論文詳細
自然科学系
工学部
#学術雑誌論文
Concentration and Chemical Speciation of Heavy Metals in Sludge and Removal of Metals by Bio-surfactants Application
- AI解説:
- スラッジ中の重金属汚染は、金属が土壌に蓄積し、地下水へ移行し、植物による吸収を通じて食物連鎖に入り得るため、主要な環境・公衆衛生上の懸念として位置づけられる。本論文は、リスクが金属の総濃度だけでなく、操作的に定義された6つの分画(可溶性[water soluble]、交換態[exchangeable]、炭酸塩結合[carbonate-bound]、有機物結合[organic-bound]、Fe-Mn酸化物結合[Fe-Mn oxide-bound]、残渣[residual])にわたる化学形態(speciation)にも依存することを強調しており、前者4分画は後者2分画より不安定で生物利用能(bioavailability)が高いとされる。著者らはまた、REEs(rare earth elements:希土類元素)などの微量金属に対する社会的需要の増加や資源枯渇への懸念に触れ、スラッジを二次資源として活用できる可能性への関心を動機づけている。こうした背景のもと、本研究は3つの目的を掲げる。(i) 生活排水スラッジおよび電気めっきスラッジにおける、REEs、Th、Uを含む重金属の濃度と分画(fractionation)を特徴づけること、(ii) これらの特性を生活排水スラッジと近傍の自然土壌の間で比較すること、(iii) 非イオン性バイオサーファクタント(saponinおよびsophorolipid)を用いたバッチおよびカラム洗浄により、電気めっきスラッジからの重金属のより環境負荷の小さい除去/回収を評価し、浸出液(leachates)からのsaponinの回収・再利用も含めて検討すること、である。
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自然科学系
工学部
#学術雑誌論文
Concentration and Chemical Speciation of Heavy Metals in Sludge and Removal of Metals by Bio-surfactants Application
AI解説
- 背景と目的:
-
スラッジ中の重金属汚染は、金属が土壌に蓄積し、地下水へ移行し、植物による吸収を通じて食物連鎖に入り得るため、主要な環境・公衆衛生上の懸念として位置づけられる。本論文は、リスクが金属の総濃度だけでなく、操作的に定義された6つの分画(可溶性[water soluble]、交換態[exchangeable]、炭酸塩結合[carbonate-bound]、有機物結合[organic-bound]、Fe-Mn酸化物結合[Fe-Mn oxide-bound]、残渣[residual])にわたる化学形態(speciation)にも依存することを強調しており、前者4分画は後者2分画より不安定で生物利用能(bioavailability)が高いとされる。著者らはまた、REEs(rare earth elements:希土類元素)などの微量金属に対する社会的需要の増加や資源枯渇への懸念に触れ、スラッジを二次資源として活用できる可能性への関心を動機づけている。こうした背景のもと、本研究は3つの目的を掲げる。(i) 生活排水スラッジおよび電気めっきスラッジにおける、REEs、Th、Uを含む重金属の濃度と分画(fractionation)を特徴づけること、(ii) これらの特性を生活排水スラッジと近傍の自然土壌の間で比較すること、(iii) 非イオン性バイオサーファクタント(saponinおよびsophorolipid)を用いたバッチおよびカラム洗浄により、電気めっきスラッジからの重金属のより環境負荷の小さい除去/回収を評価し、浸出液(leachates)からのsaponinの回収・再利用も含めて検討すること、である。
- 主要な発見:
