論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
CML に対するWT1 ペプチドワクチン療法によるWT1 特異的CTLの長期間の増幅
- AI解説:
- 本研究は、慢性骨髄性白血病(CML)に対する新たな治療法の開発を目的としている。特に、WT1遺伝子がCML細胞で高発現していることに着目し、WT1ペプチドワクチンの有効性を評価することを目指している。WT1遺伝子は元々Wilms腫瘍の原因遺伝子として発見され、白血病や他の固形腫瘍でも高発現していることが確認されている。さらに、bcr/ablチロシンキナーゼ活性を阻害するimatinibもCML治療において重要な役割を果たしているが、薬剤抵抗性や深い寛解に達しない例も存在する。このため、WT1ペプチドワクチンとimatinibの併用療法が新たな治療法として期待されている。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
CML に対するWT1 ペプチドワクチン療法によるWT1 特異的CTLの長期間の増幅
AI解説
- 背景と目的:
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本研究は、慢性骨髄性白血病(CML)に対する新たな治療法の開発を目的としている。特に、WT1遺伝子がCML細胞で高発現していることに着目し、WT1ペプチドワクチンの有効性を評価することを目指している。WT1遺伝子は元々Wilms腫瘍の原因遺伝子として発見され、白血病や他の固形腫瘍でも高発現していることが確認されている。さらに、bcr/ablチロシンキナーゼ活性を阻害するimatinibもCML治療において重要な役割を果たしているが、薬剤抵抗性や深い寛解に達しない例も存在する。このため、WT1ペプチドワクチンとimatinibの併用療法が新たな治療法として期待されている。
- 主要な発見:
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本研究では、HLA-A*24:02陽性の慢性骨髄性白血病の症例において、WT1ペプチドワクチンとimatinibの併用療法が有効であることが示された。具体的には、ワクチン投与終了7ヶ月後にbcr/ablコピー数が減少し、MMR(major molecular response)に達し、さらにその後CMR(complete molecular response)を達成、5年後もCMRが維持されていることが確認された。また、WT1/MHC-tetramer+CD8+細胞の増加が観察され、これらの細胞が確実に細胞傷害活性を有することが認められた。
- 方法論:
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研究の方法論としては、まずHLA-A*24:02陽性の慢性骨髄性白血病患者に対し、imatinibとWT1ペプチドワクチンの併用療法を実施した。ワクチンは改変型WT1ペプチドを使用し、2週間もしくは4週間ごとに皮下注射した。また、混合リンパ球ペプチド培養(MLPC)法を用いて、WT1/MHC-tetramer+CD8+細胞の頻度を4週間毎に測定し、細胞傷害性試験やELISpotアッセイを用いて抗腫瘍効果を評価した。これにより、ワクチン投与前後の免疫反応の変化を詳細に解析した。
- 結論と意義:
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本研究の結果、WT1ペプチドワクチンとimatinibの併用療法が、CML治療において有望な手段であることが示された。特に、治療抵抗性や深い寛解に達しない患者に対して有効である可能性が高い。WT1ペプチドワクチンは、imatinibだけでは十分に効果を発揮できないCML幹細胞に対しても有効であり、持続的な抗腫瘍効果を有することが期待される。これにより、CML治療の新たな選択肢としての意義が強調された。
- 今後の展望:
-
将来的には、WT1ペプチドワクチンとTKIの併用療法のさらなる臨床試験が期待される。特に、異なるCML治療抵抗性の患者に対する効果や、副作用の少ない治療法の確立が必要である。また、WT1特異的CTLの持続的な増幅とその機能の詳細な解析を進めることで、より効果的な免疫療法の開発が期待される。さらに、他の腫瘍に対するWT1ペプチドワクチンの応用も視野に入れた研究が進展することで、広範な腫瘍治療分野において新たな治療法の確立が期待される。
- 背景と目的:
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この研究は、
という病気に対する新しい治療法を見つけることを目指しています。特に、CML細胞で多く作られている慢性骨髄性白血病(CML) ( 白血病の一種で、骨髄中の血液細胞が異常に増える病気です。) に注目し、この遺伝子を使ったWT1遺伝子 ( がんの原因となる遺伝子で、白血病や他のがんでも多く見られます。) の効果を調べました。WT1遺伝子は、がんの一種であるWilms腫瘍の原因となる遺伝子として知られていますが、白血病や他のがんでも多く作られていることがわかっています。また、CML治療のための薬であるWT1ペプチドワクチン ( WT1遺伝子に基づくワクチンで、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こします。) も重要な役割を果たしますが、すべての患者に効果があるわけではありません。そこで、WT1ペプチドワクチンとイマチニブを一緒に使う新しい治療法に期待が寄せられています。イマチニブ ( CML治療で使われる薬で、がん細胞の成長を抑える働きがあります。)
