論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
非アルコール性脂肪性肝疾患の病態に肝臓と腸を連関する自律神経経路が肝臓セロトニン受容体2Aを介して関与する
- AI解説:
- 非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD)は世界的に有病率が上昇しており、成因が多因子であるため、標準化された治療法の開発が難しい。脳内の食欲調節回路はよく研究されている一方で、末梢の自律神経性神経経路がNAFLDの病態形成にどのように寄与するかは、なお明確ではない。著者らの先行研究では、臓器間の神経シグナルが腸管セロトニン(5-hydroxytryptamine; 5-HT)の合成に影響し、それによって脂肪化や線維化などを含む肝臓の生物学的変化が左右されうることが示されていた。5-HTの多くは小腸(small intestine; SI)で産生され、組織特異的受容体を介して作用することから、食餌誘導性の肝脂肪化に対する治療標的として「腸管TPH1–肝HTR2A」軸が提案されてきた。しかし、5-HTおよび肝臓の5-HT受容体発現を上流で制御する仕組みは十分に特徴づけられていない。そこで本研究は、NAFLDにおいて肝臓–腸管の末梢神経軸がSIの5-HTと肝臓のHTR発現を制御しているか、これが中枢のmelanocortinシグナル(MC4R knockoutマウスを用いる)とどう関係するか、さらに血清5-HTがマウスおよび患者においてNAFLDの重症度を反映しうるかを検証することを目的とした。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
非アルコール性脂肪性肝疾患の病態に肝臓と腸を連関する自律神経経路が肝臓セロトニン受容体2Aを介して関与する
AI解説
- 背景と目的:
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非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD)は世界的に有病率が上昇しており、成因が多因子であるため、標準化された治療法の開発が難しい。脳内の食欲調節回路はよく研究されている一方で、末梢の自律神経性神経経路がNAFLDの病態形成にどのように寄与するかは、なお明確ではない。著者らの先行研究では、臓器間の神経シグナルが腸管セロトニン(5-hydroxytryptamine; 5-HT)の合成に影響し、それによって脂肪化や線維化などを含む肝臓の生物学的変化が左右されうることが示されていた。5-HTの多くは小腸(small intestine; SI)で産生され、組織特異的受容体を介して作用することから、食餌誘導性の肝脂肪化に対する治療標的として「腸管TPH1–肝HTR2A」軸が提案されてきた。しかし、5-HTおよび肝臓の5-HT受容体発現を上流で制御する仕組みは十分に特徴づけられていない。そこで本研究は、NAFLDにおいて肝臓–腸管の末梢神経軸がSIの5-HTと肝臓のHTR発現を制御しているか、これが中枢のmelanocortinシグナル(MC4R knockoutマウスを用いる)とどう関係するか、さらに血清5-HTがマウスおよび患者においてNAFLDの重症度を反映しうるかを検証することを目的とした。
- 主要な発見:
-