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生活排水スラッジは参照とした自然土壌より高いレベルの重金属を含んでいたが、測定濃度は中国のスラッジ農業利用に関する国家基準を超えなかった。生活排水スラッジでは、ZnとCuがNatural soil Aの約15倍および16倍であり、Pb、Cd、Crは約2.5~6.0倍であった。著者らは、繰り返し農地へ施用すると農耕地土壌での蓄積を促進し得ると推論している。電気めっきスラッジは極端な汚染を示し、Zn = 1.25 × 10^4 mg·kg^-1、Ni = 3.05 × 10^4 mg·kg^-1、Cr = 4.28 × 10^4 mg·kg^-1、Cu = 2.53 × 10^3 mg·kg^-1であった。化学形態(speciation)はマトリクス間で大きく異なり、スラッジは一般に自然土壌より残渣分画(F6)の割合が低く、有機物分画(F4)、炭酸塩分画(F3)、場合によっては可溶性分画(F1)の割合が高く、スラッジ中では比較的結合が不安定であることが示唆された。重金属とは対照的に、両スラッジ中のREEs、Th、UはNatural soil Aより大幅に低かった。生活排水スラッジのREEsパターンは(同一地域の)土壌と類似しており、REEs/Thは主として比較的安定な分画に存在した一方で、交換態U(F2)は生活排水スラッジで自然土壌より顕著に高かった。除去に関しては、同等条件下でsaponinがsophorolipidを上回った。カラム洗浄に用いた最適条件は、pH 2.5で50 g·L^-1のsaponinであった。カラムで30洗浄体積(30 washing volumes)後、総除去率は8.99%(Zn)、33.6%(Ni)、24.2%(Cr)、64.5%(Cu)、56.4%(Mn)、13.1%(Fe)に達し、除去量はそれぞれ1.127 g·kg^-1(Zn)、10.23 g·kg^-1(Ni)、10.34 g·kg^-1(Cr)、1.632 g·kg^-1(Cu)、0.7696 g·kg^-1(Mn)、44.29 g·kg^-1(Fe)であった。洗浄前後の逐次抽出(sequential extraction)から、saponinは炭酸塩結合(F3)、Fe-Mn酸化物結合(F5)、さらには残渣(F6)を含む複数分画から金属を可動化(mobilise)したことが示されたのに対し、超純水(ultrapure water)が除去したのは微量(< 4 mg·kg^-1)のみであった。重金属は、3 mol·L^-1 NaOHでpH 11まで上げるアルカリ沈殿により、88%~97%の割合で浸出液から回収された(Crは一例で88%であり、両性(amphoteric)挙動に起因するとされた)。浸出液からのsaponin回収率は当初、86.6%(Sample 1)および93.6%(Sample 2)であったが、再利用後は62.3%および75.4%へ低下した。それでも回収saponinは、バッチ試験において「満足できる(satisfactory)」洗浄性能を維持した。
- 方法論:
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2011年9月に2種類のスラッジを採取した。すなわち、中国・黒竜江省のチチハル(Qiqihar)由来の生活排水スラッジと、中国・河北省の廊坊(Langfang)由来の電気めっきスラッジである。参照用の「耕起なし(no plow)」自然土壌(Natural soil A)は、チチハルのChaoxian villageで採取した。試料は風乾し、異物を除去して粉砕後、120メッシュ(0.125 mm)でふるい分けた。物理化学特性として、pH(H2OおよびKCl)、EC、含水率、CEC、有機物(強熱減量:105 °Cで乾燥後、550 °Cで6 h)、透水性(Unfirmed Water Head Test)を測定した。金属の全濃度は、HNO3-HFによるマイクロ波分解(EPA3051Aに基づく)後、3% HNO3で100 mLに希釈し、ろ過(0.45 μm)したうえで測定した。