論文詳細
自然科学系
農学部
#紀要論文
ダイズの種子収量、元素集積、貯蔵タンパク組成に対するリン供給量の影響
- AI解説:
- リン(P)は、窒素(N)やカリウムと並ぶ高等植物に必須の多量栄養素とされ、吸収後の生理学的挙動には特徴がある。すなわち、リン酸塩は強く酸化された形態のまま存在し、若い組織へ速やかに輸送され、エネルギーに富む化合物やエステル化合物に取り込まれる。著者らは、Pの獲得と植物体内での分配は、溶液pH、イオンバランス、植物の栄養状態、生育段階といった要因に影響されやすいと述べている。先行研究では、N欠乏条件の非着生(non-nodulating)ダイズが、無機成分組成(特にNとP)が変化した成熟種子を生産し、主要な貯蔵タンパク質であるβ-conglycininのβ-subunitが欠失する、または強く減少することが報告されていた。種子中のPは主としてphytateとして貯蔵され、しばしば種子全Pの50–80%を占めることから、本研究は、P栄養が種子N濃度および貯蔵タンパク質組成に影響しうると提案する。そこで本論文は、リン酸塩供給量の違いが、ダイズ種子の収量、種子の無機元素濃度(種子Pと種子Nの関係を含む)、および貯蔵タンパク質subunit組成を変化させるかどうかを、非着生(硝酸依存)と着生(N固定依存)の両方のダイズを用いて検証することを目的とした。
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自然科学系
農学部
#紀要論文
ダイズの種子収量、元素集積、貯蔵タンパク組成に対するリン供給量の影響
AI解説
- 背景と目的:
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リン(P)は、窒素(N)やカリウムと並ぶ高等植物に必須の多量栄養素とされ、吸収後の生理学的挙動には特徴がある。すなわち、リン酸塩は強く酸化された形態のまま存在し、若い組織へ速やかに輸送され、エネルギーに富む化合物やエステル化合物に取り込まれる。著者らは、Pの獲得と植物体内での分配は、溶液pH、イオンバランス、植物の栄養状態、生育段階といった要因に影響されやすいと述べている。先行研究では、N欠乏条件の非着生(non-nodulating)ダイズが、無機成分組成(特にNとP)が変化した成熟種子を生産し、主要な貯蔵タンパク質であるβ-conglycininのβ-subunitが欠失する、または強く減少することが報告されていた。種子中のPは主としてphytateとして貯蔵され、しばしば種子全Pの50–80%を占めることから、本研究は、P栄養が種子N濃度および貯蔵タンパク質組成に影響しうると提案する。そこで本論文は、リン酸塩供給量の違いが、ダイズ種子の収量、種子の無機元素濃度(種子Pと種子Nの関係を含む)、および貯蔵タンパク質subunit組成を変化させるかどうかを、非着生(硝酸依存)と着生(N固定依存)の両方のダイズを用いて検証することを目的とした。
- 主要な発見:
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非着生ダイズ(cv. ‘T201’)では、低リン酸塩供給(5 μM-P)と十分な硝酸(2.5 mMまたは5 mM NO3−)を組み合わせると、目視で確認できるP欠乏が生じ、種子収量は25 μM-P条件のおよそ半分に低下した。25 μM-Pでの収量増加は、主に1粒重の増加ではなく種子数の増加によるものとされた。また、2.5 mMと5 mM硝酸で同様の成績だったことから、本研究条件下では2.5 mM硝酸で十分であることが示唆された。低硝酸(1 mM)では植物は主としてN制限を受けているように見え、種子収量(12.6 g vs 12.0 g)および収量構成要素は、5 μM-Pと25 μM-Pの間で実質的な差がなかった。全処理を通じて、種子P濃度はP供給増加に伴って上昇した一方、種子N濃度は逆の傾向を示し、5 μM-Pでは25 μM-Pより種子Nが有意に高かった。元素濃度のプロットからは、種子Pと種子Nの負の相関が示された。KとCa濃度は5 μM-Pで低い傾向があり、Sは比較的安定していた。貯蔵タンパク質の結果では、同じ硝酸条件下で、低P供給は25 μM-Pと比べてβ-conglycinin(特にβ-subunit)を増加させた。
