論文詳細
自然科学系
工学部
#学術雑誌論文
Extension of scattering power decomposition to dual-polarization data for tropical forest monitoring
- AI解説:
- 熱帯林の保全は、森林が温室効果ガスを吸収・貯蔵できることから、気候変動の緩和策として重要視されている。一方で近年数十年の間にも、ブラジル、コンゴ民主共和国、インドネシアなどの地域では依然として大規模な森林減少が続いている。本論文は、熱帯では雨季に雲が持続的にかかるため、光学リモートセンシングでは森林減少や森林劣化を適時(「early warning」)に検知することが特に難しいと述べる。Synthetic aperture radar(SAR)は雲の下でも観測でき、JJ-FAST(PALSAR-2 dual-pol HH/HV、50 m、約1.5か月更新)やRADD(Sentinel-1 VV/VH、10 m、6–12日更新)といった運用システムがすでに高頻度のアラートを提供しているが、これらは主として各偏波を別々に解析しており、偏波間の関係を活用していない。これに対し、quad-polarization POLSARはモデルベースの散乱電力分解(例:six-component scattering power decomposition、6SD)を可能にし、森林減少検知で高い性能が示されているものの、quad-polの取得モードではswath coverageが不十分という制約がある。今後、dual-polarizationの広swathデータ(例:PALSAR-3 dual-pol Stripmap)が豊富に利用可能になることを踏まえ、本論文の目的は、POLSARの散乱電力分解の概念をdual-polarization SARへ拡張し、熱帯林モニタリングの精度向上を図ることである。著者らは、この拡張が森林マッピングおよび森林減少検知を6SDに匹敵する性能で支えられるか、また一般的なdual-pol vegetation indicesより改善するかを評価することを目指す。
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自然科学系
工学部
#学術雑誌論文
Extension of scattering power decomposition to dual-polarization data for tropical forest monitoring
AI解説
- 背景と目的:
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熱帯林の保全は、森林が温室効果ガスを吸収・貯蔵できることから、気候変動の緩和策として重要視されている。一方で近年数十年の間にも、ブラジル、コンゴ民主共和国、インドネシアなどの地域では依然として大規模な森林減少が続いている。本論文は、熱帯では雨季に雲が持続的にかかるため、光学リモートセンシングでは森林減少や森林劣化を適時(「early warning」)に検知することが特に難しいと述べる。Synthetic aperture radar(SAR)は雲の下でも観測でき、JJ-FAST(PALSAR-2 dual-pol HH/HV、50 m、約1.5か月更新)やRADD(Sentinel-1 VV/VH、10 m、6–12日更新)といった運用システムがすでに高頻度のアラートを提供しているが、これらは主として各偏波を別々に解析しており、偏波間の関係を活用していない。これに対し、quad-polarization POLSARはモデルベースの散乱電力分解(例:six-component scattering power decomposition、6SD)を可能にし、森林減少検知で高い性能が示されているものの、quad-polの取得モードではswath coverageが不十分という制約がある。今後、dual-polarizationの広swathデータ(例:PALSAR-3 dual-pol Stripmap)が豊富に利用可能になることを踏まえ、本論文の目的は、POLSARの散乱電力分解の概念をdual-polarization SARへ拡張し、熱帯林モニタリングの精度向上を図ることである。著者らは、この拡張が森林マッピングおよび森林減少検知を6SDに匹敵する性能で支えられるか、また一般的なdual-pol vegetation indicesより改善するかを評価することを目指す。
