論文詳細
人文学部
#紀要論文
Scope and Syntactic Licensing of QPs*
- AI解説:
- 本論文は、日本語において浮遊量化詞(floating quantifiers: FQs)を含むDPが、前置(非浮遊)の量化詞を含むDPと比べて、スコープ(作用域)の取り方に関してどのように振る舞うかを検討する。中心となる経験的対比は、前置の数詞量化詞では逆スコープ解釈に参加でき(例: “EVERY > TWO” と “TWO > EVERY” の両方が可能)、一方でFQに対応する形では通常、逆スコープ(“*TWO > EVERY”)が得られないという点である。論文はまず、FQが狭いスコープになりやすい理由を意味論に求める先行説明(Homma et al. (1992))を再検討する。同説明では、FQは非前提的(nonpresuppositional)な「裸の」名詞にホストされなければならず、前提的(presuppositional)なQPのみがLFでQuantifier Raising(QR)を受けるとされる。Hommaは、この意味論駆動のQRの説明が、理論的にも(特徴に基づく移動という仮定の下で)経験的にも問題を抱えると論じる。本論文の目的はこれを、スコープ可能性が、DPがCP層の機能範疇のヘッドへの吸引を可能にする特定の統語的特徴を持つかどうかに依存する、統語的ライセンシングの説明へ置き換えることである。
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人文学部
#紀要論文
Scope and Syntactic Licensing of QPs*
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、日本語において浮遊量化詞(floating quantifiers: FQs)を含むDPが、前置(非浮遊)の量化詞を含むDPと比べて、スコープ(作用域)の取り方に関してどのように振る舞うかを検討する。中心となる経験的対比は、前置の数詞量化詞では逆スコープ解釈に参加でき(例: “EVERY > TWO” と “TWO > EVERY” の両方が可能)、一方でFQに対応する形では通常、逆スコープ(“*TWO > EVERY”)が得られないという点である。論文はまず、FQが狭いスコープになりやすい理由を意味論に求める先行説明(Homma et al. (1992))を再検討する。同説明では、FQは非前提的(nonpresuppositional)な「裸の」名詞にホストされなければならず、前提的(presuppositional)なQPのみがLFでQuantifier Raising(QR)を受けるとされる。Hommaは、この意味論駆動のQRの説明が、理論的にも(特徴に基づく移動という仮定の下で)経験的にも問題を抱えると論じる。本論文の目的はこれを、スコープ可能性が、DPがCP層の機能範疇のヘッドへの吸引を可能にする特定の統語的特徴を持つかどうかに依存する、統語的ライセンシングの説明へ置き換えることである。
- 主要な発見:
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本論文の主要な記述的結果は、前置量化詞ではスコープ曖昧性が許される構成において、日本語のFQ構文は他のQPに対して必ず狭いスコープになる、というパターンを示すことである。これは、前置数詞と浮遊数詞を対比する基本例だけでなく、FQをホストするDPが談話連結的/前提的(discourse-linked/presuppositional)に自然に解釈される場合(例:制限的関係節を伴うDP)でも示される。この種の例は、FQは非前提的な裸名詞にしかホストされないという先行の一般化を弱める。というのも、前提的解釈が可能であるにもかかわらず、狭いスコープ制約が持続するからである。理論面での主要な発見は、当該のスコープ非対称性はDP内部の統語構造によってより適切に捉えられる、という点である。前置量化詞を持つDPは、DPの最外縁のSpecに量化的要素を持つため、CP領域の機能ヘッド(候補としてFoc)による吸引を通じてチェックされうる[+Quantifier]特徴を担う。他方、FQを持つDPにはDP外縁の量化詞がなく、DP全体としての[+Quantifier]を欠くため、吸引が阻まれ、より低い位置に留まる(または低い位置で解釈される)ことを強いられ、結果として狭いスコープになる。さらに本論文は、前置数詞量化詞が構造的に曖昧である(DP外縁にある量化詞 vs NP内部にある量化詞)ことを提案し、この曖昧性が、前提的(partitive/quantificational)解釈と非前提的(cardinal)解釈、およびそれに対応するスコープ挙動と相関すると述べる。
