論文詳細
自然科学系
農学部
#紀要論文
東アジアにおけるFTAの進展と農業をめぐる経済連携
- AI解説:
- 本論文は、WTOの無差別的な多国間貿易枠組みと、二国間・準地域的な特恵貿易協定(PTA)の急速な拡大との間にある緊張関係を問題意識としている。2005年11月までに世界で180件超のPTAが締結されていた。著者らは、2005年12月の香港WTO閣僚会議の不調に象徴されるようにWTO交渉が深刻な困難に直面していた一方で、東アジアの経済がPTAを補完的な通商戦略としていっそう重視していた点を指摘する。こうした背景のもと、本研究は、世界の農産物市場が(主として先進工業国の高い保護によって)大きく歪められているため、農業が貿易自由化において特にセンシティブな領域であることを強調する。さらに著者らは、財(goods)に限定された貿易取り決めでは不十分であり、人・資本・サービスの移動を取り込む、より広範な経済連携協定(EPA)の方が重要であるとも論じる。本論文の目的は、(i)FTAをめぐる地域状況を概観し、(ii)国内の農業政策論争に影響力があるとみなされる日本・中国・韓国の農業経済学者への質問票調査を用いて、農業協力に関する認識上の影響と困難を特定することで、東アジア農業における経済連携の可能性を明らかにすることである。
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自然科学系
農学部
#紀要論文
東アジアにおけるFTAの進展と農業をめぐる経済連携
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、WTOの無差別的な多国間貿易枠組みと、二国間・準地域的な特恵貿易協定(PTA)の急速な拡大との間にある緊張関係を問題意識としている。2005年11月までに世界で180件超のPTAが締結されていた。著者らは、2005年12月の香港WTO閣僚会議の不調に象徴されるようにWTO交渉が深刻な困難に直面していた一方で、東アジアの経済がPTAを補完的な通商戦略としていっそう重視していた点を指摘する。こうした背景のもと、本研究は、世界の農産物市場が(主として先進工業国の高い保護によって)大きく歪められているため、農業が貿易自由化において特にセンシティブな領域であることを強調する。さらに著者らは、財(goods)に限定された貿易取り決めでは不十分であり、人・資本・サービスの移動を取り込む、より広範な経済連携協定(EPA)の方が重要であるとも論じる。本論文の目的は、(i)FTAをめぐる地域状況を概観し、(ii)国内の農業政策論争に影響力があるとみなされる日本・中国・韓国の農業経済学者への質問票調査を用いて、農業協力に関する認識上の影響と困難を特定することで、東アジア農業における経済連携の可能性を明らかにすることである。
- 主要な発見:
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日本・中国・韓国のいずれにおいても、農業経済学者が最も頻繁に望ましい国際貿易体制として選んだのは、「WTOとFTAが併存する中でのWTO中心の体制」であったが、その志向の強さは国によって異なった。中国は強いWTO志向を示し、韓国はFTAに強く傾き、日本は相対的に方向性が明確ではない一方で、地域経済圏への傾斜が比較的強かった。論文は日本国内の顕著な選好ギャップも示している。すなわち「一般の日本人」は日本の農業経済学者よりもWTO中心志向が強く、また農業経済学者よりもFTAを肯定的に評価していた。FTA批准前に検討すべき課題については、韓国の農業経済学者が中国や日本の回答者よりも多くの論点を挙げる傾向があった。国ごとの優先事項は分岐しており、日本は食料自給、中国は人の移動とEPA、韓国はセンシティブ品目、非貿易的関心事項、特別セーフガードを重視した。FTAの利点に関する評価は大きく異なり(例:消費者利益は韓国と中国で高く評価されたが、日本では相対的に低かった)、一方で欠点に関する認識は国をまたいでより似通っており、とりわけ食の安全(food safety)への高い懸念が共通していた。国内農業へのFTA影響評価は大きく対立しており、日本は中国・韓国・ASEANとのFTAに否定的、中国はすべてに肯定的、韓国は中国・ASEANに否定的だが日本には肯定的であった。著者らは、「農業 vs. 総産業」のスコア差を、農業が日本と韓国では相対的に劣位、中国では相対的に優位であることを示唆するものとして解釈するが、同時に、農業は3か国すべてで国際競争力を欠く(中国も「例外ではない」)とも報告している。最後に、共同研究の優先課題としては、食の安全、東アジアの共通農業政策、貧困/地域格差、環境問題が挙げられ、中国は日本や韓国よりも共通農業政策を相対的に重視した。
