論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
日本の肺移植レシピエントにおけるSARS-CoV-2 mRNAワクチン3回接種後の細胞性および液性免疫応答
- AI解説:
- 肺移植(LTx)レシピエントはSARS-CoV-2感染およびCOVID-19関連死亡のリスクが高い。一方、先行研究では、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの最初の2回接種(「initial series」)に対する免疫応答が、LTxレシピエントを含む固形臓器移植集団で著しく減弱していることが示されている。このため、この高リスク群におけるワクチン誘導免疫を、液性免疫(抗体)と細胞性免疫(T細胞)の両面から特徴づけ、同時に安全性も評価することが急務である。固形臓器移植レシピエントにおいてmRNAワクチン3回目(「booster」)の有益性を報告した研究はあるが、免疫応答は環境や集団によって異なり得るため、国別の追加解析が重要だと著者らは主張している。日本では、深刻なドナー不足や移植数が比較的少ないことなど、特有の制約下で移植が行われており、LTxレシピエントにおける追加接種のエビデンスは特に限られている。そこで本研究の主目的は、単一の移植施設における日本人LTxレシピエントを対象に、booster後の細胞性免疫および液性免疫応答を評価することであった。副次目的は、LTxレシピエントと健常対照の有害事象を比較し、boosterの安全性を評価することであった。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
日本の肺移植レシピエントにおけるSARS-CoV-2 mRNAワクチン3回接種後の細胞性および液性免疫応答
AI解説
- 背景と目的:
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肺移植(LTx)レシピエントはSARS-CoV-2感染およびCOVID-19関連死亡のリスクが高い。一方、先行研究では、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの最初の2回接種(「initial series」)に対する免疫応答が、LTxレシピエントを含む固形臓器移植集団で著しく減弱していることが示されている。このため、この高リスク群におけるワクチン誘導免疫を、液性免疫(抗体)と細胞性免疫(T細胞)の両面から特徴づけ、同時に安全性も評価することが急務である。固形臓器移植レシピエントにおいてmRNAワクチン3回目(「booster」)の有益性を報告した研究はあるが、免疫応答は環境や集団によって異なり得るため、国別の追加解析が重要だと著者らは主張している。日本では、深刻なドナー不足や移植数が比較的少ないことなど、特有の制約下で移植が行われており、LTxレシピエントにおける追加接種のエビデンスは特に限られている。そこで本研究の主目的は、単一の移植施設における日本人LTxレシピエントを対象に、booster後の細胞性免疫および液性免疫応答を評価することであった。副次目的は、LTxレシピエントと健常対照の有害事象を比較し、boosterの安全性を評価することであった。
- 主要な発見:
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LTxレシピエント39人において、液性免疫の反応者(SARS-CoV-2 spike S1 IgG > 50 AU/mL)に分類された割合は、booster前の28.2%からbooster後の53.9%へ増加し、booster前と比べて抗体応答が改善したことを示した。しかし、健常対照と比べると応答は依然として大幅に低く、対照群はbooster前から全員がIgG反応者であった。定量的には、LTxレシピエントのIgG中央値はbooster前8.3 AU/mL(IQR 1.0–61.4)からbooster後129.8 AU/mL(IQR 1.0–1340)へ上昇した一方、対照群は1408 AU/mL(IQR 597.8–2405)から7394 AU/mL(IQR 4097–13500)へ増加した。
