論文詳細

医歯学系 大学院医歯学総合研究科(歯) #紀要論文

過去21 年間の術後性上顎嚢胞の臨床統計的観察

AI解説:
術後性上顎嚢胞(手術後に上顎洞にできる嚢胞(袋状の病変)。しばらくたってから発生することが多いです。)(じゅつごせいじょうがくのうほう)は、上顎洞炎(上顎洞という顔の中にある空洞が炎症を起こす病気です。)(じょうがくどうえん)の手術後に発生する遅い時期の合併症です。しかし、最近では発生率が減少しており、臨床データが少なくなっています。この研究では、過去21年間に長野赤十字病院の口腔外科を受診した術後性上顎嚢胞の患者について、データを集めてその実態を明らかにすることを目的としています。この研究により、発生頻度や症状、治療法、予後(病気が治るまでの経過や結果のことです。)(病気の経過や結果)の詳細なデータが提供されることが期待されています。
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著者名:
須田 大亮, 五島 秀樹, 川原 理絵, 清水 武, 野池 淳一, 柴田 哲伸, 植松 美由紀, 細尾 麻衣, 橋詰 正夫, 横林 敏夫
掲載誌名:
新潟歯学会雑誌
巻:
42
号:
2
ページ:
121 - 125
発行日:
2012-12
著者による要約:
術後性上顎嚢胞は最近減少のためか,臨床統計的報告はあまり見られない。今回私たちは,本疾患の実態を明らかにするため,平成3年1月より平成23 年12 月までの21 年間に,長野赤十字病院口腔外科を受診した術後性上顎嚢胞患者289 名,293 例につき,臨床統計的検討を行い,以下の結果を得た。1\u3000患者は男性164 名,女性125 名であった。2\u3000年齢は最低25 歳から最高81 歳で,40 歳代,50 歳代,60 歳代で258 例と,同年代で89.3%を占めていた。3\u3000患側は右側のみが123 例(42.6%),左側のみが154 例(53.3%)で,両側に認められたものは12例( 4.2%)であった。4 \u3000自覚症状発現から当科初診までの期間は3か月未満が216 例で,全体の74.7%であったが,3年以上の長期にわたる症例も20 例(6.9%)あった。5 \u3000初回上顎洞炎根治手術の時期は,10 歳代が最も多く,全体の49.8%を占めており,84.1%が30 歳未満で手術を受けていた。6\u3000初回手術後,症状が発現するまでの経過年数は20 年から39 年が186 名と最も多く,64.4%を占めていた。7 \u3000初診時の症状は,岩本らの分類(1型:頬部症状型, 2型:眼症状型,3型:鼻症状型,4型:口腔症状型)によれば,1型と4型の合併型が157 例(53.7%)と最も多く,次いで1型,3型,4型の合併型が41 例(14.0%),眼症状を合併していたものは15 例(5.1%)のみであった。知覚異常は38 例(13.0%)に認められた。8\u3000治療は全身麻酔下に,嚢胞摘出,対孔形成を行った症例が219 例(74.8.%)であった。
We analyzed clinically and statistically 289 cases of postoperative maxillary cyst treated at the Department of Oral and maxillofacial Surgery, Nagano Red-Cross Hospital during the twenty-one years from January 1991 to December 2011 to learn the tendency of recent postoperative maxillary cyst. The following results were obtained. 1. The patients consisted of 164 males and 125 females. 2. The age ranged from 25 to 81 years. Patients older than 40 years accounted for 89.3% (258cases). 3. The cysts occurred only on the right side in 123 cases, only on the left side in 154 cases, and on both sides in 12 cases. 4. The period between the onset of initial symptoms and admittance was less than 3 months in 74.7% (216 cases), but in 20 cases, the latency was more than 3 years. 5. 144 patients (49.8%) underwent initial radical operation in the second decade, and 243 cases (84.1%) at less than 30 years. 6. The period between the initial operation and the onset of symptoms was between 20 to 39 years in 186 cases (64.4%). 7. According to Iwamoto
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