- 方法論:
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本研究は、複数のQPを含む日本語文の対比に基づく、理論駆動・データ志向の統語―意味論分析である。具体的には、(i) 日本語における主格・対格/与格QPについて、標準語順とスクランブリングの下で知られているスコープ一般化を概観し、(ii) 前置量化詞では見られるスコープ曖昧性が、一方のQPが浮遊数詞量化詞として実現されると消失する、という重要な経験的制約を追加し、(iii) Homma et al. (1992)の説明を追加例、とりわけFQをホストするDPが関係節で修飾されるなどして前提的に見える例に照らして検証する。議論は、異なるスコープ解釈に関する容認性および解釈判断(例:特定の例で逆スコープが困難または不可能であるという標示)に依拠する。理論面では、代替的導出が観察される解釈を生む/生まないことを示すために、明示的なLF配置を構築する。その上で、意味論駆動のQRを、特徴駆動の統語メカニズムに置き換える。すなわち、Spec DPにある前置量化詞からDPノードへ[+Quantifier]特徴が伝播(percolate)し、CP層のヘッド(暫定的にFoc)による吸引が可能になる、というものである。この分析は、DP内部のwhライセンシングに関する独立の制約(最外縁Spec要件)との類推、および前置数詞の構造的曖昧性提案によって支持される。
- 結論と意義:
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本論文は、日本語の浮遊量化詞のスコープ制約は、QRに対する前提性に基づく制約(Homma et al. (1992)およびDiesing (1990, 1992))から導くべきではない、と結論づける。なぜなら、FQをホストするDPは前提的に解釈されうるにもかかわらず、依然として広いスコープに抵抗するからである。代わりに決定的要因は統語的ライセンシングであるとされる。すなわち、内部構造によってDPの最外縁のspecifierに量化詞を置くDPだけが、DP上の[+Quantifier]特徴を持ち、作用子(operator)としてスコープが計算されるCPレベルの機能ヘッドへの吸引の対象になりうる。FQ構文はこのDP外縁配置を欠くため、当該の特徴駆動移動を行えず、必ず狭いスコープになる。より広い含意として、QRとして帰されてきたものは、wh-movementのような他の動機づけられた移動と並行する形で、(例:FocPへの)QPの潜在的(covert)かつ特徴駆動の移動として再構想できる可能性がある。この意味で本分析は、明示的特徴に基づく独立にもっともらしい統語操作によって、QRを縮減または置換する道を開くものとして提示される。
- 今後の展望:
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本論文は、前提性(presuppositionality)に関する未解決問題を明示的に指摘する。すなわち、DPの最外縁Specに量化詞を置くことで「統語的に保証される」前提的読みと、関係節の意味内容や所有DP(例:watasi-no)の存在といった他の源泉から生じる前提性とを区別する。著者は、DP外縁の量化詞を欠くDPでも(制限的修飾語を伴うFQの例のように)前提的になりうることを述べ、この2つの前提性への経路の間に、意味的差異があるのかどうか、あるとすれば何かを未解決のまま残す。より一般には、本提案は、CP領域で吸引を担う機能ヘッドの特定(本論文は候補としてFocを示唆)や、複数のQPが当該specifier配置にどのように収容されるかの明確化について、さらなる研究を促す。また、前置数詞量化詞の提案された構造的曖昧性(DP外縁配置 vs NP内部配置)と、それがcardinal解釈とpartitive/quantificational解釈、およびそれらのスコープ挙動へどのように対応づくかについて、より体系的な検討が必要であることも指摘する。