- 主要な発見:
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PALSAR-2 POLSARシーンから作成した模擬dual-polarizationデータを用いると、提案する3成分のdual-polarization分解は、Rio Brancoにおいて非常に高い森林分類性能を示した。アンサンブル平均のウィンドウサイズ7 × 14、10 × 20、14 × 28ピクセル(≈0.3、0.6、1 ha)にわたり、また送受信偏波(HH/HVおよびVV/VH)の両方で、user’s accuracy(UA)とproducer’s accuracy(PA)が98%を上回り、Kappa > 0.98となり、性能は6SDと同程度であった。Rio Brancoでの2015–2017年(before: 2015年1月;after: 2018年1月)の森林減少検知では、提案手法と6SDは、ウィンドウサイズや送受信偏波に依らず、UA、PA、Kappaが同程度だった。著者らは、伐採後に疎な樹木が残る場合(森林劣化)には、体積散乱電力が十分に低下しないため、両手法でomission errorが増加すると指摘している。
追加の熱帯サイト(Ucayali River、Kalimantan、Congo Basin)でも、提案手法による森林マップは概ね6SDに基づく森林マップと整合しており、サイトと偏波をまたいでPAは90%を超え、概してUAとKappaは80%および0.80を上回った。例外として、Ucayali RiverのVV/VHでは、浸水林域でcommission errorが増加し、Kappaが0.70を下回った。Rio Brancoにおいてdual-pol vegetation indices(RFDIおよびRVI)と比較すると、提案手法は森林分類性能が高く、さらに重要な点として、VV/VH条件で指数のcommission errorが増えるのと同様の性能劣化を示さなかった。Altamiraでの実デュアル偏波データに適用すると、salt-and-pepperノイズが抑えられ、JAXA FNFの森林ピクセル(>90% crown cover)と良好に一致する森林マップが得られた。また、伐採後に散乱がvolume-dominatedからground-dominatedへ移る例として森林減少を検知した一方、疎な樹木が残る劣化のケースは見逃した。
- 方法論:
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本研究は、dual-polの2 × 2共分散行列と、POLSAR分解で用いられる完全な3 × 3 coherency matrixの間に知られている関係を利用し、熱帯林モニタリングに適したdual-polarizationの散乱電力分解を開発する。dual-pol観測では複素散乱行列要素が2つ(例:HHとHV、またはVVとVH)しか含まれないため、G4Uや6SDのような標準的なモデルベース分解を直接適用できない。そこで著者らは、dual-pol共分散の枠組みで表現できる3つの散乱モデルを定義する。(1) 体積散乱電力:ランダムに配向した双極子の雲としてモデル化。(2) helix散乱電力:非対角の共分散項(例:(S_{HH}S^*_{HV} neq 0))を扱うために導入。(3) 地表散乱電力:地表に関係する散乱成分を捉えることを意図し(概念的にはsurfaceおよびdouble-bounce効果に関連するが、完全偏波がないと分離できない)。十分大きいアンサンブル平均ウィンドウでは双極子配向分布を一様とみなせる、という仮定の下で、体積モデルは特定の共分散形を与える。次にdual-pol共分散行列を、3成分の共分散の和(3つの未知の電力 (P_g, P_v, P_h) によりスケール)として表し、アンサンブル平均後に各ピクセルの散乱電力成分を解く。
