ジェンダーと社会関係資本における地域特性 : 三地域の比較調査から

1990年代以降、社会関係資本（social capital）は政治学、経済学、社会学、社会疫学などの分野で注目されてきました。この概念は1970年代に登場しましたが、R.パットナムの研究が再び脚光を浴び、コミュニティの社会関係資本の量を測定可能にしたことで、多くの研究が進展しました。日本でも2000年代以降、健康、教育、地域づくり、介護や子育てなど多くの課題に関連して研究が行われています。一方で、ジェンダー研究者からは、社会関係資本がジェンダーブラインドであり、権力関係を無視しがちであるとの批判があります。本稿は、ジェンダー公正に向けた社会関係資本の醸成を目指し、都市化の度合いに注目して地域社会のジェンダー構造を描くことを目的としています。

調査の結果、地域の特性によって社会関係資本のジェンダー構造が異なることが明らかになりました。世田谷区では、女性が地域活動の中心であり、社会関係資本を多く所有している一方で、性別役割分業を強化する恐れがあります。新潟市では、男性が地縁・血縁ネットワークを強く持ち、女性はケア活動を中心に活動していますが、地域のジェンダー権力構造が男性優位であることが示されました。古座川町では、地縁・血縁関係が非常に強く、男女ともに社会関係資本を多く所有しているが、橋渡し型の社会関係資本が不足していることが指摘されました。

本調査は、首都圏、地方都市、町村部の事例として、東京都世田谷区、新潟県新潟市、和歌山県東牟婁郡古座川町の住民を対象に量的調査を行いました。調査は住民基本台帳から抽出した対象者に対して郵送で調査票を配布・回収する形式で実施されました。調査の項目は、地域での活動、親しい友人数、信頼感など社会関係資本の構造的、認知的要素を含めたものであり、地縁・血縁、職場やボランティア活動、個人的な友人や趣味、子育てやケア活動に関する質問が含まれました。

本稿では、地域社会の都市化の違いに応じた社会関係資本と性別の関係を検討し、地域が持つ社会関係資本のタイプがジェンダー権力関係にどのように影響するかを明らかにしました。世田谷区では女性が多くの社会関係資本を所有しているが、性別役割分業を強化する恐れがあります。新潟市では、男性が地縁・血縁ネットワークを強く持ち、地域活動での権力関係も男性優位です。古座川町では、地縁・血縁関係が強く、男女ともに社会関係資本を多く所有していますが、橋渡し型の社会関係資本が不足しています。これらの結果は、ジェンダー公正に向けた取り組みが地域の質的な文脈に基づいて行われるべきであることを示しています。

今後の課題として、社会関係資本がどのように他の資本に転換されるか、その質についての検討が必要です。また、地域社会における女性の発言力や意思決定過程への参与を積極的に援助する必要があります。さらに、地域特性に応じたジェンダー公正な社会関係資本の醸成を目指し、具体的な方策を講じるための研究が求められます。特に、都市部では男性の地域関与を、地方では女性の個人的ネットワークの育成を支援することが重要です。これにより、地域社会全体の活性化とジェンダー平等が実現されることが期待されます。

1990年代から、「社会関係(しゃかいかんけい)資本(しほん)(みんなが仲良(なかよ)くして助け合う力のこと。)」という考え方が大事になりました。これは、みんながどうやって仲(なか)よくなり、助け合うかを考えるものです。2000年ごろから、日本でもいろんなことに使われるようになりました。でも、「ジェンダー(男の子と女の子の違(ちが)いや役割(やくわり)のこと。)」という、男の子と女の子の違(ちが)いについては、まだよくわかっていません。この記事では、地域(ちいき)の男の子と女の子の関係(かんけい)を調べます。

調べた結果(けっか)、場所によって違(ちが)いがあることがわかりました。世田谷区では、女の人が地域(ちいき)活動をがんばっています。でも、男の人と女の人の役割(やくわり)が決まってしまうかもしれません。新潟市では、男の人が強いネットワークを持っています。女の人はお世話をすることが多いですが、男の人のほうが力を持っています。古座川町では、みんなが仲良(なかよ)くしていますが、新しい友達(ともだち)を作る力が足りません。

この調査(ちょうさ)では、世田谷区、新潟市、古座川町の人たちにアンケートを送りました。アンケートでは、地域(ちいき)の活動や友達(ともだち)の数、信頼感(しんらいかん)などを聞きました。また、いろいろな活動についても質問(しつもん)しました。

この記事では、場所によって、社会関係(しゃかいかんけい)資本(しほん)(みんなが仲良(なかよ)くして助け合う力のこと。)とジェンダー(男の子と女の子の違(ちが)いや役割(やくわり)のこと。)の関係(かんけい)が違(ちが)うことがわかりました。世田谷区では、女の人が多くの関係(かんけい)を持っていますが、役割(やくわり)が決まってしまうかもしれません。新潟市では、男の人が強い関係(かんけい)を持ち、力も持っています。古座川町では、みんながたくさんの関係(かんけい)を持っていますが、新しい友達(ともだち)を作る力が足りません。これからは、地域(ちいき)ごとに男の子と女の子が平等になるようにしましょう。

これからは、社会関係(しゃかいかんけい)資本(しほん)(みんなが仲良(なかよ)くして助け合う力のこと。)がどう変(か)わるのかを考える必要(ひつよう)があります。また、女の人がもっと意見を言いやすくすることが大事です。都市では男の人の活動を増(ふ)やし、地方では女の人のネットワークを広げましょう。そうすれば、地域(ちいき)全体が元気になり、平等になります。