論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
ネウボラ機能をもつ施設を継続的に利用する母親の思い : 妊娠期から子育て期に焦点を当てて
- AI解説:
- 近年、日本では核家族化や少子化、都市化、女性の社会進出などの影響で、子育て環境が大きく変化しています。その結果、特に妊産褥期の母親がうつ病や育児不安などの問題を抱えることが増えています。しかし、日本の従来の母子保健システムは、妊娠・出産・育児期のサポートが分断されており、切れ目ない支援が提供されていないのが現状です。このような状況を背景に、「フィンランド発祥のネウボラ」が注目されています。本研究の目的は、ネウボラの機能を持つA施設を利用する母親の思いを調査し、切れ目ない子育て支援への示唆を得ることです。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
ネウボラ機能をもつ施設を継続的に利用する母親の思い : 妊娠期から子育て期に焦点を当てて
AI解説
- 背景と目的:
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近年、日本では核家族化や少子化、都市化、女性の社会進出などの影響で、子育て環境が大きく変化しています。その結果、特に妊産褥期の母親がうつ病や育児不安などの問題を抱えることが増えています。しかし、日本の従来の母子保健システムは、妊娠・出産・育児期のサポートが分断されており、切れ目ない支援が提供されていないのが現状です。このような状況を背景に、「フィンランド発祥のネウボラ」が注目されています。本研究の目的は、ネウボラの機能を持つA施設を利用する母親の思いを調査し、切れ目ない子育て支援への示唆を得ることです。
- 主要な発見:
-
A施設を利用する母親たちは、利用前には妊娠期から子育てのイメージが湧かず、心の余裕が持てない不安や辛さを感じていました。また、専門職に相談したかったが、その場限りの対応に対する諦めや、子連れで出かける場が少ないことへの不満もありました。しかし、A施設を継続的に利用することで、妊娠期からの学びの場や継続的な支援によって心の余裕が生まれ、信頼感や安心感を得ることができました。さらに、子育て仲間と悩みを共有し、家族との子育ての共有も進みました。
- 方法論:
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本研究は、B市内のネウボラ機能を持つA施設を妊娠期から出産後まで継続的に利用している母親3人を対象に行いました。平成28年8月から9月にかけて、A施設内の一室で半構成的面接による個別インタビューを実施し、その内容をICレコーダーに録音しました。逐語録を質的帰納的に分析し、施設利用前後の子育てに対する思いを抽出し、類似した内容ごとに分類してカテゴリを生成しました。複数の公衆衛生看護学の研究者からスーパービジョンを受け、分析内容の妥当性を確保しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果から、A施設の継続的な利用により、母親たちは信頼感や安心感を得て、心のゆとりを持つことができるようになったことが示されました。これは、妊娠期から同一の専門職チームによる切れ目ない支援が母親にとって重要であることを示しています。また、子育て仲間や家族との交流を通じて、孤独感が軽減し、子育てに対する前向きな思いが育まれることが分かりました。これにより、母親が持つ力を最大限に発揮できる環境の重要性が強調されました。
- 今後の展望:
-
本研究は、ネウボラ機能を持つ施設の利用が母親の子育てに与える影響を明らかにしましたが、対象施設が1施設、対象者が3人であることから、一般化には限界があります。今後は、より多くの施設および対象者を含めた調査を行い、ネウボラ機能の有効性をさらに検証していく必要があります。また、妊娠期からの支援体制を一層強化し、全国的に切れ目ない子育て支援システムを構築するための具体的な方策を検討することが重要です。
- 背景と目的:
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最近、日本では一人っ子家庭や子どもの数が減る
、都市への集中、女性の社会進出などで育児の環境が大きく変わっています。その結果、特に妊娠や出産後の母親がうつ病や育児に対する不安を感じることが増えています。しかし、日本の母子保健システムは妊娠、出産、育児のサポートが一貫していないのが現状です。そこで、「フィンランド発祥の少子化 ( 少子化とは、子どもの数が減る現象のことです。) 」というシステムが注目されています。この研究の目的は、ネウボラの機能を持つA施設を利用する母親の感想を調査し、一貫した子育てサポートのヒントを得ることです。ネウボラ ( ネウボラはフィンランド語で「相談所」を意味し、妊娠期から育児期まで継続してサポートする施設のことです。)
- 主要な発見:
-
A施設を利用する母親たちは、利用前には妊娠期から子育てのイメージがわかず、不安や辛さを感じていました。専門家に相談したかったけれど、その場限りの対応に対するあきらめや、子連れで出かける場所が少ないことへの不満もありました。しかし、A施設を継続的に利用することで、妊娠期から学べる場所や継続的なサポートを受け、心の余裕が生まれ、信頼感や安心感を得ることができました。さらに、同じ境遇の母親たちと悩みを共有し、家族との協力も進みました。
- 方法論:
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この研究は、B市内の
機能を持つA施設を妊娠期から出産後まで継続的に利用している母親3人を対象に行いました。平成28年8月から9月にかけて、A施設内で個別インタビューを行い、その内容を録音して分析しました。施設利用前後の子育てに対する思いを抽出し、似た内容ごとに分類してカテゴリを作成しました。複数の研究者からのアドバイスを受け、分析内容の信頼性を確保しました。ネウボラ ( ネウボラはフィンランド語で「相談所」を意味し、妊娠期から育児期まで継続してサポートする施設のことです。)
- 結論と意義:
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この研究の結果、A施設の継続的な利用により、母親たちは信頼感や安心感を得て、心のゆとりを持つことができるようになりました。これは、妊娠期から同じ専門家チームによる一貫したサポートが母親にとって重要であることを示しています。また、他の母親や家族との交流を通じて、孤独感が減り、子育てに対する前向きな気持ちが育まれることが分かりました。これにより、母親が持つ力を最大限に発揮できる環境の重要性が強調されました。
- 今後の展望:
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この研究は、
機能を持つ施設の利用が母親の子育てに与える影響を明らかにしましたが、対象施設が1つ、対象者が3人であることから、一般化には限界があります。今後は、より多くの施設および対象者を含めた調査を行い、ネウボラ機能の有効性をさらに検証していく必要があります。また、妊娠期からのサポート体制を強化し、全国的に一貫した子育て支援システムを構築するための具体的な方法を検討することが重要です。ネウボラ ( ネウボラはフィンランド語で「相談所」を意味し、妊娠期から育児期まで継続してサポートする施設のことです。)
