論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
早産児の修正月齢満期の脳損傷と関連する臍帯動脈炎の最適な予測因子としての臍帯血顆粒球コロニー刺激因子濃度
- AI解説:
- 絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis)や臍帯炎(funisitis)などの子宮内炎症は、早産の主要な先行要因であり、敗血症、壊死性腸炎、神経発達上の不良転帰といった重篤な新生児合併症と関連する。臍帯炎は胎児の炎症反応を反映し、病理学的に、軽度の静脈炎症から、より重度の臍帯動脈への波及、さらに最重症ではWharton’s jelly(ワルトン膠質)の壊死に至る段階として評価される。先行研究では、臍帯炎、とりわけ重症例は、絨毛膜羊膜炎のみの場合を超えてリスクを上乗せする可能性が示唆されている。臍帯血IL-6は子宮内炎症の指標として一般的に用いられ、臍帯動脈炎(umbilical cord arteritis: UCA)との関連も報告されているが、(より進行した臍帯炎のマーカーである)UCAと、より広範な臍帯血サイトカイン群との関係は、早産児において十分に特徴づけられていない。本研究の目的は、(1) UCAの有無によって臍帯血のサイトカイン/ケモカイン濃度を比較し、特にIL-6との性能差に注目すること、(2) UCAと新生児の罹患/死亡との関連を在胎週数(gestational age: GA)で層別化して検討すること、(3) UCAの予測マーカーを同定することであった。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
早産児の修正月齢満期の脳損傷と関連する臍帯動脈炎の最適な予測因子としての臍帯血顆粒球コロニー刺激因子濃度
AI解説
- 背景と目的:
-
絨毛膜羊膜炎(chorioamnionitis)や臍帯炎(funisitis)などの子宮内炎症は、早産の主要な先行要因であり、敗血症、壊死性腸炎、神経発達上の不良転帰といった重篤な新生児合併症と関連する。臍帯炎は胎児の炎症反応を反映し、病理学的に、軽度の静脈炎症から、より重度の臍帯動脈への波及、さらに最重症ではWharton’s jelly(ワルトン膠質)の壊死に至る段階として評価される。先行研究では、臍帯炎、とりわけ重症例は、絨毛膜羊膜炎のみの場合を超えてリスクを上乗せする可能性が示唆されている。臍帯血IL-6は子宮内炎症の指標として一般的に用いられ、臍帯動脈炎(umbilical cord arteritis: UCA)との関連も報告されているが、(より進行した臍帯炎のマーカーである)UCAと、より広範な臍帯血サイトカイン群との関係は、早産児において十分に特徴づけられていない。本研究の目的は、(1) UCAの有無によって臍帯血のサイトカイン/ケモカイン濃度を比較し、特にIL-6との性能差に注目すること、(2) UCAと新生児の罹患/死亡との関連を在胎週数(gestational age: GA)で層別化して検討すること、(3) UCAの予測マーカーを同定することであった。
- 主要な発見:
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早産児105例のうち、子宮内炎症とUCAを有する新生児では、granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)の上昇が最も明確であった。コホート全体で、臍帯血G-CSFは、子宮内炎症を有する新生児(Group 1と2を合算)で、子宮内炎症のない対照(コントロール)より高値であり(630.6 vs. 18.2 pg/mL, P < 0.001)、この差はGA < 32週のサブグループでも有意であった(474.7 vs. 14.7 pg/mL, P = 0.008)。3群比較では、UCAを有する新生児(Group 2)は、UCAのない新生児(Group 1)または対照と比べて、臍帯血G-CSF、IL-1β、IL-6が高値であったが、GA < 32週のサブグループにおいてGroup 2を識別する上昇は主としてG-CSFであった。UCA予測のROC解析では、G-CSF(0.816, 95% CI 0.734–0.898)、IL-6(0.764, 95% CI 0.673–0.855)、IL-1β(0.731, 95% CI 0.635–0.828)がAUC 0.7を上回り、G-CSFが最も良好であった。