着生ダイズ(cv. ‘Enrei’)では、P利用可能性を高める(50 μM-P)か、開花期にPを25から50 μMへ増加させると、種子数は増加したが種子重は低下した。一方、莢の充実期(pod filling)からの葉面リン酸塩散布では、種子数は対照と同程度だった。非着生実験と同様に、P供給量が高いほど種子N濃度は低く、この低下は25から50 μM-Pへの処理で最も明瞭だった。元素間の関係でも、種子Pと種子Nの負の関連が再び示され、K、Ca、Mg、Sは比較的変動が小さかった(ただしMgは高Pで増加した)。高Pでは貯蔵タンパク質組成が変化し、β-conglycininのsubunit(α′、α、β)が減少した。統計的に有意な減少(p<0.05)は特に25から50 μM-Pへの処理で報告された。これと並行して、glycininのbasic subunitは増加し、acidic subunitは減少した。著者らは、‘Enrei’におけるβ-subunitの蓄積は、開花期からPを増やすことで25 μM-P対照のおよそ半分まで低減し得る点を強調している。
- 方法論:
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硝酸供給で生育する非着生個体の応答と、生物学的N固定に依存する着生個体の応答を分けて検討するため、管理されたhydroponic実験を2つ実施した。実験1では、非着生ダイズ(Glycine max cv. ‘T201’)を温室内でhydroponic栽培し、定義された培養液中でPとNの水準を実験的に変化させた。リン酸塩はsodium hydrogen phosphateとして5 μMまたは25 μMの2水準で供給し(pHは6.0に調整)、硝酸は成熟期まで3濃度(1 mM、2.5 mM、5 mM)で与えた。成熟種子を収穫し、収量形質(種子収量、種子数、1粒重)、無機成分組成、貯蔵タンパク質subunitプロファイルを評価した。
実験2では、着生ダイズ(cv. ‘Enrei’)にBradyrhizobium Japonicum strain USDA110を接種し、vermiculiteで1週間育苗した後、同一の基本培養液(ただしN無添加)でhydroponicsへ移した。処理として、25 μM-P対照と50 μM-P高P溶液を比較し、さらに開花期に25から50 μM-Pへ切り替える処理、および莢の充実期から黄葉期まで週1回の葉面リン酸塩散布を行う処理を設けた(植物1個体あたり約100 mLの500×希釈肥料溶液;肥料はリン酸塩55%(w/w)とマグネシウム15%(w/w)を含有)。化学分析に向けて、種子を計数し、凍結乾燥し、秤量して粉砕した。NとPはKjeldahl分解後に比色法で測定し、Ca、Mg、KはHNO3/HClO4分解後に原子吸光法で定量した。SO4^2−はcapillary electrophoresisで測定した。貯蔵タンパク質は抽出後、著者らが引用する手順(Ohtake et al. 1996)に従ってSDS-PAGEで解析した。統計的有意差は一部の比較で報告されている(例:種子N差にp<0.01、いくつかのタンパク質subunit変化にp<0.05)。
- 結論と意義:
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本研究は、リン酸塩供給水準が、ダイズの収量形成(主に種子数を介して)だけでなく、成熟種子の化学的品質、すなわち無機元素濃度や主要貯蔵タンパク質subunitの組成も変化させると結論づけた。非着生・着生の両系で、種子P濃度と種子N濃度には一貫して負の相関が見られ、P欠乏は種子N濃度を高める傾向があり、P供給の増加は種子N濃度を低下させる傾向があった。β-conglycinin(特にβ-subunit)は種子N状態に強く応答すると記述されていることから、著者らは、P条件に応じたβ-subunit蓄積の変化は、少なくとも一部はPによって駆動される種子N濃度の変化、そして/または種子数変化に伴う希釈と関連すると解釈している。着生の‘Enrei’では、開花期からPを増やすことが、β-conglycinin subunitの顕著な低下と、glycinin内での差次的応答(basic subunit増加、acidic subunit減少)に結び付いており、P管理が総タンパク質量だけでなく貯蔵タンパク質組成を変え得ることを示している。著者らはさらに、高Pで種子Sがわずかに増加した点にも触れ、P、N、S栄養間の相互作用が貯蔵タンパク質制御に寄与しうると議論する一方、その機構的詳細は不明のままであることを認めている。総じて、本論文は、リン酸施肥が収量構成要素と、タンパク質組成に関わる種子品質特性の双方に影響する要因であると位置づけている。
