論文詳細
大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
A Note on Quantifier Scope and Presuppositionality in the Raising Construction in English
- AI解説:
- 本論文は、統語論と意味論の接点における古典的な問題、すなわち英語のraising構文(例:*likely* や *seem* などの述語を伴う構文)で表層上の主語として現れる量化句(QP: quantified phrase)のスコープをどのように決定するかを扱う。May (1977) 以来の観察に基づき、著者は、raisingされた主語がraising述語に対して広いスコープを取る解釈も、raising前の下位位置で解釈されるかのように狭いスコープを取る解釈も、ときに可能であることを指摘する。しかし、「下げた」(再構成された)スコープの可否はQPの種類によって一様ではない。Chomsky (1993) と Boeckx (2001) は、*everyone* のような全称QPが、raisingにおいて埋め込み否定の下で狭いスコープを取りにくいことを強調している。Boeckx (2001) は、スコープは解釈不能なCaseがチェックされる位置で固定され、不定名詞句には(covert expletive insertion を含む)特別な仕組みがあると提案した。本稿(squib)は、このCaseに基づく説明は経験的に不十分であり、とりわけbare pluralsのスコープ選択を誤って予測してしまうと論じる。そのうえで、スコープはpresuppositionality(前提性)に関連する、統語的に符号化された特徴によって決定されるという代替案を提案する。
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大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
A Note on Quantifier Scope and Presuppositionality in the Raising Construction in English
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、統語論と意味論の接点における古典的な問題、すなわち英語のraising構文(例:*likely* や *seem* などの述語を伴う構文)で表層上の主語として現れる量化句(QP: quantified phrase)のスコープをどのように決定するかを扱う。May (1977) 以来の観察に基づき、著者は、raisingされた主語がraising述語に対して広いスコープを取る解釈も、raising前の下位位置で解釈されるかのように狭いスコープを取る解釈も、ときに可能であることを指摘する。しかし、「下げた」(再構成された)スコープの可否はQPの種類によって一様ではない。Chomsky (1993) と Boeckx (2001) は、*everyone* のような全称QPが、raisingにおいて埋め込み否定の下で狭いスコープを取りにくいことを強調している。Boeckx (2001) は、スコープは解釈不能なCaseがチェックされる位置で固定され、不定名詞句には(covert expletive insertion を含む)特別な仕組みがあると提案した。本稿(squib)は、このCaseに基づく説明は経験的に不十分であり、とりわけbare pluralsのスコープ選択を誤って予測してしまうと論じる。そのうえで、スコープはpresuppositionality(前提性)に関連する、統語的に符号化された特徴によって決定されるという代替案を提案する。
- 主要な発見:
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中心的主張は、raisingにおけるスコープはCaseをチェックする位置ではなく、raisingされたQPがpresuppositionalであるかどうかによって制御される、というものである。著者はQPを3種類に区別し、観察されるスコープ特性を統一的に導く。第1に、全称QP(例:*everyone*)は必ずpresuppositionalであるため、[+Pres] 特徴をチェックする専用の構造位置を通過しなければならない。結果として、それらは広いスコープしか取らない(例:*Everyone seems not to be there yet* において、*not > every* の解釈が不可能であることが帰結する)。