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医学部保健学科 医歯学系 #紀要論文

CML に対するWT1 ペプチドワクチン療法によるWT1 特異的CTLの長期間の増幅

AI解説:
この研究は、慢性骨髄性白血病(CML)(白血病の一種で、骨髄中の血液細胞が異常に増える病気です。)という病気に対する新しい治療法を見つけることを目指しています。特に、CML細胞で多く作られているWT1遺伝子(がんの原因となる遺伝子で、白血病や他のがんでも多く見られます。)に注目し、この遺伝子を使ったWT1ペプチドワクチン(WT1遺伝子に基づくワクチンで、がん細胞を攻撃する免疫反応を引き起こします。)の効果を調べました。WT1遺伝子は、がんの一種であるWilms腫瘍の原因となる遺伝子として知られていますが、白血病や他のがんでも多く作られていることがわかっています。また、CML治療のための薬であるイマチニブ(CML治療で使われる薬で、がん細胞の成長を抑える働きがあります。)も重要な役割を果たしますが、すべての患者に効果があるわけではありません。そこで、WT1ペプチドワクチンとイマチニブを一緒に使う新しい治療法に期待が寄せられています。
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著者名:
岩谷 俊平, 成田 美和子, 増子 正義, 西澤 幹則, 大岩 恵理, 井田 桃里, 岩渕 南, 内山 孝由, 柴崎 康彦, 瀧澤 淳, 曽根 博仁, 高橋 益廣
掲載誌名:
新潟大学保健学雑誌
巻:
11
号:
1
ページ:
83 - 91
発行日:
2014-03
著者による要約:
imatinibと改変型WT1ペプチドワクチンの併用療法を行ったHLA-A*24:02陽性の慢性骨髄性白血病慢性期(chronic myeloid leukemia-chronic phase;CML-CP)の症例に対し,ワクチン接種前から4週間毎に14日の末梢血単核球を混合リンパ球ペプチド培養(mixed lymphocyte peptide culture;MLPC)行い,WT1/MHC-tetramer+ CD8+細胞の末梢血CD8陽性細胞中の頻度の変動を6年間継続して解析した。ペプチドを添加した自己B細胞株を標的細胞として細胞傷害活性試験を行い,今回検出されたWT1/MHC-tetramer+CD8+細胞は確実に細胞傷害活性を有することを確認した。WT1ペプチドワクチンの臨床効果も確認された。すなわち,ワクチン投与終了7ヶ月後には,bcr/ablコピー数が次第に減少しMMR(major molecular response;MMR) に入り, その後,CMR(complete molecular response;CMR)に到達し,WT1ペプチドワクチン投与終了後5年経過した現在もCMRは維持されている。WT1ペプチドワクチンとimatinib併用療法は,TKI(tyrosine kinase inhibitor;TKI)が十分に作用できないCML幹細胞に対し有効である可能性が示された。
To clarify the effectiveness and safety of WT1 peptide vaccination against the residual CML cells, we started WT1 peptide vaccination in combination with regular dose of imatinib for a CML-CP patient who had been treated with 400 mg imatinib for 4 years but not achieved MMR. HLA-A*24:02-restricted mutant type WT1 peptide vaccination was undertaken 22 times totally. The appearance of WT1-specific CTLs in PB was confirmed by evaluating the frequency of MHC/WT1 tetramer+CD8+ T cells by using mixed lymphocyte peptide culture(MLPC)system every 4 weeks. WT1 tetramer+ cells detected by MLPC system were investigated for WT1 specific cytotoxicity. Bcr-abl transcripts have decreased to less than 500 copies by the administration of WT1 peptides every 4 weeks. After 7 months from the cessation of vaccination, transcripts decreased to the level of CMR, which is lasting thereafter Tumor antigen specific peptide vaccine therapy in combination with molecular targeted therapy is one of the potent methods for eradicating cancer stem cells.
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