- 今後の展望:
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著者らは、P依存的に種子N濃度と貯蔵タンパク質subunitが変化したという観察結果は、単一栄養素の最適化ではなく栄養素間相互作用に焦点を当てた実用的・研究的機会を示すと主張する。特に、リン酸塩供給がどのように種子N状態とβ-subunit蓄積を変えるのか、その機構の解明が必要だとしている。というのも、本論文では一部の結果が間接効果(例:種子数の変化)によるとされ、因果経路の一部は不明瞭(obscure)と位置づけられているためである。議論では、P供給変化に伴うより広範なイオン的・代謝的調整の関与の可能性が示されており、P欠乏が硝酸吸収やNの分配に及ぼすとされる影響、ならびにP栄養と植物体内輸送流における硫酸塩挙動との関連の可能性が挙げられているが、これらの結び付きは本実験の範囲では解決されていない。栽培面の方向性として、著者らは、リン酸管理を、Nの既存施肥戦略(緩効性の深層施用を含む)や硫黄施肥と統合し、ダイズ収量と品質の安定性の双方を改善する可能性を強調する。さらに、N–S–Pの統合管理は、高収量と望ましい種子タンパク質組成を同時に支えられるのであれば、より効率的な技術となり得ると位置づけている。
- 背景と目的:
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リンは、窒素やカリウムと同じように、植物が育つために欠かせない栄養素です。植物に吸収されたリンは、植物の中で形が大きく変わらないまま、若い部分へすばやく運ばれ、エネルギーに関わる物質などの材料として使われます。リンの吸収や植物体内での分配は、培養液のpH、イオンのバランス、植物の栄養状態、生育段階などの影響を受けやすいとされています。
これまでの研究で、窒素が足りない条件で育てた根粒を作れないダイズでは、種子の無機成分(特に窒素とリン)の割合が変わり、種子の主要な の一部が減ることが報告されていました。さらに、種子中のリンは主に貯蔵タンパク質 ( 種子が発芽するときの栄養としてためておくタンパク質です。ダイズでは主にβコングリシニンとグリシニンが中心で、栄養価や加工特性にも関係します。) としてたくわえられ、種子のリン全体の多くを占めます。フィチン酸 ( 種子がリンをためておくための主要な形で、種子中のリンの多くを占めます。リンの貯蔵のされ方に関わるため、種子成分の変化を考えるうえで重要です。)
そこで本研究は、 の供給量を変えると、ダイズの種子収量、種子のリン酸塩 ( リンが植物に利用されるときの代表的な形で、水に溶けた状態では主にH2PO4マイナスの形になります。植物はこれを吸収して、エネルギーに関わる物質などを作る材料にします。リンの不足や過剰は収量や種子成分に影響するため重要です。) 濃度(特に種子中のリンと窒素の関係)、そして貯蔵タンパク質の構成が変わるのかを調べました。根粒を作らないダイズと、根粒を作って無機元素 ( 炭素などの有機物ではなく、ミネラルとして植物体に含まれる元素のことです。この研究ではリンや窒素のほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄などが対象で、種子の栄養的な性質を表します。) に頼るダイズの両方で比較した点が特徴です。窒素固定 ( 空気中の窒素ガスを、植物が利用できる形の窒素化合物に変える働きです。着生ダイズでは根粒菌がこれを行い、肥料の窒素に頼らずに育ちやすくなります。)
- 主要な発見:
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根粒を作らないダイズでは、