細胞性免疫応答はより限定的で、研究の定義するIFN-γ反応者(Ag2チューブで> 0.15 IU/mL)を満たしたLTxレシピエントは25.6%にとどまり、対照群の89.5%と比べて低かった(p < 0.0001)。booster後のIFN-γ中央値は、LTxレシピエントが0.01 IU/mL(0.01–0.18)であったのに対し、対照群は0.70 IU/mL(IQR 0.26–1.50)であった(p < 0.0001)。また、免疫の区画間の不一致も示され、booster後にIgG反応者であってもIFN-γ反応者であったのは42.9%にとどまった一方、IFN-γ反応者は抗体応答を示す可能性が高く(booster後に90%がIgG反応者)、両者の関係は非対称であった。IgGとIFN-γの相関は、強固な関連があると著者らが主張できるほど強くはなく(r = 0.620;強い相関は「観察されなかった」と解釈)、臨床因子としては、IgG反応者は若年である傾向があり、IFN-γ反応者は移植後期間が長かった(中央値12.5年 vs 4.0年;p = 0.0088)。安全性は良好で、LTxレシピエントでは対照群よりもリンパ節腫脹、発熱、倦怠感、筋肉痛の報告が少なく(各p < 0.05)、追跡期間中に肺機能低下は観察されず、入院および死亡もなかった。
- 方法論:
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著者らは日本の東北大学病院で、オープンラベル・非ランダム化の前向き研究を実施した。参加者は2022年6月から12月に募集され、2023年1月末まで追跡された。研究にはLTxレシピエント39人と健常対照38人が登録され、いずれも年齢は20歳以上で、過去にmRNAワクチン2回接種を受けており、RT-PCRで確認されたSARS-CoV-2感染歴はなかった。LTxレシピエントはさらに移植後少なくとも6か月経過していることが条件であった。登録後、参加者は日本の国の推奨に従ってmRNAワクチン3回目(BNT162b2またはmRNA-1273)を接種した。採血はbooster直前および接種後少なくとも4週間で実施した。
液性免疫は、spike S1を標的とするSARS-CoV-2 IgG II Quant(Abbott)で評価し、反応者はIgG > 50 AU/mLと定義した。検出不能値(< 6.8 AU/mL)は解析上1.0 AU/mLとして代入した。細胞性免疫は、SARS-CoV-2 QuantiFERON RUO assay(QIAGEN)を用い、spike S1/S2由来のCD4+エピトープ(Ag1)およびCD4+/CD8+エピトープ(Ag2)を含む抗原チューブで測定し、IFN-γはELISAで定量した。細胞性免疫の反応者はAg2チューブでIFN-γ > 0.15 IU/mLと定義し、検出不能値(< 0.07 IU/mL)は0.01 IU/mLとして代入した。有害事象は接種後7日以内について質問票で収集した。統計解析は、カテゴリ変数にカイ二乗検定/Fisherの正確確率検定、連続変数にMann–Whitney検定、相関にSpearmanのrを用い、p < 0.05を有意とした。
- 結論と意義:
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本研究は、日本人LTxレシピエントにおいて、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの3回目接種が、初回2回接種後の応答と比べて液性免疫を増強し、短期的な臨床リスク増加の兆候なく実施できたと結論づけている。しかし、booster後であっても、LTxレシピエントの抗体応答およびIFN-γ応答の割合と大きさはいずれも健常対照より大幅に低く、特に細胞性免疫応答の障害が目立った。著者らは、IFN-γ応答が検出されないにもかかわらず抗体が陽性となることがしばしば見られたという不一致を、移植後の免疫抑制下でのT細胞機能低下と整合的だと解釈し、細胞性免疫の役割が不明確である現状では、固形臓器移植レシピエントにおける防御の免疫学的指標として抗体価が最も実用的であり得ると述べている。安全性の観点では、肺機能低下、入院、死亡がみられなかったことに加え、全身性の有害事象が対照群より少なかったことから、このコホートにおけるboosterの忍容性が支持された。臨床的には、免疫応答が限定的であるため、LTxレシピエントはワクチン接種後もブレイクスルーCOVID-19に対して脆弱であり得ることが改めて示され、この集団の防御戦略を改善する継続的取り組みの重要性が強調される。
- 今後の展望:
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著者らは、得られた所見と限界に基づき、今後の課題をいくつか挙げている。第一に、サンプルサイズが小さく、液性免疫または細胞性免疫の低応答を規定する臨床要因を詳細に評価できなかったため、日本でより大規模(理想的には多施設)の研究を行い、IgGおよびIFN-γ非反応のリスク因子を多変量解析できるようにする必要があるとしている。第二に、固形臓器移植レシピエントにおける液性免疫と細胞性免疫の不一致について、その臨床的意味と機序、ならびにSARS-CoV-2に対する細胞性免疫の役割(なお未確定とされる)を明らかにする必要性を強調している。第三に、考察で引用した外部エビデンスに基づき、反復接種(例:2回目または3回目のbooster)が移植レシピエントの抗体応答をさらに高め得るとして、追加のbooster後の免疫学的転帰を検討することを提案している。最後に、多くのLTxレシピエントで免疫応答が持続的に不十分であることを踏まえ、ワクチン応答が不十分な個人に対する補助的戦略として予防的モノクローナル抗体(とりわけtixagevimab/cilgavimab)を議論しつつ、変異株の中和に関する不確実性や適切な用量設定の重要性にも言及している。
- 背景と目的:
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肺移植を受けた人(
)は、肺移植レシピエント ( 肺移植を受けた人のことです。移植した臓器を守るために免疫抑制薬を使うことが多く、感染症にかかりやすくなるため、ワクチンの効果や安全性の確認が特に重要です。) に感染したり、COVID-19で亡くなったりするリスクが高いことが知られています。ところが、これまでの研究では、SARS-CoV-2 ( COVID-19を引き起こすウイルスの正式名です。感染すると肺などに強い炎症を起こすことがあり、基礎疾患のある人では重症化しやすいです。) を最初に2回打つ「mRNAワクチン ( ウイルスの一部の設計図にあたるmRNAを体に入れ、体内でウイルスの目印となるタンパク質を作らせて免疫を学習させるワクチンです。BNT162b2やmRNA-1273が代表例です。) 」だけでは、肺移植レシピエントを含む臓器移植を受けた人たちでは免疫の反応がかなり弱いことが示されてきました。初回接種 ( ワクチンを最初に決められた回数打つことです。この研究ではmRNAワクチン2回接種を指し、免疫反応の土台を作る目的があります。)
そのため、このような高リスクの人たちで、ワクチンがどれくらい効くのかを「 による免疫」と「抗体 ( 病原体に結びついて働きを邪魔したり、排除を助けたりするたんぱく質です。ワクチンで増える代表的な防御要素で、量が多いほど感染を防ぎやすい可能性があります。) による免疫」の両方から調べ、さらに安全性も確認する必要があります。T細胞 ( 免疫に関わる白血球の一種です。感染した細胞を攻撃する役割などがあり、移植後の免疫抑制薬の影響を受けやすいため、ワクチン後の反応が弱くなることがあります。)
海外では3回目接種( )が有効だとする報告がありますが、免疫の反応は国や集団の状況で変わる可能性があるため、日本でのデータが重要だと考えられます。日本はドナー不足などの事情もあり、肺移植レシピエントで追加接種のデータが特に少ない状況です。追加接種 ( 初回接種の後に、免疫をもう一度強めるために打つ接種です。この研究では3回目接種を指し、抗体が増えるかどうかなどを評価しています。)
そこでこの研究では、日本の1つの移植施設で、肺移植レシピエントを対象に3回目接種後の免疫反応を調べました。また、健康な人と比べて副反応がどう違うかも調べ、安全性を評価しました。
- 主要な発見:
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39人では、肺移植レシピエント ( 肺移植を受けた人のことです。移植した臓器を守るために免疫抑制薬を使うことが多く、感染症にかかりやすくなるため、ワクチンの効果や安全性の確認が特に重要です。) (抗体 ( 病原体に結びついて働きを邪魔したり、排除を助けたりするたんぱく質です。ワクチンで増える代表的な防御要素で、量が多いほど感染を防ぎやすい可能性があります。) )が一定以上増えた「反応者」の割合が、IgG ( 抗体の種類の1つで、血液中で長く働きやすい抗体です。この研究ではスパイクタンパク質に対するIgGを測り、ワクチンで抗体が増えたかを判断しました。) 前の28.2%から追加接種後の53.9%に増えました。つまり、3回目接種で抗体の反応は良くなりました。追加接種 ( 初回接種の後に、免疫をもう一度強めるために打つ接種です。この研究では3回目接種を指し、抗体が増えるかどうかなどを評価しています。)