GA < 32週でも同様の傾向がみられた(G-CSF AUC 0.776)。CRPもUCAを予測した(AUC 0.740)が、G-CSFおよびIL-6より劣っていた。臨床的には、GA < 32週においてUCAは脳障害の発生率増加と関連し、単変量解析でリスク因子であった(OR = 4.67, P = 0.022, 95% CI: 1.25–17.4)。さらにGAと出生体重で調整後も関連は持続した(OR = 8.53, P = 0.0049, 95% CI: 1.91–38.0)。そのほかの罹患の差については、有意と報告されたものはなかった。
- 方法論:
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本研究は、Niigata University Medical and Dental General Hospitalにおいて出生した生存早産児を対象とする単施設の後ろ向きコホート研究である(2014年1月〜2020年12月)。組み入れ基準は、GA < 36週、保存臍帯血血漿の利用可能性(-30 ℃で保存)、および病理学的に子宮内炎症(chorioamnionitisおよび/またはfunisitis)が確認されることであった。サイトカイン産生への影響の可能性を考慮し、染色体異常または主要な先天性臓器奇形を有する乳児は除外した。参加者は臍帯の病理所見により分類した。Group 1はUCAを伴わない子宮内炎症(臍帯静脈炎/絨毛膜血管炎など、より軽度の臍帯炎に相当)であり、Group 2はUCA(stage 2)または壊死性臍帯炎(necrotizing funisitis, stage 3)であった。対照群(Group 3)は子宮内炎症のない早産児から無作為に選択され、選択は臨床経過に盲検化して行われた。臍帯血は出生後数分で採取し、遠心分離後、MILLIPLEX MAP magnetic bead panelとLuminexを用いてサイトカイン/ケモカインを定量した。測定項目はG-CSF、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、monocyte chemotactic protein 1、tumor necrosis factor αであり(重複測定;検出範囲 3.2–10,000 pg/mL;変動係数 <10%)、臨床変数と新生児転帰は記録から抽出した。脳障害は、脳室内出血、実質内出血、または脳室周囲白質軟化症と定義し、頭蓋超音波検査を連続的に実施し、term equivalent ageでの頭蓋MRIは事前に定めた基準に基づいて実施した。解析にはFisherの正確確率検定およびKruskal–Wallis検定(事後比較を含む)を用い、GAに関連したサイトカイン変動と交絡に対処するため、GA < 32週のサブグループ解析も行った。UCAに対する予測性能はROC曲線で評価し、AUCと、感度+特異度を最大化することで定義した最適カットオフを報告した。AUC > 0.7は有用となり得るものとして扱った。
- 結論と意義:
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本研究は、このコホートにおけるROC曲線の識別能に基づき、臍帯血G-CSFがUCAと強く関連し、UCAの予測因子としてIL-6、IL-1β、CRPを上回ると結論づけた。著者らは、UCAを有する新生児でG-CSFが一貫して高値であったこと、ならびに比較群では多くのサイトカイン濃度がGAによって変動した一方でUCA群ではそうした変動がみられなかったという観察を踏まえ、G-CSFが重度の臍帯炎症を示す頑健なマーカーであることを支持すると解釈した。臨床的には、UCAと超早産児(GA < 32週)における脳障害増加との関連が、GAと出生体重で調整後も残ったことから、UCAに関連する炎症状態の同定が早期のリスク層別化に関係し得ると示唆される。著者らは、臍帯血G-CSFの測定により臨床医がUCAを予見でき、重症リスクの高い早産児に対して慎重な集中治療とより密なモニタリングを促し、神経学的転帰の改善を目指せる可能性があると主張している。また限界として、単施設の後ろ向き研究であること、いくつかのサブグループ解析ではサンプル数が限られること、長期の神経発達フォローアップがないこと、測定したサイトカイン/ケモカインが8項目に限られ他の有用なバイオマーカーが含まれていない可能性があることを挙げている。
