教員による振り返り (特集 : 初年次教育とキャリア意識 : 学⽣主体キャリアイベントの実践から)

本イベントの構想は、2017〜2019年度の科学研究費・萌芽研究「初年次専門（職）教育と生涯キャリアデザインとの接合点の構築に関する実践開発的研究」を起点としています。この研究を通じて、キャリア直結型学部（医学部や薬学部）とキャリア非直結型学部（人文学部、工学部、経済学部、新しいコンセプトの創生学部など）の初年次教育が、生涯キャリアデザインにどう組み込めるかを実践的に研究しました。本イベントの目的は、大学一年生が自ら学習機会を企画・運営することで、生涯学習や初年次教育の観点から、その意義や効果を探ることにあります。

イベント終了後の調査では、学生たちが通常の講演会と異なる「双方向」や「グループワーク」を通じて、学びの手応えや新たな視点に気づく経験をしたことが確認されました。また、運営側として参加した学生は、能動的な態度や深い関心を持つことができ、学習の質が向上したとの意見もありました。さらに、運営に携わることで、学生たちは自己の成長や、企画の重要性を実感する機会を得ました。

イベントの準備過程では、学生たちが主体的に企画の立案や運営を担当し、教員も参加して支援しました。6回の企画会議と、イベント終了後の懇談会を通じて、学生たちの認識の変容を分析しました。イベントのテーマ設定から、役割分担、グループワークの内容決定まで、学生たちは主体的に取り組み、それぞれの段階で教員が指導とフィードバックを行いました。

本イベントは、大学一年生が学習機会を自ら企画・運営することで、学びの意欲や深まりに寄与することが示唆されました。特に双方向のイベント形式は、学生たちの学びや参加態度に好影響を与えました。また、運営側としての経験が、学生たちの能動的な学びの姿勢を醸成し、自己成長を促す効果があることが確認されました。初年次教育において、キャリアを取り上げる場合、少人数の双方向的なイベントが有効であることが示されました。

今後の展望としては、本イベントの成果を踏まえ、さらなる試行を重ねて教育法の改善を図ることが求められます。特に、学生が主体的に企画・運営する学習機会を増やし、その過程で得られる経験や学びを深めることが重要です。また、他学部との連携や、学外活動の取り入れを通じて、より多様な学びの機会を提供することが期待されます。さらに、学生の学びを支援する環境整備や教員の指導方法の改善にも取り組むことで、教育の質を高めることが求められます。

このイベントは、2017年から2019年に行われた研究を元にしています。この研究では、いろいろな大学の授業(じゅぎょう)が将来(しょうらい)の仕事にどう役立つかを調べました。イベントの目的(もくてき)は、大学一年生が自分で勉強の機会(きかい)を作ることです。それで、生涯学習(しょうがいがくしゅう)や初(はじ)めての大学の授業(じゅぎょう)の意味や効果(こうか)を探(さぐ)ります。

イベント後の調査(ちょうさ)で、学生たちは普通(ふつう)の講演会(こうえんかい)とは違(ちが)って、「双方向(そうほうこう)(双方向(そうほうこう)とは、話し手と聞き手が互(たが)いにやり取りすることです。一方的(いっぽうてき)に聞くだけでなく、質問(しつもん)をしたり意見を言ったりすることができます。例(たと)えば、先生が質問(しつもん)をして生徒(せいと)が答える授業(じゅぎょう)は双方向(そうほうこう)の授業(じゅぎょう)です。)」や「グループワーク(グループワークとは、少人数のチームで一緒(いっしょ)に作業をすることです。みんなが協力(きょうりょく)して意見を出し合い、問題を解決(かいけつ)します。学校のプロジェクトやチームでの宿題などがグループワークの例(れい)です。)」を通して学びを実感しました。また、イベントを運営(うんえい)した学生は、もっと積極的(せっきょくてき)に取り組むようになり、学びの質(しつ)が向上しました。運営(うんえい)を通じて、学生たちは自分の成長(せいちょう)や企画(きかく)の重要性(じゅうようせい)も感じました。

イベントの準備(じゅんび)では、学生たちが自分たちで企画(きかく)や運営(うんえい)を担当(たんとう)しました。教員はサポート役です。6回の会議(かいぎ)とイベント後の懇談会(こんだんかい)(懇談会(こんだんかい)とは、特定(とくてい)のテーマについて話し合う集まりのことです。参加者(さんかしゃ)が自由に意見を交換(こうかん)できる場です。例(たと)えば、保護者(ほごしゃ)と先生が話し合う親子懇談会(こんだんかい)などがあります。)で、学生たちの考え方の変化(へんか)を見ました。テーマを決めたり、役割(やくわり)を分けたり、グループでの作業も学生が主体的(しゅたいてき)に行いました。

このイベントを通じて、大学一年生が自分で学びの機会(きかい)を作ることで、学びへの意欲(いよく)(意欲(いよく)とは、何かをしたいという強い気持ちのことです。例(たと)えば、勉強を頑張(がんば)りたいと思う気持ちや、スポーツで勝ちたいと思う気持ちが意欲(いよく)です。)が増(ま)すことがわかりました。特(とく)に双方向(そうほうこう)(双方向(そうほうこう)とは、話し手と聞き手が互(たが)いにやり取りすることです。一方的(いっぽうてき)に聞くだけでなく、質問(しつもん)をしたり意見を言ったりすることができます。例(たと)えば、先生が質問(しつもん)をして生徒(せいと)が答える授業(じゅぎょう)は双方向(そうほうこう)の授業(じゅぎょう)です。)の形式は、学生たちの学びと参加(さんか)態度(たいど)に良(よ)い影響(えいきょう)を与(あた)えました。また、運営(うんえい)経験(けいけん)が学生たちの積極的(せっきょくてき)な学びの姿勢(しせい)を育て、自分自身の成長(せいちょう)を促(うなが)す効果(こうか)がありました。少人数(少人数とは、少ない人数のことです。例(たと)えば、10人以下(いか)のグループで活動することを少人数と言います。少人数だと、みんなが意見を言いやすくなります。)での双方向(そうほうこう)イベントが有効(ゆうこう)だとわかりました。

今後は、このイベントの成果(せいか)を元に、さらに教育方法(ほうほう)(教育方法(ほうほう)とは、教える方法(ほうほう)や教わる方法(ほうほう)のことです。例(たと)えば、先生が授業(じゅぎょう)で使う教材(きょうざい)や教え方の工夫(くふう)などが教育方法(ほうほう)です。良(よ)い教育方法(ほうほう)を使うと、学びが楽しくなります。)を改善(かいぜん)することが大切です。学生が自分で企画(きかく)・運営(うんえい)する学習機会(きかい)を増(ふ)やし、その過程(かてい)で得(え)られる経験(けいけん)や学びを深めます。他の学部との連携(れんけい)(連携(れんけい)とは、誰(だれ)かと協力(きょうりょく)して一緒(いっしょ)に動くことです。例(たと)えば、他の人と一緒(いっしょ)にプロジェクトを進めることは連携(れんけい)です。連携(れんけい)すると、一人ではできないことも達成(たっせい)できます。)や学外活動を取り入れて、もっと多様な学びの機会(きかい)を提供(ていきょう)することが期待されます。さらに、学生の学びを支援(しえん)する環境(かんきょう)を整え、教員の指導(しどう)方法(ほうほう)も改善(かいぜん)します。これで、教育の質(しつ)を高められます。