論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
膵頭十二指腸切除後膵外分泌機能を評価するCT画像解析方法の研究
- AI解説:
の一部を取る膵臓 ( お腹 の中にあって、食べ物を消化するための酵素 や血糖値 を調整するホルモンを作る臓器 です。) 手術 のあと、膵臓 がうまく働 かないことがあります。これでご飯 をちゃんと食べられなくなることもあります。この問題を調べるために、「PFD試験 」という方法 があります。でも、この方法 は患者 さんにとって大変 です。そこで、もっと簡単 で正確 な方法 が求 められています。最近 では、 という写真を使ってCT ( 体の中を詳 しく撮影 する特殊 な写真のことです。) 膵臓 を詳 しく見ることができます。この技術 を使って膵臓 の働 きを調べることが本研究の目的 です。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
膵頭十二指腸切除後膵外分泌機能を評価するCT画像解析方法の研究
AI解説
- 背景と目的:
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膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能低下は栄養障害を引き起こす重大な術後合併症である。この機能を評価する方法としてPFD試験が一般的だが、患者負担が大きく簡便な方法が求められている。近年のCT画像解析技術の進展により、膵臓の詳細な解析が可能となった。本研究の目的は、術前後のCT画像解析による測定値が膵外分泌機能低下の指標となり得るかを明らかにすることである。
- 主要な発見:
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全症例38例を対象にした調査では、尿中PABA排泄率の中央値は56.5%であった。尿中PABA排泄率が55%以上の正常・軽度低下群と55%未満の高度低下群に分けた結果、年齢や術後補助化学療法の有無に関する違いが明らかになった。特に、CT画像解析測定値では残膵量、残膵率、P/S比率が高度低下群で有意に低値であった。これらの結果から、術後補助化学療法あり、残膵率33%未満、術後P/S比率70%未満が膵外分泌機能低下に独立して寄与する項目であることが示された。
- 方法論:
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2006年10月から2014年3月の間に新潟大学医歯学総合病院で膵頭十二指腸切除を受けた38例を対象とし、PFD試験とCT画像解析を行った。PFD試験では尿中PABA排泄率を測定し、CT画像解析では膵volumetryを実施した。CT画像解析においては、膵volume、残膵量、残膵率、主膵管径、膵前後径、膵実質厚、膵実質CT値、脾CT値を測定し、これらのデータを基にP/S比率も算出した。統計解析にはMann-Whitney U検定、Fisherの直接確率検定、χ二乗法を使用し、多変量解析には二項ロジスティック回帰分析を用いた。
- 結論と意義:
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本研究は、膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能が術後補助化学療法によって影響を受けることを示した。また、CT画像解析から得られる残膵率とP/S比率が膵外分泌機能低下を反映する指標となり得ることを明らかにした。これにより、PFD試験に代わる簡便かつ正確な膵外分泌機能の評価方法を提供する可能性が示唆された。
- 今後の展望:
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将来的には、さらに多くの症例を対象にした研究が必要であり、術前および定期的な術後の膵外分泌機能検査とCT画像解析を行うことで、本研究の臨床的な実用性を確認することが求められる。また、術後補助化学療法が膵外分泌機能に与える影響についてもさらなる調査が必要であり、これに基づいた膵酵素補充療法の強化が示唆される。これにより、患者の生活の質向上に寄与する新たな治療戦略の開発が期待される。
- 背景と目的:
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後に膵臓の働きが悪くなると、栄養をしっかりと取れなくなるという問題があります。この問題を調べるために膵頭十二指腸切除 ( 膵臓の一部と十二指腸を切除する手術です。) という方法が使われますが、患者にとっては負担が大きいです。そこで、もっと簡単で正確な方法が求められています。最近ではCT画像を使って膵臓を詳しく見る技術が進んでおり、この技術を使って膵臓の働きを評価できるかを研究することが本研究の目的です。PFD試験 ( 膵臓の働きを評価するための尿検査です。)
- 主要な発見:
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38人の患者を調べたところ、