- 方法論:
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本研究は、東アジアにおけるFTA/EPAと農業協力に関して、農業経済研究者の認識を把握するために設計された国際比較の質問票調査を用いている。対象母集団は、日本では日本農業経済学会の会員、韓国ではKorean Society of Agricultural Economistsの会員、中国では農業経済研究で知られる主要大学・研究機関の農業経済学者であった。標準化した質問票形式を各国語に翻訳した。調査は郵送で実施され、日本に931通、中国に300通、韓国に350通を送付した。回収数は日本453、中国177、韓国119であった。調査時期は国により異なり、日本が2005年1月、韓国が2005年2月、中国が2005年3月である。分析は、複数の次元について国別比較を行う集計結果に基づく。具体的には、望ましい国際貿易体制、FTA批准前に検討すべき課題、FTAの利点・欠点の認識、FTAが国内産業および国内農業に与えると見込まれる影響である。影響評価(Table 7)では、(i)国内総産業と(ii)国内農業について別々に、また日本–中国–韓国間およびこれら諸国とASEANとの相手国・地域の組合せごとに、「Advantages are greater(利点が大きい)」の回答率から「Disadvantages are greater(欠点が大きい)」の回答率を差し引いたスコアを構成している。関連する箇所では、三菱総合研究所による「一般の日本人」のFTAに関する別調査結果とも比較している。
- 結論と意義:
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著者らは主要な結論を3点示す。第1に、地域協力はグローバルな貿易努力の代替ではなく補完として位置づけられる。FTAとEPAは「WTO-plus」原則に立脚する場合にのみ効率的であると描かれ、これは多国間主義からの離反ではなく、WTO規律との整合性とその強化を含意する。第2に、地域統合は二重のプロセスとして概念化される。すなわち、貿易・投資によって深まる市場主導の相互依存と、地域のリーダーシップの下で相互理解と合意形成を進める政治・社会的進展の結合である。第3に、本論文は国内的な正統性(legitimacy)とコミュニケーションの政策的重要性を強調する。日本で確認された、専門家と一般の見解のギャップへの対処が必要であり、国内での合意形成は国境を越えた合意形成と同程度に重要だとされる。実質的には、結果は農業協力が政治的・経済的に複雑であることを示す。FTAの産業全体への影響は各国で比較的肯定的に見られる一方、農業部門への影響は争点化され、非対称であり、日本は特に悲観的で中国は楽観的である。各国間での優先事項(自給、人の移動/EPAの範囲、センシティブ品目の扱い)の違いと、共通の懸念(とりわけ食の安全)を明らかにすることで、本論文は、これらの認識ギャップを実務上の障害であると同時に、東アジア農業における実現可能な地域協力を設計するための出発点として位置づけている。
- 今後の展望:
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本論文は、自身の射程を詳細な政策設計ではなく「一般的論点」に限定すると明示し、実際の経済連携を前進させるには、個別論点についてより踏み込んだ共通理解と合意形成が必要だと論じる。具体的な今後の研究ニーズとして、中国や韓国の一般の人々の見解を扱った対応研究が当時まだ存在しなかった点が挙げられる。現論文が専門家の回答と世論を比較できたのは、日本(前述の三菱総合研究所調査)に限られていた。著者らは、今後の研究でこれらの不足を埋める意向を述べている。さらに、調査結果は、農業における経済連携構築の一環として、国際共同研究のアジェンダ設定にも資するものとして提示される。優先度は国によって異なるものの、食の安全、東アジアの共通農業政策、貧困と地域格差、環境問題はいずれも高い回答率を得ており、共同研究の焦点領域となりうる。これら将来志向の要素は、相互理解を醸成し合意形成を促す仕組みとして提示されており、著者らは、FTA/EPAに関する広い議論から、東アジア農業における実効的な地域協力へと進むための必要条件としてそれらを位置づけている。
