論文詳細
自然科学系
工学部
#学術雑誌論文
Construction of a Database of Pi-SAR2 Observation Data by Calibration and Scattering Power Decomposition Using the ABCI
- AI解説:
- 産業技術総合研究所(AIST)のデジタルアーキテクチャ研究センターは、Pi-SAR2で取得された高解像度の航空機搭載SARデータを含む、複数機関から得られる大規模な地理空間観測データに基づく研究を行っている。Pi-SAR2は、情報通信研究機構(NICT)が運用するXバンドの航空機搭載フル・ポラリメトリックSARシステムである。実用上の主要な利点は、方位方向およびスラントレンジ方向とも最大0.3 mという非常に高い空間分解能(光学の高解像度衛星画像に匹敵)を持ち、さらに1回の飛行でフル・ポラリメトリに加えてクロストラックおよびアロングトラックの干渉(interferometry)を実施できる点にある。一方で、これらの利点には広範な利用を妨げる2つの障壁が伴う。すなわち、データ容量が極めて大きいこと、そして提供プロダクトが標高に起因する歪みに対して十分にキャリブレーションされておらず、他の地理情報と統合しにくいことである。本研究は、AISTの大規模計算環境(AI Bridging Cloud Infrastructure, ABCI)を用い、標高に関連する位相補正、フル・ポラリメトリック・キャリブレーション、解釈可能な可視化および深層学習入力の可能性を見据えた散乱パワー分解、さらにGIS互換性のためのオルソ補正(orthorectification)を行うことで、Pi-SAR2のポラリメトリックデータをより利用しやすくすることを目的とする。
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自然科学系
工学部
#学術雑誌論文
Construction of a Database of Pi-SAR2 Observation Data by Calibration and Scattering Power Decomposition Using the ABCI
AI解説
- 背景と目的:
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産業技術総合研究所(AIST)のデジタルアーキテクチャ研究センターは、Pi-SAR2で取得された高解像度の航空機搭載SARデータを含む、複数機関から得られる大規模な地理空間観測データに基づく研究を行っている。Pi-SAR2は、情報通信研究機構(NICT)が運用するXバンドの航空機搭載フル・ポラリメトリックSARシステムである。実用上の主要な利点は、方位方向およびスラントレンジ方向とも最大0.3 mという非常に高い空間分解能(光学の高解像度衛星画像に匹敵)を持ち、さらに1回の飛行でフル・ポラリメトリに加えてクロストラックおよびアロングトラックの干渉(interferometry)を実施できる点にある。一方で、これらの利点には広範な利用を妨げる2つの障壁が伴う。すなわち、データ容量が極めて大きいこと、そして提供プロダクトが標高に起因する歪みに対して十分にキャリブレーションされておらず、他の地理情報と統合しにくいことである。本研究は、AISTの大規模計算環境(AI Bridging Cloud Infrastructure, ABCI)を用い、標高に関連する位相補正、フル・ポラリメトリック・キャリブレーション、解釈可能な可視化および深層学習入力の可能性を見据えた散乱パワー分解、さらにGIS互換性のためのオルソ補正(orthorectification)を行うことで、Pi-SAR2のポラリメトリックデータをより利用しやすくすることを目的とする。
- 主要な発見:
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著者らは、未キャリブレーションのPi-SAR2 MGPデータに見られる標高依存の位相回転(例:山地地形と相関する位相変動)を、Pi-SAR2が同時に持つクロストラック干渉の能力を活用することで有効に低減できると報告している。標高補正とそれに続くポラリメトリック・キャリブレーションを適用した後、散乱パワー分解(G4Uおよび6SDで生成)の出力は、場面に依存して期待される散乱挙動に質的によりよく一致した。具体的には、森林・植生域が主として緑(ボリューム散乱優勢)になり、キャリブレーション前に見られた標高相関の色帯状パターンが概ね除去された。新潟大学近傍の比較的平坦な農地—都市の場面では、標高効果が小さく当該データセットで推定されたインバランス位相(imbalance phase)がほぼゼロであることと整合して、キャリブレーション前後の分解プロダクトの視覚的差異は小さかった。それでも、キャリブレーション後の結果では、キャリブレーション前画像の農地区域に存在した異常な赤領域(過大なダブルバウンス寄与として解釈)が減少した。大規模処理としては、提供された9324シーンのうち7266シーン(約125 TB)に処理パイプラインを適用したが、最終的に59シーンは、過度の位相回転により干渉位相アンラップ(phase unwrapping)中に多数の位相特異点(phase singularities)が生じたため使用不能となった。
- 方法論:
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処理は、主アンテナの4チャネルについてグラウンドレンジのポラリメトリック・プロダクトを提供するMGP(Multi-look Ground-range Polarimetry)ファイルを主要入力として対象とし、副アンテナのデータが必要な場合にはSSC(Single-look Slant-range Complex)ファイルも追加で用いた。ワークフローはシーンごとに進め、(1) 標高補正、(2) ポラリメトリック・キャリブレーション、(3) 散乱パワー分解、(4) オルソ補正から構成される。標高補正では、HおよびVの別アンテナ(0.2 m離隔)により導入される位相差が、ポラリメトリック・プロダクトに標高相関の位相回転を生じさせる点を扱う。クロストラック干渉に必要な副アンテナ観測はSSCにのみ存在するため、補正位相はSSC_VVmとSSC_VVsの干渉から導出する。干渉は4×4ルックで計算し、干渉位相が[-π, π]にラップされるため、最小Lpノルム・アルゴリズムによって位相アンラップを行う。得られた補償位相をグラウンドレンジに変換し、元の解像度へ補間して適用することで、標高補正データ(MGP_H)を生成する。ポラリメトリック・キャリブレーションでは、ノイズが既に十分除去されており、全体ゲインをA = 1に設定するという仮定の下で、システム誤差項(受信/送信インバランスおよびクロストーク)を推定する。クロストークはQuegan法で初期推定するが、非常に小さい(約-32 dB)ため無視できるとして、簡略化したキャリブレーションを行う。インバランス振幅は、4つのデータセットにおけるコーナーリフレクタ(CR)観測から推定し、CR位置でのVV/HH強度比(平均1.4045、最小1.3611、最大1.4873)に基づき、振幅を|f1 f2| = 1.4に固定し、|f1| = |f2| = 1.4として実装する。シーン固有のインバランス位相項は、移動窓(40ピクセル平均、20ピクセルストライド)とQueganに基づく式を用いて自然ターゲットから推定し、アンテナの着脱に伴うシリーズ依存の変化を反映させる。キャリブレーション後の出力はMGP_Cと呼ぶ。続いて、散乱パワー分解をG4U(Ps, Pd, Pv, Pc)および6SD(Ps, Pd, Pv, Pc, Pod, Pcd)で適用し、分解画像は解釈のため、および質的なキャリブレーション確認のために用いる(提示例では9×9ルックで計算)。最後に、オルソ補正では、国土地理院(GSI)のDEM10B(10 mメッシュ)と記載された幾何関係を用い、標高に基づいて画素を再配置することで、グラウンドレンジ投影に由来する幾何変位を補正する。大規模実行にはABCIの計算資源を用い、GNU Parallelにより複数シーンを並列処理する。実行時間は干渉計算/位相アンラップの工程が支配的である。
- 結論と意義:
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本論文の中心的貢献は、Pi-SAR2の高解像度ポラリメトリックSARデータの利用を妨げていた実務上の障壁、すなわち標高依存の位相アーチファクト、ポラリメトリック系のシステム誤差、複雑なポラリメトリック計測の解釈可能性、そしてSAR撮像幾何に起因する地図との位置ずれを、エンドツーエンドで計算スケール可能な処理パイプラインとして解決する点にある。CTI(cross-track interferometry)由来の干渉情報を用いて標高駆動の位相回転を補正し、その後、CR由来の振幅因子とシーン由来の位相項を組み合わせたポラリメトリック・キャリブレーションを適用することで、キャリブレーション前プロダクトよりももっともらしい散乱パワー分解パターンを与えるキャリブレーション済みデータ(MGP_C)を生成した。オルソ補正は、DEMに基づく幾何補正によって地図や他のGISレイヤーとの重ね合わせを改善し、利用性をさらに高める。本研究はまた、規模面での実現可能性を示した点でも重要である。ABCI上で7266シーン・約125 TBを処理し、これまで扱いにくかった大規模アーカイブを、目視確認および深層学習など下流解析に向けた出力へと変換した。同時に、過度の位相回転下で位相アンラップが不安定となり59シーンが失われるという具体的な失敗モードを記録しており、現行の干渉ベース補正手法の運用上の制約を示している。
- 今後の展望:
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著者らは、改善と拡張の主な方向性を2点挙げている。第一に、過度の位相回転を含むシーンでは、干渉位相アンラップ中に多数の特異点が生じて出力が使用不能になりうるため、別の位相アンラップ・アルゴリズムの選択や処理パラメータの調整によって、堅牢性と効率を改善する余地があるとしている。特に、位相アンラップが処理時間の大半を占めることも踏まえている。第二に、Pi-SARはPi-SAR2と類似したアンテナ構成を持つため、同じ全体的な補正アプローチはPi-SARのXバンド観測データにも適用できるはずだと述べ、関連データセット間で手法を再利用できる可能性を示唆している(ただし本研究でPi-SAR2を超える結果を主張するものではない)。普及を志向した次のステップとして、著者らは、キャリブレーション済みデータプロダクトの全てについてカラー画像を生成し、Web上で公開して、より広いコミュニティが高解像度観測を閲覧・活用できるようにする意向を示している。また、基盤となるデータはNICTのライセンス制約によりデフォルトでは公開されていないが、許可の上で合理的な要請により入手できる可能性があるとしており、将来のアクセスや共有はこれらの制約に依存することを示唆している。
- 背景と目的:
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産業技術総合研究所(AIST)は、いろいろな機関から集まる大規模な地理空間データを使って研究しています。その中でもPi-
2という航空機に載せたレーダーで観測したデータは、最大0.3mというとても細かい分解能をもち、1回の飛行で「電波の向きの違いを使った観測(フル・SAR ( 電波(レーダー)を使って地表を観測し、飛行機や衛星の移動を利用して高解像度の画像を作る技術です。天気や昼夜の影響を受けにくいのが重要です。) )」や「2つのアンテナの差を使った観測(ポラリメトリ ( 電波の向き(水平H・垂直Vなど)の違いを使って観測し、物体の形や向き、材質の違いを読み取りやすくする考え方です。地表の特徴を詳しく調べるのに役立ちます。) )」も同時にできます。干渉 ( 少し位置の違うアンテナなどで観測した信号の差(位相差)を比べて、地形や高さの情報などを取り出す方法です。)
一方で、このデータは容量が非常に大きく、そのままだと標高(山の高さなど)の影響で画像にゆがみやズレが出て、地図や他の地理データと重ねにくいという問題がありました。
そこで本研究は、AISTの大規模計算基盤 を使い、標高によるABCI ( AISTが運用する大規模計算基盤で、大量データを高速に処理するための計算機群です。今回のような125TB規模の処理を現実的にします。) のズレを補正し、ポラリメトリの誤差を直し、結果をわかりやすい画像に変換し、さらに地図に正しく重ねられるように位置の補正(位相 ( 波のずれ具合を角度として表した値です。SARでは距離のわずかな違いや形の違いが位相に出るため、とても重要です。) )まで行って、Pi-SAR2データを使いやすくすることを目的としています。オルソ補正 ( 標高の違いでずれて見える位置を、DEMなどを使って正しい地図座標に直す処理です。地図やGISと重ねるために重要です。)
