染色体にとどまりやすくなる可能性があります。三重らせん ( DNAの二重らせんに、別のRNAやDNAの鎖が追加で結びついて3本鎖になる構造です。RNAが特定のDNAに結びつく仕組みの候補として注目されています。)
また、 やL1の配列が進化の中で大きく変化しても、「モチーフがどれくらい含まれるか」「どの長さが多いか」といった統計的な特徴は保たれうる、という点を重要な結論として示しました。lncRNA ( タンパク質の設計図にはならないが、遺伝子の働きを調整するなど重要な役割を持つ長いRNAです。XistやXISTやRsxがこれに当たります。)
一方で、生きた細胞の中で三重らせんが本当に主要な役割を果たしているかを直接証明するのはまだ難しく、今回の実験や測定法にも限界があることが強調されています。それでも、RNAとDNAの弱い多数の結合は、RNAとタンパク質を介した仕組みや、核の立体構造による近さの効果などと一緒に働く要素になりうる、と位置づけられました。
- 今後の展望:
-
今後は、短いUCやAGのモチーフが細胞内で本当に必要かどうかを、より直接的に確かめることが課題です。また、別タイプの
モチーフの探索も進めるとしています。三重らせん ( DNAの二重らせんに、別のRNAやDNAの鎖が追加で結びついて3本鎖になる構造です。RNAが特定のDNAに結びつく仕組みの候補として注目されています。)
さらに、RNAは立体的に折りたたまれるため、モチーフが実際に使えるかどうかは形によって変わります。モチーフ同士をつなぐ部分や、DNA側がどれだけ開いているかといった条件も、協力的な結合が成立するかを左右するため、今後のモデルや実験に取り入れる必要があると述べられています。
- 何のために?:
-
女の人は、
を2本持ちます。Xのせんい体 ( 性別 に関係 する情報 が入った体で女の人はふつう2本持ちます:この2本のうち1本を休ませるしくみの説明 に必要 です)
でも、2本ともよく働 くと困 ります。
そのため、1本を休ませるしくみがあります。
このとき、 という長いXist ( Xの1本を休ませるために働 く長いRNAの名前です:どのRNAが働 く話なのかをはっきりさせる大事な言葉です) がRNA ( 体の中で遺伝子 の情報 を使うときに活躍 する物質 です:この文章ではDNAや遺伝子 を止めるしくみと関係 します) 働 きます。
人では、 とよばれます。XIST ( 人でのXistの呼 び名です:動物によって名前が違 うことを示 すために出てきます)
このRNAが、休むXに広がります。
そして、 を止める方へ進めます。遺伝子 ( 体のつくり方や働 き方の説明 が入った情報 です:Xを休ませると遺伝子 の働 きが止まるため重要 です)
でも、ふしぎなことがありました。
マウスと人のRNAは、ならびが似 ていません。
それでも、はたらきはよく似 ています。
さらに、 のオポッサム ( 動物の名前です:人やマウスとちがう動物でも似 たしくみがあるか比 べるために必要 です) もRsx ( オポッサムでXを休ませる働 きに関係 する長いRNAの名前です:別 の動物でも同じような役割 があることを説明 する中心になります) 似 た働 きです。
でも、ならびの共通点 が見つかりません。
そこで、研究チームは考えました。
RNAがXにくっつく合図があるのでは、と。
短い文字のならびが大事かもしれません。
それが、たくさんあるかを調べました。
とくに、 とRNAがDNA ( 遺伝子 の情報 が入った物質 です:RNAがDNAにくっつくかどうかの話の土台になります) になる形に注目しました。3本組 ( DNAとRNAが3本いっしょの形で結 びつくことを指します:この研究の新しい考え方の中心です)
- 何が分かったの?:
-
研究チームは、短い合図を2つに分けました。
1つは、 です。r-UCモチーフ ( RNAの中にあるUCを中心にした短い合図の型 です:どんな合図が多いかを調べるために使います)
もう1つは、 です。r-AGモチーフ ( RNAの中にあるAGを中心にした短い合図の型 です:r-UCとくらべて特徴 のちがいを見るために必要 です)
で調べました。コンピュータ ( 計算や調べものをする機械 です:合図がどこにどれだけあるかを大量 に調べるのに使います)
すると、合図は の全体に多くありました。RNA ( 体の中で遺伝子 の情報 を使うときに活躍 する物質 です:この文章ではDNAや遺伝子 を止めるしくみと関係 します)
場所によって、多いかたまりもありました。
ほかの長いRNAとも比 べました。
やXist ( Xの1本を休ませるために働 く長いRNAの名前です:どのRNAが働 く話なのかをはっきりさせる大事な言葉です) は、r-UCが多めでした。XIST ( 人でのXistの呼 び名です:動物によって名前が違 うことを示 すために出てきます)
は、r-AGが多めでした。Rsx ( オポッサムでXを休ませる働 きに関係 する長いRNAの名前です:別 の動物でも同じような役割 があることを説明 する中心になります)