食餌誘導性NAFLDモデル全体を通して、内臓神経を介する自律神経シグナルは、摂食量に検出可能な変化がないにもかかわらず、体重増加および体重に対する肝重量の増加に寄与していた。組織学的評価と生化学的アッセイにより、内臓神経遮断はHFD給餌WTマウスで肝脂肪化を軽減し、肝トリグリセリド(triglycerides; TG)を低下させた。同様の効果はHFD給餌MC4RKOマウスでも認められたが、程度は小さかった。一方、総コレステロールおよびリン脂質は同じ様式では顕著に変化しなかった。SIでは、NAFLDモデルは概して5-HTタンパク質とTph1 mRNA発現の増加を示し、これらの増加は内臓神経遮断後に抑制され、とくに4週間以内で最も明瞭であった。肝臓では、食餌誘導性NAFLDでHtr2a発現が上昇し、内臓神経遮断により低下した。これに対し、Htr2bは食餌誘導性NAFLDとは関連しなかったが、部分肝切除(partial hepatectomy; PH)モデルでは増加し、同様に神経遮断で抑制された。遺伝子発現解析からは、末梢神経経路の遮断により、肝臓の脂肪酸合成関連遺伝子(Acaca, Fasn, Gpat1)が低下する一方、報告された解析範囲では、脂肪酸酸化、VLDL分泌、炎症、線維化のマーカーに対する明確な影響は認められなかった。HTR2Aをsarpogrelateで薬理学的に阻害すると、摂食量、体重増加、肝重量指標を変化させることなく、肝脂肪化、肝TG、脂肪合成遺伝子発現が低下したが、改善はWTマウスよりHFD給餌MC4RKOマウスで軽度であった。血清5-HT濃度は、NAFLDマウスおよび生検でNAFLDが確認された患者で対照群より低かった。また患者では、血清5-HTは肝臓/脾臓CTスコア比と有意な正の相関を示し(すなわち血清5-HTが低いほど脂肪浸潤が重いことと関連した)。末梢の変化とは対照的に、視床下部の5-HTとHTR2C発現は食餌誘導性NAFLDモデルで増加したが、内臓神経遮断では変化せず、中枢と末梢に分離可能な要素があることが示唆された。
- 方法論:
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著者らは複数のマウスNAFLDパラダイムと、臨床の観察研究要素を用いた。雄のC57BL/6JJclマウスおよびMC4RKOマウス(8–10週齢)を、標準飼料(standard chow diet; SCD)対照群、またはNAFLD誘導食(choline-deficient defined L-amino-acid; CDAA食、あるいは高脂肪食(high-fat diet; HFD; D12492))群に割り付け、4週間または8週間投与した。肝臓からの求心性交感神経線維を遮断するため、マウスに開腹術を行い、腹腔動脈周囲にカプサイシンを局所塗布(Cap)した。対照としてsham曝露を用いた。遮断効果はcalcitonin gene-related peptide染色で評価し、効果はおおむね4週で最大となり、その後は徐々に回復した。受容体発現パターンが脂肪化ではなく再生と結びつく場合を対比するため、70%部分肝切除モデルも組み入れた。評価項目には、経時的な摂食量、体重増加率、肝重量/体重比を含めた。肝脂肪化は組織学的に定量(H&E、ImageJに基づくRGB定量)し、生化学的には肝内脂質測定(Folch抽出、TG・TC・PLの酵素アッセイ)で評価した。SIおよび肝臓の遺伝子発現は定量リアルタイムPCR(2−ΔΔCt、Gapdh正規化)で測定し、タンパク質の局在/発現は免疫組織化学で評価した(SIと脳の5-HT、肝HTR2A/HTR2B、視床下部のNPY、Fos、HTR2Cを含む)。受容体レベルの介入として、HTR2A拮抗薬sarpogrelateをHFD給餌WTおよびMC4RKOマウスに飲水で約100 mg/kg/day投与し、薬力学的活性は血小板凝集アッセイで確認した。血清生化学(AST, ALT, ALP, TC, TG)は4週および8週で測定した。血清5-HTはマウスおよびヒト血清でELISAにより定量した。ヒト解析では、生検でNAFLDと診断された患者の保存血清(n=31)を、CTで脂肪浸潤の所見がなく既往疾患のない対照(n=54)と比較し、血清5-HTと肝臓/脾臓CTスコア比との関連を検討した。統計解析はWelchのt検定、反復測定ANOVAまたは一元配置ANOVA(Tukey補正)を用い、血清のノンパラメトリック解析にはKruskal–Wallis検定(Dunn法)またはMann–Whitney U検定を用いた。相関はPearson検定で評価し、P<0.05を有意とした。
