論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
新潟大学医歯学総合病院の呼吸同期照射システムにおけるTime Delayの検討
- AI解説:
- 悪性新生物(がん)は日本人の主要な死因であり、その治療法には手術、抗がん剤、放射線療法の三つがあります。中でも放射線療法は高齢者や手術が難しい患者に有効であり、その治療計画には臨床標的体積(CTV)と計画標的体積(PTV)の設定が重要です。放射線治療の精度向上にはセットアップマージンとインターナルマージンの低減が求められており、特に呼吸性の移動を考慮した呼吸同期照射の導入が進められています。本研究では、新潟大学医歯学総合病院の呼吸同期システムにおけるtime delayを測定し、その有用性を検証することを目的としています。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
新潟大学医歯学総合病院の呼吸同期照射システムにおけるTime Delayの検討
AI解説
- 背景と目的:
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悪性新生物(がん)は日本人の主要な死因であり、その治療法には手術、抗がん剤、放射線療法の三つがあります。中でも放射線療法は高齢者や手術が難しい患者に有効であり、その治療計画には臨床標的体積(CTV)と計画標的体積(PTV)の設定が重要です。放射線治療の精度向上にはセットアップマージンとインターナルマージンの低減が求められており、特に呼吸性の移動を考慮した呼吸同期照射の導入が進められています。本研究では、新潟大学医歯学総合病院の呼吸同期システムにおけるtime delayを測定し、その有用性を検証することを目的としています。
- 主要な発見:
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本研究では、新潟大学医歯学総合病院のNovalis TxとRPMの組み合わせによる呼吸同期システムのtime delayをビームオンで0.11秒、ビームオフで0.07秒であることが示されました。この結果は過去の報告と比較しても近い値を示しており、RPMを用いたシステムにおいて同様のtime delayが確認されました。特に、本研究では動体ファントムの運動波形として等速波形を用いることで、高い測定精度が得られたことが重要な発見です。
- 方法論:
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本研究では、Novalis TxリニアックとReal-time Position Management(RPM)システムを用い、動体ファントムQUASAR Respiratory Motion Platformで設定した等速往復運動波形を用いてtime delayを測定しました。線量プロファイル解析にはラジオクロミックフィルムを使用し、フィルムスキャンデータをMATLABで解析することで運動軸上の線量プロファイルを取得しました。さらに、プロファイル上の50%線量点を用いてビームオンとビームオフのtime delayを計算しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果、呼吸同期システムにおけるビームオンのtime delayが0.11秒、ビームオフが0.07秒であることが明らかになりました。これにより、呼吸同期照射の精度向上が期待され、患者の治療効果の向上や副作用の軽減に寄与することが示唆されます。また、time delayを考慮することで、より正確な照射が可能となり、治療計画の精度が向上する意義が確認されました。
- 今後の展望:
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今後の研究では、異なる呼吸同期システムや動体ファントムを用いた比較研究を行うことで、より広範な適用性と精度の向上が期待されます。また、患者個々の呼吸パターンに応じたカスタマイズされた治療計画の開発や、リアルタイムでの呼吸モニタリング技術の進展も重要な課題となります。さらに、time delayを補正する新しいアルゴリズムや技術の開発が進むことで、より高精度な放射線治療が実現されることが期待されます。
- 背景と目的:
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がんは日本人の主な死因の一つで、その治療方法には手術、抗がん剤、
の三つがあります。特に放射線療法は、高齢者や手術が難しい患者にとって有効です。そのための治療計画では、臨床標的体積(CTV)と計画標的体積(PTV)の設定が重要です。治療精度を上げるために、放射線療法 ( がんを治療するために,放射線を使ってがん細胞を殺す方法です。) とセットアップマージン ( 患者の体の位置ずれを補正するために設ける余裕のことです。) を減らすことが求められています。本研究では、新潟大学医歯学総合病院の呼吸同期システムにおけるインターナルマージン ( 体内の臓器の動きを考慮して設ける余裕のことです。) (タイムディレイ)を測定し、その有用性を確認することを目的としています。time delay ( 何かの動作が行われるまでの遅延時間のことです。)
- 主要な発見:
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新潟大学医歯学総合病院の
とRPMという機器を使った呼吸同期システムのNovalis Tx ( がんの放射線治療に用いる専門の機械の名前です。) は、ビームオンで0.11秒、ビームオフで0.07秒であることがわかりました。この結果は過去の報告と近い値でした。また、time delay ( 何かの動作が行われるまでの遅延時間のことです。) の運動波形として等速波形を使うことで、高い測定精度が得られました。動体ファントム ( 人体の動きを模した装置で,放射線治療の実験に使います。)
- 方法論:
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本研究では、
リニアックとReal-time Position Management(RPM)システムを使用し、Novalis Tx ( がんの放射線治療に用いる専門の機械の名前です。) QUASAR Respiratory Motion Platformで設定した等速往復運動波形を用いて動体ファントム ( 人体の動きを模した装置で,放射線治療の実験に使います。) を測定しました。線量プロファイル解析にはtime delay ( 何かの動作が行われるまでの遅延時間のことです。) を使って、フィルムスキャンデータをラジオクロミックフィルム ( 放射線の量を測定するための特殊なフィルムです。) で解析しました。プロファイル上の50%線量点を使って、ビームオンとビームオフのtime delayを計算しました。MATLAB ( 数値解析やデータ処理を行うためのソフトウェアです。)
- 結論と意義:
-
呼吸同期システムにおけるビームオンの
が0.11秒、ビームオフが0.07秒であることがわかりました。これにより、time delay ( 何かの動作が行われるまでの遅延時間のことです。) の精度が向上し、患者の治療効果が上がり、副作用が減ることが期待されます。time delayを考慮することで、より正確な照射が可能になり、治療計画の精度が向上します。呼吸同期照射 ( 呼吸のリズムに合わせて放射線を照射する方法です。)
- 今後の展望:
-
今後は、異なる呼吸同期システムや
を使った比較研究を行い、適用性と精度の向上が期待されます。さらに、患者ごとの呼吸パターンに合わせた治療計画の開発や、リアルタイムでの呼吸モニタリング技術の進展も重要です。動体ファントム ( 人体の動きを模した装置で,放射線治療の実験に使います。) を補正する新しい技術の開発が進むことで、より高精度な放射線治療が可能になるでしょう。time delay ( 何かの動作が行われるまでの遅延時間のことです。)
- 何のために?:
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は日本で多くの人ががん ( 体の中にできる悪い塊 で、体をこわします。) 亡 くなる原因 の一つです。がんの治療 には手術 や薬、放射線 があります。特 に は、お放射線 療法 ( 放射線 を当てて、がんを治 す方法 です。) 年寄 りや手術 が難 しい人に役立ちます。この治療 では、治療 する場所を正確 に決めることが大切です。本研究では、新潟大学の病院で使う機械 の時間のずれを調べました。これがどれくらい役立つかを確 かめました。
- 何が分かったの?:
-
新潟大学病院の
機械 を使って、呼吸 の動きに合わせて治療 する時間のずれを調べました。ビームを当てる時は0.11秒、止める時は0.07秒のずれがありました。この結果 は、他の研究とほぼ同じでした。また、機械 の動きを一定にすることで、正確 に測 ることができました。
- どうやったの?:
-
本研究では、新潟大学病院の
特別 な機械 を使いました。動く模型 を使って、時間のずれを測 りました。フィルムを使って、ビームの当たり方を調べました。データをコンピュータで分析 して、ビームの当たる時間のずれを計算しました。
- 研究のまとめ:
-
ビームを当てる時の時間のずれが0.11秒、止める時は0.07秒でした。これにより、
治療 の正確 さが上がり、患者 さんがもっと良 くなり、副作用 も減 ります。時間のずれを考えることで、治療 計画も正確 になります。
- これからどうする?:
-
これからは、他の
機械 や模型 を使ってもっと研究をします。患者 さん一人一人に合った治療 計画を作ることも大事です。リアルタイムで呼吸 をモニターする技術 も進めていきます。新しい技術 を使って、もっと正確 な放射線 治療 ができるようになります。
- 著者名:
- 笹本 龍太, 宇都宮 悟, 早川 岳英
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 14
- 号:
- 1
- ページ:
- 9 - 15
- 発行日:
- 2017-03
- 著者による要約:
- 放射線治療の呼吸同期照射において,同期信号の発生からビームオン・オフまでには遅延時間(time\\ndelay)がある.今回,time delayの計測に適した動体ファントムの運動パターンと,新潟大学医歯学総合病院の呼吸同期照射システムにおけるtime delayを明らかにすることを目的として検討を行った.動体ファントムの運動波形はサイン波形と等速波形とし,運動幅は30 mmとした.ラジオクロミックフィルムを動体ファントムに乗せ,直径4 mm coneで連続照射を行ったところ,フィルム上の照射陰影はサイン波形で31.7±0.2mm,等速波形で30.4±0.1 mmであり,等速波形の方が実際の運動幅に近く,測定精度が高かった.次に等速波形を用いた10-40%位相の同期照射を行い,照射陰影の長さを理論値と比較したところ,time delayはビームオンで0.11±0.01秒,ビームオフで0.07±0.00秒であった.
In respiratory gated radiotherapy, there are time delays between the target entering the gated region and treatment beam on, and between the target exiting the gated region and treatment beam off. The aim of this study was to clarify the appropriate motion profile of motion phantom for measuring the time delays, and to measure the beam on and beam off time delays in respiratory gated radiotherapy system at Niigata University Medical and Dental Hospital. We irradiated radiochromic films on the motion phantom using 4 mm diameter cone without gating. As a motion profile for the motion phantom\u3000(motion width: 30.0 mm), a sinusoidal profile and a constant velocity profile ware used. Measured length of the exposure streaks on the films were more accurate with the constant velocity profile than those with the sinusoidal profile (30.4±0.1 mm vs. 31.7±0.2 mm). Then we used the constant velocity profile for gating irradiation with a gating phase range of 10-40%, and compared the exposure streak length with a theoretical value. The calculated beam on time delay was 0.11±0.01 sec, and the beam off time delay was 0.07±0.00 sec.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/47192
