論文詳細
自然科学系
農学部
#紀要論文
新潟県魚沼地域における自給飼料の生産と利用が酪農経営に与えた効果
- AI解説:
- 酪農業は、人間が利用できない草を牛に食べさせ、乳や肉などの動物性タンパク源を供給する重要な役割を果たしています。しかし、日本の酪農業は輸入飼料に大きく依存しており、特に濃厚飼料の輸入に依存している現状があります。このため、飼料価格の変動が酪農経営に与える影響が大きく、経営の安定化が課題となっています。最近では、飼料自給率の向上とともに、国内での飼料生産の推進が進んでおり、飼料用稲の栽培が増加しています。本研究の目的は、新潟県魚沼地域の酪農家によって運営される自給飼料生産組合の設立とその運営が、酪農経営および乳牛の生産性および繁殖性に与える影響を総合的に評価することです。
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自然科学系
農学部
#紀要論文
新潟県魚沼地域における自給飼料の生産と利用が酪農経営に与えた効果
AI解説
- 背景と目的:
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酪農業は、人間が利用できない草を牛に食べさせ、乳や肉などの動物性タンパク源を供給する重要な役割を果たしています。しかし、日本の酪農業は輸入飼料に大きく依存しており、特に濃厚飼料の輸入に依存している現状があります。このため、飼料価格の変動が酪農経営に与える影響が大きく、経営の安定化が課題となっています。最近では、飼料自給率の向上とともに、国内での飼料生産の推進が進んでおり、飼料用稲の栽培が増加しています。本研究の目的は、新潟県魚沼地域の酪農家によって運営される自給飼料生産組合の設立とその運営が、酪農経営および乳牛の生産性および繁殖性に与える影響を総合的に評価することです。
- 主要な発見:
-
自給飼料生産組合の導入により、組合員の飼料自給率が大幅に増加し、21%から39.7%へと改善しました。これにより、粗飼料自給率も33%から65.9%に向上しました。また、飼料コストの削減にも成功しており、経産牛1頭当たりの年間飼料費が11,840円節減されました。乳成分や乳量も安定しており、分娩後の繁殖成績も良好で、空胎日数が短縮する傾向が見られました。これらの結果から、自給飼料の導入が酪農経営の安定化と乳牛の健康維持に寄与することが確認されました。
- 方法論:
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調査は、新潟県魚沼市のU自給粗飼料生産組合とその組合員の乳牛群を対象に行われました。調査対象期間は、2009年度(自給粗飼料利用前)と2011年度(利用後)の各1年間です。アンケートおよび聞き取り調査を実施し、飼料成分の分析、飼料自給率の算出、生乳生産量、乳成分、繁殖成績の変化などを評価しました。また、乳汁中のプロジェステロン濃度を測定し、分娩後の卵巣機能回復状況を診断しました。
- 結論と意義:
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自給飼料の導入は、飼料自給率の向上と飼料コストの削減に大きく寄与しました。結果として、酪農経営の安定が図られ、乳牛の生産性および繁殖成績も維持または向上することが確認されました。特に、粗飼料の高品質化と適正な給与が、乳牛の健康状態の改善につながることが示唆されました。この研究は、日本の酪農業における飼料自給率向上の重要性を示し、持続可能な酪農経営の実現に向けた具体的な手法として意義があります。
- 今後の展望:
-
今後、自給飼料生産組合の成功事例を他地域にも広めることが重要です。また、飼料の品質向上や飼料生産コストの更なる削減に向けた研究が必要です。加えて、後継者不足や労働力の確保といった課題にも取り組む必要があります。地域内の畜産農家と耕種農家との連携を強化し、持続可能な飼料生産システムを確立することで、地域全体の食料自給率の向上を目指すことが期待されます。
- 背景と目的:
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は草を牛に食べさせて乳や肉を作り出す重要な役割があります。しかし、日本の酪農業は輸入飼料に大きく頼っており、特に酪農業 ( 牛を育てて乳や肉を生産する農業のことです。) の輸入に依存しています。このため、飼料の値段が変わると酪農経営が不安定になる問題があります。最近では、国内での飼料生産を増やして、濃厚飼料 ( 栄養価が高い飼料のことです。主に穀物などが使われます。) を上げる取り組みが進んでおり、その一環として飼料用の稲を育てることが増えています。本研究の目的は、新潟県魚沼地域の酪農家が自給飼料生産組合を立ち上げ、その運営が酪農経営や牛の生産性と繁殖にどのように影響するかを評価することです。飼料自給率 ( 飼料をどれだけ自分たちで生産できるかの割合のことです。)
- 主要な発見:
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自給飼料生産組合を導入した結果、組合員の
が21%から39.7%に改善しました。また、飼料自給率 ( 飼料をどれだけ自分たちで生産できるかの割合のことです。) 自給率も33%から65.9%に向上しました。これにより、飼料コストが削減され、牛1頭あたり年間の飼料費が11,840円節約できました。乳の成分や量も安定しており、出産後の繁殖成績も良好で、空胎日数が短縮する傾向が見られました。これらの結果から、自給飼料の導入が酪農経営の安定化と牛の健康維持に役立つことが確認されました。粗飼料 ( 牧草や稲わらなど、繊維質が多い飼料のことです。)
