論文詳細
自然科学系
農学部
#学術雑誌論文
Two-component high-affinity nitrate transport system in barley : Membrane localization, protein expression in roots and a direct protein-protein interaction
- AI解説:
- 硝酸塩(nitrate)は高等植物にとって主要な窒素源であり、根細胞は形質膜(plasma membrane; PM)を介した能動輸送によってこれを吸収する。植物の硝酸塩取り込みは一般に、低親和性輸送系(low-affinity transport systems; LATS:1 mM以上で活性)と、高親和性輸送系(high-affinity transport systems; HATS:外部の硝酸塩がμMレベルで作動し、約0.2–0.5 mMで飽和)に分けられる。分子レベルの研究では、HATSは主としてNRT2遺伝子ファミリーと関連づけられている。しかし、Xenopus卵母細胞での異種発現実験により、複数の植物NRT2タンパク質はNAR2ファミリーのパートナーを必要としてはじめて硝酸塩輸送活性を示すことが示され、HATSに対する2成分NRT2/NAR2モデルが支持された。にもかかわらず、オオムギなどの作物では、とくにタンパク質レベルで重要な疑問が未解決のままであった。すなわち、根細胞内でHvNRT2およびHvNAR2タンパク質がどこに局在するのか、硝酸塩供給条件の違いに応じてそれらの量がHATS活性とどう関係するのか、Arabidopsisで観察されるようにNRT2が高次複合体を形成するのか、そしてNRT2–NAR2相互作用を媒介するタンパク質領域はどこか、である。本論文は、免疫化学的ツールを開発し、直接的なタンパク質間相互作用を検証することで、オオムギにおいてこれらの課題に取り組むことを目的とする。
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自然科学系
農学部
#学術雑誌論文
Two-component high-affinity nitrate transport system in barley : Membrane localization, protein expression in roots and a direct protein-protein interaction
AI解説
- 背景と目的:
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硝酸塩(nitrate)は高等植物にとって主要な窒素源であり、根細胞は形質膜(plasma membrane; PM)を介した能動輸送によってこれを吸収する。植物の硝酸塩取り込みは一般に、低親和性輸送系(low-affinity transport systems; LATS:1 mM以上で活性)と、高親和性輸送系(high-affinity transport systems; HATS:外部の硝酸塩がμMレベルで作動し、約0.2–0.5 mMで飽和)に分けられる。分子レベルの研究では、HATSは主としてNRT2遺伝子ファミリーと関連づけられている。しかし、Xenopus卵母細胞での異種発現実験により、複数の植物NRT2タンパク質はNAR2ファミリーのパートナーを必要としてはじめて硝酸塩輸送活性を示すことが示され、HATSに対する2成分NRT2/NAR2モデルが支持された。にもかかわらず、オオムギなどの作物では、とくにタンパク質レベルで重要な疑問が未解決のままであった。すなわち、根細胞内でHvNRT2およびHvNAR2タンパク質がどこに局在するのか、硝酸塩供給条件の違いに応じてそれらの量がHATS活性とどう関係するのか、Arabidopsisで観察されるようにNRT2が高次複合体を形成するのか、そしてNRT2–NAR2相互作用を媒介するタンパク質領域はどこか、である。本論文は、免疫化学的ツールを開発し、直接的なタンパク質間相互作用を検証することで、オオムギにおいてこれらの課題に取り組むことを目的とする。
- 主要な発見:
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新たに作製した抗体を用いることで、硝酸塩で誘導したオオムギ根の膜画分から、HvNRT2s(約50 kDa)およびHvNAR2s(約21 kDa)に対応する単一の免疫反応性バンドが検出された。著者らは、近縁のファミリーメンバーに対する抗体の交差反応性は排除できないと述べている。水性二相分配による画分化では、HvNRT2sとHvNAR2sの両方が主としてPM画分に濃縮され、PMマーカーであるPIP1と同様の挙動を示し、エンドメンブレンマーカー(BipおよびV-ATPase)とは対照的であった。これは、根のPMにおける共局在を示す所見である。生理学的には、HATS活性(100 μM 15NO3-の取り込みとして測定)は硝酸塩誘導中に強く増加したが、10 mM硝酸塩で前処理した後の最大HATS活性は、1 mM硝酸塩で前処理した場合より約50%低かった。転写産物の応答は遺伝子クラスで異なり、HvNRT2転写産物は硝酸塩添加後2–4時間以内に急速に蓄積し、その後検出不能レベルまで低下した(10 mMの方が1 mMより早期)。一方、HvNAR2転写産物は1 mM条件ではより緩やかに増加したが、10 mM条件では早期にピークに達した後に減少した。HATS活性およびHvNRT2転写産物量とは対照的に、HvNRT2タンパク質の蓄積は1 mMより10 mM硝酸塩条件で高く、HvNAR2タンパク質は硝酸塩条件間でピークレベルに明確な差を示さなかった。最後に、アフィニティーカラム法により、HvNRT2.1のC末端とHvNAR2.3の中央領域との直接相互作用が示され、HvNRT2.1 C末端のSer463をアラニンに置換した変異(S463A)では結合が著しく低下した一方、Ser449、Thr453、Ser482、Ser484、Thr503の置換では低下しなかった。
- 方法論:
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オオムギ(Hordeum vulgare L. cv Kawahonami)実生を、発芽後にN無添加溶液で4日間育成し、その後1 mMまたは10 mMのKNO3で処理した。根を経時的に採取し、RNAおよびタンパク質解析に用いた。HvNRT2.1およびHvNAR2.3の全長cDNAは、1 mM KNO3による誘導(4時間)後に作製した根cDNAからPCRでクローニングし、シーケンスで確認した。転写産物動態は、HvNRT2.1およびHvNAR2.3配列に由来する32P標識プローブを用いたノーザンブロットで評価した。タンパク質検出のため、HvNRT2.1のC末端(残基431–507)およびHvNAR2.3の中央ループ(残基76–138)に相当する組換えポリペプチドをE. coliでHisタグ付きタンパク質として発現・精製し、ウサギ抗体作製に用いた。抗体は抗原カラムでアフィニティー精製した。膜局在の検討では、根からミクロソームを調製し、水性二相分配によりPM濃縮画分とエンドメンブレン画分に分離したうえで、マーカー抗体(PMにPIP1、ERにBip、液胞膜にV-ATPase)により妥当性を確認した。タンパク質はSDS-PAGEとイムノブロットで解析した。HATS活性は15NO3-取り込み試験で定量した。すなわち、実生を1 mMまたは10 mM硝酸塩で所定時間前処理した後、100 μM 15NO3-に20分間移し、洗浄した。その後、根および地上部への15N蓄積を同位体比質量分析(isotope ratio mass spectrometry)と元素分析で測定した。直接的なタンパク質相互作用はアフィニティーカラム結合アッセイで検証し、HvNAR2.3中央ループポリペプチドを固定化して、HvNRT2.1 C末端の野生型または部位特異的アラニン変異体(Ser/Thr残基を標的)を適用し、溶出後にイムノブロットで検出した。
- 結論と意義:
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本研究は、HvNRT2sとHvNAR2sが主として根のPMに局在することを示し、高親和性硝酸塩取り込みを支えるには両成分が膜上に共存する必要があるという点で、オオムギにおいて2成分HATS概念を支持するタンパク質レベルの証拠を提供した。同一の作物種で両タンパク質クラスを検出できる抗体を作製したことで、これまで転写産物測定を超えたHATS制御解析を制限していた技術的障壁にも対処している。HATS活性、転写産物量、タンパク質蓄積の時間的比較から、HvNRT2転写産物量はその後のHATS活性を単純には予測せず、HATS活性が抑制されている状況でも(とくに10 mM硝酸塩前処理下で)HvNRT2タンパク質が蓄積しうることが示された。