ただし健康な人と比べると、反応はまだかなり弱く、健康な対照群では追加接種前から全員が抗体反応者でした。抗体の量の代表値(中央値)も、肺移植レシピエントは追加接種後に上がったものの、健康な人のほうが大きく増えていました。
一方、 などに関係するT細胞 ( 免疫に関わる白血球の一種です。感染した細胞を攻撃する役割などがあり、移植後の免疫抑制薬の影響を受けやすいため、ワクチン後の反応が弱くなることがあります。) (細胞性免疫 ( 主にT細胞が中心になって働く免疫のことです。感染した細胞を見つけて攻撃するなどの役割があり、抗体だけでは説明できない防御に関わる可能性があります。) で評価)はさらに限られていて、追加接種後に反応者と判定された肺移植レシピエントは25.6%でした。健康な人では89.5%が反応者だったため、大きな差がありました。IFN-γ ( 免疫反応のときにT細胞などが出す物質で、細胞性免疫が働いているかを推測する指標の1つです。この研究では、特定の刺激を与えたときにどれくらいIFN-γが出るかで反応を評価しました。)
また、抗体が増えていてもT細胞側の反応がはっきりしない人が多く、抗体と細胞性免疫が一致しないケースが目立ちました。さらに、抗体量とIFN-γの関係は「強い関連」と言えるほどではありませんでした。
安全性については、肺移植レシピエントでは、リンパ節の腫れ、発熱、だるさ、筋肉痛などの副反応が健康な人より少なく、追跡期間中に肺の機能低下、入院、死亡はありませんでした。
- 方法論:
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日本の東北大学病院で、参加者に割り付けを行わない
として行われました。2022年6月から12月に参加者を集め、2023年1月末まで追跡しました。対象は前向き研究 ( 研究を始めた時点から参加者を追いかけて、あとで起こる変化や結果を記録していく研究です。時間の流れに沿ってデータを集めるため、変化を捉えやすい特徴があります。) 39人と健康な対照38人で、いずれも20歳以上、過去に肺移植レシピエント ( 肺移植を受けた人のことです。移植した臓器を守るために免疫抑制薬を使うことが多く、感染症にかかりやすくなるため、ワクチンの効果や安全性の確認が特に重要です。) を2回接種済み、PCRで確認された感染歴がない人でした。肺移植レシピエントは移植後6か月以上経過していることも条件でした。mRNAワクチン ( ウイルスの一部の設計図にあたるmRNAを体に入れ、体内でウイルスの目印となるタンパク質を作らせて免疫を学習させるワクチンです。BNT162b2やmRNA-1273が代表例です。)
3回目接種は国の推奨に従い、BNT162b2(ファイザー)またはmRNA-1273(モデルナ)が使われました。採血は の直前と、接種後少なくとも4週間たってから行いました。追加接種 ( 初回接種の後に、免疫をもう一度強めるために打つ接種です。この研究では3回目接種を指し、抗体が増えるかどうかなどを評価しています。)
(抗体 ( 病原体に結びついて働きを邪魔したり、排除を助けたりするたんぱく質です。ワクチンで増える代表的な防御要素で、量が多いほど感染を防ぎやすい可能性があります。) )は、スパイク蛋白の一部に対する液性免疫 ( 主にB細胞が作る抗体による免疫のことです。ウイルスが体に入るのを防いだり、感染を起こしにくくしたりする働きがあり、血液検査で評価しやすいのが特徴です。) を測定し、一定値を超えた人を反応者としました。IgG ( 抗体の種類の1つで、血液中で長く働きやすい抗体です。この研究ではスパイクタンパク質に対するIgGを測り、ワクチンで抗体が増えたかを判断しました。)
は、血液に抗原刺激を加えたときに出る細胞性免疫 ( 主にT細胞が中心になって働く免疫のことです。感染した細胞を見つけて攻撃するなどの役割があり、抗体だけでは説明できない防御に関わる可能性があります。) を測り、一定値を超えた人を反応者としました。IFN-γ ( 免疫反応のときにT細胞などが出す物質で、細胞性免疫が働いているかを推測する指標の1つです。この研究では、特定の刺激を与えたときにどれくらいIFN-γが出るかで反応を評価しました。)
副反応は接種後7日以内について質問票で集め、統計的な方法で群間比較を行いました。
- 結論と意義:
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日本人の