- 方法論:
-
調査は新潟県魚沼市のU自給
生産組合とその組合員の牛を対象に行いました。調査期間は2009年度(自給粗飼料利用前)と2011年度(利用後)の各1年間です。アンケートや聞き取り調査を実施し、飼料成分の分析、粗飼料 ( 牧草や稲わらなど、繊維質が多い飼料のことです。) の算出、生乳生産量、乳成分、繁殖成績の変化などを評価しました。また、牛の乳汁中の飼料自給率 ( 飼料をどれだけ自分たちで生産できるかの割合のことです。) 濃度を測定し、出産後の卵巣機能回復状況を診断しました。プロジェステロン ( 牛の繁殖に関わるホルモンの一つで、卵巣機能を調べるために使われます。)
- 結論と意義:
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自給飼料の導入は
の向上とコスト削減に大きく貢献しました。これにより、酪農経営が安定し、牛の生産性や繁殖成績も向上することが確認されました。特に、質の高い飼料自給率 ( 飼料をどれだけ自分たちで生産できるかの割合のことです。) を適切に与えることで、牛の健康状態が改善することが示されました。この研究は、日本の粗飼料 ( 牧草や稲わらなど、繊維質が多い飼料のことです。) における飼料自給率向上の重要性を示し、持続可能な酪農経営を実現するための具体的な手法として意義があります。酪農業 ( 牛を育てて乳や肉を生産する農業のことです。)
- 今後の展望:
-
今後は、自給飼料生産組合の成功事例を他の地域にも広めることが重要です。また、飼料の品質向上や生産コストのさらなる削減に向けた研究が必要です。さらに、後継者不足や労働力確保といった課題にも取り組む必要があります。地域内の畜産農家と耕種農家が連携し、持続可能な飼料生産システムを確立することで、地域全体の食料自給率の向上を目指すことが期待されます。
- 何のために?:
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牛に草を食べさせて、
牛乳 やお肉を作る仕事を と言います。日本の酪農 ( 牛に草を食べさせて、牛乳 やお肉を作る仕事のこと。酪農 は日本の食料 を支 える重要 な仕事です。) 酪農 は、外国からのエサに頼 っています。エサの値段 が変 わると、酪農 家 さんが困 ります。そこで、日本でエサを作ることが増 えてきました。新潟県の酪農 家 さんたちが、エサを自分たちで作る を作りました。この研究は、その組織 ( 特定 の目的 を持って集まった人々の集団 や団体 のこと。組織 を作ることで、みんなで協力 して問題を解決 することができます。) 組織 がどのように酪農 に影響 するかを調べます。
- 何が分かったの?:
-
エサを自分たちで作るようになった後、
の中でエサを自分で作る組織 ( 特定 の目的 を持って集まった人々の集団 や団体 のこと。組織 を作ることで、みんなで協力 して問題を解決 することができます。) 割合 が増 えました。また、エサの費用 も安くなりました。牛の健康 も良 くなり、牛乳 の量 も安定しました。出産 後 の牛の回復 も早くなりました。これにより、 家さんたちの仕事が安定し、牛の酪農 ( 牛に草を食べさせて、牛乳 やお肉を作る仕事のこと。酪農 は日本の食料 を支 える重要 な仕事です。) 健康 も守られることが分かりました。
- どうやったの?:
-
新潟県の
家さんたちの牛を酪農 ( 牛に草を食べさせて、牛乳 やお肉を作る仕事のこと。酪農 は日本の食料 を支 える重要 な仕事です。) 対象 に調べました。2009年と2011年の2つの年で調査 しました。アンケートや話を聞いたり、エサの を調べたりしました。また、牛のミルクの成分 ( 物質 を構成 している各 部分や要素 のこと。成分 を調べることで、エサやミルクの質 を確認 することができます。) 成分 や出産 後 の牛の健康 も見ました。
- 研究のまとめ:
-
エサを自分たちで作ることは、
費用 を減 らし、 家さんの仕事を安定させました。また、牛の酪農 ( 牛に草を食べさせて、牛乳 やお肉を作る仕事のこと。酪農 は日本の食料 を支 える重要 な仕事です。) 健康 も良 くなりました。この研究は、日本の酪農 にとって大切な方法 を示 しました。
- これからどうする?:
-
これからは、この
成功 を他の地域 にも広めることが大切です。エサの質 を上げたり、費用 をもっと減 らすための研究が必要 です。 家さんを助けるために、いろいろな人が酪農 ( 牛に草を食べさせて、牛乳 やお肉を作る仕事のこと。酪農 は日本の食料 を支 える重要 な仕事です。) 協力 することが大切です。
- 著者名:
- 栗村 美帆, 吉田 智佳子
- 掲載誌名:
- 新潟大学農学部研究報告
- 巻:
- 70
- ページ:
- 29 - 40
- 発行日:
- 2018-02
- 著者による要約:
- 効率的な生乳生産のため、乳牛は遺伝的改良とともに、高栄養な飼料が多給されている。日本では、飼料の輸入依存度が高くなって久しい。一方、農業生産者の減少や耕作放棄地の拡大は歯止めがかからず、地域では鳥獣害や土砂災害などが増加している。食料生産基盤の安定化のために、耕畜連携の農業生産体系の再構築が望まれる。新潟県は日本最大の稲作地帯であり、稲作と並行して酪農を営む独特の体系が発達してきたが、稲作と酪農の相互の活用は薄く、粗飼料自給率は全国的に見ても低い。本研究では、平成21年(2009年)に新潟県魚沼地域で発足した、酪農家による粗飼料生産組合を事例として、地域の飼料自給率向上の可能性について、組織の概要、自給飼料の品質および自給飼料利用による乳牛の生産性および繁殖成績への影響を評価した。自給飼料利用前(2009年)と利用後(2011年)の状況を調査し、平成24年(2012年)に組合員を対象に、乳牛の繁殖成績のモニタリングを行った。自給飼料生産組合は個々の酪農経営とは独立して運営され、地元JA や関連機関と連携し、地元稲作農家と飼料利用目的の水稲栽培を契約し、飼料生産を行っていた。稲WCS およびコーンサイレージとも品質は良好で一般的な輸入飼料より安価で販売され、飼料コストが軽減していた。自給飼料利用による乳牛の生産性および繁殖成績への負の影響は見られなかった。組合組織による自給飼料生産は、酪農の収益性が高まるとともに、地域内の耕畜連携が推進され、地域の持続的な農業生産基盤の盤石化につながると考えられた。
Animal husbandry in Japan utilizes several techniques to efficiently produce dairy milk, including genetic modification of cows and the use of highly nutritious concentrate and forage. However, commercial feed is commonly used and there is a heavy dependence on imports. Niigata Prefecture, which has the country’s highest rice production, has a distinctive, improved agricultural practice where farmers pair rice production in paddy fields with milk production in barns. However, the field space for producing forage is relatively limited. To improve sustainability, it is necessary to design an organic and functional agricultural system for this rural area. Against this background, this study evaluated the economic impacts of selfproduction of forage by dairy farmers and the effects of self-forage on the productivity of dairy cows. The Forage Producer’s Association in Uonuma, Niigata Prefecture, was also examined. The aims of self-forage, a general overview of management practices, the quality of forage, and its cost performance were examined by a questionnaire distributed among members of the association and other involved persons in 2012. The effects of self-produced forage on the productivity and reproductive performance of dairy herds were evaluated by comparison with records for 2009. Five dairy farmers from the association participated, and administration of the association was independent of each farm. The association enters into contracts with local rice farms to produce paddy whole-crop silage, as well as corn silage in re-cultivated fields. The self-produced forage was of good quality and was provided to members at relatively low cost, resulting in lower feed costs. The cows maintained milk productivity when fed self-produced forage, and had good reproductive performance. Thus, we conclude that establishment of a local Forage Producer’s Association resulted in production of forage of sufficiently high quality and positively affected the feed costs, milk productivity, and reproductive performance of the dairy farms.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/49933