- 背景と目的:
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この論文は、世界全体で同じルールを目指す
の貿易の仕組みと、国どうしで特別な条件を決めるWTO ( 世界の多くの国が参加して、貿易の共通ルールを決めたり、交渉したりする国際機関です。特定の国だけをえこひいきしない仕組みを基本にし、貿易のトラブル解決にも関わるため、国際貿易の土台として重要です。) などの協定が急増していることの「ずれ」や「対立」を問題にしています。2005年11月までに、世界では180件を超えるFTA ( 国どうしが関税などを下げて、モノの貿易をしやすくする約束です。WTOより少ない国で決めるので早く進みやすい一方、参加しない国との不公平や、国内の弱い産業への影響が問題になりやすいです。) が結ばれていました。一方で、WTOの交渉は2005年12月の香港会議がうまくいかなかったことに見られるように、行き詰まりが目立っていました。そのため東アジアでは、WTOを補う方法としてPTAがより重視されていました。PTA ( 特定の国や地域の間だけで、関税などの条件を有利にする貿易協定の総称です。WTOのような世界共通ルールとは別に進むため、国際貿易のルールが複雑になる要因にもなります。)
とくに農業は、先進国が強い保護政策をとってきた影響で世界の市場がゆがみやすく、自由貿易の交渉で対立が起きやすい「扱いが難しい分野」だと説明しています。また、モノの貿易だけを決めるより、人やお金、サービスの移動まで含める のような広い協定が重要だとも述べます。EPA ( FTAより範囲が広く、モノの貿易だけでなく、人の移動、投資、お金の動き、サービス取引なども含めて協力を決める協定です。経済のつながりを総合的に深めるために重要だと考えられます。)
この研究の目的は、東アジアでのFTAの状況を整理したうえで、日本・中国・韓国の農業経済学者にアンケートを行い、農業協力を進めるうえでの考え方の違いや難しさを明らかにし、東アジア農業の経済連携がどこまで可能かを考えることです。
- 主要な発見:
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3か国の農業経済学者が最も多く選んだ望ましい国際貿易の形は、「
とWTO ( 世界の多くの国が参加して、貿易の共通ルールを決めたり、交渉したりする国際機関です。特定の国だけをえこひいきしない仕組みを基本にし、貿易のトラブル解決にも関わるため、国際貿易の土台として重要です。) が両方ある中でも、基本はWTOを中心にする」という考え方でした。ただし、重視のしかたは国によって違いがあり、中国はWTO重視が強く、韓国はFTA寄り、日本ははっきりしないものの地域経済圏を重視する傾向が比較的強い結果でした。FTA ( 国どうしが関税などを下げて、モノの貿易をしやすくする約束です。WTOより少ない国で決めるので早く進みやすい一方、参加しない国との不公平や、国内の弱い産業への影響が問題になりやすいです。)
また日本では、一般の人のほうが農業経済学者よりもWTO中心の考えが強く、さらにFTAを前向きに評価する面も見られ、専門家と世論の違いが目立ちました。
FTAを結ぶ前に検討すべき点は、韓国の農業経済学者が中国・日本より多く挙げる傾向がありました。優先するテーマも国で分かれ、日本は 、中国は人の移動や食料自給 ( 国内で必要な食料をどの程度国内生産でまかなえるかという考え方です。危機時の安定や農業の維持と結びつきやすく、日本では特に重視されやすいテーマです。) 、韓国はEPA ( FTAより範囲が広く、モノの貿易だけでなく、人の移動、投資、お金の動き、サービス取引なども含めて協力を決める協定です。経済のつながりを総合的に深めるために重要だと考えられます。) 、センシティブ品目 ( 自由化すると国内への打撃が大きいと考えられ、交渉で特別扱いが求められやすい農産物などの品目です。どこまで守るかが交渉の争点になります。) 、非貿易的関心事項 ( 貿易そのものの利益だけでなく、環境保護、農村の維持、食料の安定確保など、社会的な目的を重視する考え方です。農業分野では特に議論になりやすい論点です。) を重視しました。特別セーフガード ( 輸入が急に増えて国内産業に大きな被害が出そうなときに、一時的に関税を上げるなどして守る仕組みです。農業を守る手段として重要視されることがあります。)