検証では、PALSAR-2のquad-pol Stripmap POLSARデータからdual-polarizationデータセット(HH/HVおよびVV/VHのサブセット)を模擬生成した。Rio Brancoでは、Planetのbiannual NICFI basemaps(1 arcsecでラスタ化)を目視判読して、森林減少、恒久森林、恒久非森林の参照ポリゴンを作成し、≤1 haの森林減少ポリゴンも含めた。森林マッピングでは、(P_v ge P_g) かつ (P_v ge alpha) のピクセルを森林として分類し、性能最適化のため(alpha)を探索した(0.05–0.45を0.01刻み)。森林減少検知では、「before」と「after」の散乱電力を、(alpha)と(beta)を含むしきい値ルールで比較した(探索範囲:(alpha)は0.05–0.45、(beta)は−0.15–0.0を0.01刻み)。散乱電力はSRTM1(1 arcsec)でジオコーディングし、ノイズ低減のため3 × 3ピクセルで空間平均した。追加サイトの評価では、6SDの森林マップを参照(目視判読データなし)として整合性指標を評価した。さらに、森林マッピングについてはRFDIとRVIのしきい値とも比較し、水域は(|S_{HH}|^2)および(|S_{VV}|^2) < 0.03の条件でマスクした。最後に、Altamiraの実dual-pol PALSAR-2データに対して本手法を適用し、森林マッピング(JAXA FNFと比較)と森林減少検知(2019年4月4日 vs 2022年5月12日)を行った。
- 結論と意義:
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本論文は、quad-polarization POLSARの散乱電力分解は、dual-pol共分散行列を、物理的に解釈可能な3成分(地表散乱、体積散乱、helix散乱)に分解することで、dual-polarization SARへ有意義に適用できると結論づける。模擬dual-polarizationデータでの実験では、Rio Brancoにおいて少なくとも7 × 14ピクセルのウィンドウサイズで優れた森林分類精度(UAとPA > 98%、Kappa > 0.98)を示し、森林減少検知性能も確立された6SD POLSAR手法と同程度だった。dual-polarizationデータは一般に、quad-pol POLSARよりも高頻度かつ広いswath coverageで取得されるため、著者らは、完全偏波を必要とする分解法に匹敵する精度を保ちつつ、より迅速な森林減少検知を提案手法が支援できると主張する。また本手法は、森林分類において一般的なdual-pol vegetation indices(RFDI、RVI)を上回り、特にVV/VHデータ使用時に指数でcommission errorが増加したのに対して、より高いロバスト性を示した。Altamiraの実データへの適用でも実用性が示され、得られた森林マップはJAXA FNFの森林域(>90% crown cover)とよく一致し、speckle様ノイズが低減し、体積優勢から地表優勢への散乱のシフトとして明瞭な伐採シグナルを検出できた。同時に本研究は限界も強調しており、提案手法と6SDはいずれも、疎な樹木が残って体積散乱が十分に低下しない森林劣化の文脈ではomission errorを生じる。さらに地形の影響も重要で、斜面に起因する放射輝度の変動は、斜面補正がない場合に誤分類につながり得る。
- 今後の展望:
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著者らは、運用モニタリング性能を改善するための方向性をいくつか挙げている。第一に、森林劣化の検知は未解決の課題であり、伐採後に疎な樹木が残ると体積散乱電力が相対的に高いままとなり、しきい値に基づく変化ルールでは攪乱として検出されないためomission errorが生じる。将来の研究は、提案手法と6SDの双方について、劣化検知の改善に焦点を当てると明記している。第二に、アンサンブル平均による空間分解能と分類信頼性のトレードオフを論じる。小さなウィンドウ(例:3 × 6ピクセル)はomission errorを減らし得るが、双極子配向分布を一様とする本手法の仮定に反し、体積散乱の過大推定を招く。したがってこのバイアスを抑えるため、少なくとも7 × 14ピクセルのウィンドウ使用を推奨しつつ、より細かなスケールのマッピングが必要な場合には手法改良が必要であることを示唆している。第三に、山地地形では散乱電力に斜面依存の明るさ変動が生じ、森林斜面の一部が見落とされるため、高標高域では斜面補正の適用により森林分類を改善できると述べる。最後にAltamiraの結果に基づき、森林境界や樹冠被覆が低い領域(例:JAXA FNFで10%–90% crown cover)では、平均化ウィンドウ内のmixed pixelが推定体積散乱電力を低下させ、非森林側へ分類が傾き得るという具体的課題を指摘し、低被覆森林と非森林をより適切に分離するための改良を提案する。本論文が強調するより広い展望は、本手法が今後のdual-polarizationデータセットに適用できるだけでなく、これまで分解ベースの森林モニタリングで十分に活用されてこなかったdual-polarization SARの蓄積アーカイブにも適用可能である、という点である。