- 結論と意義:
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本研究は、食餌誘導性NAFLDにおいて、脂肪化した肝臓から発する自律神経シグナルがSIの5-HT産生を活性化し、肝臓のHTR2Aの発現上昇と結びつくことで、脂肪酸合成遺伝子発現の増加とTG蓄積の変化を介して肝脂肪化を促進する、と結論づけている。データは、これらの食餌条件下ではSI由来の5-HTシグナルが門脈循環を介して肝臓に到達し、主として肝細胞のHTR2Aを通じて作用するというモデルを支持した。一方でHTR2Bは、食餌誘導性脂肪化よりも、PH(再生)の状況により特徴的である可能性が示された。重要な点として、内臓神経経路の遮断はSIの5-HT/Tph1および肝Htr2aを抑制し、脂肪化を軽減した。またHTR2A拮抗の薬理学的介入でも、摂食量を減らすことなく主要な抗脂肪化効果が再現され、同経路の代謝への影響が単に食欲変化で説明されないことが示唆された。中枢では、脂肪負荷によりセロトニン作動性応答(視床下部の5-HT/HTR2C)が増加したが、末梢神経遮断では調節されず、著者らはNAFLDにおいて中枢神経活動と末梢の自律神経経路が別個の構成要素として働くと論じている。臨床的には、NAFLD患者で血清5-HTが低いこと、ならびに血清5-HTと肝臓/脾臓CT比との正の関連が、血清5-HTが疾患重症度を反映しうることを示す根拠として提示された。ただし著者らは、5-HTの血小板による取り込み・貯蔵の影響により解釈が複雑になる点を強調している。
- 今後の展望:
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著者らは、機序の精緻化と臨床応用可能性の評価に向けて複数の課題を挙げている。末梢神経遮断後に生じる肝HTR変化が、5-HT自体の低下によるものか、あるいは自律神経シグナルが受容体発現に直接及ぼす効果によるものかを明らかにするため、Tph1 knockoutマウスを用いた追加実験が必要だとしている。また、脳内の生理学的変化や神経伝達物質ダイナミクスをリアルタイムでモニターできない点を限界として挙げ、NAFLD進行において中枢の食欲調節が末梢の自律神経制御とどう関係するかをより明確にするため、NPY/AgRPおよびPOMC回路を含む中枢経路に障害をもつマウスモデルでの追加研究を提案している。末梢の脂肪化促進シグナルと、中枢の食欲抑制性セロトニンシグナルの相互作用を明らかにしうる未実施の実験として、HTR2AとHTR2Cを標的とする拮抗薬の併用試験を特に挙げている。治療評価としては、HFD給餌期間をより長期(例:16週間)に延長し、NASHがさらに進行した段階でもHTR拮抗薬が有効性を保つかを評価することを推奨している。最後に、血清5-HTはCTに基づく重症度と相関したものの、血小板による取り込み・貯蔵や検体採取時期の影響といった交絡因子を踏まえ、バイオマーカーとしての5-HTを検証する追加研究が必要であると強調している。
- 背景と目的:
-
(NAFLD)は、お酒が原因ではないのに肝臓に脂肪がたまる病気で、世界中で増えています。原因がいろいろあり、決まった治療法を作るのが難しいとされています。非アルコール性脂肪性肝疾患 ( お酒が原因ではないのに肝臓に脂肪がたまる病気です。肥満や脂質の異常、ホルモンや遺伝など複数の要因が関わり、進むと炎症や線維化が起きることもあるため重要です。)
脳の「食欲を調節する仕組み」はよく研究されていますが、肝臓や腸など体の中をつなぐ の信号が、NAFLDにどう関わるのかはまだはっきりしていません。自律神経 ( 自分の意思と関係なく、内臓の働きや代謝などを調整する神経です。臓器どうしの情報伝達にも関わり、病気の進み方に影響することがあります。)
