論文詳細
自然科学系
農学部
#紀要論文
施肥窒素供給期間によるサトウキビ(Saccharum officinarum L.)の生育に対する窒素固定寄与の15N 希釈法による推定
- AI解説:
- サトウキビ(Sugarcane; *Saccharum officinarum* L.)は、砂糖生産および近年ではエタノール生産にも用いられる、世界的に重要なC4作物である。いくつかの生産体系では窒素(N)の蓄積が大きい(例:ブラジルでは年間100–200 kgN/ha)にもかかわらず、一般的なN肥料投入量は比較的少ないことがあり、施肥に対する収量反応も弱い場合が多い。さらに、地域によっては長期にわたりN施肥なしで栽培されていることもある。これらの観察は、生物学的窒素固定(biological nitrogen fixation; BNF)がサトウキビのN栄養に大きく寄与している可能性を示す状況証拠として解釈されてきた。これまでに15N希釈法(15N dilution)や15N自然存在比法(natural 15N abundance)を用いた推定では、大気由来Nの割合(%Ndfa: N derived from atmospheric N)が品種や無機態Nの利用可能性によって大きく変動し(例:日本の一部品種でおよそ10–40%、選抜された遺伝子型では最大で約70%)、幅広い値が報告されている。肥料使用に伴う硝酸汚染(沖縄で指摘されている)などの環境上の懸念も踏まえ、本研究は、N供給のタイミング/期間がサトウキビのN2固定にどのように影響するかを検証することを目的とした。具体的には、連続的なN供給、N無供給、初期生育後にN供給を中断する条件下で、15N希釈法を用い、肥料由来、植え付けた茎(planted stalk)由来、ならびに大気固定由来のNを定量した。
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自然科学系
農学部
#紀要論文
施肥窒素供給期間によるサトウキビ(Saccharum officinarum L.)の生育に対する窒素固定寄与の15N 希釈法による推定
AI解説
- 背景と目的:
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サトウキビ(Sugarcane; *Saccharum officinarum* L.)は、砂糖生産および近年ではエタノール生産にも用いられる、世界的に重要なC4作物である。いくつかの生産体系では窒素(N)の蓄積が大きい(例:ブラジルでは年間100–200 kgN/ha)にもかかわらず、一般的なN肥料投入量は比較的少ないことがあり、施肥に対する収量反応も弱い場合が多い。さらに、地域によっては長期にわたりN施肥なしで栽培されていることもある。これらの観察は、生物学的窒素固定(biological nitrogen fixation; BNF)がサトウキビのN栄養に大きく寄与している可能性を示す状況証拠として解釈されてきた。これまでに15N希釈法(15N dilution)や15N自然存在比法(natural 15N abundance)を用いた推定では、大気由来Nの割合(%Ndfa: N derived from atmospheric N)が品種や無機態Nの利用可能性によって大きく変動し(例:日本の一部品種でおよそ10–40%、選抜された遺伝子型では最大で約70%)、幅広い値が報告されている。肥料使用に伴う硝酸汚染(沖縄で指摘されている)などの環境上の懸念も踏まえ、本研究は、N供給のタイミング/期間がサトウキビのN2固定にどのように影響するかを検証することを目的とした。具体的には、連続的なN供給、N無供給、初期生育後にN供給を中断する条件下で、15N希釈法を用い、肥料由来、植え付けた茎(planted stalk)由来、ならびに大気固定由来のNを定量した。
- 主要な発見:
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植物の生育はN供給に強く依存した。移植後2〜6週(weeks after transplanting; WAT)では、N供給区(N100およびN100N0)の両方でシュート長が急増した一方、連続N無供給(N0)では生育が極めて限定的だった。12 WAT時点でのシュート長はN100が140 cm、N100N0が130 cmであったのに対し、N0は18 cmにとどまった。12 WAT時点の新葉数は、N100が8、N100N0が7、N0が2であった。15N希釈法により、12 WATでの全植物Nは408 mgN(N100)および286 mgN(N100N0)と算出された。肥料由来Nは284 mgN(N100)に対し176 mgN(N100N0)であった。固定由来と推定されたNは、12 WATでN100が87 mgN(21%Ndfa)、N100N0が48 mgN(17%Ndfa)であった。20 WATでは、全NはN100でさらに569 mgNへ増加した一方、N100N0ではほぼ変化せず292 mgNであった。固定由来Nは、各処理内で12〜20 WATの間に同程度であり、20 WATではN100が88 mgN(15%Ndfa)、N100N0が57 mgN(20%Ndfa)であった。器官別の推定では、両収穫時点とも、緑葉や茎(stem)よりも、老化した古葉(old leaves)と植え付けた茎(planted stalk)で%Ndfaが高かった(例:12 WATでは、古葉が35%(N100N0)および51%(N100)、植え付けた茎が39%(N100N0)および48%(N100))。アセチレン還元活性(acetylene reduction activity; ARA)はN100およびN100N0の両方で全器官から検出され、最も高いARAを示す器官は処理と時点により異なった(例:12 WATのN100N0では茎が最大、12 WATのN100では根が最大)。著者らは、12〜20 WATで固定が概ね安定していたことについて、温室条件(低温、短日、鉢内土壌量の制限)によって制約を受けた可能性があると解釈している。
- 方法論:
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サトウキビ(cv. NiF8)を、1節を含む切断茎片から確立した。茎は洗浄後、12–15 cmに整え、シュートが約30 cmに達するまで、脱イオン水中で毎日換水しながら生育させた。その後、バーミキュライトを充填した1/5000 a Wagner potに移植し、新潟大学の温室で栽培した(冬期温度は20 ℃に維持)。基礎養分としてN無添加の培養液を毎日供給した。施肥処理は3区で、(1) N0:連続してN無添加培養液、(2) N100:15N標識硫酸アンモニウム(5.08 atom%15N)を鉢当たり週1回100 mgN施用、(3) N100N0:6 WATまで(2)と同様に週1回の標識N供給を行い、その後はN無添加培養液とした。シュート長と新葉数を毎週記録した。収穫は12 WAT(2000年11月10日)および20 WAT(2001年1月6日)に行い、各回で処理当たり3個体を収穫した。試料は緑葉、老化した古葉、茎、元の植え付け茎、根に分けた。乾燥・粉砕後、全N濃度はKjeldahl分解で測定し、15N存在比はKjeldahl分解液を用いた発光分光法(emission spectrometry)で測定した。肥料由来N(Ndff)は全Nと15N濃縮度から算出した。植え付け茎由来N(Ndfs)は、茎のNが各器官の全Nに比例して器官間に再分配されたと仮定して推定した。固定由来Nは差し引き(total N − Ndff − Ndfs)で算出した。さらに、ARA試験を両収穫時に各部位で実施し、組織を10%(v/v)のアセチレンを含む密閉チューブ内で30 ℃・24時間インキュベートし、生成したエチレンをガスクロマトグラフィーで定量した。
- 結論と意義:
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本ポット試験の条件下では、硫酸アンモニウムの供給は12 WATおよび20 WATのいずれにおいてもサトウキビの推定N2固定を抑制せず、また連続N供給区(N100)は、6 WAT後にN供給を停止した区(N100N0)よりも、固定由来Nの絶対量が大きい場合が多かった。著者らはこの傾向について、マメ科—根粒菌共生で一般に観察される強い負のフィードバックとは異なり、N施肥によって植物生育が改善することが、結果として固定活性に正の効果をもたらし得る可能性と整合的だと論じている。さらに、サトウキビ—エンドファイト(endophyte)連合は、根粒形成に基づく系よりも、外部からのN供給によるダウンレギュレーションが厳密ではない可能性があるとしている。分布パターン(緑葉や茎よりも古葉と植え付け茎で%Ndfaが高い)は、固定N(または収支計算により固定由来と帰属されたN)が根に限定されないことを示唆する。全器官でARAが検出されたことは、複数の組織に関連したnitrogenase活性の存在を支持する。同時に、著者らは固定が12〜20 WATでほとんど変化しなかった点を指摘し、その増加が限定的であった理由を環境制約(温度、日長、鉢容量)に帰しており、測定された寄与はこの特定の管理条件を反映するもので、必ずしも圃場での成績を意味しないことを強調している。総じて本研究は、品種NiF8において、初期生育後のN供給中断が固定を高めず、また15N希釈法で得られる固定推定値は継続的なN供給によって低下しなかったことを示す、品種特異的な証拠を提供した。
- 今後の展望:
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本論文は、得られた知見と先行研究との比較から、いくつかの方向性を提示している。第一に、無機態Nへの応答は品種依存であるように見え(Nishiguchi et al. (2005)でもNiF8とNi15の差が報告されている)、標準化したN条件下で品種を比較するさらなる研究により、硫酸アンモニウムによる抑制が見られないという観察結果の一般性を明らかにできる。第二に、エンドファイト性の窒素固定菌(endophytic diazotroph)の種によってN施肥への反応が異なり得ること(例:N肥料下でAcetobacter/Gluconacetobacter diazotrophicusは減少する一方、Herbaspirillum spp.は減少しないとの報告)を強調しており、群集組成と機能的な固定測定を結び付ける研究が有益になり得る。第三に、器官別の%Ndfaパターンと全組織でのARA検出は、固定が起こる部位と、植物体内での固定Nの移動に関する疑問を提起する。著者らはこれを、若い植物で根/茎挿し木からシュートへの固定N輸送が限定的であることを示した先行の15N2トレーサー結果と関連付けている。発育段階をまたぎ、さまざまな環境条件下でこの種のトレーサーに基づくアプローチを拡張することは、組織特異的な活性と全植物N収支の整合に役立つ可能性がある。最後に、著者らは本実験では温度、日長、根域制限が固定を制約したと考えており、より制約の少ない生育条件での検証を行うことで、発育後期に固定が増加するか、またN供給期間がそれらの要因とどのように相互作用するかを評価する必要性が示唆される。
- 背景と目的:
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サトウキビは、砂糖の原料としてだけでなく、近年はエタノール(燃料などに使われるアルコール)の生産にも使われる、とても重要な作物です。サトウキビは、体の中にたくさんの窒素をためこむのに、窒素肥料をあまり与えなくても育つことがあり、しかも肥料を増やしても収量があまり増えない場合が多いと知られています。中には、長い間ほとんど窒素肥料なしで育てられている地域もあります。
こうした事実から、サトウキビは空気中の窒素を自分で利用できる仕組み( )によって、窒素を補っている可能性があると考えられてきました。これまでの研究では、空気由来の窒素が全体のどれくらいを占めるか(生物学的窒素固定 ( 化学反応や工業的な方法ではなく、微生物が生きたままの働きで窒素固定を行うことです。サトウキビでは、体内や根のまわりの細菌が関わる可能性が注目されています) )は、品種や土の中にある%Ndfa ( 植物が取り込んだ窒素のうち、空気中の窒素をもとにした分が何パーセントかを表す指標です。窒素固定の貢献度を比べるときに使います) の量によって大きく変わり、10〜40%程度から、条件によっては70%近い値まで報告されています。無機態窒素 ( 土の中で植物が直接吸いやすい形の窒素で、代表例はアンモニウム態窒素や硝酸態窒素です。土にこれが多いか少ないかで、窒素固定の必要性が変わります)
