論文詳細

医歯学系 大学院医歯学総合研究科(医) #学位論文

無意味な要素から物を表す記号を組み立てるマカクザルの能力

AI解説:
本論文は、人間の綴り(spelling)の重要な構成要素である「意味をもたない下位単位から、意味のある書記形を心的に構成すること」に、ヒト以外の霊長類における進化的な前駆(先行する形質)があるかを検討する。人間の書記言語には「二重分節(duality of patterning)」がみられ、意味のある単位(例:単語)が、意味をもたない要素(例:文字)から構成される。発達研究からは、音素(phoneme)から書記素(grapheme)への完全な変換が成立する前に、綴りに関わる初期の知識が現れうることが示唆されており、その背景には、非音韻的なgraphotactic knowledge(文字配列制約に関する知識)や、「書くことは記号的である」という理解の芽生えが関与する可能性がある。著者らは、狭義の言語能力(faculty of language in a narrow sense, FLN)と広義の言語能力(faculty of language in a broader sense, FLB)の区別を踏まえ、日本ザル(Japanese macaques, Macaca fuscata)が、音韻訓練なしに綴りに関わる中核的特徴を獲得できるかを問う。具体的には、綴りに似た記号構成に必要な3つの前提条件として、(i) 要素の組合せに関する統計的規則性の学習(graphotactics)、(ii) 恣意的な記号―指示対象(referent)の対応づけによる意味性(semanticity)の獲得、(iii) 指示対象の物体だけを手がかりとして、見えない二重構造の記号をその要素から心的に構成すること、を検証する。
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著者名:
Liu Nanxi
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