では、肺移植レシピエント ( 肺移植を受けた人のことです。移植した臓器を守るために免疫抑制薬を使うことが多く、感染症にかかりやすくなるため、ワクチンの効果や安全性の確認が特に重要です。) の3回目接種によって、2回接種後よりもmRNAワクチン ( ウイルスの一部の設計図にあたるmRNAを体に入れ、体内でウイルスの目印となるタンパク質を作らせて免疫を学習させるワクチンです。BNT162b2やmRNA-1273が代表例です。) による免疫が強まり、短期的には大きな安全性の問題も見られませんでした。抗体 ( 病原体に結びついて働きを邪魔したり、排除を助けたりするたんぱく質です。ワクチンで増える代表的な防御要素で、量が多いほど感染を防ぎやすい可能性があります。)
しかし 後でも、抗体反応も追加接種 ( 初回接種の後に、免疫をもう一度強めるために打つ接種です。この研究では3回目接種を指し、抗体が増えるかどうかなどを評価しています。) 反応も、健康な人と比べて割合も反応の強さも大きく低く、特にIFN-γ ( 免疫反応のときにT細胞などが出す物質で、細胞性免疫が働いているかを推測する指標の1つです。この研究では、特定の刺激を与えたときにどれくらいIFN-γが出るかで反応を評価しました。) の弱さが目立ちました。細胞性免疫 ( 主にT細胞が中心になって働く免疫のことです。感染した細胞を見つけて攻撃するなどの役割があり、抗体だけでは説明できない防御に関わる可能性があります。)
抗体は増えているのにIFN-γが出ない例が多いことは、移植後に使う の影響で免疫抑制薬 ( 移植した臓器を体が攻撃しないように、免疫の働きを弱める薬です。拒絶反応を防ぐのに必要ですが、感染症にかかりやすくなったり、ワクチンの効きが弱くなったりする原因にもなります。) の働きが弱くなることと合う可能性があります。細胞性免疫の役割がまだはっきりしない現状では、移植を受けた人の防御の目安としては抗体の量が実用的だと考えられる、と研究者は述べています。T細胞 ( 免疫に関わる白血球の一種です。感染した細胞を攻撃する役割などがあり、移植後の免疫抑制薬の影響を受けやすいため、ワクチン後の反応が弱くなることがあります。)
また、免疫反応が十分ではないため、肺移植レシピエントはワクチンを打っても感染する「 」に弱い可能性があり、よりよい防御方法を考え続ける必要があることが示されました。ブレイクスルー感染 ( ワクチンを打った後でも起こる感染のことです。免疫が十分につかない人では起こりやすく、移植レシピエントでは特に注意が必要です。)
- 今後の展望:
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この研究は人数が少ないため、免疫反応が弱い原因となる要因を細かく分析しきれませんでした。今後は、日本でより大人数、できれば複数施設で研究を行い、
や抗体 ( 病原体に結びついて働きを邪魔したり、排除を助けたりするたんぱく質です。ワクチンで増える代表的な防御要素で、量が多いほど感染を防ぎやすい可能性があります。) が増えにくい人の特徴を詳しく調べることが必要です。IFN-γ ( 免疫反応のときにT細胞などが出す物質で、細胞性免疫が働いているかを推測する指標の1つです。この研究では、特定の刺激を与えたときにどれくらいIFN-γが出るかで反応を評価しました。)
また、抗体と が一致しないことが何を意味するのか、その理由や仕組み、さらにCOVID-19に対する細胞性免疫の役割を明らかにする課題があります。細胞性免疫 ( 主にT細胞が中心になって働く免疫のことです。感染した細胞を見つけて攻撃するなどの役割があり、抗体だけでは説明できない防御に関わる可能性があります。)
加えて、 を繰り返すことで抗体反応がさらに上がる可能性があるため、2回目や3回目の追加接種後の免疫反応も検討すべきだとしています。追加接種 ( 初回接種の後に、免疫をもう一度強めるために打つ接種です。この研究では3回目接種を指し、抗体が増えるかどうかなどを評価しています。)
それでもワクチンで十分な免疫がつかない人に対しては、予防目的の (例:モノクローナル抗体 ( 特定の目印だけをねらって働くように作られた抗体薬です。ワクチンで十分な抗体ができない人を、あらかじめ守る目的で使うことが検討されます。) )の活用も選択肢になり得ますが、変異株への効き方や適切な投与量などは注意が必要だと述べています。tixagevimab/cilgavimab ( COVID-19の予防目的で使われることがあるモノクローナル抗体の組み合わせです。変異株によって効き方が変わる可能性があるため、効果や投与量の検討が重要になります。)
- 何のために?:
-
肺 をもらう手術 をした人がいます。
この人を、 を受けた人と言います。肺 移植 ( 病気などで自分の肺 がうまく働 かないときに、ほかの人から提供 された肺 を体に移 す手術 のことです。体を助ける大きな治療 ですが、手術 の後は薬で免疫 を弱めることが多く、感染症 にかかりやすくなるため重要 です。)
肺 移植 を受けた人は、コロナに弱いです。
コロナで重くなる心配も大きいです。
を2回だけ打つと、守る力が弱いです。ワクチン ( 病気にかかる前に体へ練習をさせて、病気とたたかう準備 を作る注射 や薬のことです。かかりにくくしたり重くなりにくくしたりするために使われます。)
だから、3回目でどうなるか調べました。
体を守る力は、2つに分けて見ます。
1つは、 という守りです。抗体 ( 体の中で、ウイルスなどの敵 を見つけてくっつき、動きを弱めるたんぱく質 のことです。ワクチンで増 えるかどうかが、守る力の目安になるので大切です。)
もう1つは、 という守りです。T 細胞 ( 体の中で、感染 した細胞 を見つけて攻撃 したり、ほかの免疫 の働 きを助けたりする細胞 のことです。抗体 とはちがう守り方をするため、抗体 だけでは分からない守る力を知るのに重要 です。)
外国では、3回目がよいという話があります。
でも、国がちがうと結果 も変 わります。
そのため、日本のデータが大切です。
日本では、このデータが少ないです。
そこで、3回目の後の守る力を調べました。
元気な人と比 べて、 も見ました。副反応 ( ワクチンを打ったあとに出る、熱 やだるさ、はれなどの体の変化 のことです。多くは一時的 ですが、どれくらい起きるかを知るのは安全の確認 として大切です。)
- 何が分かったの?:
-
を受けた人は39人いました。肺 移植 ( 病気などで自分の肺 がうまく働 かないときに、ほかの人から提供 された肺 を体に移 す手術 のことです。体を助ける大きな治療 ですが、手術 の後は薬で免疫 を弱めることが多く、感染症 にかかりやすくなるため重要 です。)
が抗体 ( 体の中で、ウイルスなどの敵 を見つけてくっつき、動きを弱めるたんぱく質 のことです。ワクチンで増 えるかどうかが、守る力の目安になるので大切です。) 増 えた人が、前より増 えました。
前は28.2%で、後は53.9%でした。
つまり、3回目で抗体 は上がりました。
でも、元気な人より、まだ弱かったです。
元気な人は、前から全員が反応 しました。
抗体 の量 も、元気な人の方が多いです。
のT 細胞 ( 体の中で、感染 した細胞 を見つけて攻撃 したり、ほかの免疫 の働 きを助けたりする細胞 のことです。抗体 とはちがう守り方をするため、抗体 だけでは分からない守る力を知るのに重要 です。) 反応 は、さらに少なかったです。
3回目の後でも、25.6%だけでした。
元気な人は、89.5%が反応 しました。
大きなちがいがありました。
抗体 が増 えても、T細胞 が弱い人もいました。
2つの守りが、そろわない人が多いです。
抗体 の量 とT細胞 は、強く結 びません。
は、元気な人より少なめでした。副反応 ( ワクチンを打ったあとに出る、熱 やだるさ、はれなどの体の変化 のことです。多くは一時的 ですが、どれくらい起きるかを知るのは安全の確認 として大切です。)
首の近くのはれ、熱 、だるさなどです。
調べた間に、 や入院 ( 病院に泊 まりながら治療 や観察 を受けることです。副反応 や病気が重くなっていないかを示 す大事な情報 になります。) 死亡 はありません。
肺 のはたらきが悪くなることもありません。
- どうやったの?:
-
東北大学病院で研究をしました。
2022年6月から12月に集めました。
2023年1月の終わりまで見守りました。
を受けた人は39人でした。肺 移植 ( 病気などで自分の肺 がうまく働 かないときに、ほかの人から提供 された肺 を体に移 す手術 のことです。体を助ける大きな治療 ですが、手術 の後は薬で免疫 を弱めることが多く、感染症 にかかりやすくなるため重要 です。)
元気な人は38人でした。
みんな20才以上 でした。
みんな を2回打っていました。ワクチン ( 病気にかかる前に体へ練習をさせて、病気とたたかう準備 を作る注射 や薬のことです。かかりにくくしたり重くなりにくくしたりするために使われます。)
で、コロナPCR ( 体の中にウイルスがいるかどうかを、遺伝子 を増 やして調べる検査 の方法 です。感染 したことがあるかを確 かめるのに使われます。) 歴 がない人です。