- 主要な発見:
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この研究では、
という特別な遺伝子を持つCML患者に、HLA-A*24:02 ( 特定の遺伝子型で、免疫反応に関わる重要な役割を果たします。) とWT1ペプチドワクチン ( WT1遺伝子に基づくワクチンで、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こします。) を一緒に使う治療が効果的であることがわかりました。具体的には、治療を始めてから7ヶ月後には、CML細胞の量が減り、さらに5年後でも良い状態を保っていることが確認されました。また、治療によって免疫細胞が増え、がん細胞を攻撃する力が強くなったこともわかりました。イマチニブ ( CML治療で使われる薬で、がん細胞の成長を抑える働きがあります。)
- 方法論:
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まず、
を持つCML患者に、HLA-A*24:02 ( 特定の遺伝子型で、免疫反応に関わる重要な役割を果たします。) とイマチニブ ( CML治療で使われる薬で、がん細胞の成長を抑える働きがあります。) を一緒に使う治療を行いました。ワクチンは、特別に作られたWT1ペプチドを使い、2週間または4週間ごとに注射しました。また、患者の血液を使って、免疫細胞の変化を4週間ごとに詳しく調べました。これにより、治療前後の体の反応を細かく解析しました。WT1ペプチドワクチン ( WT1遺伝子に基づくワクチンで、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こします。)
- 結論と意義:
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この研究の結果、
とWT1ペプチドワクチン ( WT1遺伝子に基づくワクチンで、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こします。) を一緒に使う治療が、CML治療において新しい希望となることがわかりました。特に、他の治療法が効かない場合や、十分な効果が得られない場合に有効である可能性が高いです。この治療法は、イマチニブだけでは効果がないCML幹細胞にも効き、持続的な抗がん効果が期待されます。これにより、CML治療の新しい選択肢としての重要性が強調されました。イマチニブ ( CML治療で使われる薬で、がん細胞の成長を抑える働きがあります。)
- 今後の展望:
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将来的には、
とWT1ペプチドワクチン ( WT1遺伝子に基づくワクチンで、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こします。) の併用療法の効果をさらに確認するために、より多くの臨床試験が期待されます。特に、異なるタイプのCML患者に対する効果や、副作用が少ない治療法の確立が必要です。また、免疫細胞の機能を詳しく調べることで、より効果的な治療法の開発が期待されます。さらに、このワクチンを他のがん治療にも応用する研究が進むことで、がん治療の分野全体で新しい治療法が生まれることが期待されます。イマチニブ ( CML治療で使われる薬で、がん細胞の成長を抑える働きがあります。)
- 何のために?:
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この研究は、CMLという
血液 の病気を治 す方法 を探 しています。CMLの細胞 でいっぱい作られるWT1という遺伝子 に注目しました。この遺伝子 を使ったワクチンがどれくらい効 くかを調べました。また、 という薬も使ってイマチニブ ( CMLの治療薬 で、がん細胞 の増 えるのを抑 える薬です。) 治療 する方法 を考えました。イマチニブだけでは治 らない人もいるので、ワクチンと一緒 に使う方法 に期待しています。
- 何が分かったの?:
-
この研究では、
:02というHLA-A*24 ( 02) 特別 な遺伝子 を持つCMLの人に、WT1ワクチンと をイマチニブ ( CMLの治療薬 で、がん細胞 の増 えるのを抑 える薬です。) 一緒 に使う治療 が効 くことがわかりました。治療 を始めて7ヶ月後に、CMLの細胞 が少なくなりました。そして、5年後も良 い状態 が続 きました。治療 で、免疫 細胞 も増 えて、がん細胞 をやっつける力が強くなりました。
- どうやったの?:
-
まず、
:02を持つCMLの人に、WT1ワクチンとHLA-A*24 ( 02) を使うイマチニブ ( CMLの治療薬 で、がん細胞 の増 えるのを抑 える薬です。) 治療 をしました。ワクチンは特別 に作られたWT1ペプチドを使い、2週間か4週間ごとに注射 しました。そして、血液 を使って、免疫 細胞 の変化 を4週間ごとに調べました。これで、治療 前と後の体の反応 を詳 しく見ました。
- 研究のまとめ:
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この研究で、WT1ワクチンと