これまでの研究から、肝臓と腸の間の神経の信号が、 で作られる小腸 ( 胃の次につながる消化管で、栄養の吸収を行います。セロトニンの多くが小腸で作られるため、この研究では重要な場所です。) (5-HT)に影響し、その結果として肝臓の脂肪化や線維化が変わる可能性が示されていました。特に「小腸での5-HT合成(セロトニン ( 体内で情報を伝える物質の一つで、脳では気分や食欲にも関わります。体内の多くは腸で作られ、肝臓など別の臓器にも影響するため重要です。) )→肝臓でのTPH1 ( 腸でセロトニンを作るときに必要な酵素に関係する遺伝子です。ここが働くと腸での5-HT産生が増え、肝臓への影響が強まる可能性があります。) (受容体 ( ホルモンや神経伝達物質などの「合図」を受け取るためのタンパク質です。どの受容体に結合するかで体への影響が変わります。) )へ作用する流れ」が治療の標的として注目されていましたが、そもそも5-HTや受容体の量が何によってコントロールされるかは十分わかっていませんでした。HTR2A ( セロトニンを受け取る受容体の一つで、肝細胞にあり、脂肪肝の進行に関係すると考えられています。薬でここを抑えると脂肪化が軽くなったため治療標的として重要です。)
そこでこの研究は、NAFLDで「肝臓と腸を結ぶ末梢の神経の仕組み」が小腸の5-HTや肝臓の受容体の発現を調節しているのか、また脳のメラノコルチン系(MC4Rを欠くマウスを使用)とどう関係するのかを調べました。さらに、血液中の5-HTがNAFLDの重さを反映する目印(指標)になりうるかも確かめました。
- 主要な発見:
-
食事でNAFLDを起こしたマウスでは、
を通る内臓神経 ( 肝臓や腸など内臓に関わる神経の総称として使われています。ここを通る信号が脂肪肝の進行に関係する可能性が示されました。) の信号が、食べる量が変わらないのに、体重増加や「体重に対する肝臓の重さ」の増加に関わっていました。自律神経 ( 自分の意思と関係なく、内臓の働きや代謝などを調整する神経です。臓器どうしの情報伝達にも関わり、病気の進み方に影響することがあります。)
内臓神経の信号を弱める処置をすると、 を食べた普通のマウスでは肝臓の脂肪化が軽くなり、肝臓の中の高脂肪食 ( 脂肪の割合が非常に高い実験用の食事です。肥満や脂肪肝を起こしやすく、NAFLDモデル作成に使われます。) (TG)が減りました。MC4Rを欠くマウスでも同じ方向の効果はありましたが、改善の程度は小さめでした。総コレステロールやリン脂質は、同じようには大きく変わりませんでした。中性脂肪 ( 脂質の一種で、体内ではエネルギーの貯蔵に関わります。肝臓にたまりすぎると脂肪肝の状態を示す重要な指標になります。)
では、NAFLDモデルで5-HTや、その合成に関わるTph1の発現が増えていましたが、内臓神経の信号を遮るとこの増加が抑えられ、特に4週間以内で効果がはっきりしていました。小腸 ( 胃の次につながる消化管で、栄養の吸収を行います。セロトニンの多くが小腸で作られるため、この研究では重要な場所です。)
肝臓では、NAFLDでHtr2aの発現が増え、神経信号を遮ると下がりました。一方Htr2bは、食事で起こす脂肪肝とはあまり関係しませんでしたが、肝臓を一部切除して再生させるモデルでは増え、同じように神経信号を遮ると抑えられました。
遺伝子の解析では、神経信号を遮ることで肝臓の「脂肪を作る遺伝子(Acaca、Fasn、Gpat1)」が下がりました。しかし、脂肪を燃やす仕組み、VLDL分泌、炎症、線維化の目印には、はっきりした変化は見られませんでした(少なくともこの研究で調べた範囲では)。
また、 を薬(HTR2A ( セロトニンを受け取る受容体の一つで、肝細胞にあり、脂肪肝の進行に関係すると考えられています。薬でここを抑えると脂肪化が軽くなったため治療標的として重要です。) )で働きにくくすると、食べる量や体重、肝臓の重さを変えずに、肝臓の脂肪化やTG、脂肪合成遺伝子が減りました。ただしこの改善も、MC4Rを欠くマウスでは弱めでした。sarpogrelate ( HTR2Aを主に阻害する薬です。今回、食欲や体重を大きく変えずに脂肪肝が軽くなる方向の結果が出たため注目されます。)