FTAの利点の評価は国によって大きく違い、たとえば消費者の利益は韓国と中国で高く評価された一方、日本では相対的に低めでした。しかし欠点については国を超えて似ており、とくに への心配が共通して高い点が重要でした。食の安全 ( 食べ物が健康に害を与えないように、衛生や検査、基準などで安全性を確保することです。貿易が増えるほど産地や管理が複雑になり、不安が高まりやすい重要な論点です。)
国内農業への影響については意見の対立が大きく、日本は中国・韓国・ とのFTAに否定的、中国はすべてに肯定的、韓国は中国・ASEANには否定的だが日本には肯定的という結果でした。論文は、農業が日本と韓国では国内の他産業に比べて不利になりやすく、中国では相対的に有利に見える可能性を示しつつも、3か国とも農業のASEAN ( 東南アジアの国々が作る地域協力の枠組みです。東アジアのFTAを考えるとき、重要な相手地域としてよく比較対象になります。) は高くないと述べています。国際競争力 ( 国際市場で、価格や品質などの面で他国と比べて有利に戦える力のことです。FTAの影響を考えるとき、どの産業が伸び、どの産業が厳しくなるかを判断する基礎になります。)
共同研究で優先したいテーマとしては、食の安全、東アジアの共通農業政策、貧困や地域格差、環境問題が挙げられました。中国は日本・韓国より共通農業政策を重視する傾向がありました。
- 方法論:
-
この研究は、日本・中国・韓国の農業経済学者を対象に、
やFTA ( 国どうしが関税などを下げて、モノの貿易をしやすくする約束です。WTOより少ない国で決めるので早く進みやすい一方、参加しない国との不公平や、国内の弱い産業への影響が問題になりやすいです。) 、農業協力への考え方を比べるためのアンケート調査を行っています。対象は、日本は日本農業経済学会の会員、韓国は韓国の農業経済学者の学会会員、中国は主要大学や研究機関の農業経済学者でした。質問票は標準化した形式を各国語に翻訳して郵送しました。EPA ( FTAより範囲が広く、モノの貿易だけでなく、人の移動、投資、お金の動き、サービス取引なども含めて協力を決める協定です。経済のつながりを総合的に深めるために重要だと考えられます。)
送付数は日本931通、中国300通、韓国350通で、回収数は日本453、中国177、韓国119でした。調査時期は日本が2005年1月、韓国が2005年2月、中国が2005年3月です。分析では、望ましい貿易体制、批准前に検討すべき課題、利点・欠点の認識、国内産業や国内農業への影響見込みなどを国別に比較しました。
影響の評価では、「利点が大きい」と答えた割合から「欠点が大きい」と答えた割合を引いたスコアを作り、国や相手(日本・中国・韓国どうし、または との組合せ)ごとに比べました。日本については、別の「一般の日本人」調査結果とも比べています。ASEAN ( 東南アジアの国々が作る地域協力の枠組みです。東アジアのFTAを考えるとき、重要な相手地域としてよく比較対象になります。)
- 結論と意義:
-
論文の結論は主に3つです。1つ目は、地域の協力は
の代わりではなく、WTOを補うものだという点です。WTO ( 世界の多くの国が参加して、貿易の共通ルールを決めたり、交渉したりする国際機関です。特定の国だけをえこひいきしない仕組みを基本にし、貿易のトラブル解決にも関わるため、国際貿易の土台として重要です。) やFTA ( 国どうしが関税などを下げて、モノの貿易をしやすくする約束です。WTOより少ない国で決めるので早く進みやすい一方、参加しない国との不公平や、国内の弱い産業への影響が問題になりやすいです。) は、WTOのルールを弱めるのではなく、WTOと整合的で、さらに上乗せする形で進めるときに意味があるとします。EPA ( FTAより範囲が広く、モノの貿易だけでなく、人の移動、投資、お金の動き、サービス取引なども含めて協力を決める協定です。経済のつながりを総合的に深めるために重要だと考えられます。)
2つ目は、 は2つの流れが同時に進むものだという考え方です。貿易や投資を通じて市場のつながりが強まる流れと、政治や社会の面で相互理解や地域統合 ( 近い国や地域が、貿易や投資のルールを整えたり、政策協力を進めたりして、経済的な結びつきを強めることです。市場のつながりだけでなく、政治的な合意づくりも必要になります。) を進める流れが組み合わさる必要があります。合意形成 ( 意見が違う人や国どうしが話し合い、納得できる形にまとめていくことです。国内でも国際間でも必要で、経済連携を実行するうえでのカギになります。)
