テープストリッピング法を用いた市販サンプロテクト製品の残留量評価

背景と目的：

近年、紫外線から肌を守るためのサンプロテクト製品が多く市場に出回っている。特に夏季用の製品はウォータープルーフ性能を持ち、長時間肌に留まるものが多い。しかし、その高性能ゆえに洗浄での除去が難しく、皮膚に残留するリスクがある。本研究は、皮膚に残留するサンプロテクト成分を定量する新しい方法を開発し、その成分を特定することを目的としている。

主要な発見：

本研究では、テープストリップ法とFT/IR法を組み合わせることで、皮膚に残留するサンプロテクト成分を定量する方法を開発した。具体的には、EHMCを標的物質として選定し、その量を赤外線吸収スペクトルを用いて測定することが可能であることを示した。また、各種洗浄料による洗浄効果の評価も行い、特定の洗浄料が高い洗浄効果を持つことを明らかにした。

方法論：

本研究では、皮膚表面の角質層をテープストリップ法で剥離し、剥離物を赤外線分光計で分析した。具体的には、メンディングテープにサンプロテクト製品を塗布し、乾燥後に剥離して赤外線吸収スペクトルを測定する方法を用いた。また、EHMCを標的物質として選定し、その量を検量線を用いて定量した。さらに、各種洗浄料を用いて洗浄後の残留量を測定し、洗浄効果を評価した。

結論と意義：

本研究で開発した定量方法により、皮膚に残留する光学的に透明な物質の定量が可能となった。この方法は、化粧品成分の定量に限らず、外用薬や微生物の皮膚上の分布測定などにも応用可能である。また、洗浄料による洗浄効果の評価も行い、特定の洗浄料が高い洗浄効果を持つことを示した。これにより、皮膚に残留するサンプロテクト製品のリスクを減少させるための指針を提供できる。

今後の展望：

本研究の方法論は、化粧品業界や皮膚科学の分野で広く応用可能であり、さらなる研究が期待される。特に、他の化粧品成分や外用薬の定量にも応用することで、皮膚に対する影響をより詳細に評価できる。また、テープストリップ法の改良や他の分析手法との組み合わせにより、さらなる精度向上が見込まれる。今後は、他の標的物質や洗浄料についても検討を行い、より広範な応用が期待される。