論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
ゾレドロン酸はヒト口腔粘膜上皮細胞に対してDNA 損傷を介するS 期停止を誘発する
- AI解説:
最近 、 という薬が、ビスフォスフォネート ( 骨 の病気の治療 に使われる薬で、骨 の強さを保 つのに役立ちますが、顎 の骨 に悪影響 を与 える可能性 があります。) 骨 の病気の治療 に使われています。でも、この薬を使うと、顎 の骨 が壊 れることがあるとわかりました。なぜ顎 の骨 が壊 れるかは、まだよくわかっていません。そこで、ビスフォスフォネートが口の中の細胞 にどんな影響 を与 えるかを調べました。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
ゾレドロン酸はヒト口腔粘膜上皮細胞に対してDNA 損傷を介するS 期停止を誘発する
AI解説
- 背景と目的:
-
近年、ビスフォスフォネート製剤(BP)は骨粗鬆症や悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨転移など多岐にわたる骨疾患の治療に広く使用されており、患者の生活の質(QOL)の向上に大きく寄与しています。しかし、2003年に初めてBPに関連した顎骨壊死(BRONJ)が報告されて以来、その有害事象が注目されています。BPは骨に選択的に沈着し、破骨細胞に対してアポトーシスを誘導することで骨吸収を抑制しますが、BRONJの発症メカニズムは未だ明らかではありません。本研究では、BPが口腔粘膜にも障害を与える可能性があると考え、窒素含有BPのゾレドロン酸(ZOL)が口腔粘膜上皮細胞に与える影響を検討しました。
- 主要な発見:
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本研究の結果、ZOLは濃度依存的に口腔粘膜上皮細胞の生存率(cell viability)と増殖(cell proliferation)を低下させることが確認されました。さらに、ZOLの影響で口腔粘膜上皮細胞のアポトーシス誘導は観察されなかったものの、細胞周期がS期で停止することが明らかとなりました。この現象は、cyclinA、cyclinB1、p27KIP1、phospho-Rbの発現の減少または消失と一致していました。また、プロテアソーム阻害剤MG132の添加により、これらのタンパク質の発現が回復することが確認され、ユビキチンプロテアソームシステムの活性化が関与していることが示唆されました。
- 方法論:
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本研究では、インフォームドコンセントを得た患者の第三大臼歯抜歯時の余剰歯肉から口腔粘膜上皮細胞を単離し、無血清培地中で培養しました。MTT法により細胞生存率を測定し、BrdU法と生細胞数測定法で細胞増殖を検討しました。ZOL(0, 0.1, 0.3, 1, 3, 10μM)を添加し2日間培養後にMTT法とBrdU法で測定し、ZOL(0, 3, 10μM)を添加して6日間培養後に生細胞数を計測しました。さらに、細胞周期とアポトーシス解析をフローサイトメーターで行い、細胞周期関連タンパク質の発現をウェスタンブロット法で検討しました。また、3次元培養による培養口腔粘膜(EVPOME)を作製し、ZOLの影響を組織学的に観察しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果から、ZOLは口腔粘膜上皮細胞にDNA損傷を引き起こし、ユビキチンプロテアソームシステムが活性化されることで、細胞周期関連タンパク質の分解が起こり、細胞周期がS期に停止することが示されました。この結果、口腔粘膜上皮細胞の増殖が抑制されることが明らかとなり、ZOLが口腔粘膜上皮の増殖能に障害を与えることで、BRONJの発症に関与する可能性が示唆されました。
- 今後の展望:
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今後の研究では、BRONJ発症メカニズムのさらなる解明が求められます。具体的には、ZOL以外のビスフォスフォネート製剤や他の薬剤による口腔粘膜への影響を比較検討し、BRONJ発症における相違点を明らかにすることが重要です。また、BRONJの予防や治療法の開発に貢献するために、細胞周期関連タンパク質の分解を抑制する薬剤の探索や、DNA損傷修復機構の強化を図る新しいアプローチが期待されます。さらに、臨床現場での適用可能性を考慮した前臨床試験の実施も重要です。
- 背景と目的:
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最近、
は、骨粗鬆症やがんによる骨の問題など、様々な骨の病気の治療に使われています。しかし、BPを使うと、顎の骨が壊れることがあると2003年に初めて報告されてから、その副作用が注目されています。BPは骨に集まって、骨を壊す細胞を死なせることで骨が壊れないようにしますが、顎の骨が壊れる理由はまだよくわかっていません。本研究では、BPが口の中の粘膜にも影響を与えるかもしれないと考え、特にビスフォスフォネート製剤(BP) ( 骨の病気の治療に使われる薬で、骨に選択的に集まり、骨を壊す細胞を死なせることで骨を守ります。) が口の中の粘膜細胞にどんな影響を与えるかを調べました。ゾレドロン酸(ZOL) ( ビスフォスフォネート製剤の一種で、骨粗鬆症やがんによる骨問題の治療に使われます。)
- 主要な発見:
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研究の結果、ZOLは濃度が高くなると、口の中の粘膜細胞の生存率と増殖を低下させることがわかりました。さらに、ZOLは粘膜細胞を死なせることはなかったものの、細胞の成長が“S期”で止まることが明らかになりました。この現象は、