Zn、Pb、Cd、Ni、Cr、Cu、Co、Mn、FeはICP-AESで、REEs/Th/UはICP-MSで測定した。金属の形態分析には、6段階の逐次抽出(F1–F6:water soluble、exchangeable、carbonate、organic、Fe-Mn oxides、residual)を用い、各段階後に遠心(3,000 rpm × 30 min)を行った。分析は3反復で報告され、RSDは重金属で< 5%、REEs/Th/Uで< 10%であった。浄化試験では、バッチ洗浄として電気めっきスラッジ0.5 gに対し、バイオサーファクタント(saponinまたはsophorolipid)25 mL(5–50 g·L^-1)を加え、25 °Cで24 h振とう後に遠心し、蒸発・再溶解(3% HNO3)して分析した。pHの影響は2.5~6.5で検討した。続いて、バッチで最適化した条件でカラム洗浄を行い、スラッジの透水性が低い(K ≈ 6.16 × 10^-4 cm·s^-1)ため、石英砂を添加して透水性を改善した。洗浄後の逐次抽出により、どの分画が除去されたかを評価した。最後に、浸出液のpHを3 mol·L^-1 NaOHで11へ上げ、24 h静置後に遠心し、金属(ICP-AES)とsaponin(UV-Vis、λmax = 279.9 nm;100×希釈)を測定して、重金属回収とsaponin再利用を評価した。回収したsaponinは3 mol·L^-1 HNO3でpH 2.5に再酸性化し、バッチ洗浄を2回繰り返した。
- 結論と意義:
-
本研究は、参照土壌と比べてスラッジには従来型の重金属の全濃度が高く、かつ不安定な分画に存在する割合が大きいと結論づけ、生活排水スラッジの施用を繰り返すと農耕地土壌への金属蓄積に寄与し得るという著者らの懸念を支持した。電気めっきスラッジは深刻に汚染されていることが確認され、単純な廃棄ではなく積極的な処理の必要性が補強された。一方で、REEs、Th、Uはスラッジの方が自然土壌より低く、REEs/Thは概ね安定な分画に存在した。しかし、生活排水スラッジで交換態U分画が高い点は、交換態が作物により直接利用されやすい形態として扱われることが多いため、注目すべきと強調されている。浄化に関しては、酸性条件下のバイオサーファクタント洗浄、とくにsaponinが、実際の電気めっきスラッジから複数金属を可動化・除去できることを定量的に示し、この系ではsaponinがsophorolipidより優れるとした。著者らはその理由を、使用したsaponinにカルボキシル基が存在する点に関連づけている。一部の金属(特にZn)では除去率が控えめであったものの、初期濃度が高いため除去量の絶対値は大きく、逐次抽出からは炭酸塩分画(F3)およびFe-Mn酸化物分画(F5)からの除去、ならびに残渣分画(F6)の一部低減も示唆された。さらに、アルカリ沈殿により可動化した金属の大半(88%~97%)を回収でき、saponinも回収・再利用可能で、効果は低下するものの十分とされる水準を保つことが示され、著者らが本手法を潜在的に費用対効果が高く、比較的環境負荷が小さいと位置づけることを裏づけた。
- 今後の展望:
-
著者らは、強汚染で多金属を含む電気めっきスラッジにおいて一部元素の除去効率が限定的だったことを主な背景として、さらなる検討課題を挙げている。第一に、バイオサーファクタントがスラッジから金属を可動化する機構(どの金属種・分画が選択性や反応速度(kinetics)を支配するかを含む)を明確化し、除去効率の向上と処理時間の短縮につなげる必要があるとする。カラム結果から、洗浄は、汚染物質の種類が少なく、濃度が低く、汚染履歴が短いスラッジの方が、長期・高負荷・多金属スラッジより有効であり得ると解釈しており、今後は汚染強度や共存金属が性能をどのように制約するかを明示的に評価すべきだと示唆している。加えて、saponinの再利用は示されたものの、回収率はリサイクルに伴って低下し、その要因としてスラッジおよび/または水酸化物沈殿への吸着が挙げられているため、実装に向けて分離・再循環工程の最適化が重要だと含意している。最後に、洗浄後も残留金属濃度は高いままであったことから、将来研究ではプロセス改善や補完的処理工程の必要性が改めて強調されている。