- 背景と目的:
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は、二酸化炭素などの熱帯林 ( 赤道付近の高温多雨な地域に広がる森林で、炭素を多くためこみ、生物多様性も高い重要な自然環境です。) を吸収してためこめるため、気候変動をやわらげるうえで重要です。しかし、ブラジルやコンゴ民主共和国、インドネシアなどでは、今も大規模な温室効果ガス ( 地球から宇宙へ逃げるはずの熱を大気中に閉じ込め、気温を上げるはたらきをする気体で、二酸化炭素などが代表例です。) が続いています。森林減少 ( 森林が伐採などで非森林へ変わることを指し、気候や生態系への影響が大きい問題です。)
森林減少を早く見つけるには衛星画像が役立ちますが、熱帯では雨季に雲が多く、普通のカメラのように光で撮る衛星(光学センサー)ではタイミングよく観測しにくいという問題があります。
そこで注目されるのが、雲があっても地表を観測できる というレーダーの衛星データです。すでにSAR ( マイクロ波を地表に当てて反射を測るレーダー観測で、夜や雲が多い状況でも観測しやすいのが強みです。) やJJ-FAST ( 日本が運用する熱帯林の早期警戒システムで、SARを使い約1.5か月ごとに森林変化の情報を提供します。) のように、短い間隔で森林変化の「警告」を出す仕組みもあります。ただ、これらはRADD ( Global Forest Watchが提供するSARベースの森林攪乱アラートで、6から12日程度の短い間隔で変化を知らせます。) ごとの強さを別々に見ることが中心で、偏波どうしの関係を十分に使っていません。偏波 ( 電波の振動方向の違いで、同じ場所でも偏波が違うと反射のしかたが変わり、地表や森林の情報を読み取りやすくなります。)
一方、より多くの情報が得られる のquad偏波 ( 4種類の偏波(送信と受信の組み合わせ)をそろえて観測する方法で、対象の性質をより詳しく分析できます。) では、森林変化の検知に強い方法(POLSAR ( 偏波情報を活用するSAR観測で、森林の構造や地表の違いを物理的に解釈しやすいのが特徴です。) 電力分解)が使えますが、観測できる範囲が狭いという弱点があります。散乱 ( 電波が地表や樹木に当たってさまざまな方向へ反射する現象で、反射の特徴から地表の状態を推定します。)
今後は、広い範囲を高い頻度で観測しやすい データ(例:将来のdual偏波 ( 2種類の偏波の組み合わせで観測する方法で、観測頻度や観測範囲を確保しやすい一方、得られる情報はquad偏波より少ないです。) )が増える見込みです。そこで本研究は、POLSARで使われてきた「散乱電力分解」の考え方をdual偏波SARにも広げ、熱帯林の分類や森林減少の検知をより正確にすることを目的としています。また、よく使われるdual偏波のPALSAR-3 ( PALSAR-2の後継として計画されるSARで、広い範囲を高い解像度で観測できるdual偏波データが多く得られると期待されています。) より良くなるかも確かめます。植生指数 ( 複数の観測値から植生の状態を数値化した指標で、dual偏波SARでも簡単に森林らしさを見積もるために使われます。)
- 主要な発見:
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のPALSAR-2 ( ALOS-2に搭載されたLバンドのSARセンサーで、森林観測に適したデータを取得できます。) データから作った「POLSAR ( 偏波情報を活用するSAR観測で、森林の構造や地表の違いを物理的に解釈しやすいのが特徴です。) の模擬データ」を使うと、提案手法(3つの成分に分けるdual偏波分解)は、Rio Brancoで森林かどうかの分類が非常に高精度でした。複数の平均化dual偏波 ( 2種類の偏波の組み合わせで観測する方法で、観測頻度や観測範囲を確保しやすい一方、得られる情報はquad偏波より少ないです。) (約0.3〜1 ha相当)やウィンドウサイズ ( 平均を取るときに使う範囲の大きさで、大きいほどノイズは減るが細かい変化はぼやけやすくなります。) の組み合わせ(HH/HVとVV/VH)のどちらでも、偏波 ( 電波の振動方向の違いで、同じ場所でも偏波が違うと反射のしかたが変わり、地表や森林の情報を読み取りやすくなります。) とUA ( 森林と判定したもののうち本当に森林だった割合で、誤って森林とした割合を減らすために重要です。) が98%以上、PA ( 本当に森林である場所のうち森林として当てられた割合で、見逃しを減らすために重要です。) も0.98より大きく、Kappa ( 偶然一致した分を差し引いて一致度を評価する指標で、分類がどれだけ信頼できるかの目安になります。) と同程度の性能でした。6SD ( POLSARの散乱電力分解の一種で、散乱を6つの成分に分けて解釈し、森林減少の検知でも高い性能が報告されています。)
Rio Brancoでの 検知(2015年ごろと2018年ごろの比較)でも、提案手法は6SDと同じくらいの精度でした。ただし、伐採後に木がまばらに残る「森林減少 ( 森林が伐採などで非森林へ変わることを指し、気候や生態系への影響が大きい問題です。) 」の場合は、森林らしい森林劣化 ( 森林が完全に消えるのではなく、木が減って質が落ちる状態で、見た目が森林に近い場合は検知が難しくなります。) があまり減らないため、森林減少として見逃すことが増えると述べています。散乱 ( 電波が地表や樹木に当たってさまざまな方向へ反射する現象で、反射の特徴から地表の状態を推定します。)
別の熱帯地域(Ucayali River、Kalimantan、Congo Basin)でも、提案手法で作った森林マップは全体として6SDの結果とよく合い、PAは90%超が多く、UAやKappaも概ね高い値でした。ただしUcayali RiverのVV/VHでは、水に浸かった森林で誤って森林と判定する例が増え、精度が落ちました。
また、 やRFDI ( dual偏波SARから森林の劣化や伐採の可能性を見やすくするための指標で、値の変化から攪乱を推定します。) といったdual偏波のRVI ( 植生の量や状態を表すためのレーダー指標で、条件が合えば森林の特徴を数値として扱えます。) と比べると、提案手法のほうが森林分類の性能が高く、特にVV/VHのときに指数で起きやすかった誤判定の増加が起きにくいことが示されました。植生指数 ( 複数の観測値から植生の状態を数値化した指標で、dual偏波SARでも簡単に森林らしさを見積もるために使われます。)
Altamiraの実データでも、ノイズが目立ちにくい森林マップが得られ、 の「樹冠が濃い森林」とよく一致しました。伐採で散乱の中心が「樹木」から「地面」に移るタイプの森林減少は検知できましたが、木が少し残る劣化は見逃しやすいことも確認されました。JAXA FNF ( JAXAが作る森林と非森林の地図で、森林の広がりを年ごとに把握するための基準データとして使われます。)
- 方法論:
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本研究は、
で作れる2×2の情報(dual偏波 ( 2種類の偏波の組み合わせで観測する方法で、観測頻度や観測範囲を確保しやすい一方、得られる情報はquad偏波より少ないです。) )と、共分散行列 ( SARの観測値どうしの関係をまとめた表で、偏波間のつながりを数式として扱い、散乱の成分推定に使います。) で使う3×3の情報(POLSAR ( 偏波情報を活用するSAR観測で、森林の構造や地表の違いを物理的に解釈しやすいのが特徴です。) )の関係を利用して、dual偏波でも使えるcoherency matrix ( POLSARで使うより多くの偏波情報を含む行列で、散乱電力分解の基礎になるデータ表現です。) 電力分解を作りました。dual偏波では観測できる散乱 ( 電波が地表や樹木に当たってさまざまな方向へ反射する現象で、反射の特徴から地表の状態を推定します。) の種類が少ないため、偏波 ( 電波の振動方向の違いで、同じ場所でも偏波が違うと反射のしかたが変わり、地表や森林の情報を読み取りやすくなります。) などの標準的な分解法をそのまま使えません。6SD ( POLSARの散乱電力分解の一種で、散乱を6つの成分に分けて解釈し、森林減少の検知でも高い性能が報告されています。)