- 背景と目的:
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この論文は、日本語で「
」が入った浮遊量化詞 ( 名詞句の中で名詞の前ではなく、文の途中に「三人」「二つ」などが離れて現れる量化の表現です。名詞と意味的には結びつくのに、形の上では離れて出てくるのが特徴で、スコープの制限を調べる手がかりになります。) が、名詞の前にDP ( 名詞を中心に、その前後の要素も含めた「名詞のかたまり」を指す統語の単位です。量化詞がどこに入るかによってDPの性質が変わり、スコープにも影響します。) がある普通のDPと比べて、文の意味の「量化詞 ( 人数や個数、全員・誰かなど、ものごとの数や範囲を表す語です。文の意味を大きく左右し、どの量化詞が強く働くかで解釈が変わります。) 」をどう決めるのかを調べています。特に大事なのは、名詞の前に数を表す語がある場合は「スコープ ( 量化詞が文全体の意味にどこまで影響するか、また複数の量化詞があるときにどちらが優先されるか、という範囲関係のことです。スコープの違いは「解釈の違い」として現れます。) 」(どちらの量化詞がより強く全体に影響するかが入れ替わる解釈)ができることがあるのに、浮遊量化詞だとふつう逆スコープができない、という違いです。逆スコープ ( 語順や表面上の位置とは逆に、後にある量化詞がより強く働いて文全体を支配するように解釈されることです。日本語ではスクランブリングなどと関係して議論されます。)
先行研究では「浮遊量化詞は新しく出てきたものを表す名詞にしか付けられず、そのタイプのDPは で移動できないから、広いスコープを取れない」と説明されてきました。しかしこの論文は、その説明には問題があると考え、スコープの取り方は意味の性質だけでなく、DPの中の形(統語構造)と、特定のLF ( 文の意味を計算するために想定する、見えないレベルの構造です。表面の語順と違う並びを仮定して、スコープなどを説明します。) を持てるかどうかで決まる、という説明に置き換えることを目的にしています。統語的特徴 ( 移動や結びつきを起こすために文法が参照する目印のような性質です。意味だけでなく、こうした特徴の有無が動きを決めると考えます。)
- 主要な発見:
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この論文が示す大きな結果は、名詞の前に
がある構文では量化詞 ( 人数や個数、全員・誰かなど、ものごとの数や範囲を表す語です。文の意味を大きく左右し、どの量化詞が強く働くかで解釈が変わります。) が曖昧になれる場面でも、日本語のスコープ ( 量化詞が文全体の意味にどこまで影響するか、また複数の量化詞があるときにどちらが優先されるか、という範囲関係のことです。スコープの違いは「解釈の違い」として現れます。) の構文では、浮遊量化詞を含む浮遊量化詞 ( 名詞句の中で名詞の前ではなく、文の途中に「三人」「二つ」などが離れて現れる量化の表現です。名詞と意味的には結びつくのに、形の上では離れて出てくるのが特徴で、スコープの制限を調べる手がかりになります。) が必ず「狭いスコープ」になってしまう、という点です。DP ( 名詞を中心に、その前後の要素も含めた「名詞のかたまり」を指す統語の単位です。量化詞がどこに入るかによってDPの性質が変わり、スコープにも影響します。)
さらに、浮遊量化詞が付くDPが、 などによって「すでに話題にある集まりの一部」を指すように自然に読める場合でも、やはり狭いスコープのままだと示されます。これは「浮遊量化詞は新しく出てきたものを表す名詞にしか付けられない」という先行研究の見方を弱めます。なぜなら、関係節 ( 名詞を詳しく説明する節で、「昨日来た客」のような形です。関係節があると「そのような客の集合がある」という前提が作られやすくなります。) に読める状況でも、前提的 ( 話し手と聞き手の間で「その集まりがすでにある」と想定されている集合から一部を選ぶような読み方です。量化詞や修飾語によって前提的に読めるかが変わるため、スコープ研究で重要です。) ができないままだからです。逆スコープ ( 語順や表面上の位置とは逆に、後にある量化詞がより強く働いて文全体を支配するように解釈されることです。日本語ではスクランブリングなどと関係して議論されます。)