著者らはこの不一致を、HATSの翻訳後制御(post-translational regulation)を示唆するものとして解釈する一方で、重要な限界として、抗体が複数のHvNRT2/HvNAR2ファミリーメンバーを認識している可能性があるため、(とくにHvNRT2.1単独に関する)タンパク質特異的な推論は暫定的であると強調している。機構面では、アフィニティー結合の結果により、HvNRT2.1とHvNAR2.3の特定領域間の直接相互作用が同定され、HvNRT2.1のSer463がこの相互作用に重要であることが示された。これは、複合体形成、膜へのターゲティング、あるいは制御の基盤となりうる具体的な分子界面を提示する。
- 今後の展望:
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未解決の課題がいくつか明示されている。第一に、ArabidopsisではAtNRT2.1が複数の形態を示す一方、本研究条件下のオオムギのブロットでは単一バンドであったことから、NRT2タンパク質が植物種を超えて一般に高分子量複合体を形成するのかを確認することが重要だと著者らは述べている。第二に、オオムギのPMにおいてNRT2とNAR2が複合体として存在するかどうかの決定が必要であり、共局在のみでは生体内(in vivo)の複合体形成を確立するには不十分であることが示唆される。第三に、抗体の交差反応性がアイソフォーム特異的挙動を覆い隠しうるため、正確な定量と、見かけの翻訳後制御がHvNRT2.1に特異的に当てはまるかの解明に向けて、HvNRT2.1に対する単一特異性(mono-specific)抗体の必要性が提起されている。第四に、HvNRT2.1とHvNAR2.3が膜内でどのように組み立つかを理解するには、両タンパク質の膜トポロジーを実験的に決定する必要がある。最後に、結合アッセイはSer463の重要性を示し、著者らはこの残基でのリン酸化/脱リン酸化が、複合体の会合/解離を介してHATSまたはPMターゲティングを制御しうると提案しているが、決定的な問いは生細胞内でNRT2とNAR2がどのように相互作用するかであると強調しており、提案した制御機構のin vivo検証が必要だとしている。
- 背景と目的:
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は、植物が成長するために必要な「窒素」の大事な材料です。植物の根の細胞は、硝酸塩 ( 植物が土から吸収する窒素化合物の一つで、植物体内でアミノ酸やタンパク質を作る材料になります) という細胞の外側の膜を通して、エネルギーを使いながら硝酸塩を土から取り込みます。形質膜 ( 細胞の外側を包む膜で、物質の出入りを調整する重要な場所です)
植物の硝酸塩の取り込み方には、硝酸塩が多いときに働く仕組みと、少ないときでも働ける仕組みがあり、特に「少ない硝酸塩でも効率よく取り込む仕組み」が です。高親和性輸送系 ( 硝酸塩が少ないときでも効率よく取り込める仕組みで、栄養が少ない環境で特に重要です)
これまでの研究から、この高親和性輸送系には というタンパク質が関わると考えられてきましたが、実験によってはNRT2だけでは働かず、NRT2 ( 高親和性で硝酸塩を取り込むのに関わるタンパク質のグループで、膜に埋め込まれて働くと考えられます) という別のタンパク質が一緒に必要だと分かってきました。NAR2 ( NRT2が硝酸塩を運ぶために助けになるタンパク質で、NRT2と組んで働くとされます)
しかし、オオムギなどの作物では、これらのタンパク質が根のどこにあるのか、硝酸塩の量によってタンパク質の量と働きがどう変わるのか、タンパク質どうしがどの部分で結びつくのかなど、まだはっきりしていない点が多くありました。そこでこの研究は、タンパク質を調べるための を作り、オオムギでNRT2とNAR2の場所や量、そして直接の結びつきを確かめることを目的としました。抗体 ( 特定のタンパク質だけを見分けて結びつく道具で、タンパク質の検出に使われます)
- 主要な発見:
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新しく作った
