論文詳細
人文学部
#紀要論文
Anxiety and Self-Confidence in Ancient Language Studies
- AI解説:
- 本論文は、口頭でのコミュニケーションや作文ではなく、ほぼ専ら読解のために用いられる対象言語を扱う古代語コースという、比較的研究の少ない文脈における言語学習不安を取り上げる。著者らの先行研究(2011、2014)では、古代ギリシャ語、ヒッタイト語、古代エジプト語、ラテン語の学習者に、とりわけ高い不安が見られ、しばしば現代の外国語学習者で報告される水準より高いことが示されていた。本研究は、不安が学習者の自信とどのように関係するかに焦点を当てる。現代語の文脈での先行研究は、学習者の自己認知された能力が不安と負の関連をもつことを示しており、これが、信頼感の欠如が不安の増大に寄与する主要因かもしれないという著者らの仮定の動機となっている。そこで本研究は、(読解中心の古代語教育には適用しにくいと判断された技能特化の「language learning confidence(言語学習に関する自信)」ではなく)日本の大学生の一般的な学業上の自信が、debilitating foreign language classroom anxiety(学習を妨げる外国語教室不安)、facilitating anxiety(学習を促進する不安)、reading anxiety(読解不安)、およびラテン語・古代エジプト語授業での成績と関連するかどうかを検討する。
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人文学部
#紀要論文
Anxiety and Self-Confidence in Ancient Language Studies
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、口頭でのコミュニケーションや作文ではなく、ほぼ専ら読解のために用いられる対象言語を扱う古代語コースという、比較的研究の少ない文脈における言語学習不安を取り上げる。著者らの先行研究(2011、2014)では、古代ギリシャ語、ヒッタイト語、古代エジプト語、ラテン語の学習者に、とりわけ高い不安が見られ、しばしば現代の外国語学習者で報告される水準より高いことが示されていた。本研究は、不安が学習者の自信とどのように関係するかに焦点を当てる。現代語の文脈での先行研究は、学習者の自己認知された能力が不安と負の関連をもつことを示しており、これが、信頼感の欠如が不安の増大に寄与する主要因かもしれないという著者らの仮定の動機となっている。そこで本研究は、(読解中心の古代語教育には適用しにくいと判断された技能特化の「language learning confidence(言語学習に関する自信)」ではなく)日本の大学生の一般的な学業上の自信が、debilitating foreign language classroom anxiety(学習を妨げる外国語教室不安)、facilitating anxiety(学習を促進する不安)、reading anxiety(読解不安)、およびラテン語・古代エジプト語授業での成績と関連するかどうかを検討する。
- 主要な発見:
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両コースの学生は「かなり高い」学業上の自信を示し、ABCの平均総得点は82.26(ラテン語)と80.94(古代エジプト語)で、尺度の中点(72)を上回っていたが、Sander and Sandersが報告した英国の大学サンプルよりは低かった。項目レベルの傾向から、学生は出席に関わる行動(例:授業・チュートリアルへの出席、時間厳守)に最も自信を持つ一方、講義中に教員へ質問することや、推奨される背景資料を読むことには最も自信が低いことが示された。不安水準は相当程度であった。debilitating anxiety(FLCAS)は高く(ラテン語96.11、古代エジプト語94.35)、facilitating anxiety(FA)は存在するが高くはなく(ラテン語25.77、古代エジプト語27.18;中点30)、reading anxiety(FLRAS)も高かった。古代エジプト語学習者(59.65)はラテン語学習者(57.69)より不安が高く、両者ともSaito et al.(1999)の参照平均(M=52.9)を上回った。相関の結果は言語によって異なった。ラテン語学習者では、学業上の自信はdebilitating anxietyおよびreading anxietyと有意な負の関連を示し、facilitating anxietyおよび成績とは正の関連を示した。また、debilitating anxietyはreading anxietyと正の関連、facilitating anxietyと負の関連を示した一方で、不安と成績の関連は見られなかった。古代エジプト語学習者では、学業上の自信はfacilitating anxietyおよび成績と正の相関を示し、debilitating anxietyはreading anxietyとの関連のみを示した。facilitating anxietyはreading anxietyと負の関連を示した。