が十分にある条件でリンが少ないと、リン不足の症状が見られ、種子収量はリンが十分な条件の約半分まで下がりました。収量が増えた理由は、1粒が重くなったからではなく、種子数が増えたからでした。また、この条件では硝酸は一定以上あれば十分であることも示されました。硝酸が少ない条件では、植物は主に窒素不足になっているようで、リンの量を変えても収量はほとんど変わりませんでした。硝酸 ( 植物が窒素源として吸収できる形の1つです。非着生ダイズでは主な窒素供給源になるため、硝酸の濃度は生育や収量に大きく関わります。)
全体として、リンを多く与えるほど種子中のリン濃度は上がりましたが、種子中の窒素濃度は逆に下がりました。つまり、種子中のリンと窒素には反対方向の関係が見られました。さらに、同じ硝酸条件では、リンが少ないほど の貯蔵タンパク質 ( 種子が発芽するときの栄養としてためておくタンパク質です。ダイズでは主にβコングリシニンとグリシニンが中心で、栄養価や加工特性にも関係します。) (特にβコングリシニン ( ダイズ種子の主要な貯蔵タンパク質の1つで、αプライム、α、βというサブユニットからできています。栄養条件で割合が変わりやすく、種子品質の指標になります。) )が増える傾向がありました。βサブユニット ( βコングリシニンを作る部品の1つです。特に種子の窒素状態に強く反応して増減しやすいことが知られており、本研究でもリン条件によって大きく変化しました。)
根粒を作るダイズでは、リンを多く使える条件にしたり、開花期からリンを増やしたりすると、種子数は増えましたが、種子1粒の重さは下がりました。一方、莢が太る時期から葉に を散布した場合は、種子数は対照と同程度でした。ここでもリンが多いほど種子中の窒素濃度が下がり、種子中のリンと窒素の反対方向の関係が再確認されました。高リン条件では貯蔵タンパク質の組成も変わり、βコングリシニンの各リン酸塩 ( リンが植物に利用されるときの代表的な形で、水に溶けた状態では主にH2PO4マイナスの形になります。植物はこれを吸収して、エネルギーに関わる物質などを作る材料にします。リンの不足や過剰は収量や種子成分に影響するため重要です。) は減少し、サブユニット ( 大きなタンパク質を作る部品のような小さなタンパク質のまとまりです。どのサブユニットが多いかで、全体の性質や栄養的特徴が変わることがあります。) では塩基性サブユニットが増え、酸性サブユニットが減りました。特に、開花期からリンを増やした処理で変化がはっきりしていました。グリシニン ( ダイズ種子のもう1つの主要な貯蔵タンパク質で、酸性サブユニットと塩基性サブユニットからできています。リン条件によってサブユニットの割合が変わり、種子タンパク質の性質に影響します。)
- 方法論:
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管理された
の実験を2つ行いました。水耕栽培 ( 土を使わず、栄養分を溶かした水で植物を育てる方法です。肥料成分の量を正確に調整できるので、リンや窒素の量だけを変えた影響を調べるのに向いています。)
実験1では、根粒を作らないダイズを温室で水耕栽培し、 を低い条件と十分な条件の2段階にし、リン酸塩 ( リンが植物に利用されるときの代表的な形で、水に溶けた状態では主にH2PO4マイナスの形になります。植物はこれを吸収して、エネルギーに関わる物質などを作る材料にします。リンの不足や過剰は収量や種子成分に影響するため重要です。) 濃度も3段階に変えて育てました。成熟した種子を収穫し、収量(種子収量、種子数、1粒重)、種子中の硝酸 ( 植物が窒素源として吸収できる形の1つです。非着生ダイズでは主な窒素供給源になるため、硝酸の濃度は生育や収量に大きく関わります。) 濃度、無機元素 ( 炭素などの有機物ではなく、ミネラルとして植物体に含まれる元素のことです。この研究ではリンや窒素のほか、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄などが対象で、種子の栄養的な性質を表します。) の貯蔵タンパク質 ( 種子が発芽するときの栄養としてためておくタンパク質です。ダイズでは主にβコングリシニンとグリシニンが中心で、栄養価や加工特性にも関係します。) の割合を調べました。サブユニット ( 大きなタンパク質を作る部品のような小さなタンパク質のまとまりです。どのサブユニットが多いかで、全体の性質や栄養的特徴が変わることがあります。)
