論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
肝硬変治療へ向けた細胞外小胞の分布・回収・容量依存性についての分析
- AI解説:
- 肝硬変は、慢性的な肝障害の終末段階であり、持続する炎症と線維化が門脈圧亢進と肝機能の進行性低下を引き起こす。病状が重くなるにつれて、出血、黄疸、浮腫、腹水、肝性脳症、感染への感受性亢進が生じうる。これらはいずれも生活の質を大きく低下させ、致命的になり得る。根治療法は肝移植であるが、ドナー不足のため代替治療の開発が求められている。Mesenchymal stem cells(MSCs)は、線維化を改善し、間接的に再生を支える可能性が報告されており、その一因として、タンパク質や核酸を運ぶ約100 nmのsmall extracellular vesicles(sEVs)が挙げられる。著者らは以前、IFN-γで刺激したMSC由来sEVsが肝硬変に強い治療効果を示し、損傷肝におけるマクロファージの調節による可能性が高いと報告した。しかし、臨床応用に向けては、投与後にどの肝細胞種が優先的にsEVsを取り込むのか、治療効果が用量に応じて増えるのか、効力を落とさずに高収量でsEVsを回収できるのか、といった重要な不確実性が残っていた。本研究は、in vitroおよびマウス肝硬変モデルでsEVの分布と取り込みを可視化し、一定範囲で用量依存性を検証し、回収法としてultracentrifugation(UC)とtangential flow filtration(TFF)を比較することで、これらの課題を埋めることを目的とした。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
肝硬変治療へ向けた細胞外小胞の分布・回収・容量依存性についての分析
AI解説
- 背景と目的:
-
肝硬変は、慢性的な肝障害の終末段階であり、持続する炎症と線維化が門脈圧亢進と肝機能の進行性低下を引き起こす。病状が重くなるにつれて、出血、黄疸、浮腫、腹水、肝性脳症、感染への感受性亢進が生じうる。これらはいずれも生活の質を大きく低下させ、致命的になり得る。根治療法は肝移植であるが、ドナー不足のため代替治療の開発が求められている。Mesenchymal stem cells(MSCs)は、線維化を改善し、間接的に再生を支える可能性が報告されており、その一因として、タンパク質や核酸を運ぶ約100 nmのsmall extracellular vesicles(sEVs)が挙げられる。著者らは以前、IFN-γで刺激したMSC由来sEVsが肝硬変に強い治療効果を示し、損傷肝におけるマクロファージの調節による可能性が高いと報告した。しかし、臨床応用に向けては、投与後にどの肝細胞種が優先的にsEVsを取り込むのか、治療効果が用量に応じて増えるのか、効力を落とさずに高収量でsEVsを回収できるのか、といった重要な不確実性が残っていた。本研究は、in vitroおよびマウス肝硬変モデルでsEVの分布と取り込みを可視化し、一定範囲で用量依存性を検証し、回収法としてultracentrifugation(UC)とtangential flow filtration(TFF)を比較することで、これらの課題を埋めることを目的とした。
- 主要な発見:
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第一に、著者らは、Sendai virusベクターを用いてsEVマーカーであるCD63にtdTomatoを融合させることで、蛍光で追跡可能なsEVを産生するようにヒト脂肪組織由来MSCを改変した。抗生物質選択前の導入効率は91.64 ± 1.22%であり、約3 × 10^7個の細胞から、75 mlの上清中に合計EVとして(7.16 ± 1.06) × 10^7 particles/mL、赤色蛍光EVとして(5.76 ± 0.60) × 10^7 particles/mL(赤色蛍光陽性画分の88.6 ± 3.8%)を得た。これらのsEVを用いた取り込み実験では、検討した他の肝関連細胞種(liver sinusoidal endothelial cells、静止/活性化状態のhepatic stellate cells、hepatocytes)と比べて、マクロファージによる取り込みが顕著に大きかった。肝硬変マウス肝では、sEVは肝細胞由来デブリを含む損傷部位に強く集積した。AlexaFluor 488結合F4/80抗体を同時投与したところ、線維化した損傷領域において、多くのsEVがマクロファージに取り込まれていることが示された。