をイマチニブ ( CMLの治療薬 で、がん細胞 の増 えるのを抑 える薬です。) 一緒 に使う治療 がCML治療 に新しい希望 になることがわかりました。他の治療 法 が効 かない場合にも、有効 な可能性 が高いです。この治療 法 は、イマチニブだけでは効 かないCML細胞 にも効 きます。これにより、新しい治療 法 としての大切さがわかりました。
- これからどうする?:
-
これからもっと多くの
治験 をして、WT1ワクチンと のイマチニブ ( CMLの治療薬 で、がん細胞 の増 えるのを抑 える薬です。) 治療 法 の効果 を確 かめる必要 があります。さらに、他のタイプのCMLの人にも効 くか確認 します。また、副作用 が少ない治療 法 を見つけるのも大事です。免疫 細胞 の働 きを詳 しく調べることで、さらに良 い治療 法 を開発することが期待されます。他のがんの治療 にも使えるように研究を続 けます。
- 著者名:
- 岩谷 俊平, 成田 美和子, 増子 正義, 西澤 幹則, 大岩 恵理, 井田 桃里, 岩渕 南, 内山 孝由, 柴崎 康彦, 瀧澤 淳, 曽根 博仁, 高橋 益廣
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 11
- 号:
- 1
- ページ:
- 83 - 91
- 発行日:
- 2014-03
- 著者による要約:
- imatinibと改変型WT1ペプチドワクチンの併用療法を行ったHLA-A*24:02陽性の慢性骨髄性白血病慢性期(chronic myeloid leukemia-chronic phase;CML-CP)の症例に対し,ワクチン接種前から4週間毎に14日の末梢血単核球を混合リンパ球ペプチド培養(mixed lymphocyte peptide culture;MLPC)行い,WT1/MHC-tetramer+ CD8+細胞の末梢血CD8陽性細胞中の頻度の変動を6年間継続して解析した。ペプチドを添加した自己B細胞株を標的細胞として細胞傷害活性試験を行い,今回検出されたWT1/MHC-tetramer+CD8+細胞は確実に細胞傷害活性を有することを確認した。WT1ペプチドワクチンの臨床効果も確認された。すなわち,ワクチン投与終了7ヶ月後には,bcr/ablコピー数が次第に減少しMMR(major molecular response;MMR) に入り, その後,CMR(complete molecular response;CMR)に到達し,WT1ペプチドワクチン投与終了後5年経過した現在もCMRは維持されている。WT1ペプチドワクチンとimatinib併用療法は,TKI(tyrosine kinase inhibitor;TKI)が十分に作用できないCML幹細胞に対し有効である可能性が示された。
To clarify the effectiveness and safety of WT1 peptide vaccination against the residual CML cells, we started WT1 peptide vaccination in combination with regular dose of imatinib for a CML-CP patient who had been treated with 400 mg imatinib for 4 years but not achieved MMR. HLA-A*24:02-restricted mutant type WT1 peptide vaccination was undertaken 22 times totally. The appearance of WT1-specific CTLs in PB was confirmed by evaluating the frequency of MHC/WT1 tetramer+CD8+ T cells by using mixed lymphocyte peptide culture(MLPC)system every 4 weeks. WT1 tetramer+ cells detected by MLPC system were investigated for WT1 specific cytotoxicity. Bcr-abl transcripts have decreased to less than 500 copies by the administration of WT1 peptides every 4 weeks. After 7 months from the cessation of vaccination, transcripts decreased to the level of CMR, which is lasting thereafter Tumor antigen specific peptide vaccine therapy in combination with molecular targeted therapy is one of the potent methods for eradicating cancer stem cells.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/38944
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