の中央値は56.5%でした。この値を基準に、正常・軽度低下群(55%以上)と高度低下群(55%未満)に分けました。その結果、年齢や術後に補助的な化学療法を受けたかどうかが違うことが分かりました。特に、尿中PABA排泄率 ( 尿に含まれるPABAという物質の割合を測ることで膵臓の働きを評価します。) から得られるCT画像解析 ( CTスキャンを使って体の内部を詳しく見る方法です。) や残膵量 ( 手術後に残った膵臓の量です。) 、残膵率 ( 手術後に残った膵臓の割合です。) が高度低下群で低いことが判明しました。これらの結果から、術後補助化学療法、残膵率33%未満、P/S比率70%未満が膵臓の働きの低下に関係していることが示されました。P/S比率 ( 膵臓の実質部分と脾臓のCT値の比率で、膵臓の働きを評価します。)
- 方法論:
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2006年10月から2014年3月の間に新潟大学医歯学総合病院で行われた
を受けた38人を対象に、膵頭十二指腸切除 ( 膵臓の一部と十二指腸を切除する手術です。) とPFD試験 ( 膵臓の働きを評価するための尿検査です。) を行いました。PFD試験では尿中のPABA排泄率を測り、CT画像解析では膵臓の体積や形を詳しく調べました。統計解析にはMann-Whitney U検定、Fisherの直接確率検定、χ二乗法を使用し、さらに多変量解析には二項ロジスティック回帰分析を用いました。CT画像解析 ( CTスキャンを使って体の内部を詳しく見る方法です。)
- 結論と意義:
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本研究は、
後の膵臓の働きが術後の補助化学療法によって影響を受けることを示しました。また、膵頭十二指腸切除 ( 膵臓の一部と十二指腸を切除する手術です。) から得られるCT画像解析 ( CTスキャンを使って体の内部を詳しく見る方法です。) と残膵率 ( 手術後に残った膵臓の割合です。) が膵臓の働きの低下を反映する指標となることが明らかになりました。これにより、P/S比率 ( 膵臓の実質部分と脾臓のCT値の比率で、膵臓の働きを評価します。) に代わる簡単で正確な膵臓の働きの評価方法を提供できる可能性が示されました。PFD試験 ( 膵臓の働きを評価するための尿検査です。)
- 今後の展望:
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将来的には、さらに多くの患者を対象にした研究が必要です。術前および定期的な術後の膵臓の働きの検査と
を行うことで、本研究の実用性を確認することが求められます。また、術後補助化学療法が膵臓に与える影響についてもさらなる調査が必要です。これに基づいて、患者の生活の質を向上させる新たな治療方法を開発することが期待されます。CT画像解析 ( CTスキャンを使って体の内部を詳しく見る方法です。)
- 何のために?:
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の一部を取る膵臓 ( お腹 の中にあって、食べ物を消化するための酵素 や血糖値 を調整するホルモンを作る臓器 です。) 手術 のあと、膵臓 がうまく働 かないことがあります。これでご飯 をちゃんと食べられなくなることもあります。この問題を調べるために、「PFD試験 」という方法 があります。でも、この方法 は患者 さんにとって大変 です。そこで、もっと簡単 で正確 な方法 が求 められています。最近 では、 という写真を使ってCT ( 体の中を詳 しく撮影 する特殊 な写真のことです。) 膵臓 を詳 しく見ることができます。この技術 を使って膵臓 の働 きを調べることが本研究の目的 です。
- 何が分かったの?:
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38人の
患者 さんを調べました。尿 の中の「 」というものを調べました。そのPABA ( 尿 の中に含 まれる物質 で、膵臓 の働 きを調べるために使います。) 結果 、55%より多い人と少ない人に分けました。年齢 や追加 の薬を使ったかどうかが違 いました。特 に、 の写真でわかるCT ( 体の中を詳 しく撮影 する特殊 な写真のことです。) 残 っている の膵臓 ( お腹 の中にあって、食べ物を消化するための酵素 や血糖値 を調整するホルモンを作る臓器 です。) 量 が少ないことがわかりました。この結果 から、手術 後の薬や膵臓 の量 が膵臓 の働 きに関係 していることがわかりました。
- どうやったの?:
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2006年から2014年までに新潟大学で
手術 を受けた38人を調べました。「PFD試験 」と の写真を使いました。「PFDCT ( 体の中を詳 しく撮影 する特殊 な写真のことです。) 試験 」では尿 の中の「 」を調べました。CTの写真ではPABA ( 尿 の中に含 まれる物質 で、膵臓 の働 きを調べるために使います。) の大きさや形を見ました。データを膵臓 ( お腹 の中にあって、食べ物を消化するための酵素 や血糖値 を調整するホルモンを作る臓器 です。) 分析 するために、いくつかの を使いました。統計 方法 ( データを使って物事を分析 し、結果 を導 く方法 です。)
- 研究のまとめ:
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この研究は、