第2に、明示的なdeterminerを伴う不定名詞句(例:*some politician*, *a drunk*)は、presuppositionalな読みと非presuppositionalな読みの間で意味的に曖昧であり、それに対応して、広いスコープ(presuppositionalであり当該構造位置と関連づく場合)も狭いスコープ(非presuppositionalで低い位置で解釈される場合)も生じうる。第3に、bare plurals(例:*Drunks*)はpresuppositionalな読みを欠くと論じられ、そのためpresuppositionalityのライセンシング位置に到達できない。したがってraisingでは狭いスコープに制限される(Carlson (1977) が指摘した、bare plural主語では広いスコープの *∃ > likely* が不可能であるという観察を捉える)。このパターンは、BoeckxのCaseベースのアプローチに対する直接的な経験的優位性として提示される。
- 方法論:
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本論文は、作例におけるスコープ解釈についての比較判断と、先行研究からの的を絞った一般化に基づく、理論主導の分析的論証(「squib」)である。まず、raisingにおけるスコープ曖昧性の主要な経験的診断を概観し、*likely* などのraising述語に対して広い読みと狭い読みの両方を許す不定主語と、埋め込み否定の下でraisingにおける狭い読みを欠く全称主語とを対比する。次に、Carlson (1977) に基づくさらなる対比として、bare pluralのraising主語が明示的determinerを伴う不定名詞句とは異なり、狭いスコープしか許さないことを導入する。代替説明を構築するため、著者はpresuppositionalityに関わる、独立に動機づけられた統語—意味対応を援用する。具体的には、De Hoop (1996) によるオランダ語のscramblingの事実(副詞を越える移動がpresuppositionalな解釈の下でのみ許可される)を用いる。この基盤の上で、著者は機能投射 PresP を仮定し、その指定部(specifier)位置が [+Pres] 特徴をもつDPを受け入れうるとする。さらに Homma (2015, 2023) と統合し、「SI(Semantic Interpretation)positions」と「SI heads」という概念を採用して、スコープは(Caseチェック位置ではなく)連鎖(chain)における最も高いSI位置によって決まるとする。
- 結論と意義:
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本論文は、英語raisingにおけるraising主語QPのスコープは、移動とpresuppositionalityの相互作用(PresP と [+Pres] 特徴のチェックとして統語的に表現される)によって最もうまく説明される、と結論づける。この見方では、スコープはQPのSI headのc-command領域から計算される。presuppositionalなQPではSI headが主節の [Spec, PresP] となり、必然的に広いスコープが得られる。非presuppositionalなQPではSI headがより低く、埋め込み節の主題役割(thematic)位置にあり、狭いスコープが得られる。これにより、(i) 全称QPは広いスコープのみ、(ii) 明示的determinerを伴う不定名詞句はスコープが曖昧、(iii) bare pluralsは狭いスコープのみ、という3つの経験的一般化を統一できるとする。この分析は、Caseベースのスコープ決定では誤って打ち消されてしまうbare pluralの制約を捉える点で、Boeckx (2001) より適切だと提示される。より広い意味では、本提案は、スコープはCaseのような形態統語的ライセンシング部位ではなく、意味解釈が確立される位置(SI positions)で決定されるという Homma (2015, 2023) の枠組みを支持するものだと論じられる。
- 今後の展望:
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本論文は、明示的に条件付きの含意を超えて、詳細な研究計画を提示してはいない。すなわち、提案された分析が正しければ、presuppositionalityに結びつくものを含むSI positionsがスコープ決定位置として機能する、というより広い仮説への追加的支持を与える、という点である。その限定された意味で、結果は、PresPがスコープに関与する機能層として果たす役割を含め、SIベースのスコープ分析のさらなる評価へと方向づける。本squibの貢献は、この一般的アーキテクチャを支持する証拠として位置づけられており、他の構文・言語・量化子クラスへの包括的な拡張としては提示されていない。また、具体的な将来の経験的テストや方法論的拡張も特定していない。