- 何のために?:
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日本では、一人っ子が多くなっています。また、子どもの数も
減 っています。都会に人が集まり、女性 も仕事をするようになりました。これでお母さんたちの育児 が難 しくなっています。お母さんたちは、妊娠 や出産 の後に不安 やうつになることが増 えました。でも、日本の育児 サポートはまだ十分ではありません。そこで、フィンランドの「 」というシステムが注目されています。この研究は、ネウボラを使うお母さんの感想を調べて、ネウボラ ( フィンランドで使われている、妊娠 から育児 までお母さんを助けるシステムのことだよ。) 育児 を助けるヒントを見つけることが目的 です。
- 何が分かったの?:
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A
施設 を使うお母さんたちは、最初 は妊娠 や出産 、育児 が心配でした。専門家 に相談したかったけれど、その場だけの対応 にがっかりしていました。また、子どもと一緒 に行ける場所が少なく、不満 もありました。でも、A施設 を続 けて利用 することで、妊娠 期から学べる場所ができました。 なサポートで心の継続的 ( 途中 でやめずに続 けることだよ。) 余裕 ができ、 を安心感 ( 心配しなくても大丈夫 だという気持ちだよ。) 得 られました。同じ状況 のお母さんたちと悩 みを共有 し、家族との協力 も進みました。
- どうやったの?:
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この研究は、B市内のA
施設 を利用 するお母さん3人を対象 にしました。平成28年8月から9月にかけて、A施設 で をしました。その個別 インタビュー( 一人一人に話を聞くことだよ。) 内容 を録音 して分析 しました。施設 の利用 前後の気持ちを聞き、似 た内容 ごとに分けました。複数 の研究者のアドバイスを受けて、結果 の を高めました。信頼性 ( 安心して任 せられることだよ。)
- 研究のまとめ:
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この研究の
結果 、A施設 を続 けて使うことで、お母さんたちは や信頼感 ( 安心して信 じられる気持ちだよ。) を安心感 ( 心配しなくても大丈夫 だという気持ちだよ。) 得 ました。これは、妊娠 期から同じ専門家 チームによるサポートが大切だということです。また、他のお母さんや家族と交流することで、 が孤独感 ( 一人ぼっちで寂 しい気持ちだよ。) 減 り、育児 に前向きな気持ちが育ちました。これにより、お母さんが力を発揮 できる環境 が大切だと分かりました。
- これからどうする?:
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この研究は、
ネウボラ ( フィンランドで使われている、妊娠 から育児 までお母さんを助けるシステムのことだよ。) 機能 を持つ施設 が母親の育児 に与 える影響 を明らかにしました。しかし、研究対象 が1つの施設 と3人のお母さんだけなので、すべての人に当てはまるとは限 りません。今後は、もっと多くの施設 とお母さんを含 めた調査 が必要 です。そして、妊娠 期からのサポートを強化し、全国で一貫 した育児 支援 システムを作ることが大切です。
- 著者名:
- 久慈 彩佳, 小林 恵子, 八尾坂 志保
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 15
- 号:
- 1
- ページ:
- 89 - 95
- 発行日:
- 2018-03
- 著者による要約:
- 本研究の目的は,ネウボラ機能を有する施設を継続的に利用する母親の利用前後での子育てに対する思いを明らかにすることである。研究対象者は,ネウボラ機能をもつ施設を妊娠期から子育て期まで継続的に利用する母親3人とした。半構成的面接による個別インタビューを実施し,「施設利用前の子育てに対する思い」,「施設利用後の子育てに対する思い」に分けて分析をした結果,149のコードを抽出し,25のサブカテゴリ,10のカテゴリを生成した。施設利用前の母親は,不安や孤独を感じていたが,施設を継続的に利用することで,心のゆとりや安心感を持つことができるようになっていた。このことから,本施設のような信頼できる居場所や支援者の存在が重要であり,顔の見える関係づくりと社会全体での子育て支援を展開する必要性が示唆された。
Neuvola functions were investigated, aiming to identify the effects of continuous child rearing support. Participants were mothers (N=3) that continuously used a NPO facilities with Neuvola functions from their gestation period until after childbirth. Semi-structured interviews were conducted individually and results were analyzed from the following perspectives: “feelings towards child rearing before using the facility” and “feelings towards child rearing after using the facility.” As a result, 158 codes were extracted and 18 categories including 43 sub-categories were developed. It was indicated that mothers felt anxiety and loneliness before using the facility. Through continuous use, they came to feel relaxed and safe. It is considered important for mothers to have a place they can rely on, such as this facility, as well as reliable supporters. The need to support child rearing by society as a whole and to build face-to-face relationships is suggested.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/49820
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