の一部を取る膵臓 ( お腹 の中にあって、食べ物を消化するための酵素 や血糖値 を調整するホルモンを作る臓器 です。) 手術 の後の膵臓 の働 きが、追加 の薬によって影響 を受けることを示 しました。また、 の写真でわかるCT ( 体の中を詳 しく撮影 する特殊 な写真のことです。) 膵臓 の情報 が、膵臓 の働 きを調べる になることもわかりました。これにより、もっと指標 ( 何かを測 るための基準 や目印 になるものです。) 簡単 で正確 な方法 が見つかるかもしれません。
- これからどうする?:
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将来的 には、もっと多くの患者 さんを調べることが必要 です。手術 の前や後に を調べて、本研究の膵臓 ( お腹 の中にあって、食べ物を消化するための酵素 や血糖値 を調整するホルモンを作る臓器 です。) 実用性 を確 かめることが求 められます。また、手術 後の薬が膵臓 に与 える影響 についてももっと調べる必要 があります。これに基 づいて、新しい治療 方法 を作ることが期待されます。
- 著者名:
- 佐藤 良平
- ページ:
- 1 - 23
- 発行日:
- 2018-09-20
- 著者による要約:
- 【背景・目的】膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能低下は,栄養障害を惹き起こす契機となる注意すべき合併症の1つである.膵外分泌機能を評価する方法としてPFD (pancreatic function diagnostant) 試験,呼気試験,糞便中脂肪測定があげられるが,現時点で保険適応とされているのはBT-PABA (N-benzoyl-L-tyrosyl-p-aminobenzonic acid) を内服後,尿中PABA排泄率をみるPFD試験のみである.しかしながら,消化・代謝に関わる内服薬の休薬と長時間蓄尿が必要なPFD試験を頻回に繰り返すことは患者負担が大きく,膵外分泌機能を評価する簡便な方法が望まれている.近年ではMultiple- detector row CTの普及により,体積の少ない膵臓でも詳細な画像解析が可能となってきた.本研究の目的は,術前後CT画像解析による測定値が膵外分泌機能低下の指標となり得るかを明らかにすることである. 【対象・方法】2006年10月から2014年3月の間に当施設にて膵頭十二指腸切除術を施行された症例のうち,術後にPFD試験 (尿中PABA排泄率,正常範囲は>70%) を行った38例を対象とした.術前後に施行されたMultiple- detector row CTによるCT画像解析にて膵 volumetry を行い,術前膵 volume,残膵量,残膵率,主膵管径,膵前後径,膵実質厚,膵実質CT値,脾CT値を測定した.さらに,膵実質CT値と脾CT値の比をP/S比率として算出した. 【結果】全症例38例の尿中PABA排泄率の中央値は,56.5% (四分位範囲49.3-64.5) であった.この中央値を参考に,正常値を含む尿中PABA排泄率55%以上の症例を正常・軽度低下群 (20例),55%未満の症例を高度低下群 (18例) として2群に分類し,両群間にて患者背景およびCT画像解析による各測定値の比較を行った.正常・軽度低下群および高度低下群の尿中PABA排泄率の中央値は,各々64.4% (四分位範囲59.3-67.2) および48.6% (四分位範囲38.6-52.4) であった.両群間で悪性疾患および通常型膵癌の割合に有意差はなかったが,高度低下群において年齢が有意に低く (P=0.030),術後補助化学療法ありの症例割合が有意に高かった (P=0.004).また,CT画像解析測定値では,残膵量 (P=0.019),残膵率 (P=0.002),術後P/S比率 (P=0.015) の値が高度低下群で有意に低値であった.年齢,通常型膵癌,術後補助化学療法あり,術後膵実質厚,残膵量,残膵率,術後P/S比率の7項目において,ロジスティック回帰分析によって解析を行った結果,膵外分泌機能高度低下群に入ることに有意に独立して寄与する項目は,術後補助化学療法あり (オッズ比9.8,P=0.043),残膵率33%未満 (オッズ比13.5,P=0.027),術後P/S比率70%未満 (オッズ比19.6,P=0.015) であった.
【考察】膵外分泌機能正常・軽度低下群と高度低下群の両群間において悪性疾患および通常型膵癌の割合では有意差がなく,尿中PABA排泄率低下は術後補助化学療法自体の影響がある可能性が考えられた.さらに術後補助化学療法あり,残膵率,術後P/S比率は独立して膵外分泌機能低下に寄与する項目であると考えられた.特に3次元的計測である残膵率は,膵実質厚や膵前後径に比べやや煩雑ではあるが,より正確な残膵率を反映する測定値であり,さらに術後の膵萎縮を客観的に評価する方法としても有用である.また,術後P/S比率が膵外分泌機能低下を反映するという本研究の結果は,膵実質における脂肪置換や腺房組織の変化が膵実質CT値として表現されるという過去の報告を裏付けるものとなった. 【結論】膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能は術後補助化学療法によって影響を受ける.また,術後CT画像解析から測定した残膵率,術後P/S比率は膵頭十二指腸切除後の膵外分泌機能低下を反映する指標となり得る.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/50790
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