論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
漁村地域に暮らす住民の食品摂取の多様性の実態と保健活動の方向性
- AI解説:
- 日本では高齢化とライフスタイルの変化により、生活習慣病や要介護者が増加しています。特に農山漁村地域では商業施設や医療福祉施設が限られており、住民の健康維持が困難です。健康日本21(第2次)においても、食生活の多様性が重視されており、本研究では漁村地域の住民の食品摂取の多様性を把握し、健康増進および介護予防の方策を検討することを目的としています。具体的には、高齢化と過疎化が進むA県B市C地区の住民を対象に、食生活と地域社会とのつながりの関連性を明らかにすることを目指しています。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
漁村地域に暮らす住民の食品摂取の多様性の実態と保健活動の方向性
AI解説
- 背景と目的:
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日本では高齢化とライフスタイルの変化により、生活習慣病や要介護者が増加しています。特に農山漁村地域では商業施設や医療福祉施設が限られており、住民の健康維持が困難です。健康日本21(第2次)においても、食生活の多様性が重視されており、本研究では漁村地域の住民の食品摂取の多様性を把握し、健康増進および介護予防の方策を検討することを目的としています。具体的には、高齢化と過疎化が進むA県B市C地区の住民を対象に、食生活と地域社会とのつながりの関連性を明らかにすることを目指しています。
- 主要な発見:
-
調査の結果、C地区の住民の平均食品摂取多様性得点は3.63点であり、全国平均や他の地域の高齢者と比較して低いことが判明しました。また、「魚介類」の摂取頻度は高い一方で、「いも類」、「海藻類」、「くだもの」の摂取頻度が低いことがわかりました。特に64歳以下の「くだもの」の摂取頻度が低く、65歳以上では「肉類」や「油脂類」の摂取頻度が低い傾向が見られました。前年度に健診を受けた住民は「緑黄色野菜」や「くだもの」の摂取頻度が高く、食品摂取の多様性得点も高いことが確認されました。
- 方法論:
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本研究では、A県B市C地区に住む20歳以上の住民449人を対象に自記式質問紙調査を行いました。調査票は地区住民の協力を得て戸別に配布し、回収しました。調査内容には、属性情報、食事摂取の状況、前年度の健診受診状況、地域とのつながりの状況が含まれています。食品摂取の多様性は、10種類の食品群についての摂取頻度をもとに得点化しました。データの分析にはχ²検定およびt検定を使用し、年齢を64歳以下と65歳以上に分類して比較しました。
- 結論と意義:
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C地区の住民の食品摂取の多様性が低いことが確認され、特に高齢者の「肉類」や「油脂類」の摂取頻度が低いことが問題として浮上しました。これにより、高齢者の生活機能低下や要介護リスクが高まる可能性が示唆されました。一方で、健診の受診が食品摂取の多様性向上に寄与していることがわかりました。これらの結果から、地域の食文化を尊重しながらも、ライフステージに応じた具体的な食事指導が必要であることが明らかになりました。
- 今後の展望:
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今後の研究では、漁村地域の食生活のさらなる詳細な実態把握のため、異なる季節や他の漁村地域でも調査を行うことが重要です。また、具体的な食品摂取改善の方策として地産地消の推進や地域の食文化を活かした健康支援活動を展開することが求められます。さらに、健診受診を促進し、健診結果に基づく具体的な食事指導を提供することで、住民の健康意識を高め、食品摂取の多様性を向上させる取り組みが必要です。これにより、地域全体の健康増進と介護予防をより一層推進することが期待されます。
- 背景と目的:
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日本では高齢化とライフスタイルの変化により、生活習慣病や介護が必要な人が増えています。特に田舎の漁村では、商業施設や医療施設が少なく、住民の健康を保つのが難しいです。この研究では、漁村の住民がどれだけ多くの種類の食べ物を食べているかを調べ、健康を増進し介護を予防する方法を検討することを目的としています。具体的には、高齢化と人口減少が進むA県B市C地区の住民を対象に、食生活と地域社会とのつながりについて調べます。
- 主要な発見:
-
調査の結果、C地区の住民は平均して3.63点の
