論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
器物による小児軟組織損傷の臨床統計的観察
- AI解説:
- 本研究の背景には、小児が器物を口にくわえたまま転倒などの事故により口腔軟組織を損傷する事例が日常臨床で頻繁に見られるという現実があります。これまで、小児の口腔軟組織損傷に関する臨床統計的報告は多くありましたが、特定の器物による損傷のみを対象としたものは少なく、その実態は明らかではありませんでした。そこで、本研究では長野赤十字病院において、1999年から2011年の13年間に器物による16歳未満の小児口腔軟組織損傷例について臨床統計的観察を行い、その特徴を明らかにすることを目的としました。
AI解説を見る
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
器物による小児軟組織損傷の臨床統計的観察
AI解説
- 背景と目的:
-
本研究の背景には、小児が器物を口にくわえたまま転倒などの事故により口腔軟組織を損傷する事例が日常臨床で頻繁に見られるという現実があります。これまで、小児の口腔軟組織損傷に関する臨床統計的報告は多くありましたが、特定の器物による損傷のみを対象としたものは少なく、その実態は明らかではありませんでした。そこで、本研究では長野赤十字病院において、1999年から2011年の13年間に器物による16歳未満の小児口腔軟組織損傷例について臨床統計的観察を行い、その特徴を明らかにすることを目的としました。
- 主要な発見:
-
本研究で得られた主要な発見は以下の通りです。受傷の原因となった器物としては、歯ブラシが最も多く、次いで玩具、棒、箸の順でした。受傷の契機としては、転倒が最も多く、その次に打撲・衝突が続きました。受傷年齢は1歳児が最も多く、次いで2歳児であり、全体の60%を占めました。また、受傷部位としては軟口蓋が最も多く、次いで頬粘膜、硬口蓋が続きました。処置法に関しては、抗菌薬を投与せず経過観察としたものが最も多く、縫合処置を行ったものは全体の約25%でした。いずれの症例も良好な経過を辿りました。
- 方法論:
-
本研究の対象は、1999年1月から2011年12月までの13年間に長野赤十字病院口腔外科を受診した器物による16歳未満の小児口腔軟組織損傷例です。対象症例は全体で115例であり、これらの症例に対して臨床統計的観察を行いました。具体的には、受傷の原因となった器物、受傷の契機、年齢および性別、受傷時間帯、受診経路、受傷部位、創の種類および処置法について詳細なデータを収集し、統計解析を行いました。
- 結論と意義:
-
本研究の結論として、器物による小児口腔軟組織損傷の主要な原因は歯ブラシであり、特に1歳から2歳の小児が最も受傷しやすいことが明らかになりました。また、受傷の契機として転倒が最も多く、受傷部位として軟口蓋が多いことが示されました。これらの結果は、小児が日常的に使用する器物に対する安全教育の重要性や、親や保護者が子供の行動を監視する必要性を示唆しています。さらに、口腔軟組織損傷に対する適切な処置法についても示唆を与えるものであり、臨床現場での診療の質向上に寄与することが期待されます。
- 今後の展望:
-
今後の展望としては、さらなるデータの蓄積と解析を通じて、器物による小児口腔軟組織損傷の詳細な実態をさらに明らかにすることが必要です。また、各家庭や教育機関において、子供たちが安全に過ごせる環境を整えるための具体的な対策や教育プログラムの開発が求められます。これにより、小児の口腔軟組織損傷の発生率を低減し、子供たちの健全な成長と発達を支援することが目指されます。
- 背景と目的:
-
この研究の背景には、子どもが物を口にくわえたまま転んで口の中を傷つける事故がよくあるという現実があります。これまで、子どもの口の中のケガに関する研究はたくさんありましたが、特定の物によるケガについての研究は少なかったです。そこで、この研究では、1999年から2011年の13年間に長野赤十字病院で見られた16歳未満の子どもの口の中のケガの特徴を調べることを目的としました。
- 主要な発見:
-
この研究でわかったことは次の通りです。子どもが口の中をケガする原因となった物の中で一番多かったのは歯ブラシで、次に多かったのはおもちゃ、棒、箸の順でした。ケガをするきっかけとしては、転倒が最も多く、次いで打撲や衝突が続きました。ケガをした子どもの年齢は1歳児が最も多く、次いで2歳児が多く、全体の60%を占めました。ケガの部位としては