- 今後の展望:
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本論文は、限界と目的に基づき、今後の研究の方向性を複数示している。第一に、本研究は後ろ向きの単施設研究であり、サブグループ比較の一部は検出力が不足していた可能性があるため、在胎週数にまたがる評価を含め、臍帯血G-CSFのUCA予測価値を確認するための、より広範なサンプリングによる追加研究の必要性が示唆される。第二に、term equivalent ageでの脳障害はUCAを有する超早産児でより頻繁に生じたものの、著者らは長期予後を評価しておらず、UCAが長期転帰に与える影響は本データセットでは未評価であると明示していることから、将来の研究ではUCAと早期バイオマーカープロファイルを、その後の神経発達と結び付けて検討すべきだとしている。第三に、測定したサイトカイン/ケモカインは8項目のみであり、他の関連する炎症メディエーターが捉えられていない可能性を指摘しているため、UCAに関連する胎児炎症反応をより良く特徴づけるための、バイオマーカー評価の拡充が必要だとしている。最後に、早期同定がモニタリングやケア強度の判断に資するという臨床的枠組みを踏まえ、臨床ワークフローにG-CSF測定を組み込むことが、子宮内炎症が疑われる早産児のリスク予測および管理判断にどのような影響を及ぼすかを検討する研究が考えられる。
- 背景と目的:
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お母さんのおなかの中で起こる炎症(子宮内炎症)は、
の大きな原因の1つで、生まれた赤ちゃんに重い病気(早産 ( 妊娠37週より前に生まれることで、体の機能が未熟なため病気のリスクが上がります) 、敗血症 ( 血液に感染が広がり全身に強い炎症が起きる重い状態で、新生児では命に関わることがあります) など)や、その後の発達の問題が起こりやすくなることが知られています。壊死性腸炎 ( 腸に強い炎症や壊死が起こる病気で、特に早産児に多く重症化しやすいです)
この炎症の中でも は、赤ちゃん側の炎症反応を表すものと考えられ、軽い炎症から、臍帯の動脈まで炎症が広がる重い状態、さらに最重症では臍帯の中の組織が壊れてしまう状態まで段階があります。特に、臍帯炎 ( へその緒に起こる炎症で、赤ちゃん側の強い炎症反応を反映しやすく、重いほど合併症のリスクが高くなります) があるような重い臍帯炎は、臍帯動脈炎 ( へその緒の動脈まで炎症が広がった状態で、臍帯炎の中でも進んだ段階とされ、赤ちゃんの脳の障害などと関係が疑われます) だけの場合よりもリスクが高い可能性が指摘されてきました。絨毛膜羊膜炎 ( 胎盤や胎児を包む膜に白血球が集まって起こる炎症で、子宮内感染や早産と関係します)
これまで子宮内炎症の目印としては臍帯血の がよく使われてきましたが、臍帯動脈炎と、IL-6以外も含めた幅広い炎症物質(IL-6 ( 炎症が起きたときに増えやすいサイトカインで、子宮内炎症の指標としてよく使われます) など)との関係は、早産児では十分に整理されていませんでした。サイトカイン ( 免疫や炎症を調整するたんぱく質の総称で、体の炎症の強さを知る手がかりになります)
そこでこの研究では、臍帯動脈炎があるかどうかで臍帯血中の炎症物質を比べ、どの指標が臍帯動脈炎をよく見分けられるかを調べました。さらに、 ごとに臍帯動脈炎と赤ちゃんの病気や死亡との関係を調べ、臍帯動脈炎を予測できる目印も探しました。在胎週数 ( 妊娠してから出産までの週数で、早産児の病気のリスクを考えるときの重要な情報です)
- 主要な発見:
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児105人を調べたところ、子宮内炎症があり、さらに早産 ( 妊娠37週より前に生まれることで、体の機能が未熟なため病気のリスクが上がります) もある赤ちゃんでは、臍帯血臍帯動脈炎 ( へその緒の動脈まで炎症が広がった状態で、臍帯炎の中でも進んだ段階とされ、赤ちゃんの脳の障害などと関係が疑われます) が特に高くなることがはっきりしていました。G-CSF ( 骨髄で好中球という白血球を増やすよう促す物質で、強い炎症や感染に反応して増え、重い臍帯炎の目印になり得ます)
子宮内炎症がある赤ちゃんは、炎症がない赤ちゃんより臍帯血G-CSFが高く、在胎32週未満の赤ちゃんに限定しても同じ傾向が見られました。