- 背景と目的:
-
(下水処理などで出る泥)に含まれるスラッジ ( 下水処理場や工場排水の処理で出る泥状の固体で、成分によっては重金属などを多く含みます。処理や再利用を考えるうえで中身の分析が重要です。) は、土の中にたまりやすく、重金属 ( 土や水にたまると生物に害を与えやすい金属の総称で、この研究ではZn、Ni、Cr、Cu、Pb、Cdなどを指します。量だけでなく動きやすさも問題になります。) に移ったり、植物に吸われたりして、食べ物を通して人に影響する可能性があります。そのため、環境や健康の面で心配されています。地下水 ( 地面の下にしみ込んでたまっている水で、汚染物質が移動すると飲み水などに影響する可能性があります。)
この研究では、金属の「量」だけでなく、金属がスラッジの中でどんな形で存在しているか(どれくらい動きやすいか)も大事だと考えました。金属は6つの形( )に分けて調べられ、前半の4つは動きやすく、後半の2つは動きにくい形だとされています。分画 ( 逐次抽出で分けた「金属の存在グループ」のことで、どの分画に多いかで金属の動きやすさを推定します。)
また、希土類元素( )などのレアな金属は社会での需要が増えており、スラッジを「捨てるもの」ではなく「資源」として使えるかにも注目しています。REEs ( 希土類元素のことで、スマホやモーターなどに使われるレアメタルの一種です。資源としての価値が高い一方、環境中での挙動も調べる必要があります。)
目的は次の3つです。
1つ目は、生活排水スラッジと に含まれる重金属(REEs、電気めっきスラッジ ( 金属めっき工場の排水処理で出るスラッジで、CrやNiなどの重金属を高濃度で含みやすい危険性の高い廃棄物です。) 、Th ( トリウムという元素で、自然界に存在する放射性元素の一つです。量や存在形態によってはリスク評価が必要になります。) も含む)の濃度と、どの分画に多いかを調べることです。U ( ウランという元素で、放射性元素の一つです。特に交換態のような動きやすい形は注意が必要です。)
2つ目は、生活排水スラッジとその近くの自然土壌を比べることです。
3つ目は、植物由来などの (バイオサーファクタント ( 微生物や植物由来の界面活性剤で、水と油のなじみをよくしたり、金属を引きはがして溶液中に移しやすくしたりします。環境にやさしい方法として研究されています。) 、saponin ( 植物に広く含まれる成分から得られるバイオサーファクタントで、水に溶けやすく、金属と結びついて洗い出しに役立ちます。回収して再利用できる点も重要です。) )を使って、電気めっきスラッジから重金属をなるべく環境に負担が少ない方法で取り除いたり回収したりできるかを確かめ、洗浄液からsaponinを回収して再利用できるかも調べることです。sophorolipid ( 酵母などが作るバイオサーファクタントで、用途が広い物質です。この研究では金属除去性能がsaponinより低い傾向でした。)
- 主要な発見:
-
生活排水
は、自然土壌よりスラッジ ( 下水処理場や工場排水の処理で出る泥状の固体で、成分によっては重金属などを多く含みます。処理や再利用を考えるうえで中身の分析が重要です。) が多い傾向でしたが、中国の「農地利用の基準値」は超えていませんでした。ただし、ZnとCuは自然土壌の約15倍、16倍と高く、くり返し農地に使うと土に金属がたまる可能性があると考えられました。重金属 ( 土や水にたまると生物に害を与えやすい金属の総称で、この研究ではZn、Ni、Cr、Cu、Pb、Cdなどを指します。量だけでなく動きやすさも問題になります。)
一方、 は非常に強い汚染が見られ、Zn、Ni、Cr、Cuなどが極端に高濃度でした。電気めっきスラッジ ( 金属めっき工場の排水処理で出るスラッジで、CrやNiなどの重金属を高濃度で含みやすい危険性の高い廃棄物です。)