を持っており、全国平均や他の地域の高齢者と比べて低いことが分かりました。また、魚介類の摂取頻度は高い一方で、いも類、海藻類、くだものの摂取頻度が低いことが分かりました。特に64歳以下ではくだもの、65歳以上では肉類や油脂類の摂取頻度が低い傾向がありました。食品摂取多様性得点 ( 住民がどれだけ多くの種類の食べ物を食べているかを点数で表したものです。点数が高いほど、バランスの取れた食生活を送っていることを示します。) を受けた人は緑黄色野菜やくだものの摂取頻度が高く、食品摂取の多様性得点も高いことが確認されました。健康診断 ( 病気の早期発見や予防を目的に、健康状態をチェックするための検査です。)
- 方法論:
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この研究では、A県B市C地区に住む20歳以上の住民449人を対象にアンケート調査を行いました。アンケートは住民に配布し、回答を回収しました。調査内容には、個人情報、食事の状況、前年度の
の受診状況、地域とのつながりの状況が含まれています。食品摂取の多様性は、10種類の食品群についての摂取頻度をもとに得点化しました。データの分析には、χ²検定(カイ二乗検定)およびt検定を使用し、年齢を64歳以下と65歳以上に分類して比較しました。健康診断 ( 病気の早期発見や予防を目的に、健康状態をチェックするための検査です。)
- 結論と意義:
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C地区の住民の食品摂取の多様性が低いことが確認され、特に高齢者の肉類や油脂類の摂取頻度が低いことが問題としてわかりました。これにより、高齢者の生活機能低下や介護が必要になるリスクが高まる可能性が示されました。一方で、
の受診が食品摂取の多様性向上につながっていることがわかりました。これらの結果から、地域の食文化を尊重しつつ、年齢に応じた具体的な食事指導が必要であることが明らかになりました。健康診断 ( 病気の早期発見や予防を目的に、健康状態をチェックするための検査です。)
- 今後の展望:
-
今後の研究では、漁村地域の食生活のさらなる詳細な実態把握のため、異なる季節や他の漁村地域でも調査を行うことが重要です。また、具体的な食品摂取改善の方法として
(地元で生産されたものを消費すること)の推進や、地域の食文化を活かした健康支援活動を展開することが求められます。さらに、地産地消 ( 地元で生産された食品を地元で消費することです。地域経済の活性化や新鮮な食品の消費につながります。) の受診を促進し、診断結果に基づく具体的な食事指導を提供することで、住民の健康意識を高め、食品摂取の多様性を向上させる取り組みが必要です。これにより、地域全体の健康増進と介護予防が期待されます。健康診断 ( 病気の早期発見や予防を目的に、健康状態をチェックするための検査です。)
- 何のために?:
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日本では、おじいちゃんやおばあちゃんが
増 えています。そして、ごはんの食べ方も変 わっています。そのため、病気になったり、お世話が必要 になる人が増 えています。特 に田舎 の漁村 では、お店や病院が少ないので、大変 です。この研究では、田舎 の漁村 に住んでいる人たちが、どんなごはんを食べているかを調べます。そして、みんなが元気に過 ごせるようにする方法 を考えます。A県B市C地区に住んでいる人たちを調べます。
- 何が分かったの?:
-
調べた
結果 、C地区に住んでいる人たちは、いろいろな食べ物をあまり食べていないことが分かりました。全国の平均 よりも少なかったです。お魚はよく食べていますが、いもや海藻 、くだものはあまり食べていません。64歳 以下 の人たちは特 にくだものを、65歳 以上 の人たちはお肉や油を食べていないことが多いです。健康診断 を受けた人たちは、緑の野菜 やくだものをたくさん食べていて、いろいろな食べ物を食べていることが分かりました。
- どうやったの?:
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この研究では、A県B市C地区に住んでいる20
歳 以上 の人たち449人にアンケートをしました。アンケートには、名前や年齢 、ごはんの内容 、健康診断 を受けたかどうか、地域 の人たちとのつながりについての質問 がありました。食品摂取 の多様性 は、10種類 の食べ物をどれだけ食べているかで点数をつけました。データは、カイ二乗検定 とt検定 という方法 で分析 しました。そして、64歳 以下 と65歳 以上 で分けて比 べました。
- 研究のまとめ:
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C地区に住んでいる人たちは、いろいろな食べ物をあまり食べていないことが分かりました。
特 に、おじいちゃんやおばあちゃんは、お肉や油を食べることが少ないです。これによって、おじいちゃんやおばあちゃんの体の動きが悪くなるかもしれません。また、健康診断 を受けると、食べ物の種類 が増 えることが分かりました。これらから、年齢 に合った食事のアドバイスが必要 だと分かりました。
- これからどうする?:
-
これからの研究では、