第二に、検討した範囲では、投与量を増やしても治療効果が単調に増加するわけではなかった。UCで回収したsEV(5、10、15 μg/mouse)を尾静脈から投与すると、肝酵素(AST、ALT)は5 μg群と10 μg群で対照より低かった一方、15 μg群では改善が限定的であった。線維化指標(Sirius Red面積とhydroxyproline)は対照より改善したが、用量依存性は認められなかった。
第三に、TFFは見かけ上の治療効果を保ちつつ回収性能を改善した。200 mlの上清に対して、TFFは手技時間を0.40 ± 0.01(相対指標)まで短縮し、最終粒子数を19.45 ± 2.95倍増加させた(p < 0.001)。UCおよびTFFの両方のsEV製剤にCD9とCD81が含まれていた。肝硬変モデルでTFF回収またはUC回収のsEVを各5 μg/mouse投与したところ、両群ともPBS対照に比べてAST、ALT、T-Bilの改善傾向と、線維化の有意な改善を示し、TFF群とUC群の間に有意差はなかった。
- 方法論:
-
ヒト脂肪組織由来MSC(AD-MSCs;継代2を継代4まで拡大)を、低酸素(5% O2)かつxeno-free培地で培養し、フローサイトメトリー(CD73/CD90/CD105陽性;CD14/CD19/CD34/CD45/HLA-DRを評価)および三系統分化アッセイで特徴付けた。sEVの可視化のため、CD63-tdTomato融合体をコードするSendai virusベクターを構築してMSCに感染させ、blasticidin S選択により均一に導入された細胞を得た。sEVは、48時間培養後の無血清conditioned mediumから、UC(210,000 × g、4 °Cで70 min、洗浄工程あり)またはTFF(500-kDa cutoff)で回収し、PBSに再懸濁/希釈した。タンパク質量を定量し、粒子数・サイズはnanoparticle tracking(蛍光粒子測定を含む)で評価した。in vitroでの取り込みは、tdTomato発現sEV(2 μg/ml)をチャンバースライドに播種した肝関連細胞種に添加し、4時間後に固定、核染色を行い、蛍光顕微鏡で観察した。CCl4肝硬変モデルでのin vivo/組織レベル局在については、通常の尾静脈投与後の可視化が困難であると報告されたため、著者らは肝血管を結紮して右葉の一部に逆行性の投与経路を作るpartial-liver administration法を考案し、tdTomato-sEVs(20 μg/mouse)をAlexaFluor 488結合F4/80抗体の有無で投与した。摘出肝を37 °Cで4時間インキュベートし、自家蛍光の消光処理後に共焦点顕微鏡で観察した。治療効果の検証では、マウスCCl4誘発肝硬変プロトコル(腹腔内投与を週2回;8週時点で尾静脈よりsEVを単回投与し、4週後に解析)を用いた。UC回収sEVの用量は5、10、15 μg/mouseとし、別途、UC回収とTFF回収で集めたsEVを5 μg/mouseで比較した。評価項目は血清ALT、ALP、ALB(結果ではASTとT-Bilも報告)、Sirius Red染色による線維化(1切片あたり無作為10画像をImageJで定量)、およびhydroxyprolineアッセイによる肝コラーゲン量であった。Western blottingで小胞関連マーカー(CD9、CD63、CD81)を評価した。統計解析はMann–Whitney U検定を用い、p < 0.05を有意とした。