金属の存在のしかた( )は土壌とスラッジで大きく違い、スラッジでは「動きにくい化学形態 ( 同じ金属でも、どんな物質に結びついているかなど「存在のしかた」のことです。動きやすさや毒性、植物に吸われやすさに関係します。) の形」が少なく、代わりに「有機物に結びついた形」や「炭酸塩に結びついた形」など、動きやすい形が多い傾向でした。つまり、スラッジ中の金属は環境中に出やすい可能性があります。残渣 ( 鉱物の結晶の中などに強く固定され、比較的動きにくい形です。一般に環境へ出にくいと考えられます。)
重金属とは逆に、 、REEs ( 希土類元素のことで、スマホやモーターなどに使われるレアメタルの一種です。資源としての価値が高い一方、環境中での挙動も調べる必要があります。) 、Th ( トリウムという元素で、自然界に存在する放射性元素の一つです。量や存在形態によってはリスク評価が必要になります。) はスラッジの方が自然土壌よりかなり低濃度でした。ただし、生活排水スラッジでは「U ( ウランという元素で、放射性元素の一つです。特に交換態のような動きやすい形は注意が必要です。) のU」が自然土壌より目立って高く、植物に吸われやすい形のUが増えている点は注意が必要だとされました。交換態 ( 土の粒などの表面に弱くくっついていて、他のイオンと入れ替わりやすい形です。一般に植物に利用されやすい形として注意されます。)
洗浄では、同じ条件なら の方がsaponin ( 植物に広く含まれる成分から得られるバイオサーファクタントで、水に溶けやすく、金属と結びついて洗い出しに役立ちます。回収して再利用できる点も重要です。) よりよく金属を取り除けました。sophorolipid ( 酵母などが作るバイオサーファクタントで、用途が広い物質です。この研究では金属除去性能がsaponinより低い傾向でした。) での最適条件はカラム洗浄 ( 筒(カラム)に試料を詰め、洗浄液を流して洗う方法です。実際の処理に近い形で性能を確認できます。) 2.5でsaponin 50 g/Lでした。30回分の洗浄量に相当する処理後、除去率はZn 8.99%、Ni 33.6%、Cr 24.2%、Cu 64.5%、Mn 56.4%、Fe 13.1%になりました。pH ( 酸性・中性・アルカリ性の度合いを表す数値で、金属の溶けやすさや洗浄剤の働き方が大きく変わります。)
さらに、洗浄後の分析から、saponinは「 」や「炭酸塩結合 ( 炭酸塩に結びついた形で、条件によっては溶け出しやすくなるため、環境への放出に関係します。) 」だけでなく、「残渣」の一部からも金属を動かして取り出していたことが分かりました。水だけではほとんど取れませんでした。Fe-Mn酸化物結合 ( 鉄やマンガンの酸化物に吸着・結合した形で、酸化還元状態が変わると金属が出やすくなることがあります。)
洗浄で出てきた金属は、NaOHで強いアルカリ性(pH 11)にして沈殿させる方法で、88~97%回収できました。saponinも回収して再利用できましたが、回収率は再利用を重ねると下がりました。それでも洗浄性能はある程度保たれました。
- 方法論:
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2011年9月に、中国の2か所から
を集めました(生活排水スラッジとスラッジ ( 下水処理場や工場排水の処理で出る泥状の固体で、成分によっては重金属などを多く含みます。処理や再利用を考えるうえで中身の分析が重要です。) )。比較のため、生活排水スラッジの近くから自然土壌も採取しました。電気めっきスラッジ ( 金属めっき工場の排水処理で出るスラッジで、CrやNiなどの重金属を高濃度で含みやすい危険性の高い廃棄物です。)
試料は乾燥・粉砕・ふるい分けを行い、 、電気伝導度、含水率、陽イオン交換容量、有機物量、pH ( 酸性・中性・アルカリ性の度合いを表す数値で、金属の溶けやすさや洗浄剤の働き方が大きく変わります。) などを測定しました。透水性 ( 水がどれくらい通りやすいかを示す性質で、カラム洗浄のように液を流す処理がうまくいくかに影響します。)