3つのグループで比べると、臍帯動脈炎があるグループは、G-CSF、 、IL-1β ( 炎症を強める働きがあるサイトカインで、強い炎症反応に関係します) が高めでした。ただし在胎32週未満では、臍帯動脈炎があることを特に見分けやすかったのは主にG-CSFでした。IL-6 ( 炎症が起きたときに増えやすいサイトカインで、子宮内炎症の指標としてよく使われます)
臍帯動脈炎を予測できるかを で比べると、G-CSFが最も成績がよく、次いでIL-6、IL-1βが続きました。ROC解析 ( 検査の数値で病気の有無をどれだけうまく見分けられるかを評価する方法です) も予測には役立ちましたが、G-CSFやIL-6よりは劣っていました。CRP ( 血液検査で炎症の有無をみる一般的な指標で、感染や炎症があると上がります)
また在胎32週未満では、臍帯動脈炎がある赤ちゃんは脳の障害が起こりやすく、 や出生体重の影響を考えて調整した後でも、その関連は残りました。その他の病気については、はっきりした差は報告されませんでした。在胎週数 ( 妊娠してから出産までの週数で、早産児の病気のリスクを考えるときの重要な情報です)
- 方法論:
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2014年から2020年に新潟大学医歯学総合病院で生まれた
児を対象にした、1つの病院で過去の記録を調べる研究(早産 ( 妊娠37週より前に生まれることで、体の機能が未熟なため病気のリスクが上がります) )です。後ろ向きコホート研究 ( 過去の診療記録や保存検体を使って、条件の違いと結果の関係を調べる研究方法です)
対象は在胎36週未満で、保存された臍帯血があり、病理検査で子宮内炎症が確認された赤ちゃんでした。染色体異常や大きな先天性の臓器の病気がある赤ちゃんは除外しました。
臍帯の病理所見で、 がない子宮内炎症のグループ、臍帯動脈炎または壊死性臍帯動脈炎 ( へその緒の動脈まで炎症が広がった状態で、臍帯炎の中でも進んだ段階とされ、赤ちゃんの脳の障害などと関係が疑われます) があるグループ、そして子宮内炎症がない対照グループに分けました。臍帯炎 ( へその緒に起こる炎症で、赤ちゃん側の強い炎症反応を反映しやすく、重いほど合併症のリスクが高くなります)
出生後すぐに採血した臍帯血を使い、複数の やサイトカイン ( 免疫や炎症を調整するたんぱく質の総称で、体の炎症の強さを知る手がかりになります) (ケモカイン ( 白血球などの免疫細胞を炎症部位へ呼び寄せる働きをもつ物質で、炎症の進行に関わります) 、G-CSF ( 骨髄で好中球という白血球を増やすよう促す物質で、強い炎症や感染に反応して増え、重い臍帯炎の目印になり得ます) 、IL-4、IL-1β ( 炎症を強める働きがあるサイトカインで、強い炎症反応に関係します) 、IL-8、IL-10など)を測定しました。脳の障害は、頭の超音波検査や必要に応じたMRIで確認し、決められた基準で判定しました。IL-6 ( 炎症が起きたときに増えやすいサイトカインで、子宮内炎症の指標としてよく使われます)
統計解析では、群間比較や、在胎32週未満に絞った解析を行い、臍帯動脈炎の予測性能はROC曲線と で評価しました。AUC ( ROC解析の指標で、1に近いほど見分ける力が高いことを意味します)
- 結論と意義:
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この研究では、臍帯血
がG-CSF ( 骨髄で好中球という白血球を増やすよう促す物質で、強い炎症や感染に反応して増え、重い臍帯炎の目印になり得ます) と強く結びついており、臍帯動脈炎を予測する指標として臍帯動脈炎 ( へその緒の動脈まで炎症が広がった状態で、臍帯炎の中でも進んだ段階とされ、赤ちゃんの脳の障害などと関係が疑われます) 、IL-6 ( 炎症が起きたときに増えやすいサイトカインで、子宮内炎症の指標としてよく使われます) 、IL-1β ( 炎症を強める働きがあるサイトカインで、強い炎症反応に関係します) よりも成績がよいと結論づけました。CRP ( 血液検査で炎症の有無をみる一般的な指標で、感染や炎症があると上がります)
また、在胎32週未満の超 児では、臍帯動脈炎が脳の障害と関連しており、早い段階で臍帯動脈炎に関係する強い炎症状態を見つけることが、リスクの高い赤ちゃんを早期に見分けるのに役立つ可能性があります。早産 ( 妊娠37週より前に生まれることで、体の機能が未熟なため病気のリスクが上がります)