- 背景と目的:
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この論文は、英語の
で、文の表面上は主語に見えるraising構文 ( 主語がもともと下の節にいたのに、seemやlikelyのような語のために上の節の主語位置へ移動して見える英語の文の形です。見た目の主語の場所と、意味的に関係する場所がずれるので、解釈の問題が起きやすいです。) が、文の意味の中でどの範囲まで影響するかをどう決めるのかを扱います。raising構文とは、seemやlikelyのような語がある文で、本当は下の節にいた主語が上の節の主語の位置に移動して見えるタイプの文のことです。量化句 ( everyoneやsome politicianのように、「全員」「何人か」のような数量の意味を含む名詞句のことです。文の中でどの範囲に影響するかがスコープの議論で重要になります。)
研究の出発点は、raisingされた主語が上の節全体に強く影響する読み方も、移動前の下の位置で解釈されるように弱く影響する読み方も、場合によっては可能だという知られた事実です。ただし、その「弱い影響( )」ができるかどうかは、量化句の種類によって違います。狭いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などの下で解釈され、影響範囲が限定される読み方です。)
先行研究では、 はスコープ ( ある表現が、文の意味の中でどこまで影響するかという範囲のことです。たとえば否定と量化句のどちらが「上位」になるかで、意味が変わります。) がチェックされる位置で決まるという説明が提案されましたが、この論文はその説明ではCase ( 名詞句が文の中で文法的に正しい形になるために必要とされる性質です。先行研究ではスコープがCase位置で決まるとされましたが、本論文はそれを否定します。) の事実をうまく説明できないと述べます。そこで、スコープはCaseではなく、量化句がbare plurals ( drunksやboysのように、複数名詞がdeterminerなしでそのまま出る形です。この論文では前提性のある読みを持たず、raisingで広いスコープになれない根拠になります。) をもつかどうかに関わる統語的な特徴によって決まる、という別の説明を提案します。前提性 ( 話し手が「その集団や対象がすでに話題として想定されている」とみなして文を言う性質です。前提性があるかどうかが、どの統語位置に行けるかや、スコープの決まり方に関係するとされます。)
- 主要な発見:
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この論文の中心の主張は、
でのraising構文 ( 主語がもともと下の節にいたのに、seemやlikelyのような語のために上の節の主語位置へ移動して見える英語の文の形です。見た目の主語の場所と、意味的に関係する場所がずれるので、解釈の問題が起きやすいです。) はスコープ ( ある表現が、文の意味の中でどこまで影響するかという範囲のことです。たとえば否定と量化句のどちらが「上位」になるかで、意味が変わります。) の位置ではなく、そのCase ( 名詞句が文の中で文法的に正しい形になるために必要とされる性質です。先行研究ではスコープがCase位置で決まるとされましたが、本論文はそれを否定します。) がpresuppositionalかどうかで決まるということです。論文は量化句を3種類に分け、観察される違いをまとめて説明します。量化句 ( everyoneやsome politicianのように、「全員」「何人か」のような数量の意味を含む名詞句のことです。文の中でどの範囲に影響するかがスコープの議論で重要になります。)
1つ目はeveryoneのような全称の量化句で、これは必ず があるため、特別な位置でその特徴をチェックする必要があります。その結果、前提性 ( 話し手が「その集団や対象がすでに話題として想定されている」とみなして文を言う性質です。前提性があるかどうかが、どの統語位置に行けるかや、スコープの決まり方に関係するとされます。) しか取れず、否定の下に入るような読み方はできません。広いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などよりも上位で解釈され、文全体に強く影響する読み方です。)