を使うと、抗体 ( 特定のタンパク質だけを見分けて結びつく道具で、タンパク質の検出に使われます) を与えたオオムギの根の膜の成分から、Hv硝酸塩 ( 植物が土から吸収する窒素化合物の一つで、植物体内でアミノ酸やタンパク質を作る材料になります) sとHvNRT2 ( 高親和性で硝酸塩を取り込むのに関わるタンパク質のグループで、膜に埋め込まれて働くと考えられます) sに対応するタンパク質が検出できました。ただし、似た種類のタンパク質も一緒に反応している可能性は残る、と研究者は注意しています。NAR2 ( NRT2が硝酸塩を運ぶために助けになるタンパク質で、NRT2と組んで働くとされます)
根の膜を詳しく分けて調べると、HvNRT2sとHvNAR2sはどちらも主に に多く集まっていました。つまり、根の形質膜で同じ場所に存在している可能性が高いということです。形質膜 ( 細胞の外側を包む膜で、物質の出入りを調整する重要な場所です)
硝酸塩を与えると の働きは強く上がりましたが、あらかじめ高濃度の硝酸塩を与えておくと、最大の働きは低濃度の場合より約半分低くなりました。高親和性輸送系 ( 硝酸塩が少ないときでも効率よく取り込める仕組みで、栄養が少ない環境で特に重要です)
遺伝子のはたらき方を見ると、HvNRT2のmRNAは硝酸塩を与えてから短時間で急に増え、その後ほとんど見えなくなるほど減りました。一方HvNAR2のmRNAは条件によって増え方が違いました。
タンパク質の量はmRNAと同じ動きではなく、HvNRT2タンパク質は高濃度硝酸塩の条件の方がむしろ多くたまりました。HvNAR2タンパク質は、条件の違いでピークの差がはっきりしませんでした。
さらに、HvNRT2.1の とHvNAR2.3の中央部分が直接結びつくことが示されました。特にHvNRT2.1のSer463という場所を変えると結合が大きく弱まり、この部分が結合に重要だと分かりました。C末端 ( タンパク質の端の一つで、結合や調整に関わる重要な部分になることがあります)
- 方法論:
-
オオムギの芽生えを、最初は窒素を含まない液体で育て、その後に
を1 mMまたは10 mMの濃さで与えました。時間ごとに根を集めて、mRNAとタンパク質を調べました。硝酸塩 ( 植物が土から吸収する窒素化合物の一つで、植物体内でアミノ酸やタンパク質を作る材料になります)
mRNAは で測定しました。タンパク質は、Hvノーザンブロット ( mRNAの量を調べる方法で、遺伝子がどれくらい働いているかの目安になります) .1とHvNRT2 ( 高親和性で硝酸塩を取り込むのに関わるタンパク質のグループで、膜に埋め込まれて働くと考えられます) .3の一部を大腸菌で作らせてNAR2 ( NRT2が硝酸塩を運ぶために助けになるタンパク質で、NRT2と組んで働くとされます) を作り、抗体 ( 特定のタンパク質だけを見分けて結びつく道具で、タンパク質の検出に使われます) で検出しました。イムノブロット ( 抗体を使って、特定のタンパク質があるかどうかや量を調べる方法です)
膜のどこにあるかを調べるために、根の膜を分離して に多い成分と、細胞内の別の膜に多い成分に分け、目印になるタンパク質も使って確認しました。形質膜 ( 細胞の外側を包む膜で、物質の出入りを調整する重要な場所です)
の働きは、15Nで目印を付けた硝酸塩を短時間吸収させ、その取り込まれた量を測って評価しました。高親和性輸送系 ( 硝酸塩が少ないときでも効率よく取り込める仕組みで、栄養が少ない環境で特に重要です)
また、タンパク質どうしの直接の結びつきは、片方のタンパク質断片を固定したカラムにもう片方を流して、結合するかどうかで確かめました。
- 結論と意義:
-
この研究は、オオムギの根でHv
sとHvNRT2 ( 高親和性で硝酸塩を取り込むのに関わるタンパク質のグループで、膜に埋め込まれて働くと考えられます) sが主にNAR2 ( NRT2が硝酸塩を運ぶために助けになるタンパク質で、NRT2と組んで働くとされます) にあることを示し、高親和性の形質膜 ( 細胞の外側を包む膜で、物質の出入りを調整する重要な場所です) 取り込みには両方が同じ膜上に存在する必要がある、という考えをタンパク質のレベルで支えました。硝酸塩 ( 植物が土から吸収する窒素化合物の一つで、植物体内でアミノ酸やタンパク質を作る材料になります)
さらに、mRNAの量だけを見ても硝酸塩取り込みの強さを単純には予測できず、タンパク質の量やタンパク質の状態による調整が関係している可能性が示されました。これは、 の存在を考える手がかりになります。翻訳後制御 ( タンパク質が作られた後に、化学的な変化や結合の変化などで働きが調整されることです)