実験2では、根粒を作る品種に を接種して育て、水耕に移した後、リン酸塩を標準条件と高い条件で比べました。さらに、開花期からリンを増やす処理や、莢が太る時期から葉にリン酸塩を散布する処理も行いました。種子を乾燥・粉砕して、窒素やリン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、硫黄などを測定し、貯蔵タンパク質は電気泳動でサブユニットの違いを調べました。根粒菌 ( ダイズの根に入り根粒を作り、空気中の窒素を植物が使える形に変える細菌です。植物は窒素を得られ、菌は植物から養分をもらう関係にあります。)
- 結論と意義:
-
の供給量は、ダイズの収量(特に種子数)だけでなく、成熟種子の成分にも影響しました。根粒を作る場合でも作らない場合でも、種子中のリン濃度が高いほど窒素濃度が低くなるという関係が一貫して見られました。つまり、リン不足では種子の窒素濃度が上がりやすく、リンを多くすると種子の窒素濃度が下がりやすい傾向がありました。リン酸塩 ( リンが植物に利用されるときの代表的な形で、水に溶けた状態では主にH2PO4マイナスの形になります。植物はこれを吸収して、エネルギーに関わる物質などを作る材料にします。リンの不足や過剰は収量や種子成分に影響するため重要です。)
また、 のβコングリシニン ( ダイズ種子の主要な貯蔵タンパク質の1つで、αプライム、α、βというサブユニットからできています。栄養条件で割合が変わりやすく、種子品質の指標になります。) は、種子の窒素状態に強く反応することが知られており、本研究でもリン条件の変化によってβサブユニットのたまり方が変わりました。これは、リンによって種子の窒素濃度が変わることや、種子数が変わることで成分が薄まることが関係している可能性があります。根粒を作る品種では、開花期からリンを増やすことで、βコングリシニンが大きく減り、βサブユニット ( βコングリシニンを作る部品の1つです。特に種子の窒素状態に強く反応して増減しやすいことが知られており、本研究でもリン条件によって大きく変化しました。) のグリシニン ( ダイズ種子のもう1つの主要な貯蔵タンパク質で、酸性サブユニットと塩基性サブユニットからできています。リン条件によってサブユニットの割合が変わり、種子タンパク質の性質に影響します。) のバランスも変わりました。つまり、リンの管理は、タンパク質量だけでなく、どんな種類のタンパク質が多くなるかにも関わることが示されました。サブユニット ( 大きなタンパク質を作る部品のような小さなタンパク質のまとまりです。どのサブユニットが多いかで、全体の性質や栄養的特徴が変わることがあります。)
さらに、リンが多い条件で種子中の硫黄が少し増えることにも触れられており、リン・窒素・硫黄の関係が の調整に関わる可能性があるものの、詳しい仕組みはまだ分かっていないとされています。貯蔵タンパク質 ( 種子が発芽するときの栄養としてためておくタンパク質です。ダイズでは主にβコングリシニンとグリシニンが中心で、栄養価や加工特性にも関係します。)
- 今後の展望:
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著者らは、特定の栄養素だけを最適化するのではなく、栄養素どうしの関係に注目することが重要だと述べています。特に、
の供給がどのように種子の窒素状態やリン酸塩 ( リンが植物に利用されるときの代表的な形で、水に溶けた状態では主にH2PO4マイナスの形になります。植物はこれを吸収して、エネルギーに関わる物質などを作る材料にします。リンの不足や過剰は収量や種子成分に影響するため重要です。) の量を変えるのか、原因の流れをはっきりさせる必要があります。なぜなら、本研究では、種子数の変化などを通した間接的な影響も考えられ、どの経路で変化が起きたのかが完全には分かっていないからです。βサブユニット ( βコングリシニンを作る部品の1つです。特に種子の窒素状態に強く反応して増減しやすいことが知られており、本研究でもリン条件によって大きく変化しました。)
栽培の面では、リンの管理を、窒素施肥の方法や硫黄施肥と組み合わせることで、収量と品質の両方をより安定させられる可能性があるとしています。リン・窒素・硫黄をまとめて考える管理が、高収量と望ましい種子タンパク質組成を同時に実現できるなら、より効率のよい技術になると位置づけています。