- 主要な発見:
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未補正のPi-
2データでは、山の標高と関係してSAR ( 電波(レーダー)を使って地表を観測し、飛行機や衛星の移動を利用して高解像度の画像を作る技術です。天気や昼夜の影響を受けにくいのが重要です。) が回転し、画像に不自然な変化が出ることがありました。研究チームは、Pi-SAR2が同時に観測できる位相 ( 波のずれ具合を角度として表した値です。SARでは距離のわずかな違いや形の違いが位相に出るため、とても重要です。) の情報を使うことで、この標高に関係した位相の回転を大きく減らせると示しました。クロストラック干渉 ( 進行方向に対して横方向に離れたアンテナの差を使う干渉です。標高(高さ)の推定や補正に使えます。)
その後に ック・ポラリメトリ ( 電波の向き(水平H・垂直Vなど)の違いを使って観測し、物体の形や向き、材質の違いを読み取りやすくする考え方です。地表の特徴を詳しく調べるのに役立ちます。) を行い、キャリブレーション ( 観測機器や観測条件が原因で入るズレや誤差を推定し、正しい値に近づける補正作業です。データを比較可能にするために重要です。) をすると、森林や植生の領域が主に緑(植生らしい散乱)になるなど、期待される見え方に近づきました。キャリブレーション前に見られた「標高と関係した色の帯」のような模様も、だいたい取り除けました。散乱パワー分解 ( 観測された散乱を、表面散乱・ダブルバウンス・ボリューム散乱などの成分に分けて量として表す方法です。結果が色画像にでき、理解しやすいのが利点です。)
一方で、新潟大学周辺のように平坦な場所では、標高の影響が小さいため、補正の前後で見た目の変化は大きくありませんでした。それでも、農地に出ていた不自然に赤い部分(ダブルバウンスが過大に見える状態)は減りました。
大規模処理では、9324シーンのうち7266シーン(約125TB)に処理を適用しましたが、59シーンは位相回転が大きすぎて位相アンラップがうまくいかず、使えない結果になりました。
- 方法論:
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処理はシーンごとに行い、主に
というMGP ( Pi-SAR2のポラリメトリ処理後のデータ形式で、座標は「方位×グラウンドレンジ」です。主アンテナの4偏波が入っています。) 処理済みファイルを入力として使いました。ただし標高補正に必要な副アンテナの情報はポラリメトリ ( 電波の向き(水平H・垂直Vなど)の違いを使って観測し、物体の形や向き、材質の違いを読み取りやすくする考え方です。地表の特徴を詳しく調べるのに役立ちます。) ファイルにしかないため、必要な場面ではSSCも使いました。流れは次の4段階です。SSC ( Pi-SAR2の基本に近い複素データ形式で、座標は「方位×スラントレンジ」です。副アンテナを含む観測データが入っています。)
(1) 標高補正:HとVで別のアンテナを使うために起きる 差が、山の標高と関係した位相の回転を生むので、SSCの位相 ( 波のずれ具合を角度として表した値です。SARでは距離のわずかな違いや形の違いが位相に出るため、とても重要です。) から補正用の位相を計算して適用しました。クロストラック干渉 ( 進行方向に対して横方向に離れたアンテナの差を使う干渉です。標高(高さ)の推定や補正に使えます。) 位相は範囲が折り返されて記録されるため、位相アンラップでつなぎ直しました。干渉 ( 少し位置の違うアンテナなどで観測した信号の差(位相差)を比べて、地形や高さの情報などを取り出す方法です。)