一方で、使った が複数の似たタンパク質にも反応しているかもしれないため、特定の1種類だけについて断定するのは慎重であるべきだ、と研究者は述べています。抗体 ( 特定のタンパク質だけを見分けて結びつく道具で、タンパク質の検出に使われます)
また、HvNRT2.1とHvNAR2.3がどの部分で結びつくかが示され、特にSer463が重要だと分かったことは、 の形成や調整の仕組みを理解する上で大切な情報になります。複合体 ( 複数のタンパク質が集まってできるまとまりで、単独ではできない働きをすることがあります)
- 今後の展望:
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今後の課題として、他の植物でも
が大きなNRT2 ( 高親和性で硝酸塩を取り込むのに関わるタンパク質のグループで、膜に埋め込まれて働くと考えられます) を作るのかどうかを確かめる必要があります。複合体 ( 複数のタンパク質が集まってできるまとまりで、単独ではできない働きをすることがあります)
また、 で同じ場所にあるだけでは、生きた細胞内で本当に複合体を作っていると断定できないため、細胞内での複合体の確認が必要です。形質膜 ( 細胞の外側を包む膜で、物質の出入りを調整する重要な場所です)
さらに、 が似た別のタンパク質にも反応してしまう可能性があるので、HvNRT2.1だけを正確に測れる抗体を作ることも求められます。抗体 ( 特定のタンパク質だけを見分けて結びつく道具で、タンパク質の検出に使われます)
加えて、NRT2と が膜の中でどんな向きで存在しているかを実験で決めることが、組み立ち方の理解につながります。NAR2 ( NRT2が硝酸塩を運ぶために助けになるタンパク質で、NRT2と組んで働くとされます)
最後に、Ser463が などで変化することで結合が調整され、リン酸化 ( タンパク質の一部にリン酸が付く変化で、スイッチのように働きを変えることがあります) 取り込みや膜への配置が変わる可能性があるため、生きた細胞内でそれを確かめる研究が必要です。硝酸塩 ( 植物が土から吸収する窒素化合物の一つで、植物体内でアミノ酸やタンパク質を作る材料になります)
- 何のために?:
-
植物は、大きくなるために、
がいります。窒素 ( 植物が大きくなるために必要 な栄養 の一つで、体を作る材料 になる 土や肥料 から取り入れるので成長 に重要 )
は、その硝酸塩 ( 植物が土から吸 って使う窒素 の形の一つで、根から取りこまれて植物の中で材料 として使われる どれだけ吸 えるかで育ち方が変 わるので重要 ) 窒素 のもとになるものです。
植物の根は、土から硝酸塩 をすいます。
根は、外がわのうすい膜 を通します。
この膜 を、 といいます。形質 膜 ( 細胞 のいちばん外側 にあるうすい膜 で、外から物を入れたり出したりする門のような役目をする 根が硝酸塩 を取りこむ場所になるので重要 )
すうときは、力を使って取りこみます。
硝酸塩 が多いときの仕組みもあります。
少ないときでもすえる仕組みもあります。
少ない硝酸塩 を上手にすう仕組みがあります。
それを、 といいます。高 親和性 輸送 系 ( 少ない硝酸塩 でも上手に吸 いこめるしくみのこと 土の硝酸塩 が少ないときに植物が栄養 を取れるようにするので重要 )
この仕組みに、 がNRT2 ( 硝酸塩 を細胞 の中へ運ぶはたらきに関 わるたんぱく質 の名前で、高親和性 輸送 系 の一部と考えられる これがどう動くかで吸 う力が決まるので重要 ) 関 わると考えられました。
でも、NRT2だけでは足りないことがありました。
いっしょに、 もいると分かりました。NAR2 ( NRT2といっしょに働 くと考えられるたんぱく質 の名前で、NRT2だけでは足りない部分を助ける役目がある 2つがそろうことが大事なので重要 )
ただ、根のどこにあるかは不明 でした。
硝酸塩 の量 で、どう変 わるかも不明 でした。
どの部分で、くっつくかも不明 でした。
そこで、たんぱく質 を見つける道具を作りました。
道具は、 といいます。抗体 ( 特定 のたんぱく質 などにくっついて見つけやすくする道具で、目に見えない分子を調べるのに使う どこにあるかや量 を確 かめるのに重要 )
オオムギで、場所や量 や結 びつきを調べました。
- 何が分かったの?:
-
新しい
で、たんぱく抗体 ( 特定 のたんぱく質 などにくっついて見つけやすくする道具で、目に見えない分子を調べるのに使う どこにあるかや量 を確 かめるのに重要 ) 質 が見えました。