- 何のために?:
-
は、植物が育つためのえさです。リン ( 植物が元気に育つために必要 な栄養 の一つです。土や水の中から吸 って、成長 や種 づくりに使われます。足りないと育ちが悪くなり、とれ高や種 の中身にも影響 するので重要 です。)
やちっそ ( 植物の体をつくるもとになる栄養 で、葉やたんぱくしつを作るのに使われます。足りないと葉が弱ったり、種 の成分 が変 わったりします。リンとのバランスで種 の質 が変 わるので大事です。) と同じくらい大切です。カリウム ( 植物の体の調子を整える栄養 で、水分の使い方や丈夫 さに関係 します。ほかの栄養 と同じく足りないと育ち方が変 わるため重要 です。)
リンは、葉や若 いところへすぐ運ばれます。
そして、元気に育つために使われます。
リンのはたらきは、水の性質 でも変 わります。
たとえば、えきの などです。酸 っぱさ( 水やえきがどれくらい酸性 かを表す性質 のことです。酸 っぱさがちがうと、リンなどの栄養 が溶 けやすいかどうかが変 わり、植物が吸 える量 に影響 するので重要 です。)
前の研究で、ダイズの中身が変 わると分かりました。
ちっそが足りないと、種 の成分 が変 わります。
種 のリンは、よく でたまります。フィチン 酸 ( 種 の中でリンをためておく形の一つです。種 が芽 を出すときの材料 になりますが、たまり方が変 わると種 の中の栄養 のバランスが変 わるため重要 です。)
そこで、リンをあげる量 を変 えて調べました。
種 の数や重さが変 わるか見ました。
種 のリンとちっその関係 も見ました。
があるダイズと、ないダイズで根つぶ ( ダイズの根にできる小さなつぶで、ちっそを手に入れるのに関係 します。根つぶがあるかないかで、ちっその不足 の起こり方や種 の成分 が変 わるので重要 です。) 比 べました。
- 何が分かったの?:
-
がないダイズでは、根つぶ ( ダイズの根にできる小さなつぶで、ちっそを手に入れるのに関係 します。根つぶがあるかないかで、ちっその不足 の起こり方や種 の成分 が変 わるので重要 です。) が少ないと元気がなくなりました。リン ( 植物が元気に育つために必要 な栄養 の一つです。土や水の中から吸 って、成長 や種 づくりに使われます。足りないと育ちが悪くなり、とれ高や種 の中身にも影響 するので重要 です。)
そのとき、種 のとれる量 は半分くらいでした。
へった理由は、1つが軽いからではありません。
できた種 の数が少ないからでした。
のもとが少ないと、ちっそちっそ ( 植物の体をつくるもとになる栄養 で、葉やたんぱくしつを作るのに使われます。足りないと葉が弱ったり、種 の成分 が変 わったりします。リンとのバランスで種 の質 が変 わるので大事です。) 不足 が強そうでした。
そのため、リンを変 えてもあまり変 わりませんでした。
リンを多くすると、種 のリンはふえました。
でも、種 のちっそはへりました。
つまり、リンが上がると、ちっそは下がりました。
リンが少ないと、あるたんぱくしつがふえがちでした。
それは、 というたんぱくしつです。βコングリシニン ( ダイズの種 にふくまれるたんぱくしつの名前です。ちっその状態 やリンの量 によってふえたりへったりし、種 の質 を左右するため重要 です。)
根つぶがあるダイズでも、リンを多くすると変化 が出ました。
種 の数はふえましたが、1つは軽くなりました。
葉にリンをかけたときは、種 の数はあまり変 わりませんでした。
ここでも、リンが多いほどちっそが下がりました。
たんぱくしつの種類 のわり合いも変 わりました。
特 に、花がさいてからリンをふやすと目立ちました。
- どうやったの?:
-
水だけで育てる
実験 を、2回しました。
実験 1は、 がないダイズを育てました。根つぶ ( ダイズの根にできる小さなつぶで、ちっそを手に入れるのに関係 します。根つぶがあるかないかで、ちっその不足 の起こり方や種 の成分 が変 わるので重要 です。)
は、少ないと多いの2つにしました。リン ( 植物が元気に育つために必要 な栄養 の一つです。土や水の中から吸 って、成長 や種 づくりに使われます。足りないと育ちが悪くなり、とれ高や種 の中身にも影響 するので重要 です。)