- 結論と意義:
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本研究は、肝硬変に対するMSC由来sEV療法の開発に関わる、実務的・生物学的な不確実性をいくつか明確化した。外因性染色による偽陽性を減らす意図で、内在性の蛍光標識戦略(CD63-tdTomato)を用いた結果、MSC由来sEVが、検討した他の肝構成細胞種よりもマクロファージに優先的に取り込まれること、また肝硬変肝では、マクロファージが豊富な損傷・デブリ蓄積領域にこれらの小胞が集積することを示す証拠が得られた。この分布様式は、肝硬変における治療効果が、損傷部位でのマクロファージ調節を介して大きく発揮されるという著者らのより広い機序仮説を支持する。臨床応用の観点では、sEV投与量を5から15 μg/mouseに増やしても抗線維化効果が必ずしも強まらないことが示唆され、この範囲では線形の用量依存性というより、ある水準以上で効果が頭打ちになる可能性と整合的であった。さらに、TFFが収量を大幅に増やし処理時間を短縮しつつ、UCと同等の治療成績を維持したという所見は、製造上の主要ボトルネックに対する解決策を提示し、回収工程のスケールアップの実現可能性を後押しする。著者らは限界として、UC回収とTFF回収でみられた小胞サイズのわずかな差の説明が未解決であること、その差が内容物の変化や機能的帰結を反映するかどうかが不明であることを挙げている。
- 今後の展望:
-
著者らは、臨床応用を広げる前に必要な課題として、いくつかの方向性を挙げている。大きな課題の一つは、細胞の同一性の安定性と一貫したsEV品質を保ちながらMSC培養をスケール可能にすることである。一次MSCは寿命が限られ老化(senescence)し得るうえ、ドナーや培養条件によってばらつきが生じるためであり、著者らはこの制約を軽減する一法としてMSCのimmortalizationの探索を提案している。また、治療に最も重要なsEV構成要素は未確定である点を強調している。著者らはこれまで、IFN-γ刺激MSC由来小胞の先行プロテオミクス研究で注目された候補タンパク質(例:annexin-A1、aminopeptidase-N、lactotransferrin)に焦点を当ててきたが、miRNAsやその他の核酸も寄与し得ること、複数因子が共同して有効性を媒介する可能性があることを指摘している。製造面では、本研究はTFFのような回収法(および著者らが引用した他手法との組み合わせの可能性)のさらなる開発を支持する一方で、方法に伴うサイズシフトがカーゴやアウトカムの変化に対応するのかという未解決問題も浮き彫りにしている。さらに、治療効果を高める戦略として、非改変(“natural-type”)小胞の利用、MSCの前処置(例:IFN-γ刺激)、特定のmiRNAやタンパク質の導入、あるいは標的指向性を改善するための表面特性の改変による細胞/小胞のエンジニアリングを挙げている。CD63-tdTomatoシステムは追跡ツールにとどまらず、制御可能なカーゴ導入に向けた一歩としても位置づけられている。最後に著者らは規制および品質管理上の論点を強調し、MSC由来sEVのロット間の機能的不均一性には、加工細胞で用いられるのに類する製造管理が必要であり、分野の成熟に伴ってより明確な標準が整備されていく可能性が高いと論じている。
- 背景と目的:
-
は、長い間の肝臓のダメージが積み重なって起こる、肝臓の病気の進行した状態です。肝臓の中で炎症が続き、かたくなる変化が進むと、血液の流れが悪くなったり、肝臓の働きがだんだん弱くなったりします。その結果、出血、黄疸、むくみ、腹水、意識がぼんやりする症状、感染症にかかりやすくなることなどが起こり、命に関わることもあります。いちばん確実な治療は肝移植ですが、提供者が足りないため、別の治療法が必要です。肝硬変 ( 肝臓の炎症が長く続いた結果、肝臓がかたくなって働きが落ちる病気です。進行すると命に関わる合併症が起こるため、治療法の開発が重要です。)