そこで、dual偏波でも表せる3つの散乱モデルを用意し、それぞれの強さ(電力)を求めます。
1つ目は、樹木の枝葉などによる散乱を表す 電力です。体積散乱 ( 森林の枝葉や幹などがたくさん集まった「立体的な物体の集まり」からの反射を表し、森林らしさの指標として重要です。)
2つ目は、偏波どうしの関係(共分散行列の非対角の項)を説明するための 電力です。helix散乱 ( 偏波どうしの関係に現れる特殊な散乱成分を説明するためのモデルで、dual偏波でも偏波間の情報を使うために重要です。)
3つ目は、地面に関係する散乱をまとめて表す 電力です(POLSARのように細かく分けられないため、地面由来の成分をひとまとめに扱います)。地表散乱 ( 地面に由来する反射を表し、伐採で樹木が減ると相対的に目立ちやすくなるため森林減少の手がかりになります。)
十分大きい範囲で平均をとれば、樹木の向きの偏りは全体としてならされる、という考えを使い、各ピクセルの3成分の電力を計算します。
評価では、 のPALSAR-2 ( ALOS-2に搭載されたLバンドのSARセンサーで、森林観測に適したデータを取得できます。) データからHH/HVやVV/VHだけを抜き出して模擬dual偏波データを作り、森林分類はquad偏波 ( 4種類の偏波(送信と受信の組み合わせ)をそろえて観測する方法で、対象の性質をより詳しく分析できます。) で判定、しきい値 ( ある数値以上なら森林などと判定するための境界の値で、設定によって誤判定の増減が変わります。) 検知は「前後の変化量」をしきい値で判定しました。Rio Brancoでは高解像度画像を目で確認して参照データを作り、他地域では6SDの結果との一致度で評価しました。最後にAltamiraの実dual偏波データでも森林分類と森林減少検知を試しました。森林減少 ( 森林が伐採などで非森林へ変わることを指し、気候や生態系への影響が大きい問題です。)
- 結論と意義:
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本研究は、
で使われてきたPOLSAR ( 偏波情報を活用するSAR観測で、森林の構造や地表の違いを物理的に解釈しやすいのが特徴です。) 電力分解の考え方を、散乱 ( 電波が地表や樹木に当たってさまざまな方向へ反射する現象で、反射の特徴から地表の状態を推定します。) dual偏波 ( 2種類の偏波の組み合わせで観測する方法で、観測頻度や観測範囲を確保しやすい一方、得られる情報はquad偏波より少ないです。) でも「SAR ( マイクロ波を地表に当てて反射を測るレーダー観測で、夜や雲が多い状況でも観測しやすいのが強みです。) 」「地表散乱 ( 地面に由来する反射を表し、伐採で樹木が減ると相対的に目立ちやすくなるため森林減少の手がかりになります。) 」「体積散乱 ( 森林の枝葉や幹などがたくさん集まった「立体的な物体の集まり」からの反射を表し、森林らしさの指標として重要です。) 」の3成分として実用的に適用できると示しました。模擬データの実験では、森林分類はhelix散乱 ( 偏波どうしの関係に現れる特殊な散乱成分を説明するためのモデルで、dual偏波でも偏波間の情報を使うために重要です。) ・UA ( 森林と判定したもののうち本当に森林だった割合で、誤って森林とした割合を減らすために重要です。) が98%超、PA ( 本当に森林である場所のうち森林として当てられた割合で、見逃しを減らすために重要です。) も0.98超と非常に高く、Kappa ( 偶然一致した分を差し引いて一致度を評価する指標で、分類がどれだけ信頼できるかの目安になります。) 検知も森林減少 ( 森林が伐採などで非森林へ変わることを指し、気候や生態系への影響が大きい問題です。) と同程度でした。6SD ( POLSARの散乱電力分解の一種で、散乱を6つの成分に分けて解釈し、森林減少の検知でも高い性能が報告されています。)
