論文詳細
自然科学系
農学部
#紀要論文
土のキャピラリーバリアを利用したかんがい水の効率的な利用と土壌塩分化の抑制
- AI解説:
- 砂層とその下部に礫層を重ねた土層は、キャピラリーバリア(CB)機能により水分保持と塩分侵入阻止の効果を発揮する。本研究の目的は、圃場実験を通じて、このCB機能が植物生育にどのように貢献するかを調査することにある。特に、条件が不利な地域における新たな農地開発に適用する際の効果と、円盤状の部分敷設による工事費用と時間の節約について検討する。
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自然科学系
農学部
#紀要論文
土のキャピラリーバリアを利用したかんがい水の効率的な利用と土壌塩分化の抑制
AI解説
- 背景と目的:
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砂層とその下部に礫層を重ねた土層は、キャピラリーバリア(CB)機能により水分保持と塩分侵入阻止の効果を発揮する。本研究の目的は、圃場実験を通じて、このCB機能が植物生育にどのように貢献するかを調査することにある。特に、条件が不利な地域における新たな農地開発に適用する際の効果と、円盤状の部分敷設による工事費用と時間の節約について検討する。
- 主要な発見:
-
圃場実験の結果、礫層を設置することで、塩分を含む地下水の毛管上昇を効果的に遮断し、地表からのかん水による浸潤水を礫層上部で保持することが確認された。また、部分敷設した礫層でも保水効果が高く、特に大きな直径で深く設置した礫層では水分の保持がより効果的であることが判明した。これにより、砂層のみの圃場よりも効果的に水を保持できることが示された。
- 方法論:
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新潟大学農学部圃場にビニールハウス内実験区画を造成し、異なる深さと厚さの礫層を設置したプロットを用いて実験を行った。ミズナを植栽し、42日間にわたって地下水の塩分と水分動態を計測した。また、部分敷設型の圃場試験では、直径と深さの異なる礫層を設置し、地表かん水と間断かん水の条件下で土中水分量を測定した。さらに、数値解析を用いて土中水の動きをシミュレーションした。
- 結論と意義:
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CB機能により、地下水の塩分上昇を遮断し、地表からのかん水を効率的に保持することが確認された。これにより、塩害化防止と節水農業を実現できる可能性が示された。また、礫層の厚さや設置位置によって効果が異なるため、育成する作物や地域の条件に応じた最適な設計が必要であることが明らかになった。これにより、乾燥地域での農業生産性向上が期待される。
- 今後の展望:
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今後は、さらに多様な条件下での実験を行い、礫層の最適な設置方法を探る必要がある。また、実際に作物を植栽して生育量への影響を評価し、より実践的なデータを蓄積することが求められる。これにより、CB機能を効果的に活用した乾燥地農業の普及が期待される。また、環境負荷を低減しつつ、持続可能な農業技術としての応用も進めるべきである。
- 背景と目的:
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砂と礫(小さな石)を重ねた土は、
という機能を持っていて、水を保持したり、塩分が入るのを防いだりします。この研究では、キャピラリーバリア(CB) ( 土の中で水を保持したり、塩分が上がってくるのを防いだりする機能のことです。) を通じて、CB機能が植物の成長にどう影響するかを調べています。特に、あまり良くない条件の土地で新しい農地を開発する時の効果や、工事の費用と時間を節約できるかどうかを見ています。圃場実験 ( 実際の農地(圃場)で行う実験のことです。)
- 主要な発見:
-
実験の結果、
を作ることで、塩分を含む地下水が上がってくるのを防ぎ、地表からの水を保持できることがわかりました。また、部分的に敷設した礫層でも保水効果が高く、特に大きくて深い礫層では水分を保つのにより効果的であることがわかりました。礫層 ( 小さな石を敷き詰めた層のことです。)
- 方法論:
-
新潟大学の圃場にビニールハウスを使った実験区画を作り、いろいろな深さと厚さの
を試しました。ミズナを植えて42日間、地下水の塩分と水分の動きを測りました。また、部分的に礫層を設置した場合の水分量も計測しました。さらに、礫層 ( 小さな石を敷き詰めた層のことです。) を使って土中の水の動きをシミュレーションしました。数値解析 ( コンピュータを使って数値モデルを作り、現象をシミュレーションする方法です。)
- 結論と意義:
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CB機能により、地下水の塩分が上がってくるのを防ぎ、地表からの水を効率的に保持できることが確認されました。これにより、
を防ぎながら塩害 ( 塩分が土にたまって植物が育ちにくくなる現象のことです。) が可能となることが示されました。また、節水農業 ( 水を節約して行う農業のことです。) の厚さや設置位置によって効果が異なるため、育てる作物や地域の条件に応じた最適な設計が必要です。礫層 ( 小さな石を敷き詰めた層のことです。)
- 今後の展望:
-
今後は、さらにいろいろな条件での実験を行い、
の最適な設置方法を探る必要があります。また、作物を実際に植えてその生育量への影響を評価し、より実践的なデータを集めることが求められます。これにより、CB機能を活用した乾燥地農業の普及が期待されます。礫層 ( 小さな石を敷き詰めた層のことです。)
- 何のために?:
-
砂 と小さな石を重ねると、水をためたり、塩分 が入るのを防 ぎます。これを といいます。この研究では、それが植物にどうキャピラリーバリア(CB) ( 砂 と小さな石を重ねて作る層 。水をためたり、塩分 が入るのを防 ぎます。植物が育ちやすいように土壌 の状態 を良 くするために使います。) 影響 するかを調べています。特 に、良 くない土地で新しい農地を作る時に役立つか見ています。
- 何が分かったの?:
-
実験 の結果 、石の層 を使うと、地下水が上がってくるのを防 げました。また、水をしっかりためることができました。大きくて深い石の層 が特 に効果的 でした。
- どうやったの?:
-
ビニールハウスで、いろいろな深さと
厚 さの石の層 を試 しました。ミズナを植えて42日間、水と塩 の動きを調べました。また、部分的 に石の層 を使った場合も見ました。さらに、コンピューターで水の動きを予測 しました。
- 研究のまとめ:
-