そこで注目されているのが、 という細胞が出す小さな粒(MSC ( 骨髄や脂肪などにある、いろいろな細胞に変化したり、周りの細胞の回復を助けたりする細胞です。体の修復を助ける働きが期待され、治療研究が進んでいます。) )を使う治療です。sEVはタンパク質や核酸などを運び、肝臓のかたさ(sEV ( 細胞が外に出すとても小さな粒で、タンパク質や核酸などを運びます。体の中で細胞どうしの情報伝達に関わり、治療への応用が期待されています。) )を改善し、回復を助ける可能性があると考えられています。研究グループは以前、線維化 ( 体が傷を治そうとしてコラーゲンなどが増え、組織がかたくなる変化です。肝臓では線維化が進むほど機能が落ちるため、治療では線維化を減らすことが大切です。) で刺激したMSCから得たsEVが肝硬変に強い効果を示し、その鍵はIFN-γ ( 免疫の働きを強めるための情報を伝える物質の一つです。MSCを刺激して、より治療に役立つ性質のsEVを出させる目的で使われます。) という免疫細胞の調整にあるかもしれないと報告しました。マクロファージ ( 体の中の異物や壊れた細胞を食べて片づけたり、炎症を調整したりする免疫細胞です。肝臓の傷んだ場所で働き、病気の進み方や回復に大きく関係します。)
ただし、治療として実用化するには、投与したsEVが肝臓のどの細胞に主に取り込まれるのか、量を増やすほど効果が上がるのか、たくさん効率よく回収できるのか、といった点がはっきりしていませんでした。本研究は、sEVがどこに集まりどの細胞に取り込まれるかを見える化し、用量と効果の関係を調べ、回収方法として とUC ( 超高速で回転させる装置を使い、重さの違いでsEVを集める方法です。研究でよく使われますが、時間がかかり大量回収が難しいことがあります。) を比べることを目的としました。TFF ( フィルターを使って液体を流しながら粒を集める方法です。短時間で大量に回収しやすく、製造の効率化に役立ちます。)
- 主要な発見:
-
1つ目に、研究者は
が出すMSC ( 骨髄や脂肪などにある、いろいろな細胞に変化したり、周りの細胞の回復を助けたりする細胞です。体の修復を助ける働きが期待され、治療研究が進んでいます。) を光らせて追いかけられるようにし、取り込み先を調べました。その結果、肝臓に関係する他の細胞よりも、sEV ( 細胞が外に出すとても小さな粒で、タンパク質や核酸などを運びます。体の中で細胞どうしの情報伝達に関わり、治療への応用が期待されています。) がsEVをとても多く取り込むことが分かりました。マクロファージ ( 体の中の異物や壊れた細胞を食べて片づけたり、炎症を調整したりする免疫細胞です。肝臓の傷んだ場所で働き、病気の進み方や回復に大きく関係します。) のマウスの肝臓では、sEVは傷んだ場所や壊れた細胞のかけらがたまっている場所に集まり、そこで多くがマクロファージに取り込まれていました。肝硬変 ( 肝臓の炎症が長く続いた結果、肝臓がかたくなって働きが落ちる病気です。進行すると命に関わる合併症が起こるため、治療法の開発が重要です。)
2つ目に、今回調べた範囲では、sEVの量を増やしても治療効果がずっと強くなるわけではありませんでした。5と10 μgでは肝臓のダメージを表す値が改善しやすかった一方、15 μgでは改善が小さめでした。また、肝臓のかたさ( )自体は改善しましたが、量に比例して良くなる傾向は見られませんでした。線維化 ( 体が傷を治そうとしてコラーゲンなどが増え、組織がかたくなる変化です。肝臓では線維化が進むほど機能が落ちるため、治療では線維化を減らすことが大切です。)
3つ目に、回収方法として を使うと、回収にかかる時間が短くなり、得られるsEVの量も大きく増えました。それでも、肝硬変マウスに投与したときの改善効果は、従来のTFF ( フィルターを使って液体を流しながら粒を集める方法です。短時間で大量に回収しやすく、製造の効率化に役立ちます。) で回収したsEVと同程度でした。UC ( 超高速で回転させる装置を使い、重さの違いでsEVを集める方法です。研究でよく使われますが、時間がかかり大量回収が難しいことがあります。)
