論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
介護保険施設における栄養管理,経口移行(維持)および口腔衛生管理に関する介護報酬の算定状況
- AI解説:
- 2015年の介護報酬改定により、口腔・栄養管理の取り組みが重要視され、多職種による支援の充実と適切な口腔衛生管理の推進が図られました。しかし、栄養マネジメント加算に比べて経口移行加算や経口維持加算、口腔衛生管理加算の算定件数が極めて少ない現状があります。また、介護保険施設に勤務する歯科医師および歯科衛生士の全体割合は1割に満たず、施設間での差も大きいです。本研究は、新潟県内の介護保険施設における栄養管理、経口移行(維持)、および口腔衛生管理に関する介護報酬の算定状況、算定に関わる歯科専門職等との連携の実態、算定に関連する因子を明らかにすることを目的としています。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
介護保険施設における栄養管理,経口移行(維持)および口腔衛生管理に関する介護報酬の算定状況
AI解説
- 背景と目的:
-
2015年の介護報酬改定により、口腔・栄養管理の取り組みが重要視され、多職種による支援の充実と適切な口腔衛生管理の推進が図られました。しかし、栄養マネジメント加算に比べて経口移行加算や経口維持加算、口腔衛生管理加算の算定件数が極めて少ない現状があります。また、介護保険施設に勤務する歯科医師および歯科衛生士の全体割合は1割に満たず、施設間での差も大きいです。本研究は、新潟県内の介護保険施設における栄養管理、経口移行(維持)、および口腔衛生管理に関する介護報酬の算定状況、算定に関わる歯科専門職等との連携の実態、算定に関連する因子を明らかにすることを目的としています。
- 主要な発見:
-
調査の結果、施設毎の加算算定状況には顕著な差が見られました。栄養マネジメント加算は約95%、療養食加算は約85%が算定している一方で、経口移行加算は約10%、経口維持加算Iは約40%、経口維持加算IIは約20%、口腔衛生管理体制加算は約70%が算定しているが、口腔衛生管理加算は約15%に留まりました。さらに、歯科専門職を独自に雇用している施設は、そうでない施設と比較して有意に平均請求月額が高いことが明らかになりました。しかし、増収月額は1施設当たり約10万円程度で、雇用経費に見合うものではないとのことです。
- 方法論:
-
本研究では、新潟県内の全介護保険施設を対象に郵送自記式質問票を用いて調査を行いました。調査項目には入所者の状況、施設の種類、職員配置、歯科専門職との連携状況、介護報酬加算の算定状況が含まれます。回答率は36.5%でした。各調査項目の単純集計および基本統計量の算出後、ロジスティック回帰分析を用いて加算の算定有無に関連する因子を検討しました。さらに、施設毎の加算算定額や独自に雇用している歯科専門職の影響をマン・ホイットニーのU検定を用いて比較しました。
- 結論と意義:
-
新潟県内の介護保険施設では、栄養マネジメント加算や療養食加算と比較して、経口移行加算や経口維持加算、口腔衛生管理加算の算定が低く、広がりが不十分であることが確認されました。また、歯科専門職の独自雇用が経口維持加算IIや口腔衛生管理加算の算定に有意に関連していることが判明しましたが、その雇用経費と増収効果のバランスが取れていないことも明らかになりました。これにより、直接的な増収効果だけでなく、施設サービス費の減収防止や肺炎防止による職員の負担軽減など、間接的な利益も含めた環境整備・支援が求められると結論付けられました。
- 今後の展望:
-
今後、介護保険施設における口腔衛生管理や経口維持の取り組みをより一層推進するためには、歯科専門職との連携強化が必要です。特に、独自に歯科専門職を雇用する施設が増えることで、加算の算定率が向上し、総合的な施設サービスの質も向上する可能性があります。さらに、施設サービス費の減収防止や肺炎防止による職員の負担軽減などの間接的な利益も広く周知し、施設全体の意識改革を図っていくことが重要です。政策レベルでの支援や補助金の拡充も検討されるべきです。
- 背景と目的:
-
2015年の
で、口腔ケアや栄養管理が重要だとされ、多くの職種が協力して取り組むことが求められました。しかし、栄養管理に関する報酬は多くの施設で受け取られている一方で、経口移行や経口維持、口腔衛生管理の報酬は少ないのが現状です。また、介護施設で働く歯科医師や歯科衛生士の割合は全体の1割に満たず、施設によって差があります。そこで、新潟県内の介護施設での栄養管理や口腔ケアの報酬の実態や、介護報酬改定 ( 介護サービスに対する報酬の見直しです。これにより、どのサービスにどれだけの報酬が支払われるかが決まります。) との連携状況を明らかにすることを目的としました。歯科専門職 ( 歯科医師や歯科衛生士のことです。歯の治療や口の中の健康管理を行います。)