根の膜 から、 とNRT2 ( 硝酸塩 を細胞 の中へ運ぶはたらきに関 わるたんぱく質 の名前で、高親和性 輸送 系 の一部と考えられる これがどう動くかで吸 う力が決まるので重要 ) が見つかりました。NAR2 ( NRT2といっしょに働 くと考えられるたんぱく質 の名前で、NRT2だけでは足りない部分を助ける役目がある 2つがそろうことが大事なので重要 )
ただ、にた物にも反応 するかもしれません。
根の膜 を分けて、くわしく調べました。
すると、どちらも に多くありました。形質 膜 ( 細胞 のいちばん外側 にあるうすい膜 で、外から物を入れたり出したりする門のような役目をする 根が硝酸塩 を取りこむ場所になるので重要 )
同じ場所に、いそうだと分かりました。
をあげると、すう力が上がりました。硝酸塩 ( 植物が土から吸 って使う窒素 の形の一つで、根から取りこまれて植物の中で材料 として使われる どれだけ吸 えるかで育ち方が変 わるので重要 )
でも、先に多い硝酸塩 だと力が下がりました。
いちばんの力は、だいたい半分でした。
NRT2の は、すぐふえて、すぐへりました。mRNA ( たんぱく質 を作るための設計図 の写しのようなもので、細胞 の中でたんぱく質 作りの指示 を伝 える どのたんぱく質 が作られそうかを知る手がかりになるので重要 )
NAR2のmRNAは、ふえ方が少しちがいました。
たんぱく質 の量 は、mRNAと同じではありません。
NRT2のたんぱく質 は、多い硝酸塩 でたまりました。
NAR2のたんぱく質 は、山のちがいがはっきりしません。
とNRT2.1 ( NRT2の中の種類 の一つの名前で、研究ではこれがNAR2.3とくっつくことが調べられた どの組み合わせが働 くかを知るのに重要 ) が、NAR2.3 ( NAR2の中の種類 の一つの名前で、NRT2.1と直接 くっつく相手として出てくる輸送 のしくみを理解 するのに重要 ) 直接 くっつきました。
くっつく場所も、だいたい分かりました。
NRT2.1の をSer463 ( たんぱく質 の中の特定 の場所の名前で、セリンという成分 が463番目にあることを示 す ここを変 えるとくっつき方が弱くなったので働 きのカギとして重要 ) 変 えると、弱くなりました。
だから、Ser463は大事だと分かりました。
- どうやったの?:
-
オオムギの小さな
芽 を育てました。
はじめは、 がない窒素 ( 植物が大きくなるために必要 な栄養 の一つで、体を作る材料 になる 土や肥料 から取り入れるので成長 に重要 ) 液 で育てました。
そのあと、 をあげました。硝酸塩 ( 植物が土から吸 って使う窒素 の形の一つで、根から取りこまれて植物の中で材料 として使われる どれだけ吸 えるかで育ち方が変 わるので重要 )
こさは、1 か10mMにしました。mM ( 液体 の中にどれくらい物が入っているかを表す濃 さの単位 で、数が大きいほど濃 い硝酸塩 を多い少ないで比 べるために重要 )
時間ごとに、根を集めました。
と、たんぱくmRNA ( たんぱく質 を作るための設計図 の写しのようなもので、細胞 の中でたんぱく質 作りの指示 を伝 える どのたんぱく質 が作られそうかを知る手がかりになるので重要 ) 質 を調べました。
mRNAは、 で見ました。ノーザンブロット ( mRNAがどれくらいあるかを調べる実験 の方法 で、mRNAを見える形にして比 べる遺伝子 のはたらき方の変化 を調べるのに重要 )
たんぱく質 は、 で見つけました。抗体 ( 特定 のたんぱく質 などにくっついて見つけやすくする道具で、目に見えない分子を調べるのに使う どこにあるかや量 を確 かめるのに重要 )
抗体 は、 に作らせた大腸菌 ( 実験 でたんぱく質 などを作らせるのによく使う細菌 で、目的 の材料 をたくさん作るのに使える抗体 作りの材料 を用意するのに重要 ) 材料 で作りました。
見つけ方は、 です。イムノブロット ( 抗体 を使って特定 のたんぱく質 を見つける実験 の方法 で、たんぱく質 の有無 や量 を調べられる NRT2やNAR2がどれくらいあるか確 かめるのに重要 )
膜 の場所も、分けて調べました。
が多いものと、形質 膜 ( 細胞 のいちばん外側 にあるうすい膜 で、外から物を入れたり出したりする門のような役目をする 根が硝酸塩 を取りこむ場所になるので重要 ) 別 の膜 に分けました。
目じるしのたんぱく質 で、分け方を確 かめました。