のおかげで、地下水のキャピラリーバリア(CB) ( 砂 と小さな石を重ねて作る層 。水をためたり、塩分 が入るのを防 ぎます。植物が育ちやすいように土壌 の状態 を良 くするために使います。) 塩分 が上がるのを防 げました。これにより、塩害 を防 ぎながら ができるとわかりました。石の節水 農業( 少ない水で作物を育てる方法 。水を節約 しながら効率的 に作物を育てる農業です。) 層 の厚 さや場所で効果 が違 います。作物や地域 に合わせた設計 が必要 です。
- これからどうする?:
-
これからもいろいろな
条件 で実験 を続 けます。最適 な石の層 の設置 方法 を探 します。作物を植えて成長 を見ます。これにより、 を使った農業が広がることを期待します。キャピラリーバリア(CB) ( 砂 と小さな石を重ねて作る層 。水をためたり、塩分 が入るのを防 ぎます。植物が育ちやすいように土壌 の状態 を良 くするために使います。)
- 著者名:
- 星野 麻衣子, 傳田 彩, 中野 友里加, 森井 俊広
- 掲載誌名:
- 新潟大学農学部研究報告
- 巻:
- 67
- 号:
- 1
- ページ:
- 65 - 76
- 発行日:
- 2014-09
- 著者による要約:
- 土壌塩分化を効果的に防ぐことができれば、かんがい農業の持続性が高まる。土壌中の根群域下部の比較的浅い深さに礫層を敷設すると、土壌と礫の保水性の違いにより、地下水からの毛管上昇(上向きの不飽和流れ)を遮断できる。地下水に塩分が含まれる場合、この毛管上昇と蒸発による塩分集積を予防できることになる。礫層とその上部に相対的に粗粒の土を配した土層構造をキャピラリーバリアと呼ぶ。両者の土の保水性の違いは、地表面から下向きに流入する浸潤水(下向きの不飽和流れ)を遮断する働きを持ち、その結果、礫層の直上部に浸潤水が貯留されることになる。したがって、この礫層が比較的浅い位置に敷設されると、植物は効率よくこの貯留された土中水を生育に利用できるようになる。節水かんがいが可能となる。本研究では、このような土のCB による地下水からの毛管上昇の遮断ならびに地表面からの浸潤水の貯留効果を、圃場での植栽実験を通して明らかにした。
Effective prevention of soil salinization is required for sustainable irrigation. Capillary barrier of gravel soil is introduced and investigated to solve this requirement in the study. The gravel being embedded in a layer within the shallow depth of field soil, an upward unsaturated water movement from groundwater in the deeper soil will be cut off by this gravel layer. In the case of saline groundwater, a soil salinization which is caused by the upward saline water movement from the groundwater and evaporation of soil water near the soil surface will be effectively prevented. This excellent cutoff of soil water movement is brought physically by a clear difference in a water retention capacity between gravel and field soil (relatively finer soil), and is call the capillary barrier (CB) of soil. The CB also works properly to stop infiltrating water from the soil surface supplied by irrigation or rainfall, with the result that the soil water accumulates above an interface between the upper field soil and the gravel layer. As vegetables can sufficiently uptake this soil water for their growth even under the scarcity of irrigation supply of water, the CB of soil will be attractive in developing a efficient water saving irrigation method. In the study, a field experiment was conducted in order to investigate a practical applicability of the CB of soil to the soil salinization prevention and the water saving irrigation. Sand was compacted into polypropylene container boxes buried in the field soil, each about 100,000cm^3 in volume, then 5cm-in-thickness gravel layer was embedded in the sand. After Mizuna (Potherb mustard) being planted, the saline groundwater 10,000ppm was supplied into the bottom of the container box with a constant head of water. Soil water content and electric conductivity were monitored along the depth of the container box, and the growth of Mizuna was observed during about seven weeks.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/30057
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