論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
健常者における押しつぶしと嚥下の生体力学的評価
- AI解説:
- 舌は咀嚼、嚥下、発話、呼吸を含む顎口腔運動において重要な役割を担っています。特に摂食時には、食品の取り込みや食塊形成、嚥下時の食塊の移送などにおいて、適切な舌運動が求められます。しかし、舌運動や舌筋活動の定量化は十分に行われておらず、舌の構造や動きの自由度の高さがその要因となっています。近年、舌機能の評価に口蓋に対する舌圧計測が利用され始めており、我々は薄いセンサーシートを用いた舌圧計測システムを開発しました。本研究では、物性の異なるゼリーや液体を摂取した際の舌圧および嚥下内視鏡記録を通して、舌運動の生体力学的評価を行うことを目的としました。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(歯)
#紀要論文
健常者における押しつぶしと嚥下の生体力学的評価
AI解説
- 背景と目的:
-
舌は咀嚼、嚥下、発話、呼吸を含む顎口腔運動において重要な役割を担っています。特に摂食時には、食品の取り込みや食塊形成、嚥下時の食塊の移送などにおいて、適切な舌運動が求められます。しかし、舌運動や舌筋活動の定量化は十分に行われておらず、舌の構造や動きの自由度の高さがその要因となっています。近年、舌機能の評価に口蓋に対する舌圧計測が利用され始めており、我々は薄いセンサーシートを用いた舌圧計測システムを開発しました。本研究では、物性の異なるゼリーや液体を摂取した際の舌圧および嚥下内視鏡記録を通して、舌運動の生体力学的評価を行うことを目的としました。
- 主要な発見:
-
研究の結果、ゲル化剤濃度が高いほど押しつぶし回数が増加し、舌圧のピーク値、持続時間、積分値も増加することがわかりました。さらに、押しつぶしを伴う嚥下と伴わない嚥下で舌圧の変調が異なることが示されました。また、咽頭流入時間については、物性が硬くなると流入の頻度が上がる一方で、押しつぶし回数とは関連が認められませんでした。これらの結果から、食品の物性が舌運動や食塊移送に大きな影響を与えることが明らかになり、摂取方法によってもその変調が異なることが示唆されました。
- 方法論:
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研究対象は、顎口腔の形態・機能に問題のない8名の健常成人男性としました。舌圧の測定にはタクタイルセンサシステムSwallow scan systemを使用し、嚥下内視鏡を用いて咽頭移送の状況も同時計測しました。被験試料として、液体および三種類の濃度に調整したゲル化剤を使用し、計16種類のサンプルを用意しました。被験者は座位で試料を口腔内に含み、指示に従って舌で押しつぶして摂取しました。舌圧の計測データについては、押しつぶし時と嚥下時に分けて分析し、二元配置分散分析を用いて評価しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果、食品の物性が舌圧や嚥下動態に大きな影響を与えることが確認されました。特に、ゲル化剤濃度が高いほど押しつぶし回数や舌圧のピーク値が増加することが示されました。また、押しつぶしを伴う嚥下と伴わない嚥下において、試料の量の変化が舌圧に異なる影響を与えることも分かりました。これにより、舌運動の評価において食品の物性を考慮することの重要性が浮き彫りになりました。この知見は、嚥下障害を持つ患者の食事設計やリハビリテーションにおいて有用です。
- 今後の展望:
-
今回の研究結果により、舌運動と食品物性の関係が明らかになったものの、被験者間のばらつきが大きく、さらなる研究が必要です。今後は、より多様な被験者を対象にして、舌圧計測を行うことで、さらに詳細なデータを収集し、舌運動の定量化を進めることが求められます。また、嚥下内視鏡の三次元画像解析を導入することで、咽頭流入時間や咽頭収縮時間の詳細な評価を行い、舌運動と食品物性の関係をより深く理解することが期待されます。これにより、嚥下障害の予防や治療に貢献できる可能性が広がります。
- 背景と目的:
-
舌は、噛むことや飲み込むこと、話すこと、息をすることに大切な役割を果たしています。特に食事の時には、食べ物を口に入れたり、咀嚼して飲み込みやすい形にしたり、飲み込んだりする際に、正しい舌の動きが必要です。でも、舌の動きを正確に測ることは難しく、まだ十分に行われていません。そこで、私たちは薄いセンサーシートを使って舌の圧力を測るシステムを開発しました。この研究では、異なる硬さのゼリーや液体を飲み込んだときの舌の圧力や飲み込む様子を計測し、舌の動きを評価することを目的としました。
- 主要な発見:
-