(2) ポラリメトリック・ :観測システムの偏り(HとVのバランスのずれ、混ざり込みなど)を推定して補正しました。キャリブレーション ( 観測機器や観測条件が原因で入るズレや誤差を推定し、正しい値に近づける補正作業です。データを比較可能にするために重要です。) は非常に小さいため、簡略化して扱いました。振幅のずれはクロストーク ( 本来は別々に観測されるはずの偏波成分が混ざってしまう誤差です。小さくても解析によっては影響します。) の観測から代表値を決め、位相のずれは各シーンの自然物(海や田んぼなど)から推定しました。コーナーリフレクタ ( 強く電波を反射する人工物で、校正の基準として置かれます。観測データのズレを見積もるのに便利です。)
(3) :G4Uと6SDという方法で、散乱をいくつかの成分に分け、色画像にして解釈しやすくしました。これは、補正がうまくいったかどうかを見た目で確かめる目的や、散乱パワー分解 ( 観測された散乱を、表面散乱・ダブルバウンス・ボリューム散乱などの成分に分けて量として表す方法です。結果が色画像にでき、理解しやすいのが利点です。) の入力に使う目的もあります。深層学習 ( 多数のデータから特徴を自動で学習するAI手法です。SAR画像の分類や変化検出などで活用されます。)
(4) :国土地理院のオルソ補正 ( 標高の違いでずれて見える位置を、DEMなどを使って正しい地図座標に直す処理です。地図やGISと重ねるために重要です。) (標高データ)を使い、標高のせいで起きる位置ずれを直して、地図やDEM ( 地面の高さを格子状にまとめた標高データです。位置ずれ補正や地形の解析に使われます。) のデータと重ねやすくしました。GIS ( 地図の上で、位置情報をもついろいろなデータ(道路、土地利用、災害情報など)を重ねて扱う仕組みです。)
大量データの処理には を使い、複数シーンを並列処理しました。時間が最もかかったのは干渉計算と位相アンラップでした。ABCI ( AISTが運用する大規模計算基盤で、大量データを高速に処理するための計算機群です。今回のような125TB規模の処理を現実的にします。)
- 結論と意義:
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本研究の大きな成果は、Pi-
2の高解像度SAR ( 電波(レーダー)を使って地表を観測し、飛行機や衛星の移動を利用して高解像度の画像を作る技術です。天気や昼夜の影響を受けにくいのが重要です。) ックSARデータが使いにくかった理由を、最初から最後までの一連の処理としてまとめて解決したことです。具体的には、標高に関係したポラリメトリ ( 電波の向き(水平H・垂直Vなど)の違いを使って観測し、物体の形や向き、材質の違いを読み取りやすくする考え方です。地表の特徴を詳しく調べるのに役立ちます。) の乱れ、ポラリメトリ観測のシステム誤差、結果の解釈の難しさ、SAR特有の地図との位置ずれを、スケールして実行できるパイプラインで改善しました。位相 ( 波のずれ具合を角度として表した値です。SARでは距離のわずかな違いや形の違いが位相に出るため、とても重要です。)
その結果、より自然な が得られる散乱パワー分解 ( 観測された散乱を、表面散乱・ダブルバウンス・ボリューム散乱などの成分に分けて量として表す方法です。結果が色画像にでき、理解しやすいのが利点です。) 済みデータを作成でき、さらにキャリブレーション ( 観測機器や観測条件が原因で入るズレや誤差を推定し、正しい値に近づける補正作業です。データを比較可能にするために重要です。) によって地図やオルソ補正 ( 標高の違いでずれて見える位置を、DEMなどを使って正しい地図座標に直す処理です。地図やGISと重ねるために重要です。) と重ねやすくなりました。GIS ( 地図の上で、位置情報をもついろいろなデータ(道路、土地利用、災害情報など)を重ねて扱う仕組みです。)
また、 を使って7266シーン・約125TBを実際に処理し、大規模アーカイブを目視確認やABCI ( AISTが運用する大規模計算基盤で、大量データを高速に処理するための計算機群です。今回のような125TB規模の処理を現実的にします。) などに使える形へ変換できることも示しました。一方で、位相回転が大きすぎる場合に位相アンラップが破綻してデータが失われる、という限界も具体的に明らかにしました。深層学習 ( 多数のデータから特徴を自動で学習するAI手法です。SAR画像の分類や変化検出などで活用されます。)
- 今後の展望:
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今後の改善点は主に2つです。
1つ目は、 回転が大きいシーンで位相アンラップが不安定になりやすいので、別の位相アンラップ手法を使う、パラメータを調整するなどして、失敗を減らしつつ処理時間も短くすることです。位相 ( 波のずれ具合を角度として表した値です。SARでは距離のわずかな違いや形の違いが位相に出るため、とても重要です。)
2つ目は、Pi- 2と似たアンテナ構成をもつPi-SARのSAR ( 電波(レーダー)を使って地表を観測し、飛行機や衛星の移動を利用して高解像度の画像を作る技術です。天気や昼夜の影響を受けにくいのが重要です。) データにも、この補正の考え方は応用できる可能性があることです。Xバンド ( レーダーで使う周波数帯の一つで、波長が短めです。細かい形の違いを捉えやすく、高解像度観測と相性がよいです。)
さらに、 済みデータをカラー画像にしてWeb公開し、多くの人が高解像度データを見て活用できるようにする計画も示されています。ただし元データはライセンス制約があり、公開や共有は許可条件に左右されます。キャリブレーション ( 観測機器や観測条件が原因で入るズレや誤差を推定し、正しい値に近づける補正作業です。データを比較可能にするために重要です。)
- 何のために?:
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は、地図にAIST ( 国の研究所の名前で産業技術総合研究所 のことです:研究をする組織 を指す言葉でこの文章では地図のデータを使って研究する人たちのことを表します:だれが研究したのかが分かる大事な情報 です) 関 するデータを使い、研究しています。
は、Pi-SAR2 ( 飛行機 にのせて地面を調べるレーダーの名前です:電波を出してはね返りを受け取り地面のようすを画像 のようにします:天気や昼夜に左右されにくく広い場所を調べられるので重要 です) 飛行機 にのせた です。レーダー ( 電波を出して物に当たって戻 る電波を調べる装置 です:飛行機 や船や気象観測などで使われます:目で見えない情報 を集められる点が重要 です)
とても細かく、0.3mまで見分けられます。
の向きのちがいも、同時に調べられます。電波 ( 空気中などを進む見えない波で情報 を運びます:ラジオやスマホやレーダーなどで使います:レーダーが地面を調べるための材料 になるので重要 です)
2つのちがいも、同時に使えます。アンテナ ( 電波を出したり受け取ったりする部品です:レーダーではアンテナの違 いで見え方や位置 のずれが変 わります:正しく測 るために重要 です)
でも、このデータはとても大きいです。
そのままだと、山の高さで画像 がゆがみます。
そのため、地図と重ねにくい問題がありました。
そこで という大きいABCI ( とても大きい計算機 の名前で大量 の計算を速く行うためのコンピュータです:たくさんのデータを同時に計算して直す作業に使います:データが大きすぎて普通 の計算機 では大変 なときに重要 です) 計算機 を使います。
山の高さのせいのズレを、なおします。
色のまちがいもなおし、見やすくします。
そして地図に合うように、位置 もなおします。
Pi-SAR2を、もっと使いやすくするのが目的 です。
- 何が分かったの?:
-
なおす前は、山の高さで見え方が
変 でした。
画像 に、ふしぜんな色の変化 が出ました。
チームは、 のちがいのアンテナ ( 電波を出したり受け取ったりする部品です:レーダーではアンテナの違 いで見え方や位置 のずれが変 わります:正しく測 るために重要 です) 情報 を使いました。
すると、高さが原因 のズレを小さくできました。
そのあと、機械 のくせをなおす調整をしました。
すると森や草は、緑っぽく見えやすくなりました。
前に見えた、色のしま模様 も減 りました。
平らな場所では、変化 はあまり大きくないです。
それでも、田んぼの赤すぎる所は減 りました。
たくさんの場面のデータも、まとめてなおしました。
でも一部は、うまく直せず使えませんでした。
- どうやったの?:
-
作業は、1つの場面ごとに行いました。
主に というファイルを使いました。MGP ( 作業で主に使うファイルの種類 の名前です:Pi-SAR2のデータを保存 や処理 するときの形式を指します:どのデータを使って作業したかを示 すため重要 です)