また、肥料の使いすぎによる などの環境問題もあるため、この研究では「窒素肥料をいつまで与えるか(供給の期間)が、サトウキビの硝酸汚染 ( 肥料などから生じた硝酸が地下水などに流れ込み、水質を悪化させる問題です。環境や健康への影響が心配されるため、肥料の使い方を考える上で重要です) にどう影響するのか」を確かめることを目的にしました。具体的には、窒素をずっと与える条件、まったく与えない条件、途中で窒素の供給を止める条件を比べ、窒素固定 ( 空気中の窒素ガスを、植物が使える形の窒素化合物に変えることです。植物自身ではできないため、ふつうは微生物の働きを利用します。肥料が少なくても育つかどうかを考える上で大切です) を使って、肥料由来・15N希釈法 ( 15Nという特別な目印のついた窒素肥料を与え、植物体内の15Nの薄まり方から、肥料以外の窒素がどれだけ入ったかを推定する方法です。肥料由来と空気由来などを分けて考えるために使います) 由来・空気由来の窒素の量を見積もりました。植え付けた茎 ( サトウキビを増やすときに土に植える元の茎の部分です。ここに含まれる窒素が、成長する植物体に移動することがあるため、窒素の出どころを分ける計算で重要になります)
- 主要な発見:
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サトウキビの成長は、窒素の供給に強く左右されました。移植後2〜6週では、窒素を与えた区では茎(シュート)の長さが急に伸びましたが、窒素をずっと与えない区では成長がほとんど進みませんでした。12週後のシュート長は、窒素を与え続けた区で約140 cm、途中で止めた区で約130 cmでしたが、ずっと無窒素の区は約18 cmでした。新しい葉の数も、窒素ありの区で7〜8枚、無窒素の区で2枚と大きな差が出ました。
で推定した結果、12週後の植物全体の窒素量は、窒素を与え続けた区が408 mgN、途中で止めた区が286 mgNでした。空気由来(固定由来)と見積もられた窒素は、12週後に、窒素を与え続けた区で87 mgN(2115N希釈法 ( 15Nという特別な目印のついた窒素肥料を与え、植物体内の15Nの薄まり方から、肥料以外の窒素がどれだけ入ったかを推定する方法です。肥料由来と空気由来などを分けて考えるために使います) )、途中で止めた区で48 mgN(17%Ndfa)でした。%Ndfa ( 植物が取り込んだ窒素のうち、空気中の窒素をもとにした分が何パーセントかを表す指標です。窒素固定の貢献度を比べるときに使います)
20週後になると、窒素を与え続けた区では植物全体の窒素量が569 mgNまで増えましたが、途中で止めた区では292 mgNとほぼ増えませんでした。一方、固定由来の窒素量は、12週から20週の間で大きくは増えず、20週後は、窒素を与え続けた区で88 mgN(15%Ndfa)、途中で止めた区で57 mgN(20%Ndfa)でした。
植物の部位ごとに見ると、緑の葉や茎よりも、古い葉や で%Ndfaが高い傾向がありました。さらに、植え付けた茎 ( サトウキビを増やすときに土に植える元の茎の部分です。ここに含まれる窒素が、成長する植物体に移動することがあるため、窒素の出どころを分ける計算で重要になります) は、窒素を与えた区ではどの部位からも検出され、どの部位が最も高いかは条件や時期で変わりました。研究者は、12〜20週で固定があまり増えなかった理由として、温室の環境(低温、日照時間が短い、鉢で根が広がれないなど)が影響した可能性を挙げています。アセチレン還元活性 ( 窒素固定に関わる酵素の働きを、アセチレンというガスを別の物質に変える反応で間接的に測る方法です。窒素固定が起きていそうかを調べる指標として使われます)
- 方法論:
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サトウキビ(品種NiF8)を、1つの節が入るように切った茎から育てました。最初は水の中で育て、芽が約30 cmになったら、バーミキュライトを入れた鉢に移して温室で栽培しました。毎日、窒素を含まない培養液を与えました。
肥料の条件は3つです。1つ目は窒素なし(N0)。2つ目は、15Nで印をつけた を週1回100 mgN与え続ける(N100)。3つ目は、6週目までだけ同じ窒素肥料を与え、その後は窒素なしにする(N100N0)です。硫酸アンモニウム ( 窒素肥料の一種で、アンモニウム態の窒素を植物に供給できます。この研究では15Nで標識して、肥料由来の窒素を追跡するために使いました)
毎週、シュート長と新しい葉の数を測り、12週目と20週目に収穫して、緑葉・古葉・茎・ ・根に分けました。窒素量と15Nの割合を測定し、計算によって肥料由来の窒素、植え付けた茎由来の窒素、固定由来の窒素を推定しました。さらに、植え付けた茎 ( サトウキビを増やすときに土に植える元の茎の部分です。ここに含まれる窒素が、成長する植物体に移動することがあるため、窒素の出どころを分ける計算で重要になります) の試験も行い、アセチレン還元活性 ( 窒素固定に関わる酵素の働きを、アセチレンというガスを別の物質に変える反応で間接的に測る方法です。窒素固定が起きていそうかを調べる指標として使われます) に関わる反応が起きているかを調べました。窒素固定 ( 空気中の窒素ガスを、植物が使える形の窒素化合物に変えることです。植物自身ではできないため、ふつうは微生物の働きを利用します。肥料が少なくても育つかどうかを考える上で大切です)
- 結論と意義:
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この鉢での実験条件では、
を与えても、サトウキビの硫酸アンモニウム ( 窒素肥料の一種で、アンモニウム態の窒素を植物に供給できます。この研究では15Nで標識して、肥料由来の窒素を追跡するために使いました) (推定値)は抑えられませんでした。また、窒素を与え続けた区のほうが、途中で窒素を止めた区よりも、固定由来の窒素量が多いことが多く見られました。これは、窒素肥料が植物の成長を助け、その結果として窒素固定にも良い影響が出た可能性を示します。窒素固定 ( 空気中の窒素ガスを、植物が使える形の窒素化合物に変えることです。植物自身ではできないため、ふつうは微生物の働きを利用します。肥料が少なくても育つかどうかを考える上で大切です)
豆類のように、肥料の窒素が増えると窒素固定がはっきり弱まる仕組みとは違い、サトウキビと体内細菌の組み合わせでは、外からの窒素による抑え込みがそこまで強くないかもしれない、と研究者は考えています。
ただし、この研究では温室条件や鉢の制限が大きく、得られた値はこの条件に強く影響されているため、畑でも同じとは限らない点が強調されています。まとめると、品種NiF8では「途中で窒素供給を止めても窒素固定は増えず、窒素を与え続けても固定の推定値は下がらなかった」ことを示した研究です。
- 今後の展望:
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今後の課題として、まず品種によって反応が違う可能性があるため、同じ条件で複数の品種を比べる研究が必要だと述べています。次に、サトウキビの体内に住む
菌の種類によって、肥料への反応が変わる可能性があるので、どんな細菌がどれくらいいて、実際の固定量とどう結びつくかを調べる研究が重要です。窒素固定 ( 空気中の窒素ガスを、植物が使える形の窒素化合物に変えることです。植物自身ではできないため、ふつうは微生物の働きを利用します。肥料が少なくても育つかどうかを考える上で大切です)
また、部位ごとの の特徴や、どの部位でも%Ndfa ( 植物が取り込んだ窒素のうち、空気中の窒素をもとにした分が何パーセントかを表す指標です。窒素固定の貢献度を比べるときに使います) が出たことから、「実際にどこで固定が起き、固定された窒素が植物の中をどう移動するのか」をより直接的に確かめる必要があります。さらに、温度・日長・根が広がれる範囲などの制限が少ない条件でも試し、成長の後半で固定が増えるか、窒素供給期間と環境条件がどう影響し合うかを調べることが求められます。アセチレン還元活性 ( 窒素固定に関わる酵素の働きを、アセチレンというガスを別の物質に変える反応で間接的に測る方法です。窒素固定が起きていそうかを調べる指標として使われます)
