論文詳細
大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
長沙出土年次未詳吏民田家莂に関する一試論
- AI解説:
- 1996年に湖南省長沙市の走馬楼から発見された三国・晋時代の簡牘の中で、特に吏民田家莂と呼ばれる大型の木牘が研究対象となっている。この木牘には嘉禾4年と5年の諸税納入記録が含まれており、それぞれの特徴が既に明らかにされている。しかし、90点ある年次未詳の吏民田家莂は研究対象から除外されてきた。本稿の目的は、年次未詳の吏民田家莂を嘉禾4年または5年のどちらに属するかを判定し、研究対象に含めることで、吏民田家莂の全体像をより明確にすることである。
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大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
長沙出土年次未詳吏民田家莂に関する一試論
AI解説
- 背景と目的:
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1996年に湖南省長沙市の走馬楼から発見された三国・晋時代の簡牘の中で、特に吏民田家莂と呼ばれる大型の木牘が研究対象となっている。この木牘には嘉禾4年と5年の諸税納入記録が含まれており、それぞれの特徴が既に明らかにされている。しかし、90点ある年次未詳の吏民田家莂は研究対象から除外されてきた。本稿の目的は、年次未詳の吏民田家莂を嘉禾4年または5年のどちらに属するかを判定し、研究対象に含めることで、吏民田家莂の全体像をより明確にすることである。
- 主要な発見:
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本研究では、年次未詳の吏民田家莂の末尾に記された校閲に関する事項を手がかりに、嘉禾4年および5年のどちらに属するかを判定した。その結果、嘉禾四年吏民田家莂とすべきものが13点、嘉禾五年吏民田家莂とすべきものが4点、計17点が特定された。この結果は、全体の90点の中では大きな割合ではないが、校閲者の姓名が明記されているものでも判定できないものが7点存在した。
- 方法論:
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本研究では、年次未詳の吏民田家莂の末尾に記された校閲の月日、校閲者の官職名、そして校閲者の姓名の3つの観点から、それぞれの校閲の記録を詳細に分析した。月日については、嘉禾4年と5年の校閲月日の特徴を比較し、官職名については特定の表現やその頻度を考察し、姓名については自署の順序や組み合わせから推定を行った。これにより、年次未詳の木牘がどちらに属するかの判定を行った。
- 結論と意義:
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本研究の結果、校閲に関する事項から年次を推定する方法の有効性が示された。特に、嘉禾四年吏民田家莂と嘉禾五年吏民田家莂の特徴が明確に区別できることが確認された。これにより、年次未詳の吏民田家莂を研究対象に含めることが可能となり、吏民田家莂全体の研究が一段と進展することが期待される。また、この研究アプローチは他の未詳の文物にも応用できる可能性があり、古代文書研究の新たな手法としての意義を持つ。
- 今後の展望:
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今後の研究では、今回の校閲に関する事項だけでなく、田土のカテゴリーや本文の形式・内容、さらには書体や書風などの視点からも年次未詳の吏民田家莂の分析を進める必要がある。これにより、より多くの年次未詳の木牘が正確に分類され、吏民田家莂全体の理解が深化することが期待される。また、他の未解明の簡牘類についても同様のアプローチが適用されることで、古代中国の社会経済史や文書管理の実態解明に寄与することが見込まれる。本稿はそのための第一歩として位置づけられ、継続的な研究の基盤を提供するものである。
- 背景と目的:
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1996年に中国の湖南省長沙市で、三国時代と晋時代の木製の札(
)が発見されました。その中で、特に「簡牘 ( 古代中国で使用された木や竹で作られた書物や文書のことです。) 」という大きな木札が研究対象となっています。この木札にはある年の税金の記録が含まれており、どのように税金が納められたかがわかります。しかし、90枚の年が不明な木札は研究対象から外されていました。この論文の目的は、その年が不明な木札がどの年に属するのかを明らかにし、全体の理解を深めることです。吏民田家莂 ( 税金の納入記録が記された大きな木札のことです。)
- 主要な発見:
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調査の結果、年が不明な木札のうち13枚が嘉禾4年に、4枚が嘉禾5年に属することが判明しました。これにより、全体の90枚の木札のうち17枚の年が特定されました。ただし、
者の名前が明記されているにもかかわらず、どの年に属するか判定できない7枚も存在しました。校閲 ( 文書や書類を確認し修正することです。)
- 方法論:
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この研究では、まず年が不明な木札の末尾に記された
の月日、校閲者の役職名、そして校閲者の名前の3つの情報を詳細に分析しました。月日に関しては、嘉禾4年と嘉禾5年の特徴を比較し、役職名については特定の表現やその頻度を調べました。名前については、自署の順序や組み合わせから推定を行いました。これにより、どの年に属するかを判定しました。校閲 ( 文書や書類を確認し修正することです。)
- 結論と意義:
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今回の研究により、
に関する情報から年を推定する方法が有効であることが示されました。特に、嘉禾4年と嘉禾5年の特徴が明確に区別できることが確認されました。これにより、年が不明な木札を研究対象に含めることができ、全体の理解がさらに進むことが期待されます。また、この方法は他の古代文書にも応用できる可能性があり、古代文書研究の新しい手法としての意義があります。校閲 ( 文書や書類を確認し修正することです。)
- 今後の展望:
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今後の研究では、今回の
に関する情報だけでなく、税金の種類や本文の形式・内容、また文字の書き方などの視点からも分析を進める必要があります。これにより、より多くの年が不明な木札が正確に分類され、全体の理解が深化することが期待されます。また、他の未解明の古い文書についても同様のアプローチが適用できることで、古代中国の社会や経済の実態を解明する手助けになると考えられます。この論文はそのための第一歩として、今後の研究の基盤となるものです。校閲 ( 文書や書類を確認し修正することです。)
- 何のために?:
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1996年に中国の湖南
省長 沙市で、古い時代の木の札 が見つかりました。この札 には、昔の税金 の記録 が書かれています。でも、90枚 の札 は何年のものか分かりませんでした。この研究は、その札 がどの年のものかを調べることが目的 です。
- 何が分かったの?:
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研究の
結果 、90枚 の札 のうち17枚 の年が分かりました。13枚 は嘉禾 4年、4枚 は嘉禾 5年のものでした。でも、7枚 は年が分かりませんでした。
- どうやったの?:
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まず、年が分からない
札 に書かれた日付 、役職名 、名前を調べました。嘉禾 4年と嘉禾 5年の日付 や役職名 の特徴 を比 べました。名前の書き方も見て、どの年のものかを判断 しました。
- 研究のまとめ:
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この研究で、
校閲 情報 から年を推測 する方法 が役に立つことが分かりました。これで、年が分からない札 も研究に使えます。この方法 は、他の古い文書にも使えるかもしれません。
- これからどうする?:
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これからは、
税金 の種類 や札 の書き方など、いろいろな方法 で調べる必要 があります。そうすれば、もっとたくさんの札 の年が分かります。他の古い文書にもこの方法 が使えるかもしれません。この研究はその始まりです。
- 著者名:
- 關尾 史郎
- 掲載誌名:
- 中国世界における地域社会と地域文化に関する研究
- 巻:
- 1
- ページ:
- 1 - 8
- 発行日:
- 2002-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/6034