肺 移植 の人は、手術 から6か月以上 です。
3回目は、 かファイザー ( 新型 コロナのワクチンを作っている会社の名前で、その会社のワクチンを指して使われます。どの種類 のワクチンかを分けて考えるために出てきます。) です。モデルナ ( 新型 コロナのワクチンを作っている会社の名前で、その会社のワクチンを指して使われます。ワクチンの種類 によって反応 が違 うことがあるため重要 です。)
血は、打つ前と、4週後以降 に取りました。
は、血の中の抗体 ( 体の中で、ウイルスなどの敵 を見つけてくっつき、動きを弱めるたんぱく質 のことです。ワクチンで増 えるかどうかが、守る力の目安になるので大切です。) を調べました。IgG ( 血の中にある抗体 の種類 の名前で、体が感染 やワクチンに反応 したかを見るときによく調べます。抗体 の量 を数字で比 べるために使われます。)
決まった値 より上なら、反応 ありです。
の代わりに、T 細胞 ( 体の中で、感染 した細胞 を見つけて攻撃 したり、ほかの免疫 の働 きを助けたりする細胞 のことです。抗体 とはちがう守り方をするため、抗体 だけでは分からない守る力を知るのに重要 です。) を調べました。IFN-γ ( 体の免疫 が働 いたときに出る合図の物質 の名前で、T細胞 がどれくらい反応 したかを推測 するのに使われます。T細胞 を直接 測 りにくいときの目安になるので大切です。)
これも、決まった値 より上なら反応 です。
は、7日間のことを聞きました。副反応 ( ワクチンを打ったあとに出る、熱 やだるさ、はれなどの体の変化 のことです。多くは一時的 ですが、どれくらい起きるかを知るのは安全の確認 として大切です。)
そのあと、2つのグループを比 べました。
- 研究のまとめ:
-
の人でも、3回目で肺 移植 ( 病気などで自分の肺 がうまく働 かないときに、ほかの人から提供 された肺 を体に移 す手術 のことです。体を助ける大きな治療 ですが、手術 の後は薬で免疫 を弱めることが多く、感染症 にかかりやすくなるため重要 です。) は抗体 ( 体の中で、ウイルスなどの敵 を見つけてくっつき、動きを弱めるたんぱく質 のことです。ワクチンで増 えるかどうかが、守る力の目安になるので大切です。) 増 えました。
短い期間では、大きな問題は見えません。
でも、元気な人より守る力は低 いです。
抗体 も、 も、T 細胞 ( 体の中で、感染 した細胞 を見つけて攻撃 したり、ほかの免疫 の働 きを助けたりする細胞 のことです。抗体 とはちがう守り方をするため、抗体 だけでは分からない守る力を知るのに重要 です。) 反応 が少ないです。
とくに、T細胞 の弱さが目立ちました。
薬で体の守りを弱めている人がいます。
そのため、T細胞 が弱いかもしれません。
今は、抗体 の量 が目安になりそうです。
を打っても、かかる人がいます。ワクチン ( 病気にかかる前に体へ練習をさせて、病気とたたかう準備 を作る注射 や薬のことです。かかりにくくしたり重くなりにくくしたりするために使われます。)
肺 移植 の人は、その心配が大きいです。
だから、もっとよい守り方が必要 です。
- これからどうする?:
-
今回は人数が少なく、くわしく分かりません。
もっと多い人数で調べる必要 があります。
できれば、いくつかの病院で調べます。
や抗体 ( 体の中で、ウイルスなどの敵 を見つけてくっつき、動きを弱めるたんぱく質 のことです。ワクチンで増 えるかどうかが、守る力の目安になるので大切です。) がIFN-γ ( 体の免疫 が働 いたときに出る合図の物質 の名前で、T細胞 がどれくらい反応 したかを推測 するのに使われます。T細胞 を直接 測 りにくいときの目安になるので大切です。) 増 えにくい人を探 します。
どんな人か、理由も調べます。
抗体 と がそろわない意味も調べます。T 細胞 ( 体の中で、感染 した細胞 を見つけて攻撃 したり、ほかの免疫 の働 きを助けたりする細胞 のことです。抗体 とはちがう守り方をするため、抗体 だけでは分からない守る力を知るのに重要 です。)
コロナで、T細胞 が何をするかも課題 です。
追加 の で、もっとワクチン ( 病気にかかる前に体へ練習をさせて、病気とたたかう準備 を作る注射 や薬のことです。かかりにくくしたり重くなりにくくしたりするために使われます。) 増 えるかもしれません。
2回目、3回目の追加 も調べると言っています。
それでも守れない人もいるかもしれません。
そのとき、特別 な抗体 の薬も考えます。
でも、変 わったコロナに効 くか注意が必要 です。