- 方法論:
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参加者は、新潟大学で2014年に1学期の古代語選択科目を履修した日本人学生であり、「Foreign Language Special A (Latin)」の35名と「Foreign Language Special C (Ancient Egyptian)」の19名であった。学生は複数の学部・学年にまたがり、授業は4月から8月にかけて週1回90分で実施された。データ収集は6月に授業時間内に行い、古代語向けに調整した4つの測定尺度を組み込んだ15分間の質問紙を用いた。尺度は、24項目のAcademic Behavioural Confidence(ABC)Scale、32項目のForeign Language Classroom Anxiety Scale(FLCAS;古代語教室には不適切として原版の1項目を削除)、10項目のFacilitating Anxiety(FA)Scale(1項目を削除)、20項目のForeign Language Reading Anxiety Scale(FLRAS)である。すべての尺度は、逆転項目を含む5件法のLikert尺度で回答された。多くの尺度は翻訳版を用いて日本語で実施され(FA尺度はもともと日本語)、achievement(成績)は期末のコース成績として操作化し、毎週の15分小テスト(80%)と出席(20%)から算出した。分析には、Cronbach’s alphaによる信頼性確認、confidence(自信)・不安指標・成績間のPearsonの積率相関、ならびに強く支持された/支持の弱い記述を特定するための項目分析を含めた。
- 結論と意義:
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本研究は、ラテン語および古代エジプト語コースの学習者が、出席に関しては特に高い、概して十分な一般的学業自信をもつ一方で、講義中に質問するなどの対話的な学業行動については自信が低いと結論づける。両コースにおいて、学業上の自信が高いほど成績が高いことが示され、(著者らが論じるように)この古代語の学習環境では自信が達成に有益な影響を及ぼしうることが示唆されるが、論文では因果の方向について不確実性があることも指摘している。不安に関して、両言語の学生は類似したプロファイルを示した。すなわち、(授業が読解中心であるにもかかわらず)母語話者と話す場面を想像することへの強い不安、授業回避の傾向の小ささ、(とりわけテスト周辺での)中程度のfacilitating anxiety、そしてとりわけ高いreading anxietyであり、後者は読解・翻訳が主要目標であることと関連している可能性がある。相関パターンは、少なくともラテン語クラスでは、学業上の自信がdebilitating anxietyと読解特有の不安に対する保護因子として機能しつつ、facilitating anxietyを支える可能性を示唆する。一方、古代エジプト語では、自信と不安のつながりはより限定的で、facilitating anxietyを中心としているように見える。著者らは教育的含意として、ABCの中で自信が最も低かった項目に沿い、授業中に学生がより多く質問するよう教員が促すべきだと強調している。
- 今後の展望:
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本論文は、サンプルサイズの限定を主要な制約として挙げる。信頼性推定は十分と判断されたものの、人数が少ない(特に古代エジプト語)ため、結果を過度に一般化すべきではないとしている。著者らは、学業上の自信、複数形態の不安(debilitating、facilitating、reading)、および成績の間に観察された関係の頑健性を検証するため、より大規模な参加者集団を用いた包括的研究を求めている。さらに、実証研究が依然として乏しいことを踏まえ、他の古代語教室へ調査を拡張することも提案している。こうした研究は、ラテン語と古代エジプト語で相関パターンが異なることが、言語固有の要因、教室実践、あるいはサンプルのばらつきのいずれを反映するのかを明確にし、また、読解中心の指導目標が古代語学習の文脈における不安と自信をどのように形づくるかをさらに描き出す助けとなる。