血液中の5-HTは、NAFLDのマウスや、検査でNAFLDと確認された患者で、対照群より低い値でした。患者では、 5-HTが低いほどCTで見た脂肪のたまり方が重いことと関係していました。血清 ( 血液から血球などを取り除いた液体成分です。体内の物質の量を測って病気の状態を推測するのに使われます。)
脳( )では、NAFLDモデルで5-HTやHTR2Cが増えていましたが、内臓神経の信号を遮っても変わりませんでした。つまり、脳側の変化と、肝臓・腸側の変化は、ある程度別々に起きている可能性が示されました。視床下部 ( 脳の部位の一つで、食欲や体温、ホルモン調節など生命維持に重要です。今回、脳側のセロトニン変化を調べる中心になりました。)
- 方法論:
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複数のNAFLDマウスモデルと、人の
を使った観察研究を行いました。血清 ( 血液から血球などを取り除いた液体成分です。体内の物質の量を測って病気の状態を推測するのに使われます。)
マウスは普通の系統とMC4Rを欠く系統を用い、標準食または脂肪肝を起こす食事( や特別な欠乏食)を4週間または8週間与えました。高脂肪食 ( 脂肪の割合が非常に高い実験用の食事です。肥満や脂肪肝を起こしやすく、NAFLDモデル作成に使われます。)
肝臓から脳へ向かう求心性の神経信号を弱めるため、お腹を開いて腹腔動脈の周りにカプサイシンを塗り、 の一部を機能しにくくしました。対照として、同じ手術をするが薬を使わない群も用意しました。効果は4週間くらいで最大になり、その後少しずつ戻っていきました。内臓神経 ( 肝臓や腸など内臓に関わる神経の総称として使われています。ここを通る信号が脂肪肝の進行に関係する可能性が示されました。)
肝臓の脂肪化は顕微鏡での評価と、肝臓内の脂質(TGなど)の測定で調べました。 や肝臓の遺伝子発現はPCRで測り、タンパク質の分布は免疫染色で確認しました。小腸 ( 胃の次につながる消化管で、栄養の吸収を行います。セロトニンの多くが小腸で作られるため、この研究では重要な場所です。)
さらに、 を阻害する薬HTR2A ( セロトニンを受け取る受容体の一つで、肝細胞にあり、脂肪肝の進行に関係すると考えられています。薬でここを抑えると脂肪化が軽くなったため治療標的として重要です。) を飲み水で与える実験も行い、sarpogrelate ( HTR2Aを主に阻害する薬です。今回、食欲や体重を大きく変えずに脂肪肝が軽くなる方向の結果が出たため注目されます。) の反応を使って薬が効いていることを確認しました。血小板 ( 血を固めて出血を止める働きをもつ血液の成分です。セロトニンを取り込んで貯める性質があり、血清5-HTの解釈を難しくする要因になります。)
血清5-HTは で測定しました。人では、肝生検でNAFLDと診断された患者の血清と、脂肪肝のない対照群の血清を比べ、CT指標との関係も調べました。ELISA ( 血液などに含まれる特定の物質の量を測る検査法です。今回、血清5-HTを定量するために使われました。)
- 結論と意義:
-
この研究は、食事で起こるNAFLDでは、脂肪がたまった肝臓から出る
の信号が、自律神経 ( 自分の意思と関係なく、内臓の働きや代謝などを調整する神経です。臓器どうしの情報伝達にも関わり、病気の進み方に影響することがあります。) での5-HT産生を高め、肝臓では小腸 ( 胃の次につながる消化管で、栄養の吸収を行います。セロトニンの多くが小腸で作られるため、この研究では重要な場所です。) の発現増加と結びつくことで、肝臓の脂肪合成が進み、HTR2A ( セロトニンを受け取る受容体の一つで、肝細胞にあり、脂肪肝の進行に関係すると考えられています。薬でここを抑えると脂肪化が軽くなったため治療標的として重要です。) がたまりやすくなって脂肪肝が悪化すると結論づけています。中性脂肪 ( 脂質の一種で、体内ではエネルギーの貯蔵に関わります。肝臓にたまりすぎると脂肪肝の状態を示す重要な指標になります。)
