論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
非アルコール性脂肪肝炎関連肝細胞がんにおける活性型p70S6キナーゼの解析
- AI解説:
は、最近急に増えている原因不明の肝臓の病気で、肝臓がんの要因として注目されています。肝臓がんは治りにくい悪性の病気で、NASHがその一因になることが指摘されています。本研究の目的は、NASHによる肝臓がんで、肝臓がん治療に使われる薬非アルコール性脂肪肝炎(NASH) ( アルコールを飲んでいないのに、脂肪肝や炎症が起きる病気です。) のターゲットであるラパマイシン ( がん治療に使われる薬で、特定のタンパク質の働きを抑えることでがん細胞の成長を止めます。) という分子がどのように病気に関与しているかを明らかにすることです。特に、p70S6キナーゼの活性化レベルがNASHによる肝臓がんの予後(治療後の経過)や再発(病気がまた現れること)にどのような影響を与えるかを調べました。p70S6キナーゼ ( タンパク質合成に関わる酵素で、細胞の増殖に重要な役割を果たします。)
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
非アルコール性脂肪肝炎関連肝細胞がんにおける活性型p70S6キナーゼの解析
AI解説
- 背景と目的:
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非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、近年急速に増加している原因不明の肝疾患であり、肝がんの要因として注目されています。肝細胞がんは予後不良な悪性疾患であり、NASHがその一因となることが指摘されています。本研究の目的は、NASH肝がんにおいて、肝がん治療に有効とされる分子標的薬ラパマイシンの標的シグナルであるp70S6キナーゼが病態にどのように関与しているかを明らかにすることです。特に、p70S6キナーゼの活性化レベルがNASH肝がんの予後や再発に与える影響を検討しました。
- 主要な発見:
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本研究では、NASH肝がん22例中12例(54.5%)がリン酸化型p70S6キナーゼを高発現していることが示されました。また、リン酸化p70S6キナーゼの高発現は、組織未分化度と有意に相関しており(p = 0.047)、さらに高発現群は外科切除後3年以内の再発率が有意に高いことが明らかになりました(p = 0.045)。これらの結果は、p70S6キナーゼがNASH肝がんの再発に関連していることを示唆しています。
- 方法論:
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22例のNASH肝がん患者の病変組織を用いて、リン酸化型p70S6キナーゼの免疫組織化学染色を行いました。染色結果を基に、臨床病理因子や予後との関連性を比較検討しました。具体的には、免疫染色データと臨床病理因子の相関をFisherの直接確率法で解析し、術後早期のがん再発率や生存率についてはKaplan-Meier法およびLog-rank testを用いて検討しました。
- 結論と意義:
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本研究の結果、NASH肝がんの約半数でp70S6キナーゼが活性化しており、その高発現が再発頻度の高さと関連していることが示されました。このことは、ラパマイシンや他のp70S6キナーゼ阻害薬がNASH肝がんの再発防止に有効である可能性を示唆しています。また、残りの半数の症例ではp70S6キナーゼの活性化が見られず、ラパマイシン投与の意義が少ない可能性も示唆されました。これらの結果から、p70S6キナーゼの活性化レベルを指標としたテーラーメイド医療が、効率的で安全性の高いがん治療に寄与する可能性が示されました。
- 今後の展望:
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今後の研究では、さらに多くの症例を対象としてp70S6キナーゼの活性化とNASH肝がんの再発リスクの関連性を詳細に検討することが求められます。また、ラパマイシン以外のp70S6キナーゼ阻害薬の有効性についても検討する必要があります。これにより、NASH肝がんに対する新しい治療法の開発や、既存治療の最適化に寄与することが期待されます。さらに、分子標的薬の効果を高めるためのバイオマーカーの探索も重要な課題とされます。
- 背景と目的:
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は、最近急に増えている原因不明の肝臓の病気で、肝臓がんの要因として注目されています。肝臓がんは治りにくい悪性の病気で、NASHがその一因になることが指摘されています。本研究の目的は、NASHによる肝臓がんで、肝臓がん治療に使われる薬非アルコール性脂肪肝炎(NASH) ( アルコールを飲んでいないのに、脂肪肝や炎症が起きる病気です。) のターゲットであるラパマイシン ( がん治療に使われる薬で、特定のタンパク質の働きを抑えることでがん細胞の成長を止めます。) という分子がどのように病気に関与しているかを明らかにすることです。特に、p70S6キナーゼの活性化レベルがNASHによる肝臓がんの予後(治療後の経過)や再発(病気がまた現れること)にどのような影響を与えるかを調べました。p70S6キナーゼ ( タンパク質合成に関わる酵素で、細胞の増殖に重要な役割を果たします。)