理論的には、このスコープの左右非対称は、DPの内部構造の違いで説明できるとします。名詞の前に量化詞があるDPは、DPのいちばん外側の位置に量化的な要素があり、その結果DP全体が特別な特徴を持てるので、CP領域のある に引き上げられて広いスコープを取れる可能性が生まれます。一方、浮遊量化詞のDPはその外側の量化詞を欠くため、同じようには引き上げられず、低い位置で解釈されやすくなり、結果として狭いスコープになります。機能ヘッド ( 名詞や動詞のように内容を表す語ではなく、文法的な働きを担う中心要素です。どのヘッドがQPを引き寄せるかが理論上のポイントになります。)
また、名詞の前にある数詞量化詞自体にも、DPの外側にある場合とNPの内側にある場合の2通りの構造があり、それが「集合の一部を選ぶ読み」と「単に数を言う読み」の違い、そしてスコープの違いと関係すると述べます。
- 方法論:
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この研究は、日本語で
が複数出てくる文を比べながら、統語と意味の両面から理論的に分析するものです。まず、日本語で主格や対格などの量化詞 ( 人数や個数、全員・誰かなど、ものごとの数や範囲を表す語です。文の意味を大きく左右し、どの量化詞が強く働くかで解釈が変わります。) があるとき、語順やQP ( 量化詞を含むDPのことです。スコープの議論では、QP同士のどちらが上位になるかが重要になります。) によってスクランブリング ( 語順を入れ替える操作で、日本語でよく見られます。スクランブリングがあるとスコープが曖昧になりやすいことが知られています。) がどう変わるかという既知の傾向を整理します。次に、名詞の前に量化詞がある場合に見られるスコープの曖昧さが、片方がスコープ ( 量化詞が文全体の意味にどこまで影響するか、また複数の量化詞があるときにどちらが優先されるか、という範囲関係のことです。スコープの違いは「解釈の違い」として現れます。) になると消える、という制約をデータとして加えます。浮遊量化詞 ( 名詞句の中で名詞の前ではなく、文の途中に「三人」「二つ」などが離れて現れる量化の表現です。名詞と意味的には結びつくのに、形の上では離れて出てくるのが特徴で、スコープの制限を調べる手がかりになります。)
そのうえで、先行研究の説明を、 つきの関係節 ( 名詞を詳しく説明する節で、「昨日来た客」のような形です。関係節があると「そのような客の集合がある」という前提が作られやすくなります。) など「DP ( 名詞を中心に、その前後の要素も含めた「名詞のかたまり」を指す統語の単位です。量化詞がどこに入るかによってDPの性質が変わり、スコープにも影響します。) に見えるのに浮遊量化詞である例」も使って検証します。判断材料としては、どの解釈が自然か、どの解釈が難しいかといった容認性や解釈の判断を用います。理論面では、前提的 ( 話し手と聞き手の間で「その集まりがすでにある」と想定されている集合から一部を選ぶような読み方です。量化詞や修飾語によって前提的に読めるかが変わるため、スコープ研究で重要です。) での配置を明示的に考え、意味がどう生まれるかを確認しつつ、意味に基づくLF ( 文の意味を計算するために想定する、見えないレベルの構造です。表面の語順と違う並びを仮定して、スコープなどを説明します。) ではなく、特徴に基づく統語メカニズムで説明します。QR ( LFでQPが上の位置へ移動すると考える仮説的な操作です。スコープの曖昧さを説明するために使われてきましたが、何が移動を起こすのかが問題になります。)
- 結論と意義:
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この論文は、