研究の結果、ゼリーの硬さが増すと、押しつぶす回数が増え、舌の圧力のピーク値や持続時間、積分値も増加することがわかりました。また、押しつぶしてから飲み込む場合と、そのまま飲み込む場合では、舌の圧力の変わり方が異なることもわかりました。硬い食べ物では、喉に入るまでの時間が長くなりますが、押しつぶす回数とは関係がありませんでした。これらの結果から、食べ物の硬さが舌の動きや飲み込みに大きな影響を与えることが明らかになりました。
- 方法論:
-
研究対象は、顎や口の形や機能に問題のない8人の健康な男性です。舌の圧力の測定には、Swallow scan systemというセンサーシステムを使い、飲み込む様子も内視鏡で同時に記録しました。試料として、液体と3種類の濃度に調整したゼリーを用意し、計16種類のサンプルを使用しました。被験者は座った状態で試料を口に含み、指示に従って舌で押しつぶして飲み込みました。
のデータは、押しつぶし時と飲み込み時に分けて分析し、舌圧 ( 舌が上あごなどに押し付けられる時の圧力のことです。) を行いました。二元配置分散分析 ( 複数の要因が結果に与える影響を評価するための統計的手法です。)
- 結論と意義:
-
この研究の結果、食べ物の硬さが舌の圧力や飲み込みに大きな影響を与えることが確認されました。特に、ゼリーの濃度が高いほど押しつぶす回数や
のピーク値が増加することが示されました。また、押しつぶしてから飲み込む場合と、そのまま飲み込む場合では、試料の量の変化が舌圧に異なる影響を与えることもわかりました。これにより、舌の動きを評価する際には、食べ物の硬さを考慮することが重要だということが明らかになりました。この知見は、飲み込みに問題がある人の食事の設計やリハビリに役立ちます。舌圧 ( 舌が上あごなどに押し付けられる時の圧力のことです。)
- 今後の展望:
-
今回の研究で、舌の動きと食べ物の硬さの関係が明らかになりましたが、被験者間のばらつきが大きいため、さらなる研究が必要です。今後は、より多くの被験者を対象に
を測定し、詳細なデータを集めることが求められます。また、内視鏡の三次元画像解析を導入することで、飲み込む際の詳細な動きを評価し、舌の動きと食べ物の硬さの関係をさらに深く理解することが期待されます。これにより、飲み込みに問題がある人の予防や治療に役立つ可能性が広がります。舌圧 ( 舌が上あごなどに押し付けられる時の圧力のことです。)
- 何のために?:
-
舌 は、食べることや話すことにとっても大切です。特 に、食事の時には舌 が食べ物を動かします。でも、舌 の動きは測 るのが難 しいです。そこで、私 たちは薄 いシートを使って舌 の動きを測 る方法 を考えました。この研究では、ゼリーなどを食べた時の舌 の動きを調べました。
- 何が分かったの?:
-
研究で、ゼリーが
硬 いほど舌 の動きが強くなることがわかりました。押 す回数や舌 の力も増 えます。また、押 してから飲む時と、押 さないで飲む時では舌 の動きが違 います。硬 い食べ物は、飲 み込 むまで時間がかかります。これで、食べ物の硬 さが舌 の動きに影響 を与 えることがわかりました。
- どうやったの?:
-
研究には、
健康 な8人の男性 が参加 しました。舌 の力は「 」という道具でSwallow scan system ( これは舌 の力を測 るための特別 な道具です。食べ物を飲 み込 む時の舌 の動きをデータとして記録 します。この道具を使うことで、食べ物の硬 さや舌 の動きを詳 しく研究することができます。) 測 りました。ゼリーや液体 を使って試 しました。参加者 は座 って、舌 で押 して食べました。舌 の動きをデータにして分析 しました。
- 研究のまとめ:
-
研究の
結果 、食べ物の硬 さが舌 の動きに影響 を与 えることがわかりました。ゼリーが硬 いほど舌 の動きが強くなることもわかりました。また、押 してから飲む時とそのまま飲む時で舌 の動きが違 います。このことは、飲 み込 みに問題がある人の食事の助けになります。
- これからどうする?:
-
今回の研究で、
舌 と食べ物の関係 がわかりましたが、もっと多くの人で調べる必要 があります。これからは、もっと多くのデータを集めたいです。また、 で内視鏡 ( 体の中を直接 見るためのカメラ付 きの細い管 です。医師 が体内の様子を観察 するために使います。研究では、舌 の動きを詳 しく見るために使う方法 も考えられています。これにより、飲 み込 みに問題がある人の治療 に役立てます。) 詳 しく舌 の動きを見る方法 も考えています。これで飲 み込 みに問題がある人を助けられるかもしれません。
- 著者名:
- 林 宏和
- 掲載誌名:
- 新潟歯学会雑誌
- 巻:
- 42
- 号:
- 2
- ページ:
- 131 - 132
- 発行日:
- 2012-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/50517