- 方法論:
-
ヒト脂肪組織由来の
を、酸素が少なめの環境と動物由来成分を含まない培地で育て、細胞としての性質を確認しました。MSC ( 骨髄や脂肪などにある、いろいろな細胞に変化したり、周りの細胞の回復を助けたりする細胞です。体の修復を助ける働きが期待され、治療研究が進んでいます。) を追跡するために、MSCに遺伝子導入を行い、光る目印を持つsEVを作らせました。sEV ( 細胞が外に出すとても小さな粒で、タンパク質や核酸などを運びます。体の中で細胞どうしの情報伝達に関わり、治療への応用が期待されています。)
sEVは、培養上清から またはUC ( 超高速で回転させる装置を使い、重さの違いでsEVを集める方法です。研究でよく使われますが、時間がかかり大量回収が難しいことがあります。) で回収し、粒の数や大きさを測定しました。細胞レベルの実験では、肝臓に関係する複数の細胞にsEVを加え、どの細胞がよく取り込むかを顕微鏡で観察しました。マウスではTFF ( フィルターを使って液体を流しながら粒を集める方法です。短時間で大量に回収しやすく、製造の効率化に役立ちます。) でCCl4 ( 肝臓に強いダメージを与える化学物質で、動物で肝硬変モデルを作るために使われます。病気を再現して治療効果を確かめる目的で用いられます。) モデルを作り、sEVを投与して肝臓の中での集まり方を調べました。治療効果の評価には、血液中の肝機能に関係する値や、染色による肝硬変 ( 肝臓の炎症が長く続いた結果、肝臓がかたくなって働きが落ちる病気です。進行すると命に関わる合併症が起こるため、治療法の開発が重要です。) の程度、コラーゲン量の指標を用いました。さらに、回収法の違い(UCとTFF)が効果に影響するかも比較しました。線維化 ( 体が傷を治そうとしてコラーゲンなどが増え、組織がかたくなる変化です。肝臓では線維化が進むほど機能が落ちるため、治療では線維化を減らすことが大切です。)
- 結論と意義:
-
由来MSC ( 骨髄や脂肪などにある、いろいろな細胞に変化したり、周りの細胞の回復を助けたりする細胞です。体の修復を助ける働きが期待され、治療研究が進んでいます。) は、sEV ( 細胞が外に出すとても小さな粒で、タンパク質や核酸などを運びます。体の中で細胞どうしの情報伝達に関わり、治療への応用が期待されています。) の肝臓では特に肝硬変 ( 肝臓の炎症が長く続いた結果、肝臓がかたくなって働きが落ちる病気です。進行すると命に関わる合併症が起こるため、治療法の開発が重要です。) に取り込まれやすく、傷んだ場所に集まりやすいことが示されました。これは、肝硬変に対する効果がマクロファージの働きの調整を通して起きるという考えを後押しします。マクロファージ ( 体の中の異物や壊れた細胞を食べて片づけたり、炎症を調整したりする免疫細胞です。肝臓の傷んだ場所で働き、病気の進み方や回復に大きく関係します。)
また、投与量は増やせば増やすほど良いとは限らず、ある程度で効果が頭打ちになる可能性が示されました。さらに、 は短時間で大量のsEVを回収でき、効果もTFF ( フィルターを使って液体を流しながら粒を集める方法です。短時間で大量に回収しやすく、製造の効率化に役立ちます。) と同程度だったため、将来の製造や量産に向けた重要な手がかりになります。一方で、回収法による粒の大きさのわずかな違いが中身や効果に関係するかは未解決です。UC ( 超高速で回転させる装置を使い、重さの違いでsEVを集める方法です。研究でよく使われますが、時間がかかり大量回収が難しいことがあります。)
- 今後の展望:
-
今後は、同じ品質の
を安定して作れるように、sEV ( 細胞が外に出すとても小さな粒で、タンパク質や核酸などを運びます。体の中で細胞どうしの情報伝達に関わり、治療への応用が期待されています。) を大量に育てる方法を整える必要があります。MSCは長く培養するとMSC ( 骨髄や脂肪などにある、いろいろな細胞に変化したり、周りの細胞の回復を助けたりする細胞です。体の修復を助ける働きが期待され、治療研究が進んでいます。) したり、提供者や育て方で性質が変わったりするため、それを減らす工夫(例:細胞の性質を長く保つ工夫)が課題です。老化 ( 細胞が分裂しにくくなったり働きが落ちたりする状態です。MSCの品質を安定させるうえで問題になりやすい点です。)