RNAは、くるくる折 りたたまれます。
外に出て使えそうな合図は、短いと分かりました。
だいたい、5〜9文字くらいになりそうです。
のくり返しの部分も調べました。DNA ( 遺伝子 の情報 が入った物質 です:RNAがDNAにくっつくかどうかの話の土台になります)
には、r-AGに当たるならびが多めでした。L1 ( DNAにたくさんあるくり返しのならびの種類 の1つです:合図のならびが多いかどうかを調べる対象 になります)
は、その反対のようでした。L2 ( DNAにたくさんあるくり返しのならびの種類 の1つです:L1と反対の特徴 があるか比 べるために出ます)
L1は古くて形が変 わっていても、大事な特徴 が残 りました。
合図の多さや、長さの出方が似 ていました。
実験 でも確 かめました。
短い合図で、DNAとRNAが結 びつけそうでした。
1つの結 びつきは、強くありません。
でも、合図が続 くと、強まりそうでした。
計算でも、たくさんあると外れにくいと出ました。
- どうやったの?:
-
まず、合図を見つける道具を作りました。
そして、 などのXist ( Xの1本を休ませるために働 く長いRNAの名前です:どのRNAが働 く話なのかをはっきりさせる大事な言葉です) を全部調べました。RNA ( 体の中で遺伝子 の情報 を使うときに活躍 する物質 です:この文章ではDNAや遺伝子 を止めるしくみと関係 します)
次に、RNAの折 りたたみの形も考えました。
外に出る合図が、どれくらい短いかを見ました。
では、DNA ( 遺伝子 の情報 が入った物質 です:RNAがDNAにくっつくかどうかの話の土台になります) やL1 ( DNAにたくさんあるくり返しのならびの種類 の1つです:合図のならびが多いかどうかを調べる対象 になります) を集めてL2 ( DNAにたくさんあるくり返しのならびの種類 の1つです:L1と反対の特徴 があるか比 べるために出ます) 比 べました。
合図がどれくらいあるかを数えました。
長さの出方が似 ているかも調べました。
そのあと、短いDNAとRNAを作りました。
というCD ( 光を使って分子の形の変化 をたしかめる方法 の名前です:DNAやRNAの形が変 わったかを見るために必要 です) 方法 で、形の変化 を見ました。
というQCM ( とても小さな重さの変化 からくっつき方をはかる機械 です:DNAとRNAの結 びつきの強さを測 るために使います) 機械 で、結 びつきの強さもはかりました。
最後 に、計算で外れにくさも確 かめました。
- 研究のまとめ:
-
この研究は、新しい考え方を出しました。
短い合図で、 とDNA ( 遺伝子 の情報 が入った物質 です:RNAがDNAにくっつくかどうかの話の土台になります) がRNA ( 体の中で遺伝子 の情報 を使うときに活躍 する物質 です:この文章ではDNAや遺伝子 を止めるしくみと関係 します) のように3本組 ( DNAとRNAが3本いっしょの形で結 びつくことを指します:この研究の新しい考え方の中心です) 結 べるかもです。
弱い結 びつきでも、たくさんあれば助けになります。
その結果 、RNAがXにとどまりやすくなるかもしれません。
また、ならびが変 わっても、特徴 は残 るかもです。
たとえば、合図の多さや長さの出方です。
ここが大事な結論 だと示 しました。
ただし、細胞 の中で本当に起きているかは、まだむずかしいです。
今回の実験 にも、できることの限界 があります。
それでも、弱い結 びつきは役に立つかもしれません。
の助けや、近さの力とも合わさりそうです。たんぱくしつ ( 体の中でいろいろな働 きをする物質 です:RNAやDNAの結 びつきを助けるかもしれない要素 として重要 です)
- これからどうする?:
-
これからは、
細胞 の中で確 かめる必要 があります。
UCやAGの合図が、本当に必要 かを調べます。
ほかのタイプの合図さがしも進めます。
は形がRNA ( 体の中で遺伝子 の情報 を使うときに活躍 する物質 です:この文章ではDNAや遺伝子 を止めるしくみと関係 します) 変 わるので、使える合図も変 わります。
合図をつなぐ部分も大事です。
がどれだけ開いているかもDNA ( 遺伝子 の情報 が入った物質 です:RNAがDNAにくっつくかどうかの話の土台になります) 関係 します。
これらも入れて、もっとよい実験 やモデルにします。
- 著者名:
- Matsuno Yoko, Yamashita Takefumi, Wagatsuma Michiru, Yamakage Hajime
- 掲載誌名:
- Mobile DNA
- 巻:
- 10
- ページ:
- 1 - 23
- 発行日:
- 2019-07
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000653