山の高さを直すときは、 も使いました。SSC ( 山の高さの影響 を直すときに使う情報 やファイルの名前です:ずれを直すための値 を計算する材料 として使います:地図と合うようにするため重要 です)
作業は、大きく4つの段階 です。
1つ目は、山の高さのせいのズレ直しです。
のちがいで、ズレが出るからです。アンテナ ( 電波を出したり受け取ったりする部品です:レーダーではアンテナの違 いで見え方や位置 のずれが変 わります:正しく測 るために重要 です)
SSCの情報 で、直すための値 を計算しました。
ズレの値 は、つながりが切れるのでつなぎ直します。
2つ目は、 の向きの調整です。電波 ( 空気中などを進む見えない波で情報 を運びます:ラジオやスマホやレーダーなどで使います:レーダーが地面を調べるための材料 になるので重要 です)
機械 のかたよりを見つけて、なおしました。
3つ目は、 を分ける作業です。はね返り方 ( 電波が物に当たって戻 ってくるときの戻 り方のちがいです:森や草や地面などで戻 り方が変 わるのでそれを分けて見やすくします:物の種類 を見分ける手がかりになるので重要 です)
にして、わかりやすくしました。色 画像 ( 調べた結果 を色で分かりやすくした画像 です:ちがいが見やすいように色をつけて表します:人が理解 しやすく比 べやすくするため重要 です)
4つ目は、地図に合うように位置 をなおします。
高さデータを使い、ずれた場所を直しました。
たくさんの計算は で、同時に進めました。ABCI ( とても大きい計算機 の名前で大量 の計算を速く行うためのコンピュータです:たくさんのデータを同時に計算して直す作業に使います:データが大きすぎて普通 の計算機 では大変 なときに重要 です)
いちばん時間がかかったのは、ズレ直しの計算です。
- 研究のまとめ:
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この研究で、
の使いにくさをPi-SAR2 ( 飛行機 にのせて地面を調べるレーダーの名前です:電波を出してはね返りを受け取り地面のようすを画像 のようにします:天気や昼夜に左右されにくく広い場所を調べられるので重要 です) 減 らしました。
山の高さで起きるズレを、まとめて直せました。
機械 のまちがいも直し、見え方をよくしました。
その結果 、自然 に近い色の画像 を作れました。
さらに、地図に重ねやすいデータになりました。
大きな量 のデータも、実さいに直せると分かりました。
一方で、ズレが大きすぎると失敗 する弱点も分かりました。
- これからどうする?:
-
これから直したい点は、主に2つです。
1つ目は、ズレが大きいと失敗 しやすいことです。
別 のやり方を試 し、失敗 を減 らしたいです。
同時に、作業時間も短くしたいです。
2つ目は、にた別 の にも使えるレーダー ( 電波を出して物に当たって戻 る電波を調べる装置 です:飛行機 や船や気象観測などで使われます:目で見えない情報 を集められる点が重要 です) 可能性 です。
この考え方を、Pi-SARにも広げられるかもしれません。
また、 にして、色 画像 ( 調べた結果 を色で分かりやすくした画像 です:ちがいが見やすいように色をつけて表します:人が理解 しやすく比 べやすくするため重要 です) で見られる計画もあります。Web ( インターネット上で見たり使ったりできるしくみのことです:ブラウザで画像 などを見られる形にします:多くの人が共有 しやすくなるので重要 です)
ただし、元のデータは約束 があり、自由に出せません。
- 著者名:
- Arima Yuya, Moriyama Toshifumi, Yamaguchi Yoshio, Nakamura Ryosuke, Tsutsumi Chiaki, Kojima Shoichiro
- 掲載誌名:
- Remote Sensing
- 巻:
- 15
- 号:
- 3
- ページ:
- 849
- 発行日:
- 2023-02-02
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002001503