- 主要な発見:
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本研究では、調べた22例のNASHによる肝臓がんのうち、12例(54.5%)が
型リン酸化 ( 酵素が活性化される状態を指し、特定の分子にリン酸が加わることです。) という活性化された形を高く発現していることが分かりました。また、リン酸化p70S6キナーゼの高発現は、がんの悪性度が高いことと関係があり(p = 0.047)、さらに高発現している群は手術後3年以内の再発率が高いことが分かりました(p = 0.045)。これらの結果から、p70S6キナーゼがNASHによる肝臓がんの再発に関連していることが示唆されました。p70S6キナーゼ ( タンパク質合成に関わる酵素で、細胞の増殖に重要な役割を果たします。)
- 方法論:
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22例のNASHによる肝臓がん患者の病変組織を使って、
型リン酸化 ( 酵素が活性化される状態を指し、特定の分子にリン酸が加わることです。) をp70S6キナーゼ ( タンパク質合成に関わる酵素で、細胞の増殖に重要な役割を果たします。) という方法で調べました。染色結果を基に、免疫組織化学染色 ( 特定のタンパク質を染色して、顕微鏡で観察する方法です。) や予後との関係を比較しました。具体的には、免疫染色データと臨床病理因子の関係をFisherの直接確率法で解析し、手術後の早期再発率や生存率についてはKaplan-Meier法とLog-rank testを用いて検討しました。臨床病理因子 ( 病気の進行や特性を表す指標で、病理学的な検査結果と臨床的な情報を合わせたものです。)
- 結論と意義:
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本研究の結果、NASHによる肝臓がんの約半数で
が活性化しており、その高発現が再発頻度の高さと関連していることが分かりました。これにより、p70S6キナーゼ ( タンパク質合成に関わる酵素で、細胞の増殖に重要な役割を果たします。) や他のp70S6キナーゼ阻害薬がNASHによる肝臓がんの再発防止に有効である可能性が示唆されました。また、残りの半数の症例ではp70S6キナーゼの活性化が見られず、ラパマイシンの効果が少ない可能性も示唆されました。これらの結果から、p70S6キナーゼの活性化レベルを指標とした個人に合った治療が、効率的で安全性の高いがん治療に役立つ可能性があります。ラパマイシン ( がん治療に使われる薬で、特定のタンパク質の働きを抑えることでがん細胞の成長を止めます。)
- 今後の展望:
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今後の研究では、さらに多くの症例を対象にして
の活性化とNASHによる肝臓がんの再発リスクの関連性を詳しく調べることが必要です。また、p70S6キナーゼ ( タンパク質合成に関わる酵素で、細胞の増殖に重要な役割を果たします。) 以外のp70S6キナーゼ阻害薬の有効性についても検討する必要があります。これにより、NASHによる肝臓がんに対する新しい治療法の開発や、既存の治療法の最適化に役立つことが期待されます。さらに、分子標的薬の効果を高めるためのバイオマーカー(治療の効果を予測するための指標)の探索も重要な課題です。ラパマイシン ( がん治療に使われる薬で、特定のタンパク質の働きを抑えることでがん細胞の成長を止めます。)
- 何のために?:
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は、お酒を飲まない人でもなる非 アルコール性 脂肪 肝炎 (NASH)( お酒を飲まない人でもなる、肝臓 に脂肪 がたまる病気。) 肝臓 の病気です。NASHは、 の肝臓 がん( 肝臓 にできる、治療 が難 しい悪性 の腫瘍 (しゅよう)。) 原因 になることが分かっています。肝臓 がんは治 すのが難 しい病気です。この研究は、NASHが原因 で肝臓 がんになる理由を調べています。特 に、 という分子がどうp70S6キナーゼ ( 肝臓 がんの進行に関 わることがある特定 の分子。) 関 わっているかを調べました。
- 何が分かったの?:
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私 たちは、22人のNASHによる の肝臓 がん( 肝臓 にできる、治療 が難 しい悪性 の腫瘍 (しゅよう)。) 患者 を調べました。そのうち12人(54.5%)は、 という分子がたくさんありました。p70S6キナーゼが多い人は、がんが悪くなることが多いです。この人たちは、p70S6キナーゼ ( 肝臓 がんの進行に関 わることがある特定 の分子。) 手術 後3年以内 に再 びがんが現 れやすいことも分かりました。
- どうやったの?:
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22人のNASHによる
の肝臓 がん( 肝臓 にできる、治療 が難 しい悪性 の腫瘍 (しゅよう)。) 患者 の肝臓 の部分を調べました。 がどれくらいあるかを、p70S6キナーゼ ( 肝臓 がんの進行に関 わることがある特定 の分子。) 特別 な染色 方法 で見ました。その結果 をもとに、がんの進み具合や手術 後の様子を比 べました。
- 研究のまとめ:
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NASHによる