に関係するタンパク質の量が減少することと一致していました。また、プロテアソーム阻害剤を加えると、これらのタンパク質の量が回復することがわかり、細胞周期 ( 細胞が分裂して増える過程を表す周期で、“S期”はDNAが複製される段階です。) が関与していることが示唆されました。ユビキチンプロテアソームシステム ( 細胞内の不要なタンパク質を分解して処理するシステム。)
- 方法論:
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研究では、同意を得た患者の歯を抜いたときの余った歯肉から粘膜細胞を取り出して、無血清培地で培養しました。MTT法で細胞の生存率を測定し、BrdU法と生細胞数測定法で細胞の増殖を調べました。ZOLを加えて2日後と6日後に細胞の状態を測定しました。さらに、フローサイトメーターで
とアポトーシスを解析し、ウェスタンブロット法でタンパク質の発現を調べました。また、3次元培養で作った口腔粘膜を使って、ZOLの影響を観察しました。細胞周期 ( 細胞が分裂して増える過程を表す周期で、“S期”はDNAが複製される段階です。)
- 結論と意義:
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研究の結果、ZOLは口腔粘膜細胞にDNA損傷を引き起こし、
が活性化されることで、ユビキチンプロテアソームシステム ( 細胞内の不要なタンパク質を分解して処理するシステム。) に関係するタンパク質が分解され、細胞の成長が“S期”で止まることがわかりました。この結果、口の中の粘膜細胞の増殖が抑えられ、ZOLが口の中の粘膜の成長に障害を与えることで、顎骨壊死の発症に関係する可能性が示唆されました。細胞周期 ( 細胞が分裂して増える過程を表す周期で、“S期”はDNAが複製される段階です。)
- 今後の展望:
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今後の研究では、顎骨壊死の発症メカニズムをさらに解明することが重要です。具体的には、ZOL以外のBPや他の薬剤が口の中の粘膜にどのような影響を与えるかを比較することが必要です。また、顎骨壊死の予防や治療法の開発のために、
に関係するタンパク質の分解を防ぐ薬剤の探索やDNA修復を助ける方法を見つけることが期待されます。細胞周期 ( 細胞が分裂して増える過程を表す周期で、“S期”はDNAが複製される段階です。)
- 何のために?:
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最近 、 という薬が、ビスフォスフォネート ( 骨 の病気の治療 に使われる薬で、骨 の強さを保 つのに役立ちますが、顎 の骨 に悪影響 を与 える可能性 があります。) 骨 の病気の治療 に使われています。でも、この薬を使うと、顎 の骨 が壊 れることがあるとわかりました。なぜ顎 の骨 が壊 れるかは、まだよくわかっていません。そこで、ビスフォスフォネートが口の中の細胞 にどんな影響 を与 えるかを調べました。
- 何が分かったの?:
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研究の
結果 、 という薬がゾレドロン 酸 ( ビスフォスフォネートの一種 で、骨 の病気の治療 に用いられますが、口の中の細胞 の成長 に悪影響 を与 えることがわかっています。) 濃 いと、口の中の細胞 が増 えにくくなることがわかりました。また、細胞 は死なないけれど、成長 が止まってしまうことがありました。この成長 の止まり方は、細胞 の中の が少なくなることとタンパク 質 ( 生物の体を作る重要 な物質 で、細胞 の成長 や修復 に必要 です。細胞 の中で特定 の役割 を果 たすさまざまな種類 があります。) 関係 していました。さらに、別 の薬を加 えると、タンパク 質 の量 が戻 ることもわかりました。
- どうやったの?:
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研究では、歯を
抜 いたときの余 った歯肉から細胞 を取り出して育てました。そして、薬を加 えて、細胞 がどうなるかを調べました。細胞 がどれだけ生きているか、どれだけ増 えているかを測 りました。また、特別 な機械 を使って、細胞 の状態 を詳 しく調べました。
- 研究のまとめ:
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研究の
結果 、 は口の中のゾレドロン 酸 ( ビスフォスフォネートの一種 で、骨 の病気の治療 に用いられますが、口の中の細胞 の成長 に悪影響 を与 えることがわかっています。) 細胞 にダメージを与 え、細胞 の成長 が止まることがわかりました。これが、顎 の骨 が壊 れる原因 になるかもしれません。
- これからどうする?:
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今後の研究では、他の薬が口の中の
細胞 にどんな影響 を与 えるかを調べることが大事です。また、顎 の骨 が壊 れないようにする薬や方法 を見つけることも必要 です。
- 著者名:
- 大貫 尚志
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 42
- 号:
- 2
- ページ:
- 127 - 128
- 発行日:
- 2012-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/50512
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