が広い浮遊量化詞 ( 名詞句の中で名詞の前ではなく、文の途中に「三人」「二つ」などが離れて現れる量化の表現です。名詞と意味的には結びつくのに、形の上では離れて出てくるのが特徴で、スコープの制限を調べる手がかりになります。) を取りにくいのは「スコープ ( 量化詞が文全体の意味にどこまで影響するか、また複数の量化詞があるときにどちらが優先されるか、という範囲関係のことです。スコープの違いは「解釈の違い」として現れます。) かどうか」という意味的性質によって前提的 ( 話し手と聞き手の間で「その集まりがすでにある」と想定されている集合から一部を選ぶような読み方です。量化詞や修飾語によって前提的に読めるかが変わるため、スコープ研究で重要です。) が起こるかが決まるからではない、と結論づけます。なぜなら、浮遊量化詞を含むQR ( LFでQPが上の位置へ移動すると考える仮説的な操作です。スコープの曖昧さを説明するために使われてきましたが、何が移動を起こすのかが問題になります。) でも前提的に読める場合があるのに、それでも広いスコープを取りにくいからです。DP ( 名詞を中心に、その前後の要素も含めた「名詞のかたまり」を指す統語の単位です。量化詞がどこに入るかによってDPの性質が変わり、スコープにも影響します。)
代わりに決定的なのは であり、DPの内部構造によってDP全体が特定の特徴を持てる場合だけが、CP領域の統語的ライセンシング ( ある表現が文法的に成立するために、特定の位置や特徴の条件を満たす必要がある、という考え方です。この論文ではスコープ可能性もこの条件で説明します。) に引き上げられてスコープ計算に参加できる、とします。これにより、これまでQRだと考えられてきたものを、wh移動のような他の移動と同じタイプの「見えないが特徴に基づく移動」として捉え直せる可能性を示します。機能ヘッド ( 名詞や動詞のように内容を表す語ではなく、文法的な働きを担う中心要素です。どのヘッドがQPを引き寄せるかが理論上のポイントになります。)
- 今後の展望:
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今後の課題として、この論文は「前提性」には複数の生まれ方がある点をはっきり指摘します。たとえば、
のいちばん外側にDP ( 名詞を中心に、その前後の要素も含めた「名詞のかたまり」を指す統語の単位です。量化詞がどこに入るかによってDPの性質が変わり、スコープにも影響します。) があることで統語的に量化詞 ( 人数や個数、全員・誰かなど、ものごとの数や範囲を表す語です。文の意味を大きく左右し、どの量化詞が強く働くかで解釈が変わります。) な読みが強まる場合と、前提的 ( 話し手と聞き手の間で「その集まりがすでにある」と想定されている集合から一部を選ぶような読み方です。量化詞や修飾語によって前提的に読めるかが変わるため、スコープ研究で重要です。) の意味や所有表現など別の要因で前提的に読める場合を区別する必要があります。そして、この2種類の前提性に意味の違いがあるのか、あるなら何かは未解決だとします。関係節 ( 名詞を詳しく説明する節で、「昨日来た客」のような形です。関係節があると「そのような客の集合がある」という前提が作られやすくなります。)
さらに、DPを引き上げるCP側の が具体的に何なのか、複数の機能ヘッド ( 名詞や動詞のように内容を表す語ではなく、文法的な働きを担う中心要素です。どのヘッドがQPを引き寄せるかが理論上のポイントになります。) があるときにその仕組みがどう働くのか、名詞の前の数詞量化詞の構造の2通りが読みとQP ( 量化詞を含むDPのことです。スコープの議論では、QP同士のどちらが上位になるかが重要になります。) にどう対応するのか、といった点は、より体系的な研究が必要だと述べます。スコープ ( 量化詞が文全体の意味にどこまで影響するか、また複数の量化詞があるときにどちらが優先されるか、という範囲関係のことです。スコープの違いは「解釈の違い」として現れます。)
- 何のために?:
-
この文は、日本語の言い方を調べます。
「みんな」「三人」などの言葉です。
それが、文の意味にどう影響 するかです。
文の意味の広がりを「 」と言います。スコープ ( 文の中で「みんな」や「三人」などの言葉が、どこまでの意味にかかるかという範囲 のことです。スコープがちがうと、同じ文でも意味が変 わるので大事です。)
ふつうは、 の前に数が来ます。名詞 ( 人やものの名前を表す言葉です。数の言葉が名詞 にどうつくかで、文の意味が変 わるため重要 です。)
でも、数が名詞 からはなれる言い方もあります。
それを「 」と考えます。浮 いた数の言葉( 数が名詞 のすぐ前ではなく、文の別 の場所に出てくる言い方のことです。ふつうの言い方と意味の出方が変 わるので、研究で大事になります。)