また、sEVの「何が効いているのか」(タンパク質なのか、 などの核酸なのか、または複数の要素の組み合わせなのか)をはっきりさせる必要があります。製造面では、miRNA ( 遺伝子の働きを調整する短いRNAです。sEVの中に含まれ、受け取った細胞の働きを変えることで治療効果に関わる可能性があります。) などの回収方法をさらに改良しつつ、回収法の違いがsEVの中身や治療結果に影響するかも調べる必要があります。さらに、MSCへの前処置(TFF ( フィルターを使って液体を流しながら粒を集める方法です。短時間で大量に回収しやすく、製造の効率化に役立ちます。) 刺激など)や、狙った成分を入れる工夫、標的の細胞に届きやすくする表面改変などで、効果を高める方法も検討されます。最後に、医療として使うには品質管理やルール作りも重要で、製造ごとのばらつきを減らす仕組みが求められます。IFN-γ ( 免疫の働きを強めるための情報を伝える物質の一つです。MSCを刺激して、より治療に役立つ性質のsEVを出させる目的で使われます。)
- 何のために?:
-
は、肝硬変 ( 肝臓 が長い間こわれて、かたくなり、うまく働 けなくなる病気です。血の流れが悪くなり、水がたまるや出血や皮ふや目が黄色くなるなどが起きます。病気の重さや治療 を考えるうえで大事です。) 肝臓 が長く痛 んだ病気です。
肝臓 がかたくなり、血の流れが悪くなります。
そうすると、肝臓 の働 きが弱くなります。
体に水がたまったり、血が出たりします。
皮ふや目が黄色くなることもあります。
元気がなくなり、命に関 わることもあります。
いちばんの治療 は、肝臓 の です。移植 ( 悪くなった体の部分を、別 の人などからもらったものに取りかえる治療 です。肝硬変 では肝臓 を取りかえることがありますが、提供 する人が足りないことが問題になります。)
でも、肝臓 をくれる人が足りません。
そのため、別 の治療 が必要 です。
そこで、 という小さなつぶに注目します。sEV ( 細胞 が外に出す、とても小さなつぶのような荷物です。中にたんぱく質 などが入っていて、ほかの細胞 に影響 を与 えることがあります。治療 に使えるかを調べるために重要 です。)
sEVは、 が出す小さな荷物です。細胞 ( 体をつくるとても小さな部品で、体の中のいろいろな働 きをします。どの細胞 にsEVが入るかで、効果 が出る場所が変 わるため大事です。)
というMSC ( いろいろな細胞 を助けたり、体の反応 を整えたりする力があるとされる細胞 です。この文章ではMSCがsEVを出すもとになるため重要 です。) 細胞 が、sEVを出します。
このsEVが、肝臓 を助けるかもしれません。
前の研究では、強いよい効果 が出ました。
その理由は、 の免疫 ( 体を病気やばい菌 などから守るしくみです。sEVが免疫 の働 きを変 えると病気が良 くなるかもしれないので重要 です。) 細胞 かもしれません。
免疫 の細胞 の一つを、 と言います。マクロファージ ( 免疫 の細胞 の一つで、体の中のいらないものを取りこんだり、炎症 を調整したりします。sEVをよく受け取ると書かれており、効果 の中心になりそうなので重要 です。)
でも、まだ分からないことがありました。
sEVは、肝臓 のどの細胞 に入るのでしょう。
量 をふやすと、もっと効 くのでしょうか。
sEVを、たくさん集められるのでしょうか。
この研究は、それを確 かめるためです。
- 何が分かったの?:
-
研究者は、
を光らせて追いかけました。sEV ( 細胞 が外に出す、とても小さなつぶのような荷物です。中にたんぱく質 などが入っていて、ほかの細胞 に影響 を与 えることがあります。治療 に使えるかを調べるために重要 です。)