2つ目はsome politicianやa drunkのように が明示されたdeterminer ( aやsome、manyのように名詞の前について、その名詞句の種類や数量の出方を決める語です。あるかないかで解釈の性質が変わることがあります。) で、前提性がある読みとない読みの両方がありえます。そのため、広いスコープにも不定名詞句 ( a drunkやsome politicianのように「ある一人」「何人か」を表す名詞句です。前提性がある読みとない読みの両方がありうる点が重要です。) にもなりえます。狭いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などの下で解釈され、影響範囲が限定される読み方です。)
3つ目はDrunksのような で、前提性のある読みを持たないとされます。そのため前提性を許可する位置に行けず、raisingでは狭いスコープに限られる、と説明します。これはCaseで説明する立場よりもうまく事実に合うとされます。bare plurals ( drunksやboysのように、複数名詞がdeterminerなしでそのまま出る形です。この論文では前提性のある読みを持たず、raisingで広いスコープになれない根拠になります。)
- 方法論:
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この論文は、実験というより、例文の解釈の比較と先行研究の観察を使って理論的に議論する短い論文です。
まず、 で、raising構文 ( 主語がもともと下の節にいたのに、seemやlikelyのような語のために上の節の主語位置へ移動して見える英語の文の形です。見た目の主語の場所と、意味的に関係する場所がずれるので、解釈の問題が起きやすいです。) は不定名詞句 ( a drunkやsome politicianのように「ある一人」「何人か」を表す名詞句です。前提性がある読みとない読みの両方がありうる点が重要です。) と広いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などよりも上位で解釈され、文全体に強く影響する読み方です。) の両方が可能なこと、しかしeveryoneのような全称の狭いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などの下で解釈され、影響範囲が限定される読み方です。) は否定に対して狭いスコープになりにくいことを対比します。量化句 ( everyoneやsome politicianのように、「全員」「何人か」のような数量の意味を含む名詞句のことです。文の中でどの範囲に影響するかがスコープの議論で重要になります。)
次に、 は、bare plurals ( drunksやboysのように、複数名詞がdeterminerなしでそのまま出る形です。この論文では前提性のある読みを持たず、raisingで広いスコープになれない根拠になります。) つき不定名詞句と違って狭いスコープしか許さないという先行研究の観察を重要な証拠として使います。determiner ( aやsome、manyのように名詞の前について、その名詞句の種類や数量の出方を決める語です。あるかないかで解釈の性質が変わることがあります。)
そのうえで、 がある名詞句だけが移動できる位置がある、という考え方(他言語の移動の事実もヒントにする)を利用し、前提性 ( 話し手が「その集団や対象がすでに話題として想定されている」とみなして文を言う性質です。前提性があるかどうかが、どの統語位置に行けるかや、スコープの決まり方に関係するとされます。) という構造を仮定します。さらに、意味の解釈が確定する位置をPresP ( 前提性に関わる特徴を扱うために仮定される文法上の層です。前提性をもつ名詞句だけがそこに関わり、その位置がスコープ決定に重要だとされます。) と考え、SI positions ( 意味解釈が文法的に確定する特別な位置のことです。Caseの位置ではなく、こうした位置がスコープ決定に関わるというのが本論文の立場です。) はスコープ ( ある表現が、文の意味の中でどこまで影響するかという範囲のことです。たとえば否定と量化句のどちらが「上位」になるかで、意味が変わります。) の中で最も高いSI位置で決まる、という枠組みで説明します。連鎖 ( 移動した要素が、移動前の位置と移動後の位置として文中に「つながり」を作るという考え方です。どの位置が意味解釈に関わるかを考えるために使います。)
- 結論と意義:
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結論は、英語