- 背景と目的:
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この研究は、会話や作文よりも「読むこと(読解)」が中心になるラテン語や古代エジプト語などの古代語の授業で、学生が感じる不安について調べたものです。これまでの研究では、古代語の学習者は、現代の外国語(英語やスペイン語など)を学ぶ人よりも強い不安を感じやすいことが分かっていました。
そこで本研究では、学生の不安が「自分は学習ができる」という自信とどう関係しているのかに注目しました。古代語の授業は話す活動がほとんどなく、文法や単語を学んで日本語に訳す学習が中心です。そのため「語学としての自信」ではなく、大学での勉強全体に対する自信が、不安の種類(学習を邪魔する不安、学習に役立つ不安、読解の不安)や授業の成績と関係するかを調べました。
- 主要な発見:
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学生は全体として、
は「かなり高い」結果でした。ただし、イギリスの大学生のデータよりは低めでした。内容を見ると、授業に出席することや時間を守ることには自信がある一方で、授業中に先生に質問することや、先生がすすめる参考資料を読むことには自信が低い傾向がありました。学業上の自信 ( 大学の勉強全体に対して、自分はうまくできると思える気持ちのことです。授業に出る、課題に取り組む、試験で力を出すなどの学習行動への自信を含みます。)
不安については、学習を邪魔する不安は高く、読解の不安も高い結果でした。学習に役立つ不安はあるものの高すぎるわけではありませんでした。読解不安は古代エジプト語の学生のほうがやや高く、どちらの言語も、他の外国語学習者の平均より高い水準でした。
自信と不安の関係は言語によって少し違いました。ラテン語では、自信が高いほど学習を邪魔する不安や読解不安が低く、自信が高いほど学習に役立つ不安や成績が高い傾向がありました。一方、古代エジプト語では、自信は学習に役立つ不安や成績とは関係しましたが、学習を邪魔する不安との関係ははっきりしませんでした。
- 方法論:
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調査対象は、新潟大学で2014年に1学期間の古代語の授業を受けた日本人学生で、ラテン語35名、古代エジプト語19名でした。授業は4月から8月まで、週1回90分でした。
6月に授業内で15分の質問紙調査を行い、 、不安(学習を邪魔する不安、学習に役立つ不安、読解不安)を測る複数の尺度を用いました。回答は5段階で行いました。成績は期末成績を使い、毎週の小テスト(80%)と出席(20%)で決まりました。データ分析では、尺度の信頼性の確認や、自信・不安・成績の関係を統計的に調べました。学業上の自信 ( 大学の勉強全体に対して、自分はうまくできると思える気持ちのことです。授業に出る、課題に取り組む、試験で力を出すなどの学習行動への自信を含みます。)
- 結論と意義:
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この研究から、ラテン語と古代エジプト語の学習者は、出席のような基本的な学習行動には自信がある一方で、授業中に質問するなどの「やりとりが必要な行動」には自信が低いことが分かりました。また、どちらの授業でも、
が高い学生ほど成績が高い傾向が見られました。ただし、自信が成績を上げたのか、成績が自信を高めたのかは、この研究だけでは断定できないとしています。学業上の自信 ( 大学の勉強全体に対して、自分はうまくできると思える気持ちのことです。授業に出る、課題に取り組む、試験で力を出すなどの学習行動への自信を含みます。)
不安については、授業が読解中心なのに「その言語を母語話者と話す場面」を想像して強い不安を感じるなど、特徴的な傾向が見られました。特に読解不安が高く、読んで訳すことが中心の授業目標と関係している可能性があります。教育への提案としては、学生が授業中にもっと質問できるよう、教員が促すことが重要だと述べています。
- 今後の展望:
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この研究の大きな課題は、参加者が少ないこと(特に古代エジプト語)です。そのため結果を広く当てはめすぎないよう注意が必要だとしています。今後は、もっと多くの学生を対象にして、自信・複数の不安・成績の関係が本当に安定して見られるのかを確かめる研究が求められます。さらに、他の古代語の授業にも調査を広げ、言語ごとの違いが言語の特徴によるものか、授業のやり方によるものか、あるいはたまたまの差なのかをはっきりさせることが期待されます。
- 何のために?:
-
この研究は、むかしの言葉の
授業 です。
たとえば、 などを調べました。ラテン語 ( 古代ローマで使われていた言葉で今は日常 会話ではあまり使われないが歴史 や学問で読むことが多い言葉です)
この授業 は、読むことが中心です。
話すことや書くことは、少ないです。
学生がどんな不安 をもつかを見ました。
古い言葉は、不安 が強いと言われます。
そこで、自信 との関係 も調べました。
ここでの自信 は、勉強全体の自信 です。
不安 には、3つの種類 があります。
勉強のじゃま、助け、読む不安 です。
それと、成績 の関係 も見ました。
- 何が分かったの?:
-
学生の勉強の
自信 は、高めでした。
でも、イギリスの学生より低 めです。
出席 や時間を守る自信 はありました。
でも、先生に質問 する自信 は低 めです。
すすめられた本を読む自信 も低 めです。
不安 は、じゃまになるものが高めでした。
読むことの不安 も、高めでした。
助けになる不安 は、少しありました。
の方が、少し高めです。古代エジプト語 ( 古代のエジプトで使われていた言葉で今は話す人がほとんどおらず主に文字や資料 を読んで学びます)
どちらも、ほかの外国語より高めです。
は、ラテン語 ( 古代ローマで使われていた言葉で今は日常 会話ではあまり使われないが歴史 や学問で読むことが多い言葉です) 自信 が高いほど不安 が下がり。
自信 が高いほど、成績 も上がりやすいです。
古代エジプト語は、成績 と関係 しました。
でも、じゃまの不安 とは、はっきりしません。
- どうやったの?:
-
新潟大学の学生に
協力 してもらいました。
2014年に1学期、授業 を受けた人です。
は35人、ラテン語 ( 古代ローマで使われていた言葉で今は日常 会話ではあまり使われないが歴史 や学問で読むことが多い言葉です) は19人です。古代エジプト語 ( 古代のエジプトで使われていた言葉で今は話す人がほとんどおらず主に文字や資料 を読んで学びます)
授業 は4月から8月までありました。
週1回で、1回90分でした。
6月に、15分の質問 の紙をしました。
自信 と3つの不安 を、たずねました。
答えは、5つの段階 から選 びました。
成績 は、学期の最後 の点を使いました。
小テストが80%で、出席 が20%です。
数字を使って、関係 をていねいに見ました。
- 研究のまとめ:
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学生は、
出席 などは自信 がありました。
でも、質問 などのやりとりは苦手でした。
自信 が高い人ほど、成績 も高めでした。
ただし、どちらが先かは言えません。
成績 で自信 が上がることもあるからです。
授業 は読む中心でも、不安 は強めでした。
の人と話す場面を思って、こわい人もいます。母語 ( いちばん最初 に身につけてふだん自然 に使っている言葉のことです)
読む不安 が高いのは、授業 と関係 しそうです。
先生が質問 しやすくすることが大切です。
- これからどうする?:
-
この研究は、人数が少ないのが問題です。
とくに は少ないです。古代エジプト語 ( 古代のエジプトで使われていた言葉で今は話す人がほとんどおらず主に文字や資料 を読んで学びます)
だから、結果 を決めつけないようにします。
これからは、もっと多くの学生で調べます。
自信 と不安 と成績 の関係 をたしかめます。
ほかの古い言葉の授業 でも調べたいです。
言葉のちがいか、教え方のちがいかを見ます。
たまたまの差 かどうかも、はっきりさせます。
- 著者名:
- Takahashi Ayumi, Takahashi Hideki
- 掲載誌名:
- 新潟大学言語文化研究
- 巻:
- 20
- ページ:
- 1 - 18
- 発行日:
- 2015-08
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/33271