の肝臓 がん( 肝臓 にできる、治療 が難 しい悪性 の腫瘍 (しゅよう)。) 約 半分の人に、 が多くありました。そして、この分子が多いと、がんがp70S6キナーゼ ( 肝臓 がんの進行に関 わることがある特定 の分子。) 再 び現 れやすいことが分かりました。 という薬や、他のp70S6キナーゼをラパマイシン ( p70S6キナーゼを抑 えることで、がんの治療 に役) 抑 える薬が使えるかもしれません。でも、p70S6キナーゼが少ない人には、ラパマイシンはあまり効 かないかもしれません。p70S6キナーゼの量 を調べることで、一人ひとりに合った治療 ができるかもしれません。
- これからどうする?:
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今後もっと多くのNASHによる
の肝臓 がん( 肝臓 にできる、治療 が難 しい悪性 の腫瘍 (しゅよう)。) 患者 を調べる必要 があります。 がたくさんあると、がんがp70S6キナーゼ ( 肝臓 がんの進行に関 わることがある特定 の分子。) 再 び現 れやすいかどうかを詳 しく調べます。また、ラパマイシン ( p70S6キナーゼを抑 えることで、がんの治療 に役) 以外 の薬も試 してみる必要 があります。これにより、新しい治療 法 を見つけることが期待されます。さらに、治療 の効果 を予測 するための もバイオマーカー ( 治療 の効果 を予測 するための指標 。) 探 します。
- 著者名:
- 松田 康伸, 若井 俊文, 廣瀬 雄己, 坂田 純, 小林 隆, 大澤 まみ, 藤巻 隼, 窪田 正幸
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 11
- 号:
- 1
- ページ:
- 51 - 56
- 発行日:
- 2014-03
- 著者による要約:
- 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,近年急速に増加している原因不明の肝疾患である。本研究では,肝がん治療に有効とされる分子標的薬ラパマイシンの標的シグナルp70S6キナーゼが,NASH肝がんの病態に関与している可能性について検討した。 【方法】根治的外科手術療法を施行したNASH肝がん22例の病変組織に対して,リン酸化型(活性型)p70S6キナーゼの免疫組織化学染色を行い,臨床因子・予後の比較検討を行った。 【結果】NASH肝がん22例中12例(54.5%)がリン酸化型p70S6キナーゼを高発現しており,組織未分化度と相関した(p = 0.047)。リン酸化型P70S6キナーゼ高発現群は,外科切除後3年以内再発率が有意に増加していた(p = 0.045)。 【総括】p70S6キナーゼを高発現しているNASH肝がんは,再発頻度が高い傾向がある。同シグナルを阻害する分子標的薬ラパマイシンは,本疾患の再発防止に有効である可能性が示唆された。
Objective: Non-alcoholic steatohepatitis(NASH)is a recently identified liver disease which causes hepatocellular carcinoma(HCC). In this study, we addressed whether p70S6 kinase(p70S6K), a main target of the anti-cancer agent rapamycin, is involved in the clinicopathological factors in NASH-related HCC. Methods: HCC tissue samples were obtained from 22\u3000NASH patients with radical surgical treatment. Phosphorylation level of p70S6K was analyzed by immunohistochemical analysis, and the correlation with the clinicopathological factors were examined. Results: Phosphorylated p70S6K was detected in 54.5%(12/22)of NASH-related HCCs. The levels of phosphop70S6K were correlated with histological grade of HCC(p = 0.047), but not with clinical factors. Phosphorylation of p70S6K was correlated with increased cancer recurrence after 3 years of the treatment(p= 0.045). Conclusion: Phosphorylation level of p70S6K was correlated with cancer recurrence of NASH-related HCC. Rapamycin might be a useful agent for treating NASH-associated HCC.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/38939
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