金属の全体量は酸で分解して測定し、一般的な は重金属 ( 土や水にたまると生物に害を与えやすい金属の総称で、この研究ではZn、Ni、Cr、Cu、Pb、Cdなどを指します。量だけでなく動きやすさも問題になります。) 、ICP-AES ( 試料を高温のプラズマで発光させ、その光から元素の量を測る装置です。重金属の濃度測定に使われます。) やREEs ( 希土類元素のことで、スマホやモーターなどに使われるレアメタルの一種です。資源としての価値が高い一方、環境中での挙動も調べる必要があります。) 、Th ( トリウムという元素で、自然界に存在する放射性元素の一つです。量や存在形態によってはリスク評価が必要になります。) はU ( ウランという元素で、放射性元素の一つです。特に交換態のような動きやすい形は注意が必要です。) で測定しました。ICP-MS ( プラズマでイオン化した元素を質量で測る装置で、微量元素(REEs、Th、Uなど)を高感度で測れます。)
また、金属がどの形で存在するかは6段階の で調べました。逐次抽出 ( 薬品を段階的に変えて抽出し、金属がどの分画にあるかを調べる分析方法です。金属の動きやすさを判断する材料になります。)
洗浄実験は、まずビーカーなどで混ぜる で条件(濃度、pH)を決め、その後、筒状の装置で流しながら洗うバッチ洗浄 ( 試料と洗浄液を容器内で混ぜて反応させる方法で、条件検討に使いやすい基本的な実験方法です。) で性能を確認しました。洗浄後の液からは、カラム洗浄 ( 筒(カラム)に試料を詰め、洗浄液を流して洗う方法です。実際の処理に近い形で性能を確認できます。) で金属を回収し、アルカリ沈殿 ( 強いアルカリ性にして金属を水酸化物などの固体として沈殿させ、液体から分けて回収する方法です。) の回収と再利用も試しました。saponin ( 植物に広く含まれる成分から得られるバイオサーファクタントで、水に溶けやすく、金属と結びついて洗い出しに役立ちます。回収して再利用できる点も重要です。)
- 結論と意義:
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は自然土壌よりスラッジ ( 下水処理場や工場排水の処理で出る泥状の固体で、成分によっては重金属などを多く含みます。処理や再利用を考えるうえで中身の分析が重要です。) の量が多く、しかも動きやすい形で存在しやすいことが示されました。このため、生活排水スラッジを肥料などとしてくり返し使うと、農地に金属がたまりやすくなる可能性があります。重金属 ( 土や水にたまると生物に害を与えやすい金属の総称で、この研究ではZn、Ni、Cr、Cu、Pb、Cdなどを指します。量だけでなく動きやすさも問題になります。)
は特に深刻な汚染があり、そのまま捨てるのではなく、きちんと処理する必要性が強まりました。電気めっきスラッジ ( 金属めっき工場の排水処理で出るスラッジで、CrやNiなどの重金属を高濃度で含みやすい危険性の高い廃棄物です。)
洗浄方法としては、酸性条件での 洗浄、とくにバイオサーファクタント ( 微生物や植物由来の界面活性剤で、水と油のなじみをよくしたり、金属を引きはがして溶液中に移しやすくしたりします。環境にやさしい方法として研究されています。) が、複数の金属を取り出すのに有効だと定量的に示されました。除去率が低めの金属もありましたが、もともとの濃度が高いので、取り出せる金属量としては大きい場合があります。saponin ( 植物に広く含まれる成分から得られるバイオサーファクタントで、水に溶けやすく、金属と結びついて洗い出しに役立ちます。回収して再利用できる点も重要です。)
さらに、洗浄液から金属を高い割合で回収でき、saponinも回収して再利用できることから、この方法は比較的環境負荷が小さく、コスト面でも可能性があると考えられます。
- 今後の展望:
-
今後は、
などが「なぜ」「どの金属を」「どの形から」動かしやすいのかという仕組みをはっきりさせ、除去率を上げたり処理時間を短くしたりすることが課題です。saponin ( 植物に広く含まれる成分から得られるバイオサーファクタントで、水に溶けやすく、金属と結びついて洗い出しに役立ちます。回収して再利用できる点も重要です。)