すう力は、 で調べました。目じるしつき 硝酸塩 ( 追いかけられる印 を付 けた硝酸塩 で、どれだけ吸 ったかを測 れるようにしたもの吸 う力を正しく比 べるのに重要 )
短い時間だけすわせて、量 をはかりました。
たんぱく質 の結 びつきも調べました。
片方 を固定 して、もう片方 を流しました。
くっつくかどうかで、たしかめました。
- 研究のまとめ:
-
オオムギの根で、
とNRT2 ( 硝酸塩 を細胞 の中へ運ぶはたらきに関 わるたんぱく質 の名前で、高親和性 輸送 系 の一部と考えられる これがどう動くかで吸 う力が決まるので重要 ) はNAR2 ( NRT2といっしょに働 くと考えられるたんぱく質 の名前で、NRT2だけでは足りない部分を助ける役目がある 2つがそろうことが大事なので重要 ) に多いです。形質 膜 ( 細胞 のいちばん外側 にあるうすい膜 で、外から物を入れたり出したりする門のような役目をする 根が硝酸塩 を取りこむ場所になるので重要 )
には、両方が高 親和性 輸送 系 ( 少ない硝酸塩 でも上手に吸 いこめるしくみのこと 土の硝酸塩 が少ないときに植物が栄養 を取れるようにするので重要 ) 必要 そうです。
同じ膜 の上にいることが、大事だと考えられます。
のmRNA ( たんぱく質 を作るための設計図 の写しのようなもので、細胞 の中でたんぱく質 作りの指示 を伝 える どのたんぱく質 が作られそうかを知る手がかりになるので重要 ) 量 だけでは、すう力は分かりません。
たんぱく質 の量 や、状態 も関係 しそうです。
作られたあとに、調整される合図がありそうです。
ただ、 がにた物も見たかもしれません。抗体 ( 特定 のたんぱく質 などにくっついて見つけやすくする道具で、目に見えない分子を調べるのに使う どこにあるかや量 を確 かめるのに重要 )
だから、1種類 だけと決めつけない方がよいです。
とNRT2.1 ( NRT2の中の種類 の一つの名前で、研究ではこれがNAR2.3とくっつくことが調べられた どの組み合わせが働 くかを知るのに重要 ) のNAR2.3 ( NAR2の中の種類 の一つの名前で、NRT2.1と直接 くっつく相手として出てくる輸送 のしくみを理解 するのに重要 ) 結 びつく所が分かりました。
とくに が大事だと分かりました。Ser463 ( たんぱく質 の中の特定 の場所の名前で、セリンという成分 が463番目にあることを示 す ここを変 えるとくっつき方が弱くなったので働 きのカギとして重要 )
これは、くっつき方の理解 に役立ちます。
- これからどうする?:
-
ほかの植物でも、同じ仕組みか
確 かめたいです。
が大きなチームを作るかも調べます。NRT2 ( 硝酸塩 を細胞 の中へ運ぶはたらきに関 わるたんぱく質 の名前で、高親和性 輸送 系 の一部と考えられる これがどう動くかで吸 う力が決まるので重要 )
同じ場所にあるだけでは、チームとは言えません。
生きた細胞 の中で、くっつくか見たいです。
にた物に反応 しない も作る抗体 ( 特定 のたんぱく質 などにくっついて見つけやすくする道具で、目に見えない分子を調べるのに使う どこにあるかや量 を確 かめるのに重要 ) 必要 があります。
だけを、正しくはかれるNRT2.1 ( NRT2の中の種類 の一つの名前で、研究ではこれがNAR2.3とくっつくことが調べられた どの組み合わせが働 くかを知るのに重要 ) 抗体 です。
膜 の中での向きも、実験 で決めたいです。
向きが分かると、組み立ちが分かります。
は、Ser463 ( たんぱく質 の中の特定 の場所の名前で、セリンという成分 が463番目にあることを示 す ここを変 えるとくっつき方が弱くなったので働 きのカギとして重要 ) 変化 して調整されるかもしれません。
そのせいで、すう力が変 わるかもしれません。
生きた細胞 で、それを確 かめたいです。
- 著者名:
- Ishikawa Shinji, Ito Yuka, Sato Yuki, Fukaya Yuka, Takahashi Misa, Morikawa Hiromichi, Ohtake Norikuni, Ohyama Takuji, Sueyoshi Kuni
- 掲載誌名:
- Plant biotechnology
- 巻:
- 26
- 号:
- 2
- ページ:
- 197 - 205
- 発行日:
- 2009-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/29870