での主語のraising構文 ( 主語がもともと下の節にいたのに、seemやlikelyのような語のために上の節の主語位置へ移動して見える英語の文の形です。見た目の主語の場所と、意味的に関係する場所がずれるので、解釈の問題が起きやすいです。) は、スコープ ( ある表現が、文の意味の中でどこまで影響するかという範囲のことです。たとえば否定と量化句のどちらが「上位」になるかで、意味が変わります。) ではなく、Case ( 名詞句が文の中で文法的に正しい形になるために必要とされる性質です。先行研究ではスコープがCase位置で決まるとされましたが、本論文はそれを否定します。) に関わる特徴のチェックと、それに伴う移動の経路によって最もよく説明できる、というものです。前提性 ( 話し手が「その集団や対象がすでに話題として想定されている」とみなして文を言う性質です。前提性があるかどうかが、どの統語位置に行けるかや、スコープの決まり方に関係するとされます。)
前提性がある は、主節側の量化句 ( everyoneやsome politicianのように、「全員」「何人か」のような数量の意味を含む名詞句のことです。文の中でどの範囲に影響するかがスコープの議論で重要になります。) の位置が意味解釈の中心になり、その結果、必ずPresP ( 前提性に関わる特徴を扱うために仮定される文法上の層です。前提性をもつ名詞句だけがそこに関わり、その位置がスコープ決定に重要だとされます。) になります。前提性がない量化句は、より低い位置(下の節で役割が与えられる位置)が意味解釈の中心になり、広いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などよりも上位で解釈され、文全体に強く影響する読み方です。) になります。狭いスコープ ( 量化句が、seemやlikely、否定などの下で解釈され、影響範囲が限定される読み方です。)
これにより、全称の量化句は広いスコープのみ、 つきdeterminer ( aやsome、manyのように名詞の前について、その名詞句の種類や数量の出方を決める語です。あるかないかで解釈の性質が変わることがあります。) は両方ありうる、不定名詞句 ( a drunkやsome politicianのように「ある一人」「何人か」を表す名詞句です。前提性がある読みとない読みの両方がありうる点が重要です。) は狭いスコープのみ、という3つの違いをまとめて説明できます。特に、bare pluralsの制限を正しく説明できる点で、Caseに基づく説明より適切だと主張します。bare plurals ( drunksやboysのように、複数名詞がdeterminerなしでそのまま出る形です。この論文では前提性のある読みを持たず、raisingで広いスコープになれない根拠になります。)
- 今後の展望:
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この論文は、詳しい実験計画や大規模な拡張は示していません。ただし、この提案が正しければ、
はスコープ ( ある表現が、文の意味の中でどこまで影響するかという範囲のことです。たとえば否定と量化句のどちらが「上位」になるかで、意味が変わります。) の位置ではなく、Case ( 名詞句が文の中で文法的に正しい形になるために必要とされる性質です。先行研究ではスコープがCase位置で決まるとされましたが、本論文はそれを否定します。) など意味解釈に関わる位置(前提性 ( 話し手が「その集団や対象がすでに話題として想定されている」とみなして文を言う性質です。前提性があるかどうかが、どの統語位置に行けるかや、スコープの決まり方に関係するとされます。) )で決まる、というより大きな仮説を後押しすることになります。今後は、SI positions ( 意味解釈が文法的に確定する特別な位置のことです。Caseの位置ではなく、こうした位置がスコープ決定に関わるというのが本論文の立場です。) のような層が他の構文や他の言語、他の種類の量化表現でも同じように働くかを検討する必要があります。PresP ( 前提性に関わる特徴を扱うために仮定される文法上の層です。前提性をもつ名詞句だけがそこに関わり、その位置がスコープ決定に重要だとされます。)
- 何のために?:
-
この文は、
英語 の文のしくみの話です。
「主語に見えることば」の意味を考えます。
そのことばが、どこまで文の意味にきくかです。
このしくみを、 といいます。raising文 ( 英語 の文法 で「主語が上の文へ動いたように見える」文のしくみのことです。使い方としてはseemやlikelyの文で説明 されることが多く、見かけの主語と本当の意味の主語の関係 を考えるのに重要 です。)
たとえば、seemやlikelyがある文です。
本当の主語が、上に動いたように見えます。
主語の意味は、強くきく時もあります。
弱くきく時もあり、どちらもありえます。
でも、弱くきけるかは、ことばでちがいます。