また、汚染の種類が多い・濃度が高い・汚染期間が長い では効率が下がりやすい可能性があるため、汚染の強さや共存する金属の影響を詳しく評価する必要があります。スラッジ ( 下水処理場や工場排水の処理で出る泥状の固体で、成分によっては重金属などを多く含みます。処理や再利用を考えるうえで中身の分析が重要です。)
さらに、saponinは再利用できるものの回収率が下がるため、吸着などで失われる原因を減らし、回収・再循環の工程を改善することが重要です。洗浄後も金属が多く残る場合があるので、追加の処理方法も検討する必要があります。
- 何のために?:
-
は、下水そうで出るどろです。スラッジ ( 下水そうなどで出る、どろのようなものです。水のよごれやいろいろな物が集まっていて、金属 などが入ることもあるので、環境 や体へのえいきょうを考えると大事です。)
このどろには、金属 が入ることがあります。
金属 が多いと、土にたまりやすいです。
金属 が水にまじると、 へ行きます。地下水 ( 地面の下にある水です。金属 が水にまじって地下水に入ると、井戸水 などにもつながることがあり、飲み水や農業へのえいきょうが心配になります。)
植物が金属 をすうこともあります。
それが食べ物に入り、人にえいきょうします。
だから、環境 や体のことが心配です。
この研究は、金属 の「多さ」も見ました。
それだけでなく、金属 の「形」も見ました。
形で、動きやすさがちがうからです。
金属 の形は、6つに分けて調べました。
はじめの4つは、動きやすい形です。
あと2つは、動きにくい形です。
めずらしい金属 は、いま人気があります。
そのため、どろを資源 にできるか見ます。
目的 は、3つあります。
1つ目は、どろの金属 の多さを調べます。
そして、どの形が多いかも調べます。
2つ目は、どろと近くの土を比 べます。
3つ目は、やさしい洗 い方を試 します。
植物から作る洗 うものを使います。
そして、金属 を取り出せるか見ます。
洗 うものを回収 して、また使えるかも見ます。
- 何が分かったの?:
-
生活のどろは、土より
金属 が多めでした。
でも、中国の畑のきまりはこえませんでした。
ただし、 と亜 えん( 金属 の一つで、さびにくくするためなどに使われます。多すぎると土や水にたまり、植物や人へのえいきょうが出ることがあるので注意が必要 です。) はとても高めでした。銅 ( 金属 の一つで、電線などに使われます。少しなら必要 なこともありますが、多いと土や水の生き物や植物に悪いえいきょうが出ることがあるため重要 です。)
土の15倍や16倍くらいありました。
畑に何回もまくと、土にたまりそうです。
のどろは、とてもよごれていました。電気めっき ( 金属 の表面に、別 の金属 を電気の力でうすくつける方法 です。工場のどろに金属 が多く入りやすく、よごれが強くなる理由として重要 です。)
亜 えん、 などがものすごく多いです。ニッケル ( 金属 の一つで、金属 製品 などに使われます。多いと人や生き物にえいきょうが出ることがあり、工場のどろで多くなりやすい点が重要 です。)
金属 の形は、土とどろで大きくちがいました。
どろは、動きにくい形が少なめでした。
そのかわり、動きやすい形が多めでした。
だから、外へ出やすいかもしれません。
めずらしい金属 は、どろの方が少なめでした。
でも、生活のどろは の動きやすい形が多めです。U ( ウランのことを指します。めずらしい金属 の一つで、動きやすい形だと植物がすいやすくなるため、食べ物に入る心配につながります。)
それは、植物がすいやすいので注意です。
洗 う実験 では、 がよく取れました。サポニン ( 植物にふくまれる成分 で、あわ立ちやすく、よごれや金属 を水に出しやすくするために使われます。金属 を取り出す「やさしい洗 い方」の中心なので重要 です。)
もう一つの洗 うものより、強かったです。
いちばんよい条件 は、 2.5でした。pH ( 水などの酸 っぱさやアルカリの強さを表す数です。pHが小さいほど酸 っぱいです。洗 う力がどれくらい出るかを決める大事な条件 です。)