のもとも、3つに分けました。ちっそ ( 植物の体をつくるもとになる栄養 で、葉やたんぱくしつを作るのに使われます。足りないと葉が弱ったり、種 の成分 が変 わったりします。リンとのバランスで種 の質 が変 わるので大事です。)
できた種 を集めて、数や重さを調べました。
種 の中のリンやちっそも調べました。
たんぱくしつのちがいも調べました。
実験 2は、根つぶができるダイズを育てました。
根つぶを作るきんも、つけました。
リンは、ふつうと多いで比 べました。
花がさいてからリンをふやすこともしました。
さやがふくらむころ、葉にリンをかけることもしました。
種 をくだいて、いろいろな成分 をはかりました。
たんぱくしつは、ならべてちがいを見ました。
- 研究のまとめ:
-
のリン ( 植物が元気に育つために必要 な栄養 の一つです。土や水の中から吸 って、成長 や種 づくりに使われます。足りないと育ちが悪くなり、とれ高や種 の中身にも影響 するので重要 です。) 量 で、ダイズのとれる量 が変 わりました。
とくに、種 の数が変 わりやすかったです。
どちらのダイズでも、同じ関係 がありました。
種 のリンが多いほど、 は少なくなりました。ちっそ ( 植物の体をつくるもとになる栄養 で、葉やたんぱくしつを作るのに使われます。足りないと葉が弱ったり、種 の成分 が変 わったりします。リンとのバランスで種 の質 が変 わるので大事です。)
リンが少ないと、ちっそが上がりやすいです。
リンが多いと、ちっそが下がりやすいです。
は、ちっそのβコングリシニン ( ダイズの種 にふくまれるたんぱくしつの名前です。ちっその状態 やリンの量 によってふえたりへったりし、種 の質 を左右するため重要 です。) 状態 に反応 します。
この研究でも、たまり方が変 わりました。
種 の数がふえて、うすまることも関係 しそうです。
があるダイズでは、花のあとが大事でした。根つぶ ( ダイズの根にできる小さなつぶで、ちっそを手に入れるのに関係 します。根つぶがあるかないかで、ちっその不足 の起こり方や種 の成分 が変 わるので重要 です。)
その時期にリンをふやすと、たんぱくしつが大きく変 わりました。
リンの管理 で、どのたんぱくしつが多いかも変 わります。
リンが多いと、 が少しふえることもありました。いおう ( 植物に必要 な栄養 の一つで、たんぱくしつの材料 にもなります。リンやちっそと一緒 に管理 すると質 がそろう可能性 があるため重要 です。)
でも、しくみはまだよく分かっていません。
- これからどうする?:
-
1つのえさだけを考えるのは足りません。
えさどうしのつながりを見るのが大事です。
がどうやって、リン ( 植物が元気に育つために必要 な栄養 の一つです。土や水の中から吸 って、成長 や種 づくりに使われます。足りないと育ちが悪くなり、とれ高や種 の中身にも影響 するので重要 です。) をちっそ ( 植物の体をつくるもとになる栄養 で、葉やたんぱくしつを作るのに使われます。足りないと葉が弱ったり、種 の成分 が変 わったりします。リンとのバランスで種 の質 が変 わるので大事です。) 変 えるのか知りたいです。
種 の数が変 わる、まわり道もありそうです。
だから、原因 のながれをはっきりさせます。
育て方では、リンとちっそと を合わせて考えます。いおう ( 植物に必要 な栄養 の一つで、たんぱくしつの材料 にもなります。リンやちっそと一緒 に管理 すると質 がそろう可能性 があるため重要 です。)
そうすると、たくさんとれて、質 もそろうかもしれません。
3つをまとめた管理 が、よい方法 になりそうです。
- 著者名:
- Ohtake Norikuni, Tanabata Sayuri I., Ikarashi Yae, Shiratori Yutaka, Honma Toshimitsu, Nagumo Yoshifumi, Takahashi Yoshihiko, Sueyoshi Kuni, Ohyama Takuji
- 掲載誌名:
- 新潟大学農学部研究報告
- 巻:
- 69
- ページ:
- 25 - 31
- 発行日:
- 2017-02
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/47174