3つ目は、国内での納得や合意づくりの重要性です。日本で見られたような専門家と一般の人の意見の差に向き合い、国内の合意形成を進めることは、国どうしの合意と同じくらい大切だと述べています。
全体として、産業全体へのFTAの影響は比較的前向きに見られやすい一方、農業への影響は国によって評価が大きく割れ、政治的・経済的に調整が難しいことが示されました。ただし、国ごとの優先事項の違いと、 のような共通の心配を整理することは、現実的な地域協力を設計する出発点になるとしています。食の安全 ( 食べ物が健康に害を与えないように、衛生や検査、基準などで安全性を確保することです。貿易が増えるほど産地や管理が複雑になり、不安が高まりやすい重要な論点です。)
- 今後の展望:
-
この論文は、細かい制度設計まで踏み込むのではなく、まず大きな論点を整理する研究だと位置づけています。実際に経済連携を進めるには、個別の争点について、もっと具体的に共通理解と
を進める必要があると述べます。合意形成 ( 意見が違う人や国どうしが話し合い、納得できる形にまとめていくことです。国内でも国際間でも必要で、経済連携を実行するうえでのカギになります。)
また当時は、中国や韓国の一般の人々の考え方を扱う研究が不足しており、専門家と世論を比べられたのは日本だけでした。今後はその不足を補う研究を進めたいとしています。さらに、 、共通農業政策、貧困や地域格差、環境問題などは国際共同研究のテーマとして有望で、相互理解と合意形成を進める助けになると述べています。食の安全 ( 食べ物が健康に害を与えないように、衛生や検査、基準などで安全性を確保することです。貿易が増えるほど産地や管理が複雑になり、不安が高まりやすい重要な論点です。)
- 何のために?:
-
この文は、国どうしの
の話です。貿易 ( 国と国のあいだで、物やサービスを売ったり買ったりすること。国どうしの関係 や、どんな品物が安く手に入るかに大きく関 わるため重要 です)
貿易 は、物を売ったり買ったりです。
は、世界の共通ルールを決めます。WTO ( 世界貿易機関という、国どうしの貿易 の共通ルールを決めたり、もめごとを話し合ったりする組織 。公平に取引するための土台になります)
は、国どうしのFTA ( 自由貿易協定という、国どうしで関税 などを減 らしたりして貿易 をしやすくする特別 な約束 。どの国の産業 が得 をするか損 をするかに影響 します) 特別 な約束 です。
この2つがふえて、ずれが出ています。
2005年ごろ、FTAの約束 が増 えました。
でもWTOの話し合いは止まりがちでした。
そのため、 でFTAが大事でした。東アジア ( 日本や中国や韓国など、アジアの東の地域 のこと。この地域 の国どうしの協力 や競争 を考えるときの基本 になります)
農業は、とてもむずかしい分野です。
お金で守られてきた国が多いからです。
そのため、けんかになりやすいです。
人やお金の動きも決める も大切です。EPA ( 経済連携協定 という、物の売り買いだけでなく、人の行き来や投資 なども含 めて決める国どうしの約束 。くらしや仕事のルールにも関 わるので重要 です)
研究のねらいがあります。
日本、中国、韓国の専門家 に聞きました。
農業で協力 するむずかしさを調べます。
東アジアで協力 できるか考えます。
- 何が分かったの?:
-
3つの国の
専門家 の多くは言いました。
基本 は を大事にする考えでした。WTO ( 世界貿易機関という、国どうしの貿易 の共通ルールを決めたり、もめごとを話し合ったりする組織 。公平に取引するための土台になります)
でも国でちがいもありました。
中国はWTOをとくに大事にしました。
韓国は を大事にしがちでした。FTA ( 自由貿易協定という、国どうしで関税 などを減 らしたりして貿易 をしやすくする特別 な約束 。どの国の産業 が得 をするか損 をするかに影響 します)
日本は、地域 のまとまりを重く見ました。
日本では、ふつうの人にも聞きました。
ふつうの人はWTO中心が多めでした。
FTAをよいと思う人もいました。
専門家 と、ふつうの人に差 がありました。
FTAの前に考えることがあります。
韓国の専門家 は、たくさん挙 げました。
大事にしたいことは国で分かれました。
日本は、食べ物を国で作ることです。
中国は、人の行き来や をEPA ( 経済連携協定 という、物の売り買いだけでなく、人の行き来や投資 なども含 めて決める国どうしの約束 。くらしや仕事のルールにも関 わるので重要 です) 重視 です。