- 何のために?:
-
サトウキビは、さとうのもとです。
さいきんは、燃料 にも使われます。
サトウキビは、とても大事な作物です。
サトウキビは、少ない肥料 でも育つことがあります。
なのに、体の中に をたくさん持てます。窒素 ( 空気や土の中にある成分 で、植物が大きくなるために必要 な栄養 のもと肥料 にもよく入っていて、足りないと育ちにくくなります)
窒素 は、植物が育つのに大切です。
肥料 をふやしても、実りが増 えないこともあります。
だから、空気の窒素 を使うのかもと考えました。
空気の窒素 を使う力を、 といいます。窒素固定 ( 空気中の窒素 を、植物が使える形に変 えて体の中に取りこむ力のこと肥料 が少なくても育てられるかどうかに関係 するので大事です)
や土で、その力は品種 ( 同じ植物でも、育ち方や強さなどの特徴 がちがうグループのこと品種 が違 うと結果 も変 わるため、実験 ではどの品種 かをはっきりさせます) 変 わると言われます。
肥料 のやりすぎは、環境 をよごすこともあります。
そこで、肥料 をいつまであげるかを調べます。
窒素 をずっとあげる場合も見ます。
ぜんぜんあげない場合も見ます。
途中 でやめる場合も見ます。
そして、どこから窒素 が来たかを調べます。
肥料 、植えた茎 、空気の3つを比 べます。
- 何が分かったの?:
-
サトウキビの育ちは、
で大きく窒素 ( 空気や土の中にある成分 で、植物が大きくなるために必要 な栄養 のもと肥料 にもよく入っていて、足りないと育ちにくくなります) 変 わりました。
窒素 をあげると、茎 がぐんぐん伸 びました。
窒素 がないと、ほとんど伸 びませんでした。
12週後、ずっと窒素 ありは約 140cmでした。
途中 でやめた区は、約 130cmでした。
ずっと窒素 なしは、約 18cmでした。
新しい葉も、窒素 ありは7〜8枚 でした。
窒素 なしは、2枚 で少なかったです。
植物ぜんたいの窒素 も、窒素 ありで多めでした。
12週後、ずっと窒素 ありは408mgでした。
途中 でやめた区は286mgでした。
空気から来た窒素 も、少し見つかりました。
12週後、ずっと窒素 ありは87mgでした。
わり合は、だいたい21%でした。
途中 でやめた区は48mgでした。
わり合は、だいたい17%でした。
20週後、ずっと窒素 ありは窒素 が増 えました。
569mgまで増 えました。
途中 でやめた区は、あまり増 えませんでした。
292mgくらいでした。
空気からの窒素 は、大きくは増 えませんでした。
20週後、ずっと窒素 ありは88mgでした。
わり合は、だいたい15%でした。
途中 でやめた区は57mgでした。
わり合は、だいたい20%でした。
古い葉や植えた茎 で、わり合が高めでした。
また、 に窒素固定 ( 空気中の窒素 を、植物が使える形に変 えて体の中に取りこむ力のこと肥料 が少なくても育てられるかどうかに関係 するので大事です) 関係 する も見つかりました。反応 ( 体の中で起きる変化 やはたらきのこと 窒素固定に関係 する反応 があるかどうかで、固定 が起きているかを考える手がかりになります)
ただ、いつ強いかは、時期で変 わりました。
の寒さなどが、えいきょうしたかもしれません。温室 ( 温度などを調整して植物を育てる建物 のこと 外の天気に左右されにくいので、条件 をそろえて調べるのに大切です)
日が短いことも、関係 したかもしれません。
鉢 で根が広がれないことも、理由かもしれません。
- どうやったの?:
-
はNiF8のサトウキビです。品種 ( 同じ植物でも、育ち方や強さなどの特徴 がちがうグループのこと品種 が違 うと結果 も変 わるため、実験 ではどの品種 かをはっきりさせます)
節 が1つ入るように、茎 を切って育てました。
はじめは水の中で育てました。
芽 が30cmくらいで、鉢 にうつしました。