サポニンは、1Lに50gがよいです。
金属 は、いろいろな形から取れました。
水だけでは、ほとんど取れませんでした。
取れた金属 は、強い で集めました。アルカリ ( 酸 っぱさと反対の性質 をもつものです。強いアルカリを使うと、水の中に出た金属 を集めやすくなるため、回収 のために重要 です。)
それで、だいたい9わり近く回収 できました。
サポニンも回収 して、また使えました。
でも、何回も使うと回収 はへりました。
それでも、ある程度 は洗 えました。
- どうやったの?:
-
2011年9月に、中国でどろを集めました。
生活のどろと、 のどろです。電気めっき ( 金属 の表面に、別 の金属 を電気の力でうすくつける方法 です。工場のどろに金属 が多く入りやすく、よごれが強くなる理由として重要 です。)
比 べるため、近くの土も集めました。
どろや土をかわかし、こなにしました。
そして、ふるいで大きさをそろえました。
酸 っぱさや、水のしみこみやすさも測 りました。
金属 の全部の量 も調べました。
また、金属 の形も6だんかいで調べました。
洗 う実験 は、まずコップでまぜて試 しました。
それで、よいこさや を決めました。pH ( 水などの酸 っぱさやアルカリの強さを表す数です。pHが小さいほど酸 っぱいです。洗 う力がどれくらい出るかを決める大事な条件 です。)
次に、筒 の中を水のように流して洗 いました。
洗 ったあとの水から、金属 を回収 しました。
もサポニン ( 植物にふくまれる成分 で、あわ立ちやすく、よごれや金属 を水に出しやすくするために使われます。金属 を取り出す「やさしい洗 い方」の中心なので重要 です。) 回収 して、また使えるか見ました。
- 研究のまとめ:
-
どろは、土より
金属 が多いと分かりました。
しかも、動きやすい形が多めでした。
だから、畑にくり返しまくと心配です。
土に金属 がたまりやすいからです。
のどろは、とても電気めっき ( 金属 の表面に、別 の金属 を電気の力でうすくつける方法 です。工場のどろに金属 が多く入りやすく、よごれが強くなる理由として重要 です。) 危 ないよごれです。
そのまますてず、きちんと処理 が必要 です。
でサポニン ( 植物にふくまれる成分 で、あわ立ちやすく、よごれや金属 を水に出しやすくするために使われます。金属 を取り出す「やさしい洗 い方」の中心なので重要 です。) 洗 うと、金属 を出せました。
とくに、酸 っぱい条件 でよく働 きました。
金属 によっては、取れるわり合いは小さめです。
でも、もともと多いので量 は大きいこともあります。
洗 った水から金属 を回収 できました。
サポニンも回収 して、また使えました。
そのため、環境 への負担 が少なそうです。
お金の面でも、できそうだと考えられます。
- これからどうする?:
-
これからは、しくみをはっきりさせます。
なぜ金属 が動くのかを調べます。
どの金属 が、どの形から動くかも見ます。
そして、もっと取れるようにしたいです。
また、時間をみじかくするのも課題 です。
よごれがひどいどろは、効 きにくいかもしれません。
だから、よごれの強さもくわしく見ます。
ほかの金属 がまざるえいきょうも調べます。
は、サポニン ( 植物にふくまれる成分 で、あわ立ちやすく、よごれや金属 を水に出しやすくするために使われます。金属 を取り出す「やさしい洗 い方」の中心なので重要 です。) 回収 がへるのも問題です。
なぜへるかを見て、へらない工夫 が必要 です。
洗 っても金属 が残 ることがあります。
そのときの、次の処理 も考える必要 があります。
- 著者名:
- Gao Lidi, Kano Naoki, Imaizumi Hiroshi
- 掲載誌名:
- Journal of Chemistry and Chemical Engineering
- 巻:
- 7
- 号:
- 12
- ページ:
- 1188 - 1202
- 発行日:
- 2013-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/30809
