訪問看護実習協力に関する在宅療養者と家族の肯定的認識

背景と目的：

本研究は、超高齢・多死社会において地域完結型医療への転換が進む中、在宅看護の実習が重要性を増している現状を背景にしています。特に、看護学生が訪問看護師に同行して療養者宅を訪問する訪問看護実習に着目しています。これまでの研究は主に実習生の視点から行われており、実習対象者である療養者とその家族の視点に基づく研究は少ないです。本研究の目的は、療養者と家族が訪問看護実習に協力する際の肯定的認識、やりがい、及び看護学生の人材育成への貢献について明らかにし、その結果を基に訪問看護実習のあり方を検討することです。

主要な発見：

調査結果から、75％の療養者と家族が実習への協力にやりがいを感じていることが明らかになりました。特に、実習生との関わりが療養者と家族にとって良い刺激となることや、実習生の学びに役立つことに喜びを見出していることが浮き彫りになりました。この肯定的認識は、療養者や家族のQOL向上や生活意欲の向上に寄与することが示されました。一方で、一部の療養者や家族は、訪問看護師からの依頼によって実習に協力しているため、やりがいを感じていないことも明らかになりました。

方法論：

本研究では、A県内の看護系大学の在宅看護実習に協力している訪問看護ステーションを対象に、便宜的サンプリングを用いて療養者と家族を選定しました。調査は無記名式の質問票を用いて行われ、2012年7月から9月にかけて実施されました。質問票は訪問看護師が配布し、回答は郵送もしくは直接手渡しで回収しました。調査項目には、対象者の概要、実習協力へのやりがい、実習に協力している理由、実習を受け入れて良かったこと、実習生に学んでほしいことが含まれ、データは質的・量的に分析されました。

結論と意義：

本研究の結果、訪問看護実習に協力する療養者と家族の多くが、実習生との関わりを通じて気分転換や精神的な健康面での受益を感じていることが明らかになりました。また、実習生の学びに貢献することに対するやりがいや喜びも見出しており、実習への協力に対する肯定的認識があることが示されました。このことは、療養者と家族の生活意欲向上やQOLの向上に寄与する可能性があり、今後の訪問看護実習の運営において重要な視点となることを示唆しています。

今後の展望：

将来的には、療養者と家族の肯定的認識をさらに高めるための具体的な教育方法の開発が必要です。特に、看護学生に対する看護過程の丁寧な指導や、実習協力者に対する学生の学びのフィードバックを通じて、実習協力に対するやりがいや肯定的認識を高める工夫が求められます。また、療養者と家族の意向を定期的に確認し、実習受け入れの継続的なサポートを行うことも重要です。さらに、他の地域や実習形式においても同様の調査を行い、結果を比較することで、より一般化された知見を得ることが期待されます。

背景と目的：

この研究は、超高齢社会で多くの人が自宅で最後を迎える状況が増えている中で、地域で完結する医療が進んでいることを背景としています。特に、看護学生が訪問看護師(患者さんの自宅を訪問して、医療や看護サービスを提供する看護師のことです。)に同行して患者さんの家を訪問する実習に注目しています。今までの研究は主に実習生の視点から行われていましたが、患者さんやその家族の視点からの研究は少ないです。この研究の目的は、患者さんと家族が訪問看護実習に協力する際の感想ややりがい、そして看護学生の育成にどのように役立っているかを明らかにし、実習のあり方を考えることです。

主要な発見：

調査の結果、75%の患者さんと家族が実習に協力することにやりがいを感じていることがわかりました。特に、実習生との関わりが患者さんと家族にとって良い刺激となり、実習生の学びに役立つことに喜びを感じていることがわかりました。この肯定的な認識は、患者さんや家族の生活の質（QOL(Quality of Lifeの略で、「生活の質」という意味です。これは、日常生活の満足度や幸福度を指します。)）や生活意欲の向上に寄与することが示されました。しかし、一部の患者さんや家族は、訪問看護師(患者さんの自宅を訪問して、医療や看護サービスを提供する看護師のことです。)からの依頼で協力しているため、やりがいを感じていないこともわかりました。

方法論：

この研究では、A県内の看護系大学の在宅看護(病院ではなく、自宅で看護を受けることです。高齢者や病気の人が自宅で生活しながら医療を受けるための制度です。)実習に協力している訪問看護ステーションを対象に、患者さんと家族を選びました。調査は無記名式の質問票を使い、2012年7月から9月に行われました。質問票は訪問看護師(患者さんの自宅を訪問して、医療や看護サービスを提供する看護師のことです。)が配布し、回答は郵送もしくは直接回収しました。調査項目には、対象者の基本情報、実習協力へのやりがい、協力の理由、実習を受け入れて良かったこと、実習生に学んでほしいことが含まれ、データは質的・量的に分析されました。

結論と意義：

研究の結果、多くの患者さんと家族が実習生との関わりを通じて気分転換や精神的な健康面での利益を感じていることがわかりました。また、実習生の学びに貢献することにやりがいや喜びを感じており、実習への協力に対する肯定的な認識があることが示されました。このことは、患者さんと家族の生活意欲や生活の質の向上に寄与する可能性があり、今後の訪問看護実習の運営において重要な視点となります。

今後の展望：

今後は、患者さんと家族の肯定的な認識をさらに高めるための具体的な教育方法の開発が必要です。特に、看護学生に対する看護過程(看護師が患者さんのケアを計画し、実施し、評価する一連の流れのことです。)の丁寧な指導や、実習協力者に対する学生の学びのフィードバックを通じて、実習協力のやりがいや肯定的な認識を高める工夫が求められます。また、患者さんと家族の意向を定期的に確認し、実習受け入れの継続的なサポートを行うことも重要です。さらに、他の地域や実習形式でも同様の調査を行い、結果を比較することで、より一般的な知見を得ることが期待されます。