dual偏波データは、 よりも広い範囲をより頻繁に観測しやすいことが多いため、精度を保ちながら、より早い森林減少検知につながる可能性があります。また、quad偏波 ( 4種類の偏波(送信と受信の組み合わせ)をそろえて観測する方法で、対象の性質をより詳しく分析できます。) (植生指数 ( 複数の観測値から植生の状態を数値化した指標で、dual偏波SARでも簡単に森林らしさを見積もるために使われます。) 、RFDI ( dual偏波SARから森林の劣化や伐採の可能性を見やすくするための指標で、値の変化から攪乱を推定します。) )より性能が高く、特にVV/VHの条件でも精度が落ちにくい点が強みです。RVI ( 植生の量や状態を表すためのレーダー指標で、条件が合えば森林の特徴を数値として扱えます。)
一方で、木がまばらに残る は見逃しやすいこと、山地では斜面の向きによって明るさが変わり誤分類が起きうることが限界として示されました。森林劣化 ( 森林が完全に消えるのではなく、木が減って質が落ちる状態で、見た目が森林に近い場合は検知が難しくなります。)
- 今後の展望:
-
今後の課題として、まず
の検知を改善する必要があるとしています。伐採後に木が残ると森林劣化 ( 森林が完全に消えるのではなく、木が減って質が落ちる状態で、見た目が森林に近い場合は検知が難しくなります。) があまり下がらず、体積散乱 ( 森林の枝葉や幹などがたくさん集まった「立体的な物体の集まり」からの反射を表し、森林らしさの指標として重要です。) だけの変化判定では見つけにくいからです。しきい値 ( ある数値以上なら森林などと判定するための境界の値で、設定によって誤判定の増減が変わります。)
次に、平均化ウィンドウの大きさの問題があります。小さいウィンドウは細かい変化を拾いやすい一方で、手法が置いた仮定が成り立ちにくくなり、体積散乱を大きく見積もってしまう可能性があります。そのため、少なくとも7×14ピクセル程度を推奨しつつ、より細かい地図が必要なら改良が必要だと述べています。
さらに山地では を入れることで森林分類が良くなる可能性があります。Altamiraの結果からは、森林の境界や樹冠が薄い場所では、平均化の影響で森林が非森林側に寄ってしまう課題も指摘し、低被覆の森林をよりうまく分ける改良が必要だとしています。加えて、将来の新しい斜面補正 ( 山の斜面の向きによる明るさの違いを補正し、地形のせいで起きる誤分類を減らすための処理です。) データだけでなく、これまで十分活用されてこなかった過去のdual偏波データにも応用できる点を重要な展望として挙げています。dual偏波 ( 2種類の偏波の組み合わせで観測する方法で、観測頻度や観測範囲を確保しやすい一方、得られる情報はquad偏波より少ないです。)
- 何のために?:
-
は、地球をあたためる気体をへらします。熱帯林 ( 赤道の近くにある暑くて雨が多い地域 の森のこと。地球の空気中の二酸化炭素 をへらすはたらきがあり、気候 の変化 をおさえるために重要 です。)
だから、 の気候 ( ある場所で長い間つづく天気のならわしのこと。気温や雨の多さなどがふくまれ、森がへると気候 にえいきょうが出るので大切です。) 変化 をおさえる力があります。
でも、熱帯林 は今もたくさんへっています。
森がへるのを早く見つけたいです。
そこで、空から見る の写真を使います。衛星 ( 地球のまわりを回りながら、地上を観察 したり写真をとったりするもの。広い場所をいちどに見られるので、森がへるのを早く見つけるのに役立ちます。)
けれど、雨の多い季節 は雲がじゃまです。
ふつうの写真の衛星 は、森が見えにくいです。
雲があっても見える が役に立ちます。レーダー ( 電波を出して、はね返ってくるようすから地面や森の状態 を調べるしくみ。雲があっても見えやすいので、雨の多い季節 の観察 で重要 です。)
この研究は、森をもっと正しく分けたいです。
そして、森がへるのを早く見つけたいです。
そのための新しいやり方を考えました。
よくある計算より良 いかも、確 かめます。
- 何が分かったの?:
-
まず、森かどうかを分けてみました。
すると、とても高い正しさになりました。
いろいろな場所の大きさでも、良 かったです。
べつの の電波 ( 目に見えない波で、ラジオやテレビやレーダーなどで使われます。ちがう電波を使うと、森や地面のちがいが分かりやすくなります。) でも、組み合わせ ( いくつかのものをいっしょにして使うこと。電波の組み合わせを変 えると、森の見え方が変 わるので結果 に関係 します。) 良 かったです。
つぎに、森がへった所をさがしました。
その正しさも、今の強い方法 と同じくらいです。
でも、木が少し残 る場所は、見のがしやすいです。
森らしさがあまり変 わらないからです。