- 主要な発見:
-
調査の結果、施設ごとに報酬の受け取り状況には大きな違いがあることがわかりました。栄養管理に関する報酬はほとんどの施設が受け取っているのに対し、経口移行や経口維持、口腔衛生管理に関する報酬は受け取っている施設が少ないです。また、
を独自に雇用している施設は、そうでない施設よりも平均請求額が高いことがわかりました。しかし、その増収額は歯科専門職の雇用経費に見合うものではないとのことです。歯科専門職 ( 歯科医師や歯科衛生士のことです。歯の治療や口の中の健康管理を行います。)
- 方法論:
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本研究では、新潟県内の全ての介護施設に対して郵送でアンケートを実施しました。質問内容は、入所者の状況、施設の種類、職員配置、
との連携状況、介護報酬の受け取り状況などです。回答率は36.5%でした。集めたデータをもとに、報酬の受け取りに関連する要因を分析しました。また、雇用している歯科専門職の影響を比較しました。歯科専門職 ( 歯科医師や歯科衛生士のことです。歯の治療や口の中の健康管理を行います。)
- 結論と意義:
-
新潟県内の介護施設では、栄養管理に関する報酬は広く受け取られている一方で、経口移行や経口維持、口腔衛生管理に関する報酬は少ないことがわかりました。また、
を独自に雇用している施設は、報酬の受け取り額が高いことがわかりましたが、その増収額は雇用経費に見合うものではありませんでした。これにより、直接的な増収効果だけでなく、施設サービス費の減収防止や職員の負担軽減など、間接的な利益も考慮する必要があることが示されました。歯科専門職 ( 歯科医師や歯科衛生士のことです。歯の治療や口の中の健康管理を行います。)
- 今後の展望:
-
今後、介護施設における口腔ケアや経口維持の取り組みを推進するためには、
との連携を強化することが重要です。特に、施設独自に歯科専門職を雇用することで、報酬の受け取り率が向上し、施設全体のサービスの質も向上する可能性があります。また、施設サービス費の減収防止や職員の負担軽減などの間接的な利益も広く周知し、施設全体の意識改革を図ることが重要です。政策レベルでの支援や補助金の拡充も検討されるべきです。歯科専門職 ( 歯科医師や歯科衛生士のことです。歯の治療や口の中の健康管理を行います。)
- 何のために?:
-
2015年に、
介護 のルールが変 わりました。口の中のケアや食べ物の管理 が大事だとされました。いろんな仕事の人が協力 して取り組むことが求 められました。でも、口の中のケアに関 するお金は少ないです。新潟県の介護 施設 での状況 を調べることが目的 です。
- 何が分かったの?:
-
調べた
結果 、お金のもらい方には違 いがありました。食べ物の管理 に関 するお金はほとんどの施設 がもらっています。でも、口の中のケアに関 するお金は少ないです。歯の専門 の人を雇 っている施設 は、そうでない施設 よりも多くのお金をもらっています。でも、そのお金は人を雇 う費用 には足りません。
- どうやったの?:
-
新潟県内のすべての
介護 施設 にアンケートを送りました。質問 内容 は、入所者の状況 、施設 の種類 、職員 の配置 、歯の専門 の人との連携 、介護 のお金のもらい方です。回答 率 は36.5%でした。集めたデータをもとに分析 しました。
- 研究のまとめ:
-
新潟県の
介護 施設 では、食べ物の管理 のお金は広くもらわれています。でも、口の中のケアに関 するお金は少ないです。歯の専門 の人を雇 っている施設 は、お金のもらい額 が高いです。でも、そのお金は人を雇 う費用 には足りません。直接 な利益 だけでなく、負担 の軽減 など間接 的 な利益 も考える必要 があります。
- これからどうする?:
-
これからは、
介護 施設 での口の中のケアや食べ物の管理 をもっと進めることが大事です。歯の専門 の人との連携 を強くすることが必要 です。特 に、施設 が歯の専門 の人を雇 うと、もらえるお金が増 えます。施設 のサービスも良 くなります。負担 の軽減 なども広く伝 えることが大事です。政策 や補助金 の支援 も考えるべきです。
- 著者名:
- 岸本 奈月
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 47
- 号:
- 1
- ページ:
- 47 - 48
- 発行日:
- 2017-07
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002000722