で育てました。温室 ( 温度などを調整して植物を育てる建物 のこと 外の天気に左右されにくいので、条件 をそろえて調べるのに大切です)
毎日、 のない窒素 ( 空気や土の中にある成分 で、植物が大きくなるために必要 な栄養 のもと肥料 にもよく入っていて、足りないと育ちにくくなります) をあげました。えいよう水 ( 植物に必要 な栄養 をとかした水のこと 土を使わずに育てたり、どの栄養 をどれだけ与 えたかを正確 に決めたりできます)
条件 は3つに分けました。
1つ目は、窒素 なしです。
2つ目は、週1回、窒素 の肥料 をあげます。
これは、ずっと続 けます。
3つ目は、6週目まで肥料 をあげます。
そのあと、窒素 なしにします。
毎週、茎 の長さをはかりました。
新しい葉の数も数えました。
12週目と20週目に、植物をとりました。
葉や茎 や根に分けました。
それぞれの窒素 の量 をしらべました。
そして、窒素 の来た場所を計算しました。
さらに、別 の で試験 ( 決めたやり方で確 かめるための実験 のこと 同じ方法 でくり返して、結果 が本当かどうかを確認 します) もたしかめました。窒素固定 ( 空気中の窒素 を、植物が使える形に変 えて体の中に取りこむ力のこと肥料 が少なくても育てられるかどうかに関係 するので大事です)
- 研究のまとめ:
-
この
実験 では、肥料 で が弱まりませんでした。窒素固定 ( 空気中の窒素 を、植物が使える形に変 えて体の中に取りこむ力のこと肥料 が少なくても育てられるかどうかに関係 するので大事です)
むしろ、 ありで空気の窒素 ( 空気や土の中にある成分 で、植物が大きくなるために必要 な栄養 のもと肥料 にもよく入っていて、足りないと育ちにくくなります) 窒素 が多いこともありました。
肥料 で元気に育ち、固定 も進んだのかもしれません。
豆のなかまは、肥料 で固定 が弱まりやすいです。
でもサトウキビは、ちがうかもしれません。
ただし、これは と温室 ( 温度などを調整して植物を育てる建物 のこと 外の天気に左右されにくいので、条件 をそろえて調べるのに大切です) 鉢 での結果 です。
畑で同じとは、言い切れません。
まとめると、途中 でやめても固定 は増 えませんでした。
ずっとあげても、固定 は下がりませんでした。
- これからどうする?:
-
がちがうと、品種 ( 同じ植物でも、育ち方や強さなどの特徴 がちがうグループのこと品種 が違 うと結果 も変 わるため、実験 ではどの品種 かをはっきりさせます) 結果 も変 わるかもしれません。
だから、ほかの品種 でもくらべる必要 があります。
また、体の中の が細菌 ( とても小さな生き物で、植物の体の中などにいることがあります 窒素固定を助ける種類 もいるため、結果 に関係 するかもしれません) 関係 するかもしれません。
どんな細菌 がいるか、調べることが大切です。
そして、どれだけ固定 するかも見たいです。
どこで固定 が起きるかも、もっと知りたいです。
固定 した が、体の中でどう動くかも大切です。窒素 ( 空気や土の中にある成分 で、植物が大きくなるために必要 な栄養 のもと肥料 にもよく入っていて、足りないと育ちにくくなります)
温度や日が長い条件 でも試 す必要 があります。
根が広がれる場所でも、試 したいです。
成長 の後半に、固定 が増 えるかも調べます。
- 著者名:
- Hiyama Takahiro, Momose Atsushi, Nishimura Keiko, Ishizaki Noriko, Ishikawa Shinji, Yamamoto Misaki, Hung Ngyuen Van Phi, Chamaiporn Anuwong, Ruamrungsri Soraya, Ohtake Norikuni, Sueyoshi Kuni, Ohyama Takuji
- 掲載誌名:
- 新潟大学農学部研究報告
- 巻:
- 66
- 号:
- 1
- ページ:
- 11 - 19
- 発行日:
- 2013-10
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/23964