韓国は、守りたい を品目 ( 品物の種類 のこと。どの品目を守るかで、農業などへの影響 が変 わります) 重視 しました。
ほかにも、特別 な守りのルールも大事です。
FTAのよい点は、国でちがいました。
買う人の得 は、韓国と中国で高めでした。
日本では、その評価 が低 めでした。
でも悪い点は、どの国も似 ていました。
とくに食べ物の安全が心配でした。
自分の国の農業への影響 も分かれました。
日本は、近い国とのFTAに消極的 でした。
中国は、どれも前向きでした。
韓国は、中国や にASEAN ( 東南アジアの国々 の集まりの名前。地域 としての貿易 の約束 や協力 に関 わるため、FTAの相手として重要 です) 消極的 でした。
でも日本とのFTAには前向きでした。
3つの国とも、農業の強さは高くないです。
いっしょに研究したいこともありました。
食べ物の安全が大事だとされました。
で同じ農業の決まりも話題です。東アジア ( 日本や中国や韓国など、アジアの東の地域 のこと。この地域 の国どうしの協力 や競争 を考えるときの基本 になります)
貧 しさの差 や、地域 の差 も大事です。
環境 の問題も大事だと言いました。
中国は、共通 の決まりをより重視 しました。
- どうやったの?:
-
日本、中国、韓国の
専門家 に聞きました。
聞いたのは、 というアンケート ( 多くの人に同じ質問 をして答えを集める調査 方法 。意見のちがいを数字で比 べやすいので研究でよく使います) 質問 です。
質問 を紙にして、各国 の言葉にしました。
それを郵送 して集めました。
送った数も書かれています。
日本は931通を送りました。
中国は300通を送りました。
韓国は350通を送りました。
集まった数は、日本453通です。
中国は177通、韓国は119通です。
聞いた時期は、2005年のはじめです。
答えを国ごとにくらべました。
どんな がよいかを見ました。貿易 ( 国と国のあいだで、物やサービスを売ったり買ったりすること。国どうしの関係 や、どんな品物が安く手に入るかに大きく関 わるため重要 です)
の前に何を考えるかも見ました。FTA ( 自由貿易協定という、国どうしで関税 などを減 らしたりして貿易 をしやすくする特別 な約束 。どの国の産業 が得 をするか損 をするかに影響 します)
よい点と悪い点もくらべました。
農業への影響 もくらべました。
日本は、ふつうの人の調査 とも比 べました。
- 研究のまとめ:
-
大事な
結論 は3つあります。
1つ目は、 はFTA ( 自由貿易協定という、国どうしで関税 などを減 らしたりして貿易 をしやすくする特別 な約束 。どの国の産業 が得 をするか損 をするかに影響 します) の代わりではないです。WTO ( 世界貿易機関という、国どうしの貿易 の共通ルールを決めたり、もめごとを話し合ったりする組織 。公平に取引するための土台になります)
WTOを助けるものだと言います。
WTOのルールと合う形が大切です。
2つ目は、協力 には2つの流れがあることです。
物の売り買いで、つながりが強まります。
同時に、気持ちの理解 も進めます。
この2つが、いっしょに必要 です。
3つ目は、国の中での話し合いも大切です。
日本では、専門家 と世の中に差 がありました。
その差 を見て、納得 を作ることが必要 です。
国どうしの約束 と同じくらい大切です。
全体では、工業などは前向きに見られました。
でも農業は、国で意見が大きく分かれました。
だから調整がむずかしいと分かりました。
それでも、共通 の心配もあります。
食べ物の安全などです。
共通点 とちがいを整理することが出発点です。
- これからどうする?:
-
この研究は、大きな点をまとめたものです。
細かいルール作りまではしていません。
本当に進めるなら、もっと詳 しく話す必要 です。
一つ一つの問題で、共通 の理解 が必要 です。
当時、中国や韓国のふつうの人の調査 は少数です。
だから日本だけ、比 べることができました。
これから、その調査 を増 やしたいと言います。
食の安全などは、いっしょの研究に向きます。
それが、理解 と合意を進める助けになります。
- 著者名:
- Kiminami Lily Y., Kiminami Akira
- 掲載誌名:
- 新潟大学農学部研究報告
- 巻:
- 58
- 号:
- 2
- ページ:
- 85 - 95
- 発行日:
- 2006-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/667
