論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
フィリピン国マンダウエ市における小児の公私立学校就学による齲蝕有病,成長発育および食習慣の違いとそれらの相互関連
- AI解説:
- 本研究は、フィリピンのマンダウエ市において、公立学校と私立学校に通う学童の齲蝕有病状況、成長発育、口腔保健状況および食習慣の違いを調査することを目的としています。齲蝕は先進国では減少傾向にありますが、開発途上国では依然として深刻な問題です。フィリピンでは小児の齲蝕有病率が高く、特に公立学校就学児においてその状況が顕著です。しかし、私立学校就学児についてのデータは限られており、この研究はそのギャップを埋めることを目指しています。公立学校と私立学校の就学児の間で齲蝕有病状況にどのような差異があるか、またそれに影響を与える要因(例:親の学歴、家庭の経済状況など)を明らかにすることが本研究の背景および目的です。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
フィリピン国マンダウエ市における小児の公私立学校就学による齲蝕有病,成長発育および食習慣の違いとそれらの相互関連
AI解説
- 背景と目的:
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本研究は、フィリピンのマンダウエ市において、公立学校と私立学校に通う学童の齲蝕有病状況、成長発育、口腔保健状況および食習慣の違いを調査することを目的としています。齲蝕は先進国では減少傾向にありますが、開発途上国では依然として深刻な問題です。フィリピンでは小児の齲蝕有病率が高く、特に公立学校就学児においてその状況が顕著です。しかし、私立学校就学児についてのデータは限られており、この研究はそのギャップを埋めることを目指しています。公立学校と私立学校の就学児の間で齲蝕有病状況にどのような差異があるか、またそれに影響を与える要因(例:親の学歴、家庭の経済状況など)を明らかにすることが本研究の背景および目的です。
- 主要な発見:
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研究の結果、齲蝕有病状況において公立学校就学児が私立学校就学児よりも有病率が高いことが判明しました。しかし、私立学校就学児も先進国と比較すると有病状況は良好とは言えません。成長発育においては、私立学校就学児の方が身長が高く、成長が進んでいることが示されましたが、私立学校就学児は肥満傾向があることも分かりました。さらに、口腔保健に対する意識や知識に関しても公立学校就学児およびその保護者が私立学校就学児およびその保護者よりも低いことが示され、その差は保護者の方が大きいことが確認されました。
- 方法論:
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フィリピン共和国マンダウエ市の公立学校および私立学校に通う6歳児と12歳児を対象に、歯科検診、身体測定、および質問紙調査を行いました。調査対象は、公立学校就学児が83名、私立学校就学児が97名です。歯科検診は1名の歯科医師がWHOの基準に従って実施し、身長と体重を測定してBMIを算出しました。質問紙調査は保護者に対しては自記式、12歳児に対しては聞き取り式で行い、口腔保健行動、食習慣、齲蝕に関する知識などの情報を収集しました。統計解析にはStata14を用い、平均値の比較には対応のないt検定、割合の比較にはカイ二乗検定を使用しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果、フィリピンの公立学校就学児は私立学校就学児に比べて齲蝕有病率が高く、成長発育も遅れていることが明らかになりました。私立学校就学児の齲蝕有病状況も先進国と比較して良好とは言えず、フィリピン全体として歯科保健対策が十分でない現状が示されました。口腔保健に対する意識や知識量についても、私立学校就学児およびその保護者が公立学校就学児およびその保護者よりも高く、その差は保護者の間でより大きいことが確認されました。これらの結果は、経済状況や教育環境が齲蝕有病状況や健康意識に影響を与えることを示唆し、保健政策の改善が求められます。
- 今後の展望:
-
今後の研究では、公立学校や私立学校におけるフッ化物洗口の実施状況や保健指導の情報を詳細に収集し、さらに広範なサンプル数を用いた実態調査を行うことが求められます。フィリピン全土での包括的なデータ収集と分析を通じて、より正確な齲蝕有病状況の実態とその要因を明らかにすることが重要です。また、保護者の教育や経済状況に基づいた効果的な介入プログラムの開発と実施、及び公衆衛生政策の強化が必要です。将来的には、フィリピン全体で小児齲蝕の有病率を低減させるために、政策レベルでの取り組みが求められます。
- 背景と目的:
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この研究は、フィリピンのマンダウエ市で公立学校と私立学校に通う子どもたちの虫歯の状況、成長、歯の健康状態、食習慣の違いを調べることを目的としています。虫歯は先進国では減ってきていますが、開発途上国ではまだ深刻な問題です。フィリピンでは特に公立学校に通う子どもたちの虫歯が多いですが、私立学校の子どもたちについてのデータは少ないので、この研究でそのギャップを埋めることを目指しています。
- 主要な発見:
-
研究の結果、公立学校の子どもたちは私立学校の子どもたちよりも虫歯の割合が高いことが分かりました。しかし、私立学校の子どもたちも先進国と比べるとそれほど良い状況ではありませんでした。また、私立学校の子どもたちの方が背が高く、成長が進んでいる一方で、肥満の傾向があることも分かりました。さらに、歯の健康に対する意識や知識についても公立学校の子どもたちやその保護者が私立学校の子どもたちやその保護者よりも低いことが分かりました。
- 方法論:
-