前の研究は、 で決まると言いました。Case ( 名詞 が文の中でどんな役わりをしているかを示 す文法 上のしるしのことです。主格 や目的格 のような考え方で、どの形になるかやどんな位置 に出られるかの説明 に使われ、主語の意味の読み方にも関係 すると考えられてきました。)
Caseは、文の中の役わりのしるしです。
でも、それでは説明 しにくい例 があります。
そこで、この文は別 の考えを出します。
「前に知っている話か」で決まると言います。
- 何が分かったの?:
-
の意味は、raising文 ( 英語 の文法 で「主語が上の文へ動いたように見える」文のしくみのことです。使い方としてはseemやlikelyの文で説明 されることが多く、見かけの主語と本当の意味の主語の関係 を考えるのに重要 です。) では決まりません。Case ( 名詞 が文の中でどんな役わりをしているかを示 す文法 上のしるしのことです。主格 や目的格 のような考え方で、どの形になるかやどんな位置 に出られるかの説明 に使われ、主語の意味の読み方にも関係 すると考えられてきました。)
「前に知っている話か」で決まります。
ここでは、主語のことばを3つに分けます。
1つ目は、everyoneのようなことばです。
これは「みんな」と言いきることばです。
これはいつも、前に知っている話になります。
だから、意味はいつも強くききます。
「〜ない」の下に入る読みはできません。
2つ目は、some〜やa〜のような形です。
これは「ある人」のように言えます。
前に知っている話にも、ならない時もあります。
そのため、強い意味にも、弱い意味にもなります。
3つ目は、Drunksのような形です。
これはtheやaがない、ふくすうの名詞 です。
これは前に知っている話になりにくいです。
だから、raising文では弱い意味だけになります。
この説明 は、前の説明 より合うと言います。
- どうやったの?:
-
この文は、
実験 より、例文 をくらべます。
そして、前の研究の見方も使います。
まず、不定 の名詞 は、強い意味も弱い意味もあります。
でも、everyoneは弱い意味になりにくいです。
次に、theやaがない名詞 は弱い意味だけです。
これを、大事な手がかりにします。
そのうえで、特別 な場所を考えます。
前に知っている話の名詞 だけが行ける場所です。
それを、 という場所だと考えます。PresP ( 文の中にあると仮定 する「前に知っている話の名詞 だけが行ける特別 な場所」の名前です。どの名詞 がどこまで上に行けるかを説明 するために置 かれ、意味が強くなるか弱くなるかの分かれ目として重要 です。)
さらに、意味が決まる場所も考えます。
それを、 とSI position ( 意味がどの位置 で決まるかを表す場所の名前です。主語の意味の広さがどこで確定 するかを説明 するのに使い、一番上のSIが最終的 な読み方を決めるという点が重要 です。) 呼 びます。
意味の広さは、一番上のSIで決まると言います。
- 研究のまとめ:
-
結論 は、 より「前に知っている話か」が大事です。Case ( 名詞 が文の中でどんな役わりをしているかを示 す文法 上のしるしのことです。主格 や目的格 のような考え方で、どの形になるかやどんな位置 に出られるかの説明 に使われ、主語の意味の読み方にも関係 すると考えられてきました。)
そして、そのための動き方で決まります。
前に知っている話の主語は、上の場所で意味が決まります。
だから、意味はいつも強くききます。
前に知っている話でない主語は、下で意味が決まります。
だから、意味は弱くききます。
その結果 、3つのちがいをまとめて説明 できます。
everyoneは強い意味だけです。
some〜やa〜は、強い意味も弱い意味もあります。
theやaがない名詞 は、弱い意味だけです。
特 に3つ目が説明 できるのが大切だと言います。
- これからどうする?:
-
この文は、くわしい
実験 の計画は出しません。
でも、この考えが正しいなら、大きなヒントになります。
意味の広さは、 ではなくSIで決まるかもしれません。Case ( 名詞 が文の中でどんな役わりをしているかを示 す文法 上のしるしのことです。主格 や目的格 のような考え方で、どの形になるかやどんな位置 に出られるかの説明 に使われ、主語の意味の読み方にも関係 すると考えられてきました。)
これから、ほかの文でも試 す必要 があります。
ほかの言語でも、同じしくみか調べます。
ほかの「数を表すことば」でも確 かめます。
- 著者名:
- Shinsuke Homma
- 掲載誌名:
- 言語の普遍性と個別性
- 巻:
- 16
- ページ:
- 45 - 54
- 発行日:
- 2025-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/0002001665