ほかの熱帯 の場所でも、だいたい上手でした。
ただし、水でぬれた森をまちがえることもありました。
よく使う より、この目じるし ( ものごとを判断 するときにたよりにする合図や基準 のこと。どの目じるしがよいかで、森がへった場所をどれだけ正しく見つけられるかが変 わります。) 方法 が良 かったです。
とくに、まちがいがふえにくいと分かりました。
本物の でも、見やすい森の地図ができました。データ ( 調べたり測 ったりして集めた情報 のこと。データがあると、森がへったかどうかをくらべてたしかめられます。)
木がなくなる変化 は見つけられました。
でも、木が少し残 る変化 は、やはり苦手でした。
- どうやったの?:
-
この研究は、
のレーダー ( 電波を出して、はね返ってくるようすから地面や森の状態 を調べるしくみ。雲があっても見えやすいので、雨の多い季節 の観察 で重要 です。) を使います。データ ( 調べたり測 ったりして集めた情報 のこと。データがあると、森がへったかどうかをくらべてたしかめられます。)
のちがいから、地面や木のようすを見ます。電波 ( 目に見えない波で、ラジオやテレビやレーダーなどで使われます。ちがう電波を使うと、森や地面のちがいが分かりやすくなります。)
ただ、電波の種類 が少ないと、むずかしいです。
そこで、3つの見え方に分ける方法 を作りました。
1つ目は、木の葉や枝 で広がる見え方です。
2つ目は、電波どうしのつながりの見え方です。
3つ目は、地面に関係 する見え方です。
広い ではんい ( ある広さや区間のこと。どのはんいでならすかによって、見え方のかたよりや細かい変化 の見つけやすさが変 わります。) と、木の向きがかたよりにくいです。ならす ( でこぼこしたちがいを小さくして、平均 に近づけること。山の向きなどで起きる見え方のむらをへらし、まちがいを少なくするために使います。)
その考えを使い、3つの強さを出します。
森かどうかは、決めた数より大きいかで分けます。
森がへったかは、前と後のちがいで見ます。
場所によって、くらべるための を用意しました。正解 ( くらべるために用意する、ただしい答えとしてあつかう情報 のこと。研究の結果 がどれくらいただしいかを確 かめるために重要 です。)
最後 に、本物の別 の場所でもためしました。
- 研究のまとめ:
-
この研究は、新しい分け方が使えると
示 しました。
森の分け方は、とても正しくできました。
森がへる所さがしも、かなり正しくできました。
この種類 の は、広い場所を見やすいです。データ ( 調べたり測 ったりして集めた情報 のこと。データがあると、森がへったかどうかをくらべてたしかめられます。)
だから、森がへるのを早く見つけやすくなります。
よくある より、うまくいくことが多いです。目じるし ( ものごとを判断 するときにたよりにする合図や基準 のこと。どの目じるしがよいかで、森がへった場所をどれだけ正しく見つけられるかが変 わります。)
ただし、木が少し残 る変化 は見つけにくいです。
山では、山の向きで見え方が変 わることもあります。
- これからどうする?:
-
まず、木が少し
残 る変化 を見つけたいです。
今の決め方だと、見つけにくいからです。
つぎに、どれくらい広く かが大事です。ならす ( でこぼこしたちがいを小さくして、平均 に近づけること。山の向きなどで起きる見え方のむらをへらし、まちがいを少なくするために使います。)
小さすぎると、まちがえやすくなります。
でも、小さいと細かい変化 も見つけられます。
だから、ちょうどよい大きさを考える必要 があります。
山では、山の形の直しも入れると良 くなりそうです。
森のはしや、木がうすい所も、もっと上手に分けたいです。
そして、昔の にも使えるのがデータ ( 調べたり測 ったりして集めた情報 のこと。データがあると、森がへったかどうかをくらべてたしかめられます。) 良 いところです。
- 著者名:
- Sugimoto Ryu, Nakamura Ryosuke, Tsutsumi Chiaki, Yamaguchi Yoshio
- 掲載誌名:
- Remote Sensing
- 巻:
- 15
- 号:
- 3
- ページ:
- 839
- 発行日:
- 2023-02-02
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002001504