また、 の信号を遮る、またはHTR2Aを薬で阻害することで、食欲を減らさなくても脂肪肝が改善しうる点が重要です。つまり、この仕組みは「食べ過ぎだから起きる」だけでは説明できない部分があるということです。内臓神経 ( 肝臓や腸など内臓に関わる神経の総称として使われています。ここを通る信号が脂肪肝の進行に関係する可能性が示されました。)
一方で脳では、脂肪の多い食事によって 系(5-HTやHTR2C)が増えるものの、末梢の神経遮断では変化しなかったため、NAFLDには「脳の調節」と「肝臓・腸を結ぶ自律神経の仕組み」という別々の要素がある可能性が示されました。セロトニン ( 体内で情報を伝える物質の一つで、脳では気分や食欲にも関わります。体内の多くは腸で作られ、肝臓など別の臓器にも影響するため重要です。)
さらに、 5-HTがNAFLDの重症度を反映する可能性が示されましたが、5-HTは血清 ( 血液から血球などを取り除いた液体成分です。体内の物質の量を測って病気の状態を推測するのに使われます。) に取り込まれて貯められる性質があるため、解釈には注意が必要だと述べています。血小板 ( 血を固めて出血を止める働きをもつ血液の成分です。セロトニンを取り込んで貯める性質があり、血清5-HTの解釈を難しくする要因になります。)
- 今後の展望:
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今後は、神経信号を遮ると肝臓の
(HTR)が変化する理由が、「受容体 ( ホルモンや神経伝達物質などの「合図」を受け取るためのタンパク質です。どの受容体に結合するかで体への影響が変わります。) で作られる5-HTが減るから」なのか、それとも「神経信号が受容体の発現を直接変えるから」なのかをはっきりさせる必要があります。そのためにTph1を欠くマウスを使った実験が提案されています。小腸 ( 胃の次につながる消化管で、栄養の吸収を行います。セロトニンの多くが小腸で作られるため、この研究では重要な場所です。)
また、脳内の変化をリアルタイムで追いにくいことが限界として挙げられ、食欲調節に関わる別の脳内回路に異常があるマウスを使って、脳と末梢の関係をより詳しく調べる必要があるとされています。
さらに、 とHTR2Cを同時に狙う薬の組み合わせ実験や、より長い期間(例:16週間)HTR2A ( セロトニンを受け取る受容体の一つで、肝細胞にあり、脂肪肝の進行に関係すると考えられています。薬でここを抑えると脂肪化が軽くなったため治療標的として重要です。) を与えて病気が進んだ段階でも薬が効くかを確認することが勧められています。高脂肪食 ( 脂肪の割合が非常に高い実験用の食事です。肥満や脂肪肝を起こしやすく、NAFLDモデル作成に使われます。)
5-HTについても、採血のタイミングや血清 ( 血液から血球などを取り除いた液体成分です。体内の物質の量を測って病気の状態を推測するのに使われます。) の影響などを考えたうえで、病気の指標として本当に使えるか追加研究が必要です。血小板 ( 血を固めて出血を止める働きをもつ血液の成分です。セロトニンを取り込んで貯める性質があり、血清5-HTの解釈を難しくする要因になります。)
- 何のために?:
-
に、あぶらがたまる病気があります。肝臓 ( おなかの右上あたりにある体の中の大事な臓器 で あぶらやさとうの調整や どくを分解 するはたらきがある)
お酒が原因 ではないこともあります。
この病気は、世界でふえています。
でも、なおし方が一つに決まりません。
体の中には、 のれんらくがあります。神経 ( 体の中で いろいろな場所に合図を送る線のようなもので からだを動かしたり 内ぞうのはたらきを調整したりする)