(口の中の柔らかい部分)が最も多く、次いで頬の内側や軟口蓋 ( 口の中の柔らかい部分で、口の奥の上の方にあります。) (口の中の硬い部分)でした。処置方法としては、硬口蓋 ( 口の中の硬い部分で、前歯のすぐ後ろの上の方にあります。) を使わずに様子を見ることが最も多く、抗菌薬 ( 感染症を治療するために使われる薬で、細菌を殺したり、増えるのを防いだりします。) を行ったのは全体の約25%でした。どのケースも良好な経過をたどりました。縫合処置 ( ケガをした部分を針と糸で縫う処置のことです。)
- 方法論:
-
この研究の対象は、1999年1月から2011年12月までの13年間に長野赤十字病院で診察を受けた16歳未満の子どもの口の中のケガのケースです。対象となったケースは全部で115例で、これらに対して詳細なデータを収集し、統計的に解析しました。具体的には、ケガの原因となった物、ケガをしたきっかけ、年齢と性別、ケガの時間帯、診察を受けた方法、ケガの部位、傷の種類と処置方法について調べました。
- 結論と意義:
-
この研究の結論として、子どもの口の中のケガの主要な原因は歯ブラシで、特に1歳から2歳の子どもが最もケガをしやすいことがわかりました。また、ケガのきっかけとして転倒が最も多く、ケガの部位としては
が多いことが示されました。これらの結果は、子どもが日常的に使う物に対する安全教育の重要性や、親や保護者が子どもの行動を監視する必要があることを示しています。さらに、口の中のケガに対する適切な処置方法についても示唆を与えるものであり、診療の質向上に役立つことが期待されます。軟口蓋 ( 口の中の柔らかい部分で、口の奥の上の方にあります。)
- 今後の展望:
-
今後の展望としては、さらなるデータの収集と解析を通じて、物による子どもの口の中のケガの詳細な実態をさらに明らかにすることが必要です。また、家庭や学校で、子どもたちが安全に過ごせる環境を整えるための具体的な対策や教育プログラムの開発が求められます。これにより、子どもの口の中のケガの発生率を減らし、子どもたちの健全な成長と発達を支援することが目指されます。
- 何のために?:
-
子どもが物を口にくわえていて、転んで口の中をケガすることがあります。この研究では、1999年から2011年までに長野赤十字病院で見られた16
歳 未満 の子どもの口の中のケガについて調べました。
- 何が分かったの?:
-
この研究でわかったことは、子どもが口の中をケガする
原因 で一番多かったのは歯ブラシでした。その次に多かったのはおもちゃ、棒 、箸 でした。ケガの原因 で一番多かったのは転んだことでした。次いで、ぶつかったり、物に当たったりすることが続 きました。ケガをした子どもの多くは1歳 から2歳 で、全体の60%を占 めました。ケガの場所は口の中の柔 らかい部分が一番多かったです。治療 では、薬を使わずに様子を見たことが多く、縫 ったのは約 25%でした。どの子も元気になりました。
- どうやったの?:
-
この研究では、1999年から2011年の間に長野赤十字病院で
診察 を受けた16歳 未満 の子ども115人の を集めました。ケガのデータ ( データとは、研究や調査 の結果 として集められた情報 のことです。この研究では、子どものケガの原因 や年齢 、ケガの時間帯 などの情報 をデータとして集めました。データは、何が起こっているのかを理解 するために非常 に重要 です。) 原因 や年齢 、性別 、ケガの時間帯 、ケガの場所、治療 方法 について詳 しく調べました。
- 研究のまとめ:
-
この研究でわかったのは、子どもの口の中のケガの
原因 で一番多いのは歯ブラシだということです。特 に1歳 から2歳 の子どもがよくケガをします。ケガの原因 で一番多いのは転ぶことです。これらの結果 から、子どもが使う物の安全や親の見守りが大事だとわかりました。また、口の中のケガの正しい治療 方法 についても役立つことがわかりました。
- これからどうする?:
-
これからはもっと
を集めて、子どもの口の中のケガについてデータ ( データとは、研究や調査 の結果 として集められた情報 のことです。この研究では、子どものケガの原因 や年齢 、ケガの時間帯 などの情報 をデータとして集めました。データは、何が起こっているのかを理解 するために非常 に重要 です。) 詳 しく調べることが必要 です。家庭や学校で、子どもが安全に過 ごせる環境 を作るための対策 や教育プログラムを考えることが大切です。これにより、子どもの口の中のケガを減 らし、元気に育つことができるようにすることが目標 です。
- 著者名:
- 橋詰 正夫, 伴在 裕美, 五島 秀樹, 川原 理絵, 清水 武, 野池 淳一, 柴田 哲伸, 植松 美由紀, 細尾 麻衣, 須田 大亮, 横林 敏夫
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 42
- 号:
- 2
- ページ:
- 113 - 119
- 発行日:
- 2012-12
- 著者による要約:
- われわれは,1999 年1月から2011 年12 月までの最近13 年間に,長野赤十字病院を受診した器物による16 歳未満の小児口腔軟組織損傷患者115 例について臨床統計的に検討を行った。その結果は次のとおりである。受傷原因となった器具は,歯ブラシが33 例(28.7%)と最も多く,次いで玩具が21 例(18.3%),棒が16 例(13.9%)の順であった。受傷の契機は,転倒が73 例(63.5%)と最も多く,次いで打撲・衝突19 例(16.5%)の順であった。年齢は1歳児が38 例(33.0%)と最も多く,次いで2歳児が31 例(27.0%)の順であった。性別では男児が多く,その比は1.6:1であった。受傷時刻は,18 時から21 時が34 例(29.6%)と最も多く,次いで21 時から24 時が25例(21.7%)の順であった。来院経路は,当院救急救命センターが84 例(73.0%)と最も多かった。受傷部位は,軟口蓋が54 例(47.0%)と最も多く,次いで頬粘膜が10 例(8.7%)の順であった。処置法は抗菌薬投与と経過観察が86 例(74.8%)であった。縫合処置は29 例(25.2%)で,うち10 例全身麻酔下に処置されていた。入院を要したものは15 例であった。
We studied about 115 patients under 16 years old damaged their oral soft tissue by objects, and consulted Nagano Red Cross Hospital in 13 years since January 1999 until December 2011. The results were as follows. Toothbrushes were the most frequent sources of injures (33 cases, 28.7%), and toys were the next (21 cases, 18.3%), and sticks were the third (16 cases, 13.9%). Falls were the most frequent causes (73 cases, 63.5%), and collisions or bruises were the next (19cases, 16.5%). Aged 1 group showed the highest incident of injuries (38 cases, 33.0%), aged 2 group was the next (31 cases, 27.0%). The ratio of boys to girls was 1.6: 1. The number of patients injured from 18:00 to 21:00 was the most, and that injured from 21:00 to 24:00 was the next. Most of patients firstly consulted the emergency room in our hospital (84 cases, 73.0%). The most common site of oral soft tissue injuries was soft palate (54 cases, 47.0%), and next was buccal mucosa (10 cases, 8.7%). 86patients (74.8%) were observed without suture. 29 patients (25.2%) were sutured, and 10 of them were sutured under general anesthesia. 15 patients needed treatments while hospitalized.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/50518
一覧へ戻る
検索ページトップへ戻る