臨床的には、臍帯血G-CSFを測ることで臍帯動脈炎が疑えるなら、重症化しやすい早産児に対して、より慎重な治療や細かい観察につなげられるかもしれません。
一方で、この研究は1施設の過去データに基づくこと、人数が少ない解析があること、長期的な発達の追跡がないこと、測定した炎症物質が8項目に限られることが限界として挙げられています。
- 今後の展望:
-
今後は、より多くの病院・より多くの赤ちゃんでデータを集め、
の違いも含めて、臍帯血在胎週数 ( 妊娠してから出産までの週数で、早産児の病気のリスクを考えるときの重要な情報です) がG-CSF ( 骨髄で好中球という白血球を増やすよう促す物質で、強い炎症や感染に反応して増え、重い臍帯炎の目印になり得ます) をどれくらい正確に予測できるかを確かめる研究が必要です。臍帯動脈炎 ( へその緒の動脈まで炎症が広がった状態で、臍帯炎の中でも進んだ段階とされ、赤ちゃんの脳の障害などと関係が疑われます)
また、この研究では生後しばらくの脳の状態は見ていますが、その後の成長や学習面などの長期的な影響は評価していません。将来は、臍帯動脈炎や出生時の炎症の目印が、その後の神経発達とどう関係するかを追跡することが重要です。
さらに、今回測った炎症物質は一部に限られるため、他の有用な目印も含めて調べ、赤ちゃんの炎症反応をもっと詳しく理解する研究が期待されます。臨床の流れの中にG-CSF測定を組み込み、治療や観察の判断に本当に役立つかを検証する研究も考えられます。
- 何のために?:
-
お母さんのおなかの中で、ばいきんで
が起きることがあります。炎症 ( 体の中にばいきんなどが入ったときに起こるはれや痛 みなどの反応 のことです:体が自分を守ろうとしているしるしですが:強すぎたり続 いたりすると赤ちゃんに負担 になるので大切です)
この炎症 は、赤ちゃんが早く生まれる原因 になります。
赤ちゃんが重い病気になりやすいとも言われます。
たとえば、血の中にばいきんが入る病気です。
おなかの病気になることもあります。
炎症 は、へそのおの中にも広がることがあります。
へそのおは、赤ちゃんとお母さんをつなぐ管 です。
へそのおが強く炎症 を起こすと、危 ないことがあります。
これまで というIL-6 ( 体の炎症 が強いときに血の中でふえやすい物質 で:検査 で炎症 の目印 として使われます:炎症 を早く見つけるために重要 です) 目印 がよく使われました。
でも、ほかの目印 との関係 は、まだ不足 でした。
そこで、へそのおの炎症 がある子を調べました。
血の中の炎症 の目印 をくらべました。
どの目印 がよく分かるかを調べました。
赤ちゃんの病気や亡 くなることとも比 べました。
- 何が分かったの?:
-
早く生まれた赤ちゃん105人を調べました。
おなかの中で がある子がいました。炎症 ( 体の中にばいきんなどが入ったときに起こるはれや痛 みなどの反応 のことです:体が自分を守ろうとしているしるしですが:強すぎたり続 いたりすると赤ちゃんに負担 になるので大切です)
さらに、へそのおの も動脈 ( 心ぞうから血を送り出す太い血の通り道です:へそのおにも動脈 があり:そこに炎症 があるかで赤ちゃんの危 なさが変 わることがあります) 炎症 の子がいました。
その子は というG-CSF ( 体が白血球を増 やすように出す物質 で:炎症 や感染 があると高くなることがあります:へそのおの動脈 の炎症 を見分ける目印 として役立つかを調べています) 値 が高かったです。
炎症 がある子は、炎症 がない子より高めでした。
32週より前に生まれた子でも同じでした。
3つのグループに分けてくらべました。
へそのおの動脈 が炎症 の子は高めでした。
高かったのはG-CSFや などです。IL-6 ( 体の炎症 が強いときに血の中でふえやすい物質 で:検査 で炎症 の目印 として使われます:炎症 を早く見つけるために重要 です)
ただ、32週より前ではG-CSFが特 に役立ちました。
へそのおの炎症 を当てる力も比 べました。
いちばんよかったのはG-CSFでした。
次にIL-6、次に でした。IL-1β ( 炎症 を起こしたり強めたりする物質 で:血の検査 で炎症 の目印 としてはかることがあります:どれがいちばん分かりやすい目印 か比 べるために重要 です)
も役に立ちますが、少し弱めでした。CRP ( 体に炎症 があると血の中でふえるたんぱく質 で:病院でよく使う炎症 の検査 の目印 です:炎症 の有無 を知る手がかりになります)