前の研究は、理由を別 に考えていました。
この文は、その理由に問題があると言います。
言葉の形や並 びも大事だと考えます。
- 何が分かったの?:
-
の前に数がある文は、意味が2通りになります。名詞 ( 人やものの名前を表す言葉です。数の言葉が名詞 にどうつくかで、文の意味が変 わるため重要 です。)
どちらの言葉が強いかが、入れ替 わる時もあります。
でも、 があると入れ浮 いた数の言葉( 数が名詞 のすぐ前ではなく、文の別 の場所に出てくる言い方のことです。ふつうの言い方と意味の出方が変 わるので、研究で大事になります。) 替 わりません。
そのときは、いつも弱いほうの意味になります。
があって、前から知っている集まりでも同じです。関係節 ( 名詞 をくわしく説明 するための、名詞 の前後につく文のかたまりです。関係節 があると「前から知っている集まり」などの感じ方や意味の決まり方に関係 します。)
つまり、「新しく出たものだけ」では説明 しにくいです。
理由は、文の中の形のちがいだと考えます。
名詞 の前の数は、外側 にある形があります。
その形だと、強い意味になれる場合があります。
浮 いた数の言葉は、その外側 がなくなりやすいです。
だから、強い意味になりにくいと考えます。
数の言葉にも、2つの形があるとも言います。
「 」と「一部をえらぶ読み ( 全体の中から一部分を選 ぶような意味で理解 する読み方です。数の言葉が、どんな集まりを指すのかを決めるのに関係 します。) 」です。数だけ言う読み ( ただ「何人」「何個 」など数の情報 だけを言う意味で理解 する読み方です。別 の読みと区別 することで、文の意味のちがいを説明 できます。)
- どうやったの?:
-
数の言葉が2つ
以上 ある文を比 べます。
を語順 ( 文の中で言葉を並 べる順番 のことです。語順 を変 えると意味が変 わるかどうかを調べるために重要 です。) 変 えたときの意味も見ます。
の前の数では、2通りの名詞 ( 人やものの名前を表す言葉です。数の言葉が名詞 にどうつくかで、文の意味が変 わるため重要 です。) を読み ( その文や言葉を、どういう意味として理解 するかのパターンのことです。同じ形でも読みが複数 あると、どの意味になるかを比 べる必要 があります。) 確 かめます。
片方 が浮 いた数だと、読みが1つになるのも見ます。
つきの関係節 ( 名詞 をくわしく説明 するための、名詞 の前後につく文のかたまりです。関係節 があると「前から知っている集まり」などの感じ方や意味の決まり方に関係 します。) 例 も使って、前の説 を試 します。
どの読みが自然 かを、ていねいに比 べます。
そして、言葉の形にもとづく仕組みで説明 します。
- 研究のまとめ:
-
が弱いのは、意味だけのせいではありません。浮 いた数の言葉( 数が名詞 のすぐ前ではなく、文の別 の場所に出てくる言い方のことです。ふつうの言い方と意味の出方が変 わるので、研究で大事になります。)
前から知っている集まりでも、弱いままだからです。
大事なのは、文の中でゆるされる形だと言います。
その形があると、文の上のほうへ動けます。
動けると、強い意味になれる場合があります。
この考えで、見えない動きも説明 し直せます。
- これからどうする?:
-
「前から知っている感じ」には、作り方がいくつもあります。
数の言葉が外側 にあると、そう感じることがあります。
や「だれのもの」でも、そう感じることがあります。関係節 ( 名詞 をくわしく説明 するための、名詞 の前後につく文のかたまりです。関係節 があると「前から知っている集まり」などの感じ方や意味の決まり方に関係 します。)
このちがいに、意味のちがいがあるかは未解決 です。
また、文の上のどこへ動くのかも課題 です。
数の言葉が多いときのしくみも調べる必要 があります。
の前の数の2つの形も、もっと調べます。名詞 ( 人やものの名前を表す言葉です。数の言葉が名詞 にどうつくかで、文の意味が変 わるため重要 です。)
- 著者名:
- 本間 伸輔
- 掲載誌名:
- 新潟大学言語文化研究
- 巻:
- 16
- ページ:
- 1 - 13
- 発行日:
- 2011-07
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/16802