それは、脳 とおなかをつなぎます。
このれんらくが、病気に関 わるかは不明 です。
では、小腸 ( 食べものを消化して えいようを体に取りこむ ちょうの部分で いろいろな物しつを作ることもある) が作られます。セロトニン ( 体の中で作られる合図の物しつで 体のはたらきにえいきょうし小腸 でも作られるので この研究では肝臓 のあぶらとの関係 が大事になる)
セロトニンは、体にはたらく物しつです。
それが肝臓 のあぶらに関係 するかもしれます。
この研究は、神経 のれんらくを調べました。
小腸 のセロトニンが変 わるか見ました。
肝臓 の も調べました。受けとり口 ( 体の細胞 が ある合図の物しつを受けとるための入り口で ふえたりへったりすると 合図のきき方が変 わるので病気に関係 する)
血の中のセロトニンも、見ました。
- 何が分かったの?:
-
あぶらの多いごはんで、病気のマウスを作りました。
食べるりょうは、あまり変 わりません。
でも、体重と の重さがふえました。肝臓 ( おなかの右上あたりにある体の中の大事な臓器 で あぶらやさとうの調整や どくを分解 するはたらきがある)
のれんらくが、神経 ( 体の中で いろいろな場所に合図を送る線のようなもので からだを動かしたり 内ぞうのはたらきを調整したりする) 関 わっていそうです。
神経 のれんらくを弱めると、肝臓 のあぶらがへりました。
肝臓 の中の も、へりました。中性脂肪 ( 体や血の中にあるあぶらの一つで ふえすぎると肝臓 にあぶらがたまるなどの問題につながる)
ただし、別 の体しつはあまり変 わりません。
では、小腸 ( 食べものを消化して えいようを体に取りこむ ちょうの部分で いろいろな物しつを作ることもある) がふえていました。セロトニン ( 体の中で作られる合図の物しつで 体のはたらきにえいきょうし小腸 でも作られるので この研究では肝臓 のあぶらとの関係 が大事になる)
セロトニンを作るしくみも、強くなりました。
神経 をさえぎると、そのふえ方がへりました。
とくに、4週間くらいでよく分かりました。
肝臓 では、ある がふえていました。受けとり口 ( 体の細胞 が ある合図の物しつを受けとるための入り口で ふえたりへったりすると 合図のきき方が変 わるので病気に関係 する)
神経 をさえぎると、それがへりました。
別 の受けとり口は、別 の でふえました。実けん ( たしかめたいことを 分かるように条件 をそろえて行う調べ方で結果 が本当かどうかを考えるために大切)
それも、神経 をさえぎるとへりました。
神経 をさえぎると、あぶらを作るはたらきが下がりました。
でも、 などは大きく炎症 ( 体の中で きずや病気に反応 して赤くなったりはれたりする状態 で 病気がどれくらい悪いかを見る目安になる) 変 わりませんでした。
受けとり口を弱めるくすりも試 しました。
食べるりょうや体重は、あまり変 わりません。
でも、肝臓 のあぶらがへりました。
血の中のセロトニンは、病気で低 めでした。
人でも、同じように低 めでした。
低 い人ほど、肝臓 にあぶらが多いことがありました。
脳 の中でも、変化 が見つかりました。
でも、神経 をさえぎっても脳 は変 わりません。
だから、脳 とおなかの変化 は別 かもしれません。
- どうやったの?:
-
いくつかのマウスで
しました。実けん ( たしかめたいことを 分かるように条件 をそろえて行う調べ方で結果 が本当かどうかを考えるために大切)
人の血も使って、くらべました。
マウスに、ふつうのごはんをあげました。
別 のマウスには、あぶらの多いごはんをあげました。
きかんは、4週間か8週間でした。
おなかの手じゅつをして、 を弱めました。神経 ( 体の中で いろいろな場所に合図を送る線のようなもので からだを動かしたり 内ぞうのはたらきを調整したりする)
薬をぬるぐんと、ぬらないぐんを作りました。
こうかは、4週間くらいで大きくなりました。