32週より前では、脳 のトラブルが多めでした。
ほかの病気は、大きな差 が見えませんでした。
- どうやったの?:
-
2014年から2020年の
記録 を調べました。
新潟大学の病院で生まれた子が対象 です。
36週より前に生まれた赤ちゃんです。
へそのおの血が保存 されている子です。
検査 で、おなかの中の が分かった子です。炎症 ( 体の中にばいきんなどが入ったときに起こるはれや痛 みなどの反応 のことです:体が自分を守ろうとしているしるしですが:強すぎたり続 いたりすると赤ちゃんに負担 になるので大切です)
生まれつき大きな病気の子は外しました。
赤ちゃんを3つの組に分けました。
へそのおの が動脈 ( 心ぞうから血を送り出す太い血の通り道です:へそのおにも動脈 があり:そこに炎症 があるかで赤ちゃんの危 なさが変 わることがあります) 炎症 でない組です。
へそのおの動脈 が炎症 の組です。
炎症 がない組も用意しました。
生まれた直後のへそのおの血を調べました。
やG-CSF ( 体が白血球を増 やすように出す物質 で:炎症 や感染 があると高くなることがあります:へそのおの動脈 の炎症 を見分ける目印 として役立つかを調べています) などをはかりました。IL-6 ( 体の炎症 が強いときに血の中でふえやすい物質 で:検査 で炎症 の目印 として使われます:炎症 を早く見つけるために重要 です)
脳 の検査 は、 などで見ました。頭のエコー ( 音の波を使って頭の中の様子を画像 で見る検査 です:赤ちゃんの脳 のトラブルがないか調べるのに大切です)
決まったルールで、結果 をそろえました。
くらべる計算もして、当てる力も調べました。
- 研究のまとめ:
-
は、へそのおのG-CSF ( 体が白血球を増 やすように出す物質 で:炎症 や感染 があると高くなることがあります:へそのおの動脈 の炎症 を見分ける目印 として役立つかを調べています) の動脈 ( 心ぞうから血を送り出す太い血の通り道です:へそのおにも動脈 があり:そこに炎症 があるかで赤ちゃんの危 なさが変 わることがあります) と強く炎症 ( 体の中にばいきんなどが入ったときに起こるはれや痛 みなどの反応 のことです:体が自分を守ろうとしているしるしですが:強すぎたり続 いたりすると赤ちゃんに負担 になるので大切です) 関係 しました。
そのため、よい目印 になりそうです。
やIL-6 ( 体の炎症 が強いときに血の中でふえやすい物質 で:検査 で炎症 の目印 として使われます:炎症 を早く見つけるために重要 です) より、当てる力が高かったです。CRP ( 体に炎症 があると血の中でふえるたんぱく質 で:病院でよく使う炎症 の検査 の目印 です:炎症 の有無 を知る手がかりになります)
32週より前では、脳 のトラブルとも関係 しました。
早めに強い炎症 を見つけることが大切です。
危 ない赤ちゃんを、早く見つけられるかもしれません。
G-CSFをはかれば、炎症 をうたがえます。
そうなら、ていねいに見守る助けになります。
ただし、この研究には弱いところもあります。
1つの病院だけの記録 だからです。
人数が少ない分け方もありました。
大きくなってからの成長 は追っていません。
調べた目印 も、8つだけでした。
- これからどうする?:
-
もっと多くの病院で調べる
必要 があります。
もっと多くの赤ちゃんのデータが必要 です。
週数のちがいも考えて確 かめます。
がどれくらい正しく当てるかを見ます。G-CSF ( 体が白血球を増 やすように出す物質 で:炎症 や感染 があると高くなることがあります:へそのおの動脈 の炎症 を見分ける目印 として役立つかを調べています)
この研究は、生後すぐの脳 の様子を見ました。
でも、その後の学びや成長 は見ていません。
これからは、長い間の成長 も追いたいです。
ほかの目印 もさがして調べたいです。
のしくみを、もっと知るためです。炎症 ( 体の中にばいきんなどが入ったときに起こるはれや痛 みなどの反応 のことです:体が自分を守ろうとしているしるしですが:強すぎたり続 いたりすると赤ちゃんに負担 になるので大切です)
病院の流れでG-CSFをはかることも考えます。
本当に治療 の助けになるか確 かめます。
- 著者名:
- 楡井 淳
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002001564