そして、どの が受け取るか見ました。細胞 ( 体をつくるとても小さな部品で、体の中のいろいろな働 きをします。どの細胞 にsEVが入るかで、効果 が出る場所が変 わるため大事です。)
すると、 が多く取りこみました。マクロファージ ( 免疫 の細胞 の一つで、体の中のいらないものを取りこんだり、炎症 を調整したりします。sEVをよく受け取ると書かれており、効果 の中心になりそうなので重要 です。)
ほかの肝臓 の細胞 より、ずっと多かったです。
の肝硬変 ( 肝臓 が長い間こわれて、かたくなり、うまく働 けなくなる病気です。血の流れが悪くなり、水がたまるや出血や皮ふや目が黄色くなるなどが起きます。病気の重さや治療 を考えるうえで大事です。) では、マウス ( 研究でよく使われる小さな動物で、人の病気に近い状態 を作って調べることがあります。人で試 す前に安全性 や効 きめを調べるために重要 です。) 傷 んだ所に集まりました。
そこで、マクロファージがよく受け取りました。
次に、sEVの量 と効 きめを調べました。
量 をふやしても、いつも強くはなりません。
少なめの量 で、よくなることが多かったです。
多すぎる量 では、よくなり方が小さめでした。
肝臓 のかたさは、たしかに良 くなりました。
でも、量 に合わせて良 くはなりませんでした。
最後 に、集め方をくらべました。
は、早く集められました。TFF ( 液体 の中から小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。早く多くsEVを集められる点が研究のポイントなので重要 です。)
そして、取れるsEVの量 も多かったです。
ただし、効 きめは と同じくらいでした。UC ( とても強い力で回して、液体 の中の小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。TFFと比 べて集め方や効 きめがどう違 うかを考えるために重要 です。)
- どうやったの?:
-
人の体の
脂肪 から、 を集めました。MSC ( いろいろな細胞 を助けたり、体の反応 を整えたりする力があるとされる細胞 です。この文章ではMSCがsEVを出すもとになるため重要 です。)
MSCを、特別 な環境 で育てました。
そして、ちゃんとMSCか確 かめました。
を見つけやすくするsEV ( 細胞 が外に出す、とても小さなつぶのような荷物です。中にたんぱく質 などが入っていて、ほかの細胞 に影響 を与 えることがあります。治療 に使えるかを調べるために重要 です。) 工夫 をしました。
MSCに目印 をつけ、光るsEVを作らせました。
sEVは、上の液体 から集めました。
集め方は、 かUC ( とても強い力で回して、液体 の中の小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。TFFと比 べて集め方や効 きめがどう違 うかを考えるために重要 です。) を使いました。TFF ( 液体 の中から小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。早く多くsEVを集められる点が研究のポイントなので重要 です。)
つぶの数や大きさも、しっかり測 りました。
の細胞 ( 体をつくるとても小さな部品で、体の中のいろいろな働 きをします。どの細胞 にsEVが入るかで、効果 が出る場所が変 わるため大事です。) 実験 もしました。
いくつかの肝臓 の細胞 に、sEVを入れました。
どれが取りこむか、 で見ました。顕微鏡 ( とても小さいものを大きく見えるようにする道具です。どの細胞 がsEVを取りこんだか確 かめるのに使うため重要 です。)
でもマウス ( 研究でよく使われる小さな動物で、人の病気に近い状態 を作って調べることがあります。人で試 す前に安全性 や効 きめを調べるために重要 です。) 実験 しました。
薬で のマウスを作りました。肝硬変 ( 肝臓 が長い間こわれて、かたくなり、うまく働 けなくなる病気です。血の流れが悪くなり、水がたまるや出血や皮ふや目が黄色くなるなどが起きます。病気の重さや治療 を考えるうえで大事です。)