フィリピンのマンダウエ市で、公立学校と私立学校に通う6歳と12歳の子どもたちを対象に、歯科検診、身体測定、質問紙調査を行いました。公立学校からは83名、私立学校からは97名が参加しました。歯科検診は1名の歯科医師が
の基準に従って行い、身長と体重を測定してWHO ( 世界保健機関のことです。国際的な公衆衛生の問題に取り組んでいる組織です。) を計算しました。質問紙調査は保護者には自分で記入してもらい、12歳の子どもたちには聞き取り調査を行い、歯の健康に関する行動や食習慣、虫歯に関する知識を集めました。BMI ( ボディ・マス・インデックスの略で、身長と体重から計算される体格指数です。肥満や低体重を判断する基準になります。)
- 結論と意義:
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この研究で、公立学校の子どもたちは私立学校の子どもたちに比べて虫歯が多く、成長も遅れていることが分かりました。私立学校の子どもたちも先進国と比べると、虫歯の状況は良くありませんでした。また、歯の健康に対する意識や知識も私立学校の子どもたちやその保護者の方が高いことが分かりました。これらの結果から、経済状況や教育環境が虫歯の状況や健康意識に影響を与えていることが示されています。
- 今後の展望:
-
今後の研究では、公立学校や私立学校でのフッ化物洗口の実施状況や保健指導の情報を詳しく調べ、さらに多くのサンプルを使って実態調査を行うことが必要です。フィリピン全体でのデータ収集と分析を通じて、より正確な虫歯の状況とその要因を明らかにすることが重要です。また、保護者の教育や経済状況に基づいた効果的な介入プログラムの開発と実施、公衆衛生政策の強化が求められます。将来的には、フィリピン全体で子どもの虫歯を減らすために、政策レベルでの取り組みが必要です。
- 何のために?:
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この研究は、フィリピンのマンダウエ市で学校に通う子どもたちの歯の
健康 を調べるものです。公立学校と私立学校 の子どもたちの虫歯の違 いや、食べ物の習慣 についても調べました。虫歯は、日本などでは減 っていますが、フィリピンなどではまだ多いです。特 に公立学校の子どもたちには虫歯が多いので、私立学校 の子どもたちの状況 も知ろうとしています。
- 何が分かったの?:
-
研究では、公立学校の子どもたちの方が
私立学校 の子どもたちよりも虫歯が多いことが分かりました。でも、私立学校 の子どもたちの方が成長 が早く、背 が高いことも分かりました。ただし、私立学校 の子どもたちは太り気味の傾向 があります。また、公立学校の子どもたちや親は、歯の健康 についての知識 が少ないことも分かりました。
- どうやったの?:
-
6
歳 と12歳 の子どもたちを対象 に、歯の検査 や、身長と体重の測定 、質問 をしました。公立学校からは83人、私立学校 からは97人が参加 しました。歯の検査 は1人の歯医者さんが行いました。質問 は、保護者 には紙に答えてもらい、12歳 の子どもたちには口頭で聞きました。
- 研究のまとめ:
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この研究で、公立学校の子どもたちは
私立学校 の子どもたちよりも虫歯が多く、成長 が遅 れていることが分かりました。また、私立学校 の子どもたちは、歯の健康 についての知識 が多いことも分かりました。これらの結果 から、お金や教育の違 いが、虫歯や健康 に影響 していることが分かりました。
- これからどうする?:
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これからの研究では、もっと多くの学校や子どもたちを調べることが大切です。フィリピン全体で、虫歯の
状況 を詳 しく調べる必要 があります。また、保護者 の教育や経済 状況 に基 づいた対策 が必要 です。将来的 には、政策 を強化し、フィリピン全体で子どもの虫歯を減 らすための取り組みが求 められます。
- 著者名:
- 西川 敦子, 山賀 孝之, 小川 祐司, 宮﨑 秀夫
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 47
- 号:
- 1
- ページ:
- 23 - 32
- 発行日:
- 2017-07
- 著者による要約:
- 本研究は,フィリピン国マンダウエ市において学童の公立あるいは私立学校就学という社会的属性による齲蝕有病状況,成長発育,口腔保健状況および食習慣の差異を調べ,さらにそれら相互の関連を検討することを目的とした。公立学校就学(公立群)の6歳児41名,12歳児42名,私立学校就学(私立群)の6歳児47名,12歳児50名を対象とした。6歳児のdf者率,12歳児のDMF者率はいずれも公立群の方が有意に高かったが,私立群も先進国と比較すれば決して良好な齲蝕有病状況とはいえなかった。身長は私立群の方が有意に高く,歯の交換状況も加味すると公立群は成長発育遅延の可能性が示唆された。さらに,公立群は低体重児が多く,対照的に私立群は肥満傾向があった。また,公立群の児童およびその保護者は口腔保健に対する意識や知識量が私立群よりも低く,その差は保護者の方がより大きかった。各項目と齲蝕有病状況との関連は6歳児ではdft,df者率ともに保護者の歯科的な訴えの有無および歯科受療の有無との有意な関連が認められた。12歳児では保護者の学歴と齲蝕有病状況に有意な関連があった。以上より学童の公立あるいは私立学校就学という社会的属性の間に保護者の学歴,教育環境などに関する様々な社会的格差が存在し,これらが要因となって児童の齲蝕有病状況,受療行動および健康意識に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000718
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