田舎 の漁村 の食べ物について、もっと詳 しく調べます。そして、地元で作られた食べ物を使うことを進めたり、地域 の食べ物を使った健康 支援 を考えます。また、健康診断 を受けることをすすめ、その結果 から食事のアドバイスをすることが大切です。これによって、みんなが元気に過 ごせるようにすることが目標 です。
- 著者名:
- 齋藤 智子, 成田 太一, 小林 恵子, 相馬 幸恵, 児玉 恵子, 秋山 美香, 石井 恭子
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 12
- 号:
- 1
- ページ:
- 21 - 28
- 発行日:
- 2015-09
- 著者による要約:
- 漁村に暮らす住民の食品摂取の多様性の実態を把握し,高齢化,過疎化が進み,身近な商業施設等の生活資源が限られた地域において食生活に焦点を当てた健康づくり・介護予防を推進する方策を検討することを目的とした。研究方法はA県B市C地区在住の20歳以上の住民449人を対象に自記式質問紙調査を実施した。有効回答数(率)220(49.0%)であった。食品摂取の多様性得点は平均3.63(±2.27)点。食品群別摂取状況では「魚介類」の摂取頻度が高い一方で「いも類」「海藻類」「くだもの」は低く,年齢別では65歳以上で「肉類」「油脂類」,64歳以下で「くだもの」の摂取頻度が低かった。前年健診受診有の人は「緑黄色野菜」「くだもの」の摂取頻度が高く,多様性得点も高かった。C地区は先行研究と比べ多様性得点が低く,生活習慣病や要介護リスクを高める食生活をしている可能性が推察された。地場の農水産資源を活用した食文化を継承しながらも,ライフステージに応じた食事の必要性とその具体策を提示するともに,健診を契機に食品摂取の改善に向けた支援を行う必要がある。
This study aimed to clarify the state of Dietary variety among residents of a fishing village and investigate health-promotion in fishing regions where lifestyle resources are limited. Self-administered questionnaires were distributed to 449 residents aged 20 years or older of district C in City B of Prefecture A. A total of 220 (49.0%) valid responses were received. The average dietary variety score was 3.63 (±2.27) points. Investigation of intake by types of food revealed that seafood was most often eaten and tubers and roots, seaweed, and fruit were not commonly eaten. Investigation by age indicated that subjects aged 65 years and older ate meat and oils and fats less frequently and those aged younger than 64 years ate fruit less frequently. Those who reported undergoing a health checkup the previous year frequently ate green and yellow vegetables and fruit and had high dietary variety scores. Residents of district C had lower dietary variety scores than those reported in previous studies, suggesting that they were eating a diet putting them at high risk of developing lifestyle diseases and requiring long-term care. It is important to provide support that allows residents to inherit a food culture that utilizes local farm and marine resources but demonstrates the need for and specific measures for a diet that is appropriate to their life stage, with health check-ups becoming opportunities to identify areas of their diet that can be improved.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/38951