そこへsEVを入れて、集まり方を見ました。
血の検査 や、染 めて見る検査 もしました。
肝臓 がどれくらいかたいかも調べました。
UCとTFFで、効 きめも比 べました。
- 研究のまとめ:
-
のMSC ( いろいろな細胞 を助けたり、体の反応 を整えたりする力があるとされる細胞 です。この文章ではMSCがsEVを出すもとになるため重要 です。) は、sEV ( 細胞 が外に出す、とても小さなつぶのような荷物です。中にたんぱく質 などが入っていて、ほかの細胞 に影響 を与 えることがあります。治療 に使えるかを調べるために重要 です。) 肝臓 で集まりやすいです。
とくに、 に入りやすいです。マクロファージ ( 免疫 の細胞 の一つで、体の中のいらないものを取りこんだり、炎症 を調整したりします。sEVをよく受け取ると書かれており、効果 の中心になりそうなので重要 です。)
そして、傷 んだ所に集まりやすいです。
だから、 の調整が大事だと考えられます。免疫 ( 体を病気やばい菌 などから守るしくみです。sEVが免疫 の働 きを変 えると病気が良 くなるかもしれないので重要 です。)
また、量 は多ければいいとは言えません。
あるくらいで、効 きめが止まるかもしれません。
は、早くたくさん集められます。TFF ( 液体 の中から小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。早く多くsEVを集められる点が研究のポイントなので重要 です。)
しかも、効 きめは と同じくらいでした。UC ( とても強い力で回して、液体 の中の小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。TFFと比 べて集め方や効 きめがどう違 うかを考えるために重要 です。)
これは、たくさん作る時の助けになります。
でも、集め方で中身が変 わるかは未解決 です。
- これからどうする?:
-
これからは、同じ
を安定して作りたいです。sEV ( 細胞 が外に出す、とても小さなつぶのような荷物です。中にたんぱく質 などが入っていて、ほかの細胞 に影響 を与 えることがあります。治療 に使えるかを調べるために重要 です。)
そのために、 をたくさん育てるMSC ( いろいろな細胞 を助けたり、体の反応 を整えたりする力があるとされる細胞 です。この文章ではMSCがsEVを出すもとになるため重要 です。) 工夫 が必要 です。
MSCは、長く育てると弱ることがあります。
人や育て方で、性質 が変 わることもあります。
それをへらす方法 を考える必要 があります。
次に、sEVの何が効 くのか調べます。
なのか、たんぱく 質 ( 体を作ったり働 かせたりする材料 になる成分 です。sEVの中の何が効 いているのか調べるときの候補 として重要 です。) 別 の成分 なのかです。
いくつかが一緒 に効 くのかも見ます。
また、 などの集め方もTFF ( 液体 の中から小さなつぶを分けて集める方法 の名前です。早く多くsEVを集められる点が研究のポイントなので重要 です。) 良 くします。
集め方で中身や効 きめが変 わるかも見ます。
さらに、もっと効 く工夫 も考えます。
たとえば、MSCに前もって刺激 をあたえます。
ねらった成分 を入れる工夫 もあります。
ほしい に細胞 ( 体をつくるとても小さな部品で、体の中のいろいろな働 きをします。どの細胞 にsEVが入るかで、効果 が出る場所が変 わるため大事です。) 届 きやすくする工夫 もあります。
医療 で使うには、ルールも大切です。
毎回同じ にするしくみが品質 ( 作ったものが毎回同じくらい安全で、同じ働 きをするかということです。医療 で使うには安定して作れることが必要 なので重要 です。) 必要 です。
- 著者名:
- 武田 信峻
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002001554