のあぶらは、肝臓 ( おなかの右上あたりにある体の中の大事な臓器 で あぶらやさとうの調整や どくを分解 するはたらきがある) で見ました。けんびきょう ( とても小さいものを大きく見られる道具で肝臓 の中にあぶらがどれくらいあるかを調べるのに使う)
肝臓 の中のあぶらのりょうも、はかりました。
や小腸 ( 食べものを消化して えいようを体に取りこむ ちょうの部分で いろいろな物しつを作ることもある) 肝臓 のはたらきは、しらべました。
を弱めるくすりも使いました。受けとり口 ( 体の細胞 が ある合図の物しつを受けとるための入り口で ふえたりへったりすると 合図のきき方が変 わるので病気に関係 する)
血の中の は、けんさでセロトニン ( 体の中で作られる合図の物しつで 体のはたらきにえいきょうし小腸 でも作られるので この研究では肝臓 のあぶらとの関係 が大事になる) 測 りました。
人は、 のけっかともくらべました。CT ( 体の中を しゃしんのように見られるけんさで肝臓 にあぶらが多いかなどを調べるときに使う)
- 研究のまとめ:
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この病気では、
から肝臓 ( おなかの右上あたりにある体の中の大事な臓器 で あぶらやさとうの調整や どくを分解 するはたらきがある) の合図が出ます。神経 ( 体の中で いろいろな場所に合図を送る線のようなもので からだを動かしたり 内ぞうのはたらきを調整したりする)
その合図が、 の小腸 ( 食べものを消化して えいようを体に取りこむ ちょうの部分で いろいろな物しつを作ることもある) をふやします。セロトニン ( 体の中で作られる合図の物しつで 体のはたらきにえいきょうし小腸 でも作られるので この研究では肝臓 のあぶらとの関係 が大事になる)
そして、肝臓 の もふえます。受けとり口 ( 体の細胞 が ある合図の物しつを受けとるための入り口で ふえたりへったりすると 合図のきき方が変 わるので病気に関係 する)
そのため、肝臓 であぶらが作られやすくなります。
神経 をさえぎると、食べるりょうが同じでもよくなりました。
くすりで受けとり口を弱めても、よくなりました。
だから、食べすぎだけが原因 ではなさそうです。
脳 の変化 は、神経 をさえぎっても変 わりませんでした。
そのため、別 のしくみがあるかもしれません。
血の中のセロトニンは、 になるかもしれます。目しるし ( 病気があるかや どれくらい進んでいるかを知る手がかりになるものをさし この文では血の中のセロトニンがそれになるかを言っている)
でも、血の中での動きはふくざつです。
なので、気をつけて考えるひつようがあります。
- これからどうする?:
-
なぜ
をさえぎると、神経 ( 体の中で いろいろな場所に合図を送る線のようなもので からだを動かしたり 内ぞうのはたらきを調整したりする) が受けとり口 ( 体の細胞 が ある合図の物しつを受けとるための入り口で ふえたりへったりすると 合図のきき方が変 わるので病気に関係 する) 変 わるか調べます。
の小腸 ( 食べものを消化して えいようを体に取りこむ ちょうの部分で いろいろな物しつを作ることもある) がへるからかもしれません。セロトニン ( 体の中で作られる合図の物しつで 体のはたらきにえいきょうし小腸 でも作られるので この研究では肝臓 のあぶらとの関係 が大事になる)
神経 が、直接 変 えるのかもしれません。
脳 の中の変化 も、もっとくわしく見たいです。
べつの脳 のしくみのマウスでも、調べます。
二つの受けとり口をねらうくすりも考えます。
もっと長いきかんでも、くすりがきくか見ます。
血の中のセロトニンも、さらに研究がひつようです。
血をとる時間や、ほかのえいきょうも考えます。
- 著者名:
- 大